フジカST701のカメラ修理

今日は10月1日ということで
たくさんの記念日が制定されています。
日本酒の日、コーヒーの日
日本茶の日、都民の日、土地の日
香水の日、そして衣替えの日ですねぇ…
他にもまだまだたくさんありますねぇ
そんな中に「メガネの日」なんてのがあります。
10月1日が「1001」と表記でき
「1」をメガネのつる、「0」をレンズとみなすと
メガネの形をしていることからだそうです。
近視と乱視が酷く(特に乱視)20代半ばから
メガネやコンタクトを使うようになっていますが
裸眼で見えればベストですが
やはり視野がクリアに焦点合って見えていることは
大事ですね。明らかにストレスが軽減します。
近視がある程度進んでメガネの度が強くなってくると
遠くを見えやすく合わせると近く(手元)が見えなくなるんですよねぇ…
なかなか万能なものはないですね。
裸眼だとまだ手元はかなり見えているので
作業中はほとんどメガネを外して行っています。
そのうち今度は近くも見えずらくなって
今度は遠視(いわゆる老眼)のメガネも
必要になってくるのでしょうね…
やれやれ…(苦笑)

さてさて

本日は「フジカST701」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
フジカブランド…現在の富士フイルムのカメラです。
「ST701」はM42ねじ込みマウントを採用した
絞り込み測光の露出計を内蔵するカメラです。
ここでよく登場する「ペンタックスSP」と
同様のジャンルのカメラです。
シャッターは布幕横走りで最高速は1/1000です。
SP同様に絞り込みボタンを押すと
露出計がオンとなりますが
ST701の場合は絞りこみがロックされないので
押している間だけ絞り込み且つ露出計がオンとなります。
好みはあると思いますが個人的にはここに関しては
フジカのほうが使いやすいかと思います。
使用電池はこれもSPと同じくH-B水銀電池ですが
ST701は2個使います。ちょっと電池室の形状の問題もあって
現在のボタン電池で使うには一工夫必要ですね。

お預かりしているST701はシャッターは一通り動作しているものの
露出計は電池を入れても全く動きません。
配線かSW接点に腐食や汚れがあるためと思われます。
しゃったーは動いているといっても
さすがに精度は出ておらずこちらも幕軸の清掃と
その上での調整が必要な状態です。
さらにファインダーコンデンサレンズには大きなカビが見られ
付属するレンズにもそれなりにカビが発生しています。
おそらく長い間、しまい込まれていたカメラだと思われますが
やはり普通に使うには一通りの清掃整備調整が必要な状況です。

ST701はファインダー周辺に
ほとんど内部モルトがないので
モルト由来のプリズム腐食はないカメラです。
その代わりプリズム蒸着そのものの劣化が
比較的多いような気がします。
蜘蛛の巣状にプリズム全体に剥離してしまっている個体も
割と頻繁に見かけます。
絞り込み測光の横走り機ということで
構造はシンプルなはずなのですが
フジカST系はあまり整備性はよろしくないです。
詳細は割愛しますが結構手間がかかります。
それでも比較的見慣れた内部の光景ではあるので
油断せずに慎重に整備を行っていきます。

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オリンパスペンEESのカメラ修理

今日は「接着の日」だそうですよ。
「くっ(9)つ(2)く(9)」と読む
語呂合わせからだそうです。
当店でも作業で接着剤を使うことはありますが
接着剤とひとことでも言っても
特に現在はいろいろな種類の接着剤があるので
用途には注意が必要です。
当店の作業では使うことはまずありませんが
特に瞬間接着剤の類は使いどころに
気をつけた方が良いと思います。
接着するモノ自体や
付着していなくても
その周りにダメージを与える場合があります。
調べてみるとわかりますが
接着剤って用途によって本当にたくさんの種類があるのですよ
上手に使えば非常に便利な場合もありますが
何事も「適材適所」です。
ついついおざなりになりますが
接着剤に限らず何を使うにしても
まずは説明書をしっかり読むことをお勧めします。

