オリンパス35EC2のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「芒種」ですね。
「芒」を持った穀物の種をまく季節という意味から
「芒種」とされています。
芒とは、米・麦などイネ科の植物の穂の先端にある
とげのような突起のことだそうです。
江戸時代の暦の解説書『こよみ便覧(べんらん)』では
「芒ある穀類、稼種する時なり」と記されています。
現在では実際の種まきはこれよりも早くに行われています。
西日本では梅雨入りの時期にあたります。
沖縄県では「小満」から「芒種」が梅雨の時期にあたり
沖縄の方言では「小満(すーまん)」「芒種(ぼーすー)」となり
「梅雨」のことを「小満芒種(すーまんぼーすー)」と言うそうです。
本格的な初夏で梅雨入り直前といった感じですね。
次の節気はもう「夏至」です。
なんだか季節が巡るのが早く感じます。
ついこの間まで毎日寒い寒いって言っていた気がするのですが…(笑

さてさて

本日は「オリンパス35EC2」のカメラ修理を行っています。
オリンパス35シリーズは35mm判コンパクトカメラのシリーズで
1940年代から生産が行われ色んなモデルを登場させながら
1970年代まで続きました。
「35EC2」は1971年発売のモデルでオリンパス35シリーズとしては
かなり最後の方のカメラとなります。
1969年に発売された「35EC」の後継モデルとなります。
搭載されるレンズはEズイコー42mmF2.8で
シャッターユニットはミノルタハイマチック等でお馴染みの
セイコーESFシャッターです。
電子制御シャッターでシャッター羽根と絞り羽根を兼用する
プログラムシャッターです。
当然ながら露出はプログラムオート専用となります。
ピントは目測式となります。

お預かりしている「EC2」はまずシャッターが全く切れません。
「EC2」は電圧低下時での誤作動を防ぐため
電池が入っていない、あるいは電池の電圧が足りないと
レリーズロックがかかりそもそもレリーズが押せなくなります。
そのため電池を入れていないで切れないのは正しいのですが
今回は電池を入れても全くレリーズが押せません。
シャッターを半押ししたときに点灯するはずの
バッテリ-チェックも当然ながら点灯しません。
電池室からの電圧が根本的にシャッターユニットに伝わらないようです。
登場から50年以上経過するカメラなので配線等の腐食が原因と思われます。
電池が入れっぱなしではなかったようで
電池室自体は比較的キレイです。

電子制御機は正しく導通することが
正常に動作するための基本なので
劣化した配線やハンダ、各接点の清掃磨き等を
入念に行っていきます。
もちろん制御を行うマグネットの清掃も必須です。
シャッターユニット単体に電圧かけて
動作テストを行ってみたところ大きな問題はなさそうなので
まずは一安心です。
他、機械的な巻上等にも動作不良が見られるので
そのあたりの整備も一通り行っていきます。
少々問題なのがレンズの状態が悪いことで
特に前玉の表面は拭き傷に加えて
コーティングの劣化が酷いことなっており
これは他部品取りからの載せ替えを検討しています。
いずれにいせよ、普通に撮影に問題なく使える状態に
整備を行っていきます。

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コニカC35のカメラ修理

今日は語呂合わせで
「虫の日」なのだそうですよ。
子供の頃は昆虫大好きでしたね。
虫捕りにもよく出かけましたし
なんでも気軽に素手で触りましたし…
(何度か痛い目も見ましたが…(笑))
いつからかとてもとても虫なんて素手で
触れなくなりました(笑
今やカナブンやバッタでさえも素手では触れないですね
これも「オトナになった」ってことのなのか…(笑
それでも花の写真とか撮っていて
ハナムグリがいたりバッタの類がいたりなんかすると
驚かせないようにマジマジと眺めてしまいます。
触ろうとは思いませんが…
でもバッタの後ろ足のあのたくましさとかを見ていると
目が離せなくなってしまうのですよねぇ
そして…「あーマクロレンズ持ってくればよかった!」と
後悔するまでがワンセットです(笑

