キヤノンEFのカメラ修理

今日は「正月事始め」の日ですね。
煤払い(すすはらい)などをして
年神様を迎える準備を始める日となっています。
昔はこの日に門松やお雑煮を炊くための薪など
お正月に必要な木を山へ取りに行く習慣があったそうです。
現在の実際の生活ではお正月の準備なんて
まだまだ先で年末に向けての追い込みに
皆さんいろいろ忙しい時期だと思います。
ただ毎日こうやって暦上の年中行事を調べていると
12月8日の「事納め」からお正月準備の行事が
いろいろ始まってきますね。
それだけで何となくお正月気分になってしまいます(笑
いけんいけん、年末ラストスパート中でした…
今日も気合い入れて仕事します!

さてさて

今日は「キヤノンEF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
発売時期としてはキヤノンFシリーズの一員ではありますが
「EF」はかなり異端児的存在です。
構造的には他のFシリーズとの共通点がほとんどありません。
シャッターもこの時代のキヤノンとしては
唯一の縦走り金属羽根シャッターを搭載します。
シャッターユニットはお馴染みのコパルスクエアです。
そのシャッターを基本的には機械制御で駆動するのですが
1秒以上のスローシャッターでは電子制御と組み合わせて駆動します。
1/2までは機械的なスローガバナーで駆動します。
これもなかなか独特な制御で
例えば2秒のスローシャッターを設定した場合
1.5秒は電子制御で駆動して制御中は上カバー上の
赤ランプが点滅します。
そして最後の1/2秒はスローガバナーに制御を引き継いで
シャッターを駆動します。
4秒、8秒…それ以上のスローシャッターも同様で
最後の1/2秒だけはスローガバナーで駆動します。
なかなか変わった制御方法です。
露出はマニュアルに加えSS優先オートを備えますが
これも露出制御自体は指針挟み込み式の
機械的な制御です。
電子制御機とはいえ
その制御の大半はまだ機械的な制御で行っています。
次の「Aシリーズ(AE-1)」が既に開発中で
その間を繋ぐためのモデルだったともいわれています。

お預かりしている「EF」はまず接触不良で
電源が入らないようです。
バッテリーチェックボタンを押しても上カバー上の
ランプも点滅しません。
余談ですが元々EFはこの時代お馴染みの
MR9(H-D)水銀電池を使用しますが
当然現代では入手不可能で代替電池を使用しますが
定番の電圧変換型電池アダプタを使用すると
スロー時やバッテリーチェック時に
カメラ側は正常でも赤ランプは点灯しません。
アダプタ内の抵抗が干渉するものと思われます。
話を戻します。
電源が入らないので露出計は不動で
1秒以上のスローシャッターも不動なのですが
スローガバナーも固着しているので
1/2も切れません。
他にも動きの悪い部分が散見され
全般的に整備が必要な状況です。

まだ現状を確認しただけの段階です。
これから本格的に分解整備取り掛かっていきます。
内部には糸連動もあり
電子制御と機械制御が入り混じった状態なので
整備性は…あまり良くはありません、
でもコパルスクエアなのでシャッター周りは
比較的シンプルなのでそこは助かります。
気を付けなくてはいけないポイントが
いくつかあるカメラですが
慎重に作業を行っていきます。

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