フジカ35EEのカメラ修理

今日は「伊達巻の日」だそうですよ。
「伊達巻」というと意外と伝わりにくいかもしれないですが
姿かたちを見れば「あーあれかー」となると思います。
卵焼きのちょっと高級なヤツ(なんと適当な説明(笑))ですね。
溶き卵に白身魚のすり身とだし汁を入れてよく混ぜて
焼き上げて巻き簾(まきす)で巻いて形を整えたものです。
おせち料理や高級な仕出し弁当とかに
よく入っていますよね!
…でも…「伊達巻」なんて長らく見ていないし
もちろん口にもしていない気が…(苦笑)
まぁじじいの一人暮らしだし
おせち料理とかに今や縁がないものですねぇ
甘めに仕立てられていてふわふわで美味しいですよねぇ
普通のだし巻きとかなら食べる機会も多いのですが…
ところで普通の卵焼きにしても
甘めに仕上げる家としょっぱめに仕上げる家に分かれると思います。
うちのばあさんは典型的な「甘い卵焼き」だったなぁ
小学校の頃とかにお弁当のおかずを交換することとかがあって
しょっぱめの卵焼きを食べたときに
結構なカルチャーショックでした(笑
子供の頃に馴染んだ味は抜けないもので
今でもやはり卵焼きは甘いほうがいいですねぇ…

さてさて

本日は「フジカ35EE」のカメラ修理を行っています。
独特の操作系を持つ「フジカ35シリーズ」の一員です。
最初の「フジカ35」がベースになっている後継機で
初代「フジカ35」→「35ML」→「35SE」そして
今回の「35EE」へモデルチェンジが行われています。
「35EE」は1961年発売です。
このモデルからその名の通り
「シャッタースピード優先オート」が搭載されています。
セレン光電池式露出計の指針を挟み込み
指針の位置によって絞りを制御するお馴染みの構造です。
もちろんマニュアル露出も可能です。
ちょっとおもしろいのはオート時には指針を挟み込む費用があるため
レリーズストロークがかなり長く必要になってくるのですが
そのためにオートに切り替えた際に
レリーズボタンがポンと上に伸びてきます。
マニュアルにすると押し込んだ際に通常の低い位置に押し込まれた状態で
ロックがかかり通常のストロークになります。
オート時にストロークが長いのはしかたがないとしても
マニュアル時もストロークが長いままであることを
良しとしなかったわけですね。
なかなか凝った造りになっています。
巻き戻しクランクが側面に付いていたり
ピント調整が背面のダイヤルで行う形式だったり
巻上レバー&フィルムカウンターは底面だったりと
独特の操作系は初代35から受け継ぐ形となります。
なかなか面白いカメラです。
奇抜な操作方法とは裏腹に基本性能もしっかりとしたカメラで
シャッターはレンズシャッターではめずらしく
最高速は1/1000まであります。
ファインダー内もハーフミラーではなく
贅沢にプリズムが使われていてその見えかたは非常にクリアです。

お預かりしている「フジカ35EE」はシャッターは
若干の粘りがあるものの一通りは動作しています。
心配されるのはやはりセレン光電池ですが
こちらはほぼ問題なく起電できているようです。
露出計の値もほぼ問題がなく
オート精度も若干の調整で問題ないレベルにできそうです。
自慢のファインダーはさすがにプリズム表面に
かなりのカビや汚れが付着していて
あまり良い状態ではありません。
二重像も大きく縦にも横にもズレている状態です。
しかしながらこのあたりは清掃と調整で何とかなりそうです。
ピント調整は例の背面ダイヤルですが
最短距離(最もレンズが繰り出された状態)から
無限遠(レンズが最も引っ込んだ状態)に動かそうとすると
何か大きく引っかかって途中で動けなくなってしまいます。
ガチャガチャやっていると何かの拍子に無限遠まで引っ込むのですが
構造上、ヘリコイドを直接リングで回す通常の形式より
ちょっとしたことで引っかかりやすいのだと思われます。
おそらく動作を滑らかにする処置と
鏡胴の調整で改善できると思われます。

まだ取り掛かり始めですが
これから本格的に分解整備を行っていきます。
フジカのカメラは全体的に
華奢な部分も多いので
何を行うにしてもより慎重に作業を進めていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。