さてさて

本日は「コニカC35」のカメラ修理を行っています。
「じゃーに~コニカ」で現在でもお馴染みの
「コンパクトカメラ」です。
「C35」登場以前のコンパクトカメラといえば
コンパクトとは言えども単にレンズ一体式なだけであって
サイズ感はまだまだ大きくて重いものがほとんどでした。
(ある程度の重量感や大きさがないと
高級感に欠ける…といった考えも根強かったと思います)
それがどこにでも気軽に持ち出せてカメラに詳しくなくても
簡単に撮影できる「C35」の大ヒットで
コンパクトカメラのコンパクト化が一気に進みました。
これ以降、各社からリリースされるコンパクトカメラは
何らかの形で「C35」の影響を受けているものばかりです。
それほど「コンパクトカメラ」の代名詞ともなったカメラでした。
写真撮影自体を一気に身近なものしたという功績も
非常に大きかったと思います。

お預かりしている「C35」は
通常のC35から距離計を省略し目測式とし
セルフタイマーとバルブ露出も省略し、
よりシンプルで簡単に撮影できるようにした「C35E&L」です。
その他のシャッターやオート露出制御等の機能的部分に関しては
通常の「C35」と共通です。
1971年発売のカメラです。
お預かりしている「C35E&L」は
まず電池を入れても露出計が動きません。
通常のC35もそうですがシャッター自体は機械式で
電池がなくても動作しますが
その制御は露出計と連動しプログラムオートとなっています。
露出計が動かないと露出計の指針が全く動かない状態で
制御されオート時は常にF2.8開放・1/30で切れてしまいます。
指針が触れてないときに露光不足と判断して
シャッターロックがかかるような機能もないので
とりあえずは動きますが日中屋外だと
ほぼすべての場面で写真が真っ白になってしまうと思われます。
露出計の修理と併せて各部点検整備一式を行います。

画像は一通りの整備が完了した段階でのモノです。
露出計不動の原因は電池室からの配線不良に加えて
ASA感度盤が回ってはいるものの
実際の感度調整孔が連動しておらず
CDSに光がうまく当たらないことも原因でした。
問題個所は修理を行った上で
露出計・オート露出の調整を行い
現在は正しく制御される状態になっています。
ファインダー・レンズも汚れていて
当然ながらモルトも劣化していましたが
全て対処して安心して使い続けられる状態になっています。
少し様子見も行っていましたが
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。

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ニコンFのカメラ修理

今日は「路地の日」だそうですよ。
「ろ(6)じ(2)」(路地)と読む語呂合わせからだそうです。
路地とは、密集市街地に形成される狭い道のこと
私の生まれ育った呉でも
狭い路地が入り組んでいる地域が多かったですね。
私が住んでいた地域もクルマなんて入れない
それこそ人がすれ違うのも少々気を遣う
狭い路地が住宅を縫うように入り組んでいました。
おまけに坂の多い地域だったので
たいていの場合多少の階段が道のあちこちにあったりします。
またそういう道って近道が多かったり
生活道路となっていたりして
意外と人の往来があるのと
ちょっとした子供の遊び場にもなっていました。
最近、帰省した際にそんな路地を通る機会もあったのですが
比較的昔のままの部分もあったりして
妙に懐かしい気持ちになりました。
狭い路地って何とも言えない魅力がありますよね。
ただ子供の頃の見え方と異なり
「こんなにも狭かったっけ?そしてこんなに坂しんどかったっけ???」と
思うことも多々あり、自分の年齢を感じてしまいます(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
いわずと知れた伝説の名機ですね。
1959年発売のカメラです。
モデル名の「F」はRe’F’lexのFが由来とのことです。
なぜ頭文字の「R」ではなかったというと
アジア圏での発音が様々だったためといわれています。
来たるべき「一眼レフ機の時代」を象徴するカメラとも言えますね。
非常に精度の高い丈夫な部品を精密に組み上げたカメラで
発売から60年を大きく超える現在でも
ある程度のメンテナンスを施せば
当時とほとんど変わらない精度の高い動作を行ってくれるカメラです。
道具としても非常に高い信頼性をおこえるカメラです。
少し心配される点はファインダープリズムの蒸着が
劣化してしまっている個体が多く
プリズムの腐食がファインダー視野に影響を与えている個体が
比較的多いことです。
水没品だったりあまりに大きなショック品、粗悪な分解品だったりすると
もはや修理不可能なことも稀にありますが
普通に保管されていたり使い続けられている個体は
これからもある程度の整備を行っていけば
まだまだ現役で安心して使い続けられるカメラだと思います。

