ニコンEMのカメラ修理

今日は「ゴールドラッシュの日」だそうですよ。
1848年のこの日にアメリカ・カリフォルニアの製材所で働く
ジェームズ・マーシャルが川底にきらりと光る金の粒を発見しました。
仲間と秘密を誓ったが、この話は大きな噂となって全米に広まり
やがて一獲千金を夢見る男たちが殺到し
「ゴールドラッシュ」(Gold rush)が起こったのだそうです。
ゴールドラッシュは、新しく発見された金の採掘地に
人々が殺到することを意味します。
いつの時代も誰もが一攫千金を夢見ますよねぇ…
そう簡単に一攫千金できるようなら
誰もがお金持ちになってひどいインフレが起こりそうなので
そう簡単にいかないのが当たり前かとは思います。
強烈な運の持ち主か類まれな才能でもない限り
コツコツ稼ぐのが正解なような気がします。
今の世の中、なかなか一個人が短期間に一攫千金なんて
相当に難しいような気がします。
まぁあまり余計な事を考えないで
今日もしっかり仕事しますかーーーー(笑

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に発売されたニコンとしては初となる
エントリークラスの一眼レフです。
絞り優先オート専用機でボディのみ40,000円
物品税の関係もあり各社価格横並びで
露出オート専用機のエントリークラスが
ラインナップされていました。
それまでニコンはフラッグシップのF一桁機と
中級機のFM/FEのみのラインナップだったので
かなり思い切った戦略機としての位置づけでした。
同時期に発売されたフラッグシップ「F3」と同じく
ジウジアーロデザインで非常にスタイリッシュなカメラです。
現在も人気の高いカメラですが
発売当初は国内の反応はあまりよろしくなく
販売的にも苦戦しました。
要は「高級機メーカーのニコンらしくないカメラ」と
思われてしまったようです。
確かにコストの関係上、外装はプラスチックですし
かなり割り切った部分も見受けられますが
オート専用機の電子制御器でありながら
電池がなくても動作する「メカニカル1/90」を搭載し
バルブも機械制御で動作します。
それ以外にもニコンらしい部分は多く見られ
冷静にチェックすると実にニコンらしいカメラなのですが…
ちなみに先行発売された海外ではかなり好調な販売だったそうです。
「EM」の国内での評価が盛り上がったのは残念ながら
生産が終わった後になってしまいました。
それでもエントリークラスだけあって
それなりの台数が生産販売されていて
現存する個体は十分に多いです。

お預かりしている「EM」は
まずシャッターがまともに動作できない状態です。
巻上げてシャッターを切ると
先幕はほぼ問題なく走行するものの後幕が途中で止まってしまいます。
シャッターは2/3ほど開いたままです。
当然、ミラーは上がったままで次の巻上もできず
その状態で固まったままになってしまいます。
強制的に後幕を走行させて何とかリリーズ状態に戻せるといった状態です。
当然ながら撮影に使用できる状態ではありません。
シャッター羽根は見える部分に限ってはキレイなのですが
羽根の基部に汚れやゴミ、古い油脂が詰まってしまっているのか
羽根駆動部の動作不良が原因と思われます。
いずれにしてもシャッターユニットの入念な整備が必要です。
加えてファインダーを覗くと縦方向にもやっとした
太い縦線が出ています。プリズムの腐食です。
こちらは腐食のないプリズムに交換することで対処します。

まだプリズムを降ろしただけの状態です。
プリズムもフレキに覆われているので
ここまででもそれなりに大変ではあります。
ここからさらにミラーボックスを分離してシャッターユニットも
分離して整備を行っていきます。
この時代の電子制御機なので細かい手間はかかりますが
それでも「EM」はこのタイプのカメラとしては
整備性は良好です。このあたりもニコンらしい部分ですね。

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