さてさて

本日は「オリンパスペンEES」のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
ペンシリーズを代表するともいえる「ペンEEシリーズ」の
派生シリーズで固定焦点からゾーンフォーカスへ変更されたカメラです。
通常の「EE」より少し綿密にピント合わせが行えます。
光量と撮影距離の十分ある通常の撮影では
あまり違いはないと思いますが
絞りを開け気味になる撮影とかだと
ゾーンフォーカスだとやはり安心です。
レンズは少し「EE」と異なり30mmF2.8となっています。
SS・1/30、1/250秒の2速切り替えとなる
オート露出で撮影するカメラです。

お預かりしている「EES」は絞り羽根が固着してしまっているようで
最小絞りの状態から全く動かないようです。
これでは当然ながらオート露出は全く機能しません。
やはり心配されるのはセレン光電池の状態ですが
絞りこそ動かないもののSS切り替えは明るさによって
切り替わっていることが受付時に確認できたので
精度はともかくとしても露出計は動作しているようです。
レンズ・ファインダーにはそれなりにカビや汚れが確認できます。

画像は既に一通りの整備が完了した状態です。
少し動きが落ち着くまで様子見の状態です。
絞り羽根にはやはりわずかな油汚れが付着していて
それが原因でしっかりと羽根同士が張り付いてしまっている状態でした。
シャッター羽根も絞り羽根もいったん外して
入念に洗浄して再組立てしました。
現在は非常にスムーズに動作しています。
セレンの起電は十分で露出計の精度も問題なく調整いたしました。
SSの切り替えタイミング、絞り羽根の制御も調整済みです。
レンズ、ファインダーもできる限り清掃し
快適に使える状態になっています。
これからもまだまだ長く使える状態になっています。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

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リコー500GSのカメラ修理

今日は「パソコン記念日」だそうですよ。
1979(昭和54)年のこの日に
日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータPC-8001(PC-8000シリーズ)を
発売したことに由来しています。
当時の定価は168,000円でした。
これがパソコンブームの火付け役となり
PC-8000シリーズは3年間ほどで約25万台を売り上げました。
リアルタイムで世代ですねぇ…
私も一番最初のパソコンはこの後継機となる8001mk2SRでした。
当時はまだWindowsどころかMS-DOSもない時代で
OSはプログラム言語でもあるBasicで
なにかひとつやらせるにも大変でした…(苦笑)
市販のソフトを手に入れて何とか使えるか…っていう感じでしたね。
今とは使う上での気軽さが全く異なります。
当時の記憶媒体はカセットテープか5インチフロッピーでした。
メモリは初代8001でROM 24KB(最大32KB)
RAM 16KB(最大160KB)でした…KBですよ…
今となっては単位がふたつくらい違います。
約45年前ですか…パソコンって本当に進化しましたね。
今もパソコンでこのブログを書いていますが
もはやパソコンなしでは仕事は成り立ちません。
そしてパソコンは本当に何にでも使えるツールになりました。

さてさて

本日は「リコー500GS」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
リコーのサイトによると
前年(1972年)に発売された「500G」のデザイン変更モデルで
500Gの前面のデザインが一般的ではなく
カメラの性格上、常識的な外観を要求されたので
機構はそのまま前面カバーの黒白の配分を変えて
常識的なデザインとしたもの…となっています。
いや…500Gのデザインも全然一般的に良いと思うのですが…
いずれにせよ「500G」と「500GS」は兄弟モデルで
中身は変わりありません。
40mmF2.8のコンパクトなレンズを搭載することで
全体の大きさも小さくなり
この時代にもてはやされていた
「よりコンパクトなコンパクトカメラ」となっています。
前玉回転式のピント調節で距離計も搭載します。
シャッターは自社製でB・1/8~1/500をカバーします。
CDS露出計を搭載し連動してシャッタースピード優先オートで
露出決定できます。加えてマニュアル露出も可能です。
ひととおりなんでもできるコンパクトカメラです。

