今日は「蓄音機の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
発明家トーマス・エジソンが「蓄音機」の特許をとったとされていて
それが由来となった記念日です。
蓄音機はレコードから音を再生するために用いる装置のことで
英語では「phonograph」(フォノグラフ)と呼ばれます。
1857年にフランス人により音を記憶する装置として
「フォノトグラフ」が発明されます。
これは音を記憶する最古の装置で波形を記録しますが
当時はそれを音として再生する技術がなかったのだそうです。
その後、エジソンは音による空気の振動を針先から
回転するシリンダー軸に巻いた錫箔に刻んで録音し
この凹凸を針先で拾って音として再生する蓄音機を発明しました。
溝の深さが音の強さに応じて変化することを利用した技術です。
また、空気振動と針先の振動との間で
物理的に情報をやり取りするアイデアは
その後、LPレコードにまで受け継がれることとなります。
蓄音機まで古いモノはさすがに縁がないですが
いまだにレコードは持っていて再生環境も維持しています。
音質云々はともかくレコードをジャケットから出して
プレーヤーにセットして針を落とす一連の行為がまたいいのですよねぇ
ノイズが多少入るのも趣があっていいと思います。
(多すぎるのは困りますが…)
スプレー式のレコードクリーナーの匂いを嗅ぐと
何とも懐かしい気持ちになるのですよねぇ…
さてさて
今日は「ニコンF2」のカメラ修理を行っています。
伝説の一眼レフともいえる「F」の後継機です。
機械的構造こそ「F」の造りを引き継ぎますが
それぞれの部品のほとんどが新設計され
全く別のカメラに生まれ変わっています。
機能としては「F」の進化版ですが
両方使ってみるとよくわかりますが
「F」と「F2」の使い心地は確かに全く別のカメラです。
SS最高速は1/2000となり、その実現のために幕速も
横走り機としてはかなり速い設定となっています。
スロー側もセルフタイマーと連動して
最大10秒のスローシャッターを使うことができます。
機械的スペックも向上していますが
巻上レバーに指あてが付いたり
シャッターボタンの位置の改善
裏蓋開閉は丁番式、巻き戻しクランクは巻き戻し時に
一段上げて巻き戻せる等々
使い勝手が非常によくなっている点も目立ちます。
あらゆる意味で進化したモデルといっていいと思います。
それでも「F」は「F」で良さがあったりもしますが…
お預かりしている「F2」はアイレベルファインダー装備の
シルバーのモデルです。
外観は非常にキレイで大切に使われてきたことがわかります。
ただ、やはり近年はかなり長い間使われていなかったと思われ
各部の動きが悪い状況です。
シャッターは一応は動くのですが
ミラーの動きが悪くレリーズしてからミラーは明らかに
ゆっくりと上がっていきます。
そしてかなり高い頻度で上がりきる少し前で止まってしまい
そのままシャッターも切れずにフリーズしてしまいます。
レンズを付けていなければ
ミラーを少し押してやるとそのままシャッターは切れます。
シャッター自体も切れているとはいえ
先幕後幕の幕速バランスは大きく崩れていて
1/2000は開かず、他高速SSも精度は全く出ていません。
幕軸をしっかり清掃して動きをスムーズにした上での
調整が必要です。
巻上も少し重めでスムーズさに欠ける印象です。
まだ現状をチェックを行っただけでの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
「F2」ではフォトミックファインダーが
標準的に使われるようになり
そのためでんちしつにボディ側に存在しますが
今回の「F2」はずtっとアイレベルファインダーで
使われていたらしく電池室も非常にキレイなままです。
それでももちろんいつフォトミックファインダーが
付けられても問題ないように
SW類の接点清掃、配線やハンダのチェック、必要に応じて
配線交換、再ハンダを行っていきます。
機械的な整備をキチンと行った「F2」や「F」は
仮組立の段階でゆっくり巻き上げて動きを確認すると
精密な部品がきっちり噛み合って動作しているさまが
何とも気持ちがよく精度の高い機械であることを実感します。
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