お預かりしている「F」は
やはり長らく使われていなかったものかと思われます。
シャッターは油切れで巻上があまりスムーズではないものの
シャッターを動作させることは可能な状態です。
ただ、終始ミラーが上がったままになってしまっていて
ファインダーでは何も見えません。
ミラー駆動部が固着してしまっているものと思われます。
加えてスローガバナも完全に固着していて
スローガバナが駆動するスローシャッターになると
その全域でシャッターは開いたままになってしまいます。
「F」のスローガバナは比較的固着が多いのですが
これもガバナと取り外して洗浄注油すれば
問題なく改善できると思われます。
そして高速シャッターの精度はさすがに出ていません。
これも幕軸の清掃注油と若干の微調整で
全く問題ない精度に改善できると思います。

分解して整備を行うことが前提として作られているので
整備性はもちろん文句なしに良好です。
画像には写っていませんが装着されてるのは
アイレベルファイダーでさすがに若干の腐食が出てしまっています。
ただそれほどまで視野を邪魔するような状態ではなく
実際の運用にはそれほど悪影響はないと思われます。
残念ながらプリズム府所億に関しては当店では
対応不可なのでここに関しては現状のままとなります。
(もちろんできる限りの清掃は行います)
全体的に油切れや汚れで動きは悪いものの
整備を行えば全く問題なくなるレベルです。
世界初の「チタン製シャッター幕」の状態も良好です。
余談ですがフォーカルプレーンシャッターの金属幕としては
既にキヤノンがお得意のレンジファインダー機に
「ステンレス製シャッター幕」を採用していましたが
ステンレスよりさらに傷や変形に強いのが
このチタン製シャッター幕といわれています。
整備された「F」の巻上やシャッター音を確認していると
何とも言えない精密感にいまだに気分が上がります。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「写真の日」だそうですよ。
1841(天保12)年のこの日に
日本初の写真が撮影されたとされていて
写真機はオランダから献上されたもの
写されたのは薩摩藩主の島津斉彬で
撮影したのは長崎の御用商人・上野俊之丞だったそうです。
ただ、後の調査で、それ以前にも写真撮影が
行われていたことが分かっているのだそうです。
「写真」の意味合いも私が生きている間だけでも
時代とともに随分様変わりしたような気がします。
私は芸術的な観点からの写真に関してはよくわかりませんが
これだけ気軽に写真が誰にでも撮れる時代なのだから
ちょっとした日常のことを気軽に写真で
記録しておくのも良いとよく思います。
そのときは何でもない写真でも
後から見ると思いで深いものになっていたり
開きにくくなった記憶の引き出しの
トリガーになってくれるかもしれません。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
最近、「AE-1」の修理依頼、比較的多いですね。
少し前にも同じようなことを書いた気がしますが
1976年発売のカメラです。
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラで
きたるべきさらなるカメラの自動化・電子化への流れを
リードするカメラとして開発発売されました。
徹底的な生産の効率化も行われ
同機能のこれまでのモデルに比べて
約300点の部品削減にも成功しています。
そういった部分も功を奏し
他メーカーの同クラスカメラに比べて2万円近く
お安い価格設定にすることができ
普及機で今一つヒットに恵まれていなかったキャノンの
救世主ともなったカメラです。
コスト面だけではなく適度にコンパクトで
基本性能に優れ
非常に使いやすいカメラでもあり
そういった面からも支持されたカメラだと思います。