お預かりしている「500GS」は電池を入れても
露出計が全く動きません。
以前に電池が長く入れっぱなしだったことがあるようで
電池室は激しく腐食しています。
マイナス側の端子も真っ黒に錆びています。
これでは通電しません。
配線にもかなりダメージがありほぼ断線状態です。
電池室裏側周辺はボディダイキャストにまで
緑青が拡がっています。
まずは端子を磨いて配線交換を行う必要があります。
電池室からの配線はCDSへとつながっていて
ここまで腐食が拡がっている可能性もあったのですが
CDSが配置されている小さな端子盤はダメージはないようです。
ただCDSは相当劣化していて
抵抗値がかなり下がり、もはやスカスカです。
光が当たっていなくても電気を通してしまいます。
ここは交換で対応します。

他、シャッターの粘り、レンズ・ファインダーのカビ
距離計の大きなズレ等々の修理を行いつつ
各部の清掃整備を行います。
この時代のコンパクトに多いモナカ構造ですが
裏ブタをボディにかぶせるようになるので
遮光を大量のモルトに頼ることとなります。
画像のように当然ながらモルトは全滅です。
もちろん交換で対処します。
500G系のカメラは忘れたころにポツポツ依頼のあるカメラです。
使い勝手が良くてなかなか良いカメラだと思います。

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ウインザー35のカメラ修理

今日は「女性ドライバーの日」だそうですよ。
運転者に性別は関係ないとは思いますが
1917(大正6)年のこの日に
栃木県の渡辺はまさん(23歳)が
日本の女性として初めて自動車試験に合格し
運転免許を取得したことに由来しているそうです。
この時代ならたとえ男性でも運転免許を持っている方は
まだまだ少なかったでしょうし
男女格差は今では考えられないくらいあったでしょうね…
まぁ女性ドライバーはさておき
私ももう丸8年、クルマを運転してないのですよね(苦笑)
若い頃は年間2万kmは普通に運転していたのに
その頃の自分からしたら考えられないです。
今や所有していない上に都内にいると
自分で運転する必要性もないので
こうなってしまいました…
いずれにしても冷静に考えると1トン前後の物体を
時速40kmとかで側を人が歩いている公道で
運転するってめちゃくちゃ怖いですよね…
もしまた運転することがあったら
そのあたりを肝に命じたいと思います。

さてさて

本日は「ウインザー35」のカメラ修理を行っています。
1956年発売のカメラです。
1950年代には数多くのいろいろなメーカーが存在して
様々な二眼レフやレンズシャッター機が発売されていますが
「ウインザー35」もそんな時代のカメラのひとつです。
東興写真株式会社というメーカーから発売されたカメラです。
レンズは自社製と思われるColor Sygmar50mmF3.5という
テッサータイプですがレンズ製作に使われた
光学硝子が当時の日本光学から
提供されていたものとのことです。
シャッターユニットもオリジナルのVELEXとなっていて
お預かりの個体では1/200が最高速なっています。
(他に中期・後期モデルがあり1/300、1/400のシャッターがあるようです)
あまり当店では見ることのないカメラなので
分解前に全体像を記念撮影…

この時代に多い距離計搭載レンズシャッター機ですが
1950年代はまだまだセルフコッキング非搭載のカメラが多く
それが故にモデル別に操作方法が異なったります。
このウインザーもシャッターチャージ・レリーズは
はシャッターユニット側で行い
フィルム巻上は巻上ノブで行います。
巻上ノブにはコマごとの巻き止めと
巻き止め解除ボタンが装備されています。
そのあたりまではこの時代のカメラに慣れていれば
すぐ理解できるとは思うのですが
フィルム終端まで撮影後の巻き戻しがかなり独特です。
まず底部にある皿…というか皿状のネジを
めいっぱい緩めます。これでスプロケットがフリーになり
さらに巻き止め解除ボタンを押しながら
巻き戻しノブを回して巻き戻します。
これ予備知識ゼロだと初見じゃわからないでしょうね…(苦笑)
そしてこれはウインザーに限りませんが
ノブによる巻き戻し作業は時間かかって結構大変です。
巻き戻しクランクとロック式巻き戻しボタンの
偉大さが本当によくわかります(笑

