ニコンFのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「大寒」です。
「大寒」の一つ前の節気は「小寒」(1月5日頃)、
一つ後の節気は「立春」(2月4日頃)
「小寒」から「立春」前日の「節分」までの約30日間を
「寒(かん)」や「寒中」「寒の内」と呼び
「大寒」はその真ん中にあたり一年で最も寒い時期となることが多いです。
まさにこれから1ヶ月くらいが寒いわけですねぇ
もう寒い日々は十分なのですが。。。(苦笑)
今日の都内も「大寒」にふさわしい
どんよりとした寒い天気です。午後からは雪の可能性もありそうです。
この「大寒」に関連して
「血栓予防の日」なんて記念日も制定されています。
寒い時期に血栓はできやすいですものねぇ
私の脳の血管が詰まったのも2月の立春過ぎた頃でした…
無駄に体を冷やさないことと十分な水分補給が大事かと思います。
それ以前になるべく血液をドロドロにしないように
そして血液が流れる血管をなるべく硬化させないように
健康的な食生活が大事でしょうね。まぁそれが難しいのですが…
それから私もそうですが長時間座り仕事の方は
積極的に下肢を動かして血液を滞らせないようにすることが大事でしょうね
寒いせいもありついついひざ掛けしたままで
動きたくなくなるのですが気を付けるようにします…
なんにせよ、早く暖かくなってほしいものです。

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れた名機ですね。
一眼レフという形式を一気に世界的にも
主流に押し上げたカメラだと思います。
ニコンとしても初の一眼レフカメラであり
「ニコンFマウント」のスタートとなったカメラです。
ほぼ100%のファインダー視野率、
交換式のファインダー、ミラーアップ機構の搭載、自動絞り等々
本当に撮影に必要な機能を厳選して搭載し
それを精度の高い頑健な部品で駆動します。
さらに必要に応じて様々なアクセサリーが用意され
様々なシチュエーションの撮影に対応できる
本格的システムカメラであったことも
プロ仕様といえる部分だったと思います。
メンテナンスしながら過酷な場面も含めて
長く使用することも前提に設計されていて
整備性も抜群な上に使われる部品のクオリティも非常に高く
現在でもしっかり愛用できるカメラとして
たくさんの「F」がまだまだ活躍しています。

登場は1959年です。
最高級機ということもありお値段も
おいそれと手が出るものではなかったのですが
それでも営業的にも大成功しています。
現存台数も多いのですが
長らく使われていないあるいはまったく整備されていない個体も多く
本来の動きを失っているものも多く流通しています。
これから入手される場合はメンテ前提で検討されるべきかと思います。

お預かりしている「F」も
もう長らく使われていなかったようです。
いわゆる「New F」とも言われるモデルで
「F」としては最も後期のモデルにあたります。
外観としてわかりやすいのは巻上レバーに指あてプラ部品が付いたことと
セルフタイマーレバーのデザインが異なる点です。
内部的にも細かくは変更点があるのですが
そこは大きな変更というほどでもなく
中身構造的には従来の「F」と変わりません。
いずれにしても相変わらずの極めて高い精度で
正確に動作する機械制御カメラです。

長く使われていなかったこともあり
致命的な破損や故障はないのですが
あちこちで動きの悪い部分が見受けられます。
ミラー駆動は「F」は独特な構造で
強烈なバネで跳ね上げるのですが
それをロックする部品が固着しているようで
巻き上げると同時にミラーが上がってしまいます。
巻き上げるとファインダーが真っ暗になってしまう状態です。
さすがにこれでは撮影に支障がありすぎますね。
幕軸も古い油脂類のため動きが悪く
高速シャッターの精度は出ていません。
反対に低速シャッターはスローガバナが粘っていて
不安定な上にたまに開いたままで止まってしまいます。
内部の汚れもたまっていて量は少ないのですが
使われているモルトはもちろん全て全滅です。

それでも何かが破損しているとかは一切なく
要は長年の汚れがたまって動きにくくなっている状態です。
できる限り分解し汚れや古い油脂を取り除き
必要最小限の注油を行えばほぼ本来の動きを取り戻します。
精度的には微調整程度でしっかり出ると思われます。
そしてファインダー等のガラス、レンズ部分は
カビもありますのでしっかり清掃していきます。
画像にはありませんが装着されていたレンズもしっかり清掃整備を行います。
しっかり手を入れてしまえば
本来の動きでまた当分の間、問題なく撮影に使用できます。
それに加え独特の精密感や感触を存分に楽しめます。
やはり良いカメラであることに間違いはございません。
ところで、機能や精度にも全く関係はないのですが
画像にも写っている真鍮製の「Nikon」のネームプレートが
妙に重量感があって毎回何だか嬉しくなります。
このあたりはこの時代ならではの質感ですね。

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