お預かりしている「AE-1」は
シャッター幕が中途半端な位置で
止まったまま固着してしまっています。
「AE-1」としてはめずらしいパターンでのトラブルです。
そこから巻き上げることもできず
ミラーもアップしたままなので
他の動きも全く確認できない状況です。
「AE-1」は言わずとしれた電子制御機ですが
機構上、いったん走り出したシャッターは
電源が入っていようがいまいがとりあえずは
最後まで走るはずです。
そこから考えると何か機械的なトラブルかと思われます。

強制的に巻き上げると正常なチャージ状態に
することはできました。
そしてそこから機械的に強制レリーズすると
やはり最後まで走り切らず
シャッター幕が途中で止まってしまいます。
それも幕軸の動作不良とかでじわっとシャッターが動いて
じわっと止まるの感じではなく
勢いよく走り出してパシッとある点で止まります。
何かシャッター駆動部に部品か
ゴミかが挟み込まれているような感じです。
分解し始めてすぐにわかりましたが
過去に分解歴があるのは明らかで
それもあまりよろしくない弄られ方をしているのが
一目瞭然です。
シャッターのトラブルはもう少し
分解を進めれば何とかなるとは思いますが
いろいろとこのままだとまずそうな箇所が
ここまででも既にいろいろ散見されるので
入念に細かくチェックしていきます。

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ミノルタSR-1のカメラ修理

今日は「世界禁煙デー」だそうですよ。
私もタバコ止めてからずいぶん経ちますが
まぁ確かに身体に良いことはないでしょうねぇ
昔、それなりに重いタバコを吸っていたころ
朝イチ寝起きに1本吸うと
頭がクラっとするのが印象に残っていますが
今、それをやったら確実に脳の血管詰まるんじゃないかと…(苦笑)
でも歳の足りないうちから長年吸っていたこともあって
吸いたくなる気持ちもわかるのですよねぇ…
ただ時代を反映してか大手を振って吸える場所は
街中だと本当になくなってしまいましたね。
私が働きだしたばかりの頃は
まだまだどこでも吸える時代で
会社のデスクに灰皿が普通になって
仕事しながらくわえタバコなんてのも普通でした。
街中にはいたるところに吸い殻が落ちていました。
これも時代の流れですねぇ…
それにしてもタバコって高くなっているのですね。
紙巻きたばこに関してはもはや私が吸い始めた時代の
倍どころかほぼ3倍です…
これが今吸っている方は大変ですね…

さてさて

本日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
1959年発売開始のカメラです。
もともと一足先に発売されていたトップモデル「SR-2」の
普及モデルです。基本的な構造は「SR-2」と同様で
差別化のためにSS・1/1000が省略されたモデルです。
その後、トップモデルのほうは
「SR-2」→「SR-3」→「SR-7」→「New SR-7」と
モデルチェンジされていきますが
「SR-1」はそのトップモデルをベースとしながらも
モデル名はずっと「SR-1」のままでした。
そのためタイプも構造も異なる「SR-1」がいろいろ存在します。
外観のボディ形状だけでも4種類の「SR-1」が存在します。

今回お預かりしている「SR-1」は
外付け露出計のソケットが存在し
ロゴの色は黒、フィルムカウンターは巻上側で
外観も少し角ばっていることから
1963年型の「SR-1」かと思われます。
ベースとなっているのは「SR-7」です。

一通りは動作しているのですが
積年の汚れや古い油脂類のために
全体的に動きが重いです。
シャッタースピードの精度は特に高速側で出ていません。
先幕と後幕の幕測バランスがズレてしまっています。
これも幕軸の汚れ等が原因かと思われます。
そしてファインダー及び装着されていた55mmF1.8レンズにも
かなりのカビが発生してしまっています。
長年の間、使われずにしまい込まれていたモノと思われます。
普通に動かすためには一通りの整備が必要です。
長年動いていないものをいきなり動かすとうまく動かないのは
人間だって同じですよね。