今回のウインザー35はシャッター羽根の固着
チャージレバーの粘り、レンズカビ
ファインダー汚れクモリ、二重像がめちゃくちゃズレている…等々
この類のレンズシャッター機にありがちなトラブルが一通りです。
基本的にはシンプルなカメラですが
あまり手にかけることがないカメラなので
より慎重に一通りの清掃整備を行っていきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「台風襲来の日」だそうですよ。
統計上、台風襲来の回数が多い日で
過去に大きな被害をもたらした台風が襲来しているそうです。
今年は全国的に穏やかな天気ですね。
少し心配された台風19号ははるか東に去っていきました。
自分の感覚だけでいうと
今年は夏にゲリラ豪雨が何度かあったものの
あまり台風が来そうな感じがしないですねぇ…
次の20号もフィリピンあたりに既にいるようですが
このまま穏やかな秋晴れが続いてほしいものです。
できるだけ…いや、ずっとでもいいのですが
過ごしやすい秋が続いてほしいですね(笑

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
1967年に発売されたカメラです。
ニコマートが担う中級機のクラスには
これ以前にニコレックスシリーズが存在しましたが
OEM供給が品質的にもうまくいかず
商業的にもあまりよろしくない結果に終わりました。
ユニットシャッタであるコパルスクエアを採用して
コストは抑え、過去の失敗を踏まえ
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコンで行われています。
その甲斐もあってかニコマートシリーズはかなりのヒット作となりました。
「ニコマートFTN」は最初のニコマートである「FT」の改良版で
開放F値補正操作を採用し
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
「フォトミックFTN」等でもお馴染みの「ニコンのガチャガチャ」です。
加えて測光方式は平均測光から中央部重点測光へ変更され
ファインダー内に設定SS表示機能も追加されています。
使い勝手を中心によりブラッシュアップされたカメラです。
ニコマートシリーズの中ではこの「FTN」が
最も現存数の多いカメラだと思われます。
それだけ市場にも好評だったということですね。

お預かりの「FTN」はやはりかなり長い間使われずに
眠っていた個体だと思われます。
電池はキチンと抜いて保管されていたようで
電池室にはダメージはありません。
電池室からの配線にもダメージはないようです。
比較的トラブルの多い露出計は動作はしていますが
その挙動が安定しません。
マウント部にマイラー抵抗と呼ばれる摺動抵抗があり
それをブラシが接触することで
露出計の制御を行っているのですが
ここにどうやら汚れが溜まっているようです。
マイラー抵抗の抵抗体自体の劣化や剥離でも
指針が振り切ったり挙動の不安定さが出るのですが
抵抗体自体の劣化ではないようです。
ちなみに抵抗体自体が劣化・剥離していると
部品が基本的には手に入らないため修理は困難となります。

シャッター自体は動作しているものの
こちらもやはり金属幕の汚れの影響で
高速シャッターとなると少々測定値が不安定です。
巻上に油切れの兆候もありますので
そのあたりの機械的駆動部の整備も入念に行っていきます。
F一桁機ほどではないもののニコマートFT系は
基本的に非常に丈夫なカメラです。
特にコパルスクエアシャッターは頑丈で
少々のことでは不動となることがないような気がします。
他のカメラにも搭載されることが
多いシャッターユニットですが
ニコマートでは巻き上げやミラー駆動部の頑丈さと相まって
非常にタフなカメラに仕上がっています。

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オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「骨董の日」だそうですよ。
美術的な価値ある骨董品は知識もないですし
興味もあまりありませんが
その時代のならではの道具とか製品には
心惹かれるものがありますよねぇ…
特に自分が生まれ育った時代に
普通にあったもので今ではあまり見かけなくなったものには
懐かしさもあってついつい手に入れてしまうものも多いです
(もちろん価値的には低いものばかりですが(笑))
何事も現在は進化していると思うので
新しいものが便利で使いやすくて性能も優れているのは
重々にわかってはいるのですが
それでも手間暇かけて使いたいものってありますよね。
フィルムのカメラもそんな部分が大きいと思います。

さてさて

本日は「オリンパスペンF」のカメラ修理を行っています。
これこそもう現在では決して同じようなものは
出てこないカメラかと思います。
当時でも既に孤高の存在であるハーフ判一眼レフで
交換レンズの種類も豊富に存在します。
そしてハーフ判の一眼レフである利点を
最大限に生かすために通常の一眼レフとは異なり
様々な独自の構造を搭載したカメラです。
いつも書いているので詳細な内容は省きますが
その構造ゆえの一眼レフらしからぬ
ペンタプリズムの出っ張りがないボディデザインは
今見ても非常に魅力的です。

オリンパスらしい小型化を最優先した構造で
非常によくできたカメラですが
そのせいもあり多少華奢な部分もあるカメラです。
致命的な問題はありませんが
整備を怠ると割と動作不良が起きやすい部分も存在します。
そのひとつがミラーアップしたまま固着といった状況で
今回おあずかりの「ペンF」もその状態で
当店にやってきました。
ミラー駆動部がこれまた他のカメラではお目にかかれない
少々独特な構造をしていますが
ここが比較的動作不良を起こしやすいカメラです。
もちろん本来の状況ではそういうことも起こりませんが
経年劣化や汚れや古い変質した油脂類の蓄積
反対に油切れ等でこの症状が起こりやすくなります。
とにもかくにも分解して一度キレイに洗浄して
組みなおして最低限の注油を行うことで
本来の動きを取り戻します。
当然ながら動作のおかしな状態で無理して使い続けると
修復不能な大きなトラブルを呼びかねないので
早めの整備が不可欠です。

独特の構造が多く初見では
なにがなんやら…という部分もありますが
基本的には整備性も良いカメラです。
「ペンF」は構造上、ミラーアップしている状態では
通常の一眼レフと違って指でミラーを引き下げることも
できないので受付時にはファインダーの確認ができず
プリズムの状態が少々心配でしたが
今回はプリズムに腐食もなく
ファインダーも清掃でクリアになりそうです。
ロータリシャッター駆動の肝ともいえる
ガバナ部に若干の粘りがあったので
その辺りも含めて入念に整備を行っていきます。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「清掃の日」だそうですよ。
1971(昭和46)年のこの日に
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法、廃掃法)が
施行されたことが由来となっています。
この日9月24日の「清掃の日」から10月1日の「浄化槽の日」までは
「環境衛生週間」となっているそうです。
清掃は大事ですよね…私ももっと店内の掃除を隅々まで
行いたいのですがなかなかそうもいかなくて
いつも使う場所や
目につきやすいところばかりになってしまいがちです。
昨日もお店は休みだったので整理できてない場所を
片づけたりはしたのですが…なかなか思うようにいきませんね。
古いカメラの修理も半分は内部の大掃除みたいなものです。
古い変質した油脂類で動きが悪くなったり
錆びや汚れ等で電気接点の導通が悪くなったりのトラブルが
最も多いです。
つまり動きよくいつまでもパフォーマンスを維持するためには
定期的な清掃が必要ということですね。
私の身体の中にも積年の汚れや油切れがあちこちにありそうで
ちょっと心配になってきます(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
1978年発売のカメラです。
ニコマートELの後継機となる中級機ですが
時代を反映して凝縮感のある適度にコンパクトな
一眼レフとなりました。
レンズとの露出計連動はAi方式をとなりますので
組み合わせるレンズは基本的にAiニッコールです。
ただしこの時代はまた非Aiレンズのユーザーも
相当数いらっしゃったため
ボディ側のAi連動爪を倒すことで非Aiレンズも
取り付けは可能です。
ただし開放測光は不可能で絞り込み測光となります。
FEだと大きなセールスポイントである
絞り優先オート露出計が実質使えなくなるので
やはりAiレンズとの組み合わせが良いかと思います。
ファインダー内露出計表示は二針式の
非常にわかりやすいものになっており
オート時にもマニュアル時にも非常に重宝します。
全体的にかなり使いやすい良いカメラだと思います。