画像にも写っていますが
後の「Xシリーズ」だとプリズム前面に貼られた
モルトが原因でプリズム腐食が起きてしまっている個体が
非常に多いのですが
この時代のSR系は同じ場所にコルクが貼ってあります。
プリズム抑えのプリズムに接する部分にもコルクが貼ってあります。
これであればモルトの加水分解に起因するプリズム腐食は起きません。
蒸着時代の劣化で腐食する場合もございますが
古いカメラのプリズム腐食の多くは
周辺に貼られたモルトが原因となっています。
Xシリーズでも同様にしてほしかった部分ではありますね。
SR-7と異なり露出計を搭載していないので
巻き戻し側には不自然ともみえるスペースが空いています。
整備性は良好なカメラです。
これから本格的に分解整備を進めていきます。

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ヤシカエレクトロ35GSのカメラ修理

今日は「こんにゃくの日」だそうですよ。
こんにゃくの種芋の植えつけが5月に行われることと
「こ(5)んに(2)ゃく(9)」と読む語呂合せからだそうです。
おでんの具剤としてはよく食べますし
非常においしいですがそれ以外には
正直あまり口にする機会はないかもしれません…(苦笑)
あ、でも煮物とか入っている分には
ちょうど良い触感のアクセントとなって
とっても美味しいですね!
こんにゃくは、低カロリーなうえに食物繊維が豊富で
体内の老廃物を外に出す働きがあります。
昔からお腹の掃除をしてくれることが知られていて
「砂おろし」「砂払い」「胃のほうき」などと呼ばれていました。
私の子供の頃に「こんにゃくはおなかの砂を出してくれるんじゃけえ
残さず食べんさい!」ってよく言われた記憶が…
子供時代にはあまり好きな食べ物ではなかったですねぇ
今では非常においしくいただきますが…
こんにゃくの話ではないのですが
子供の頃の私は非常に好き嫌いが激しく
ばあさんはいつも困っていたそうです。
もちろんその記憶は私にも残っています。
それに比べると今ではたいていの食材を美味しくいただけますねぇ
昔は酸味が強かったり苦みがあるもの
そして野菜類・魚類はことごとく嫌いだったのですが…
味覚も年齢とともに大きく変わるようです。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GS」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
基本的に初代エレクトロ35の改良版で
このモデルからレンズに新コーティングが施され
ヤシノンDXレンズからカラーヤシノンDXレンズとなっています。
レンズの構成やスペックは変更なく
45mmF1.7の大口径レンズです。
いつも書きますが「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指して
初代から作られていてそのための大口径レンズであり
スローシャッターに強い電子制御シャッター「コパルエレク」を搭載します。
そして露出設定は絞り優先オート専用機です。
エレクトロらしくておもしろいのが
ファインダーやボディ丈夫に表示される黄色と赤色の矢印で
同じ色の矢印が絞りリングにも刻まれていて
例えば黄色矢印が点灯する場合は「スローシャッター警告」なので
黄色矢印の方向に絞りリングを回して(絞りを開ける方向)
ランプが点かないように調整します。
赤色点灯の時は逆ですね。
絞りを開くとか絞るといわれてもピンとこない初心者の方にも
わかりやすく撮影していただけるような工夫がされています。

お預かりしている「エレクトロ」は電池室に大きな腐食もなく
電源も安定して入るようです。
オートも細かい精度はともかくとりあえずは動作しています。
ただ、シャッター羽根に粘りがあるようで
よく見ると明らかに羽根の動きが緩慢です。
速いシャッタースピードで切れているときは
パッと見にわかりにくいですが
スローで切れる場面だとその動きの緩慢さは明らかです。
初代からの流れを汲む前期のエレクトロは「B」がありますから
「B」で切ってみると明らかで
羽根の動きが遅いどころか
シャッターが開き切らないことも確認できました。
羽根の汚れもありますが羽根駆動部が動作不良なのだと思われます。