お預かりしている「FE」は電池を入れても
電源が全く入らないようです。
バッテリーチェックも点灯しません。
電池室からの供給が妨げられているようです。
電子制御シャッター機である「FE」は
電源が入らないと露出計は当然のこととして
シャッターもほぼ全速切れなくなります。
それでもM90と「B」が切れるだけ非常に優秀なのですが…
さすがにこれでは普通には使えません。

画像はまだ取り掛かり始めのものです。
電池室自体はキレイなので配線かハンダかと予想していましたが
やはり電池室裏のハンダの劣化が原因で
ほぼ断線状態でした。
さらにバッテリーチェックのSW部も緑青が噴いていて
導通しない状態でした。
それでもメインの基盤等にはダメージはなく
電源供給さえ復活すればとりあえずは動作するようになりました。
ただしシャッター羽根の動きに汚れによる粘りが多少あるのと
マグネットの吸着も今一つでSSが少々不安定です。
このあたりも含めて整備を一通り行い
電気的な調整も行ってオートの精度も出していきます。

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キヤノネットのカメラ修理

今日は「カーフリーデー」だそうです。
都市の中心部でマイカーを使わないことで
交通や環境、都市生活と車の使い方の問題について考える日とのこと。
世界の約2000都市で、この日1日
都市中心部へのマイカーの通行規制が行われるそうです。
日本では横浜市・名古屋市など9都市で行われ
いくつかの都市ではこの日に近い秋分の日に実施されるそうです。
環境問題とかそういうのはとりあえずおいといて
都内…特に23区内だと実生活でクルマが必要とは私は感じません。
趣味とかであれば別ですが…
これだけ公共機関が発達していればたいていの場合は
電車・地下鉄が確実に時間が読めてそのうえ早いです。
ただし少し郊外に行く用事や変わった時間に出かけたいとなると
やはりクルマがあれば便利は便利ですよね。
私もクルマ持たなくなってからずいぶん経ちますが
「クルマあれば便利だし楽しいかな…」と思うことは結構あります。
ただ…所有して維持するには駐車場事情が厳しいですよね…
地方の家賃並みに高いです(苦笑)
…となると…現実的に考えて
実生活にほぼほぼ必要なくて
たまにしか乗らないクルマは不要…ということになってしまいますね。
今の場所に住んでいる限りマイカー所有はなさそうです…

さてさて

本日は「キャノネット」のカメラ修理を行っています。
今回も1961年発売の初代キヤノネットです。
あれ?ここ最近やたらと初代キヤノネットの修理を
行っているような気がします。
素実前にもブログ書いた気が…(笑
たまたまだとは思いますが…
ただ、いつも書くように初代キヤノネットはその高い性能・機能と
それに見合わない低価格で社会現象となるほどヒットしたカメラです。
当然ながら現存数も非常に多く
家から出てきたカメラが
初代キヤノネットだった…ということも多いと思います。
そうなると修理依頼もやはりコンスタントにありますね。
売れたかどうかは別にしても非常に良いカメラだと思います。
時代を反映して少し大柄で重いですが
大口径の45mmF1.9レンズを搭載して薄暗い場所での撮影が可能で
シャッタースピード優先オートも使えます。
レンジファインダーもしっかり搭載してピント合わせも行いやすく
シャッタースピードは1/500~1s・Bまでカバーし
マニュアル露出での撮影も可能です。
すなわち写真撮影に慣れてくれば
意図的な露出で撮ることもできるというわけですね。
そして底部巻上・底部巻き戻しで上カバーはすっきりした
端正なデザインも秀逸です。
改めて見てもやはり魅力的ですね。

お預かりしている「キヤノネット」は
巻上ができてレリーズもできますが
レリーズしてもうんともすんともいいません。
ただレリーズすると再び巻上が行うことができます。
レンズシャッター機で定番のシャッター羽根固着です。
羽根に固着した汚れや油脂分によって
羽根が閉じた状態で張り付いてしまい動けなくなる症状です。
シャッター羽根がこれだと当然ながら
その後ろ側になる絞り羽根も動きが粘っています。
特にキヤノネット…というかこの種の
指針挟み込み式SS優先オート搭載機は
その機構上、かなり小さな力で絞り羽根を駆動するので
ほんのわずかな汚れや油脂分で簡単に動きが妨げられてしまいます。
ただ直接的に絞りリングから駆動するわけではないので
粘っていても羽根を破損する可能性が低いのは助かります。

やはりいつものことながら
心配なのはセレン光電池の状態です。
シャッターが固着していて絞りも粘っていて
さらにファインダー内表示がシンプルな初期型なので
お預かり時にはセレンの状況がよくわからず
まずは上カバーを開けて露出計の動作状況を確認です。
レンズを先端を明るいところへ向けると…
よかった…セレンは元気なようで
露出計指針は元気よく振れています。
…となるとシャッターユニットを中心に
機械的駆動部の整備を入念に行います。
当然ながらレンズやファインダーにはそれなりにカビがいるので
これもできる限りキレイに清掃していきます。

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ペンタックスSLのカメラ修理

今日は「苗字の日」だそうですよ。
1870(明治3)年のこの日に
戸籍整理のため、「平民苗字許可令」という太政官布告により
平民も苗字を名乗ることが許されたことが由来となっています。
それまでは苗字を名乗るのは貴族と武士の特権だったそうです。
しかしながら許可令が出されてもまだ読み書きが不得手の人が多く
また当時国民は明治新政府を信用しておらず
苗字を付けたらそれだけ税金を課せられるのではないかと警戒し
なかなか広まらなかったのだそうです。
そこで、1875(明治8)年2月13日
「平民も必ず姓を称し、不詳のものは新たにつけるように」と
苗字を名乗ることを義務づける「平民苗字必称義務令」という
太政官布告が出されたそうです。
「苗字」は「名字」と書くことが現在は多いですね。
どちらも正しいのだそうです。
余談ですが私の苗字は「迫田(さこだ)」ですが
西日本ではまだ比較的多い苗字だと思うのですが
東日本では少ないようなのです。
それでこちら(関東)に来てからは書き間違えされることが
結構多くなりました(苦笑)
特に会社員時代で手書きファックスとかが多かった頃は
書き間違えされることが多かったです
まぁ特に大きな問題ないのですが…

さてさて

本日は「ペンタックスSL」のカメラ修理を行っています。
大ヒットした「ペンタックスSP」から
露出計を省略したカメラです。
1968年発売のカメラです。
60年代に入り外光式にしろTTLにしろ
内蔵露出計を搭載する一眼レフが増えてきた時代ですが
ユーザー層にはまだまだ保守的な方が多く
「カメラに内蔵された露出計なんて信用できない」
「カメラ本体に余計なものを載せると故障の元になる」
という意見もかなり多い時代でした。
それで各メーカーとも主力機には
あえて露出計を省略したモデルもラインナップしていました
この「SL」もそうですが
ニコマートだと「FS」、キヤノンだと「FP」あたりが同様です。
製造から50年以上経過した現在では
露出計搭載のカメラは露出計にトラブルを抱えているものも多く
確かに「故障の元になる」は言えるかもしれませんね。
加えて当時の露出計は癖があったり、水源電池使用だったり
いろいろな理由で使いにくいものも多く
さらには現在では誰もが持っている
スマホに露出計アプリをセットしておけば事足りる…ということもあり
露出計レスのカメラが市場で比較的人気なのもわかる気がします。
「SL」はもともと素性の良いカメラを
さらにシンプルにしたものなのでM42マウント機として考えても
非常に使いやすいカメラだと思います。

お預かりの「SL」は一通りは動作しているのですが
やはり積年の内部の汚れの蓄積や油切れもあり
動きはあまりよくない状態です。
予想通り先幕と後幕の幕測バランスは大きく崩れていて
高速シャッターの精度はかなり問題ある状態です。
巻上のスムーズさも今一つです。

露出計がないせいもあり整備性は非常に良好です。
とはいえ露出計のある「SP」も絞り込み測光なので
全くややこしくはないのですが…
どうやら40年ほど前に一度分解整備されているようです。
それでも40年経てばさすがに不具合はでてきます。
プリズムの周りの遮光材もその際に貼りかえられていて
おかげでSP系に多発する「プズム腐食は免れていますが
それでも遮光材は加水分解でかなり脆くなっており
このままだとそのうちプリズム剥離に繋がりそうです。
もちろん今回入念に対策をしておきます。
これからさらに分解を進めて各部が本来の動きができるように
整備を行っていきます。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日はまたこれといった記念日がないので
過去の出来事をさっと調べてみると…
1971年9月18日に日清食品が世界初のカップ麺となる
「カップヌードル」を発売しています。
54年前のできごとですねぇ…私が2歳の頃です。
簡単で美味しいですよね…カップヌードル…
子供の頃から身近にあるから
なんだかんだ食べてますよねぇ…
昔は透明のフォークがついていてそれで食べてましたよねぇ
ノーマルが無難に美味しいですが
カレー味やシーフードも捨てがたいですねぇ
近年はほとんどカップ麺や袋麺も食べることはないのですが
たま~にコンビニとかで見かけて衝動買いして
食べてしまいます。
もう私にはしょっぱすぎてスープは全部飲め干せませんが…
そしてカップヌードルといえばCMソングも印象的なものが多かったですね
私の世代だとなんといっても「そして僕は途方に暮れる」ですし
「翼の折れたエンジェル」ですねぇ…
両方ともレコード当時から持ってたりします。

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
上記のカップヌードルの発売年と同じです。
「35DC」のほうが一足早い4月発売です。
デラックスな35mm判コンパクトカメラで「35DC」です。
簡単に撮影できるように露出はプログラムオート専用機となっています。
そしてそのプログラム露出で暗い被写体でもフラッシュなしで
できるだけカバーできるように40mmF1.7の大口径レンズを搭載します。
ピント合わせは距離計二重像です。
大口径レンズを搭載しつつもオリンパスらしい軽量小型のカメラで
どこにでも気軽に持ち歩けるカメラです。
フラッシュ使用時にもプログラムオート撮影が可能な
世界初の自動フラッシュマチック機構や逆光補正機能も搭載しています。

お預かりしている「35DC」は
ご依頼者様のお宅でかなり長い間眠っていたものと思われます。
外観は非常にキレイでファインダーやレンズに
少しばかりカビはあるものの状態は良く
保管状況も適切だったと思われます。
とても丁寧に扱われていたものと思われます。
「35DC」のシャッター自体は機械制御で
電池がなくても動作はするのですが
プログラムオートで露出計と連動しており
露出計が動作していない場合、
あるいは動作しないほどの明るさだった場合は
撮影の失敗を防ぐためシャッターロックがかかります。
ただそれだと最初のフィルム送りの際に困ることが多いので
前期だと強制的に露出計を動かす「F」ボタンがあり
今回のように後期だとバッテリーチェックボタンを押しながら
シャッターを切ることで強制的に切ることができます。
ただこれも電池が入っていて露出計が動くことが前提です。
そしてお預かりの「35DC」は残念ながら電池を入れても
露出計が動作しません。
「35DC」はオリンパスらしいちょっと変わった構造をしていて
露出計本体が底部に配置されていますが
露出計指針を物理的に強制的に動かすと
何とかシャッターは切れることは確認できました。
露出計本体に直接電圧をかけると
露出計が動作することも確認できました。
電池はキチンと抜いて保管してあったと思われ
電池室自体はキレイなのですが
電池室裏のハンダの劣化か配線劣化が原因かと思われます。

これから分解を進めて配線関係のチェックと修理
機械的駆動部の清掃整備を行っていきます。
フラッシュマチック関連の回路があることもあり
意外と分解には手間がかかります。
小さなボディに割とぎっしりと詰め込まれています。
それでもシャッターユニットや巻上機構等の
機械動作部分の整備性は良好です。

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