相変わらずのリード線の多さとややこしさですが
いつも書く通り意外と整備性は悪くありません。
いつものレリーズ機構部のゴムブッシュ溶解もあったので
そこも対処を行い、各接点の清掃、マグネットの整備を行います。
そしてシャッター駆動部も入念に清掃整備を行います。
さほど酷くはないのですが
レンズにそれなりにカビもついていますので
レンズやファインダーのせいも入念に行います。
やはりこの頃の前期エレクトロの
ギンギラシルバーは何ともいいですね。

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ミノルタX-7のカメラ修理

今日は「花火の日」だそうですよ。
1733(亨保18)年のこの日に
隅田川の両国橋付近で水神祭りの川開きが行われ
慰霊を兼ねた花火が打ち上げられました。
これが「両国川開きの花火」の始まりだったそうです。
現在の「隅田川花火大会」にあたります。
いいですね。打ち上げ花火…
昔は朝早くから場所取りして
そこで炎天下の中、延々と夕暮れまで
開催を待って写真を撮ったことも何度もありましたが
今はさすがにそんなことができる余力はありません(苦笑)
写真を撮るための絶景ポイントではなくても
近くで見上げる打ち上げ花火は迫力も段違いで格別です。
でも行き帰りの混雑具合を考えると
さすがにもう行かないかな…
遠くでも見てもキレイなことには変わりないので
遠くの高台から眺める程度になら出かけたいものです。
花火大会にはまだ少し早い「花火の日」ですが
今年も楽しみですね。

さてさて

今日は「ミノルタX-7」のカメラ修理を行っています。
お馴染み宮崎美子さんのCMで大ヒットしたカメラです。
今日は「花火の日」といい夏っぽいモチーフばかりですね。
1980年発売のカメラです。
絞り優先オート専用のエントリー機です。
この時代は各社絞り優先オート専用の
エントリー機を取り揃えていて
それがまた熾烈な販売合戦を繰り広げていました。
物品税の関係もあり価格も押し並べてほぼ横一線でした
それあって各社エントリー機のTVCMも気合を入れて
作っていたように感じます。
しかしCM合戦ではやはり「X-7」の圧勝でしたね。
CMがやたらと注目されがちですが
ミノルタらしい非常に使い心地の良いカメラです。
シルバーとブラックが存在しますが
単なる色違いだけではなく色によって仕様が異なります。
ブラックの方が価格も少し高く少々高級版で
ボディにはグリップが装着され
ファインダースクリーンもミノルタお得意の
アキュートマットスクリーンが装着されています。
シルバーも十分明るく切れの良いスクリーンですが
やはりアキュートマットの方がより明るいです。

お預かりしている「X-7」は一通り動作しているのですが
まずはお決まりの「プリズム腐食」です。
まだ軽微な方でファインダーをのぞくと
うっすら黒い帯が横方向に見える程度です。
プリズム腐食はどれもそうですが
接眼レンズにしっかり目を当ててみるより
少し離して見るとより腐食がはっきりと見えます。
今回も少し離れてみると
くっきりと横方向に黒い帯が見えています。
このまま放置しておくと間違いなく
もはや視野が見えないほどに真っ黒に腐食が拡大します。
この時代のミノルタ機はX-7のみならず
プリズム前面に貼ったモルトの加水分解を原因とする
プリズム腐食が非常に多いです。
X-7は特に腐食の多い機種で対策を講じていない
個体のほぼすべてが腐食を抱えていると思われます。
今回は腐食のないプリズムと交換することで対処いたします。

典型的な電子制御機なので
やはり分解整備にはそれなりに手間がかかります。
しかしながらまだこの類のカメラとしては
整備性は良好な方だと思います。
プリズム交換のみならず各部の整備を並行して行います。
機械的な駆動部分の清掃整備
露出計、オート制御も最終的に
電気的な調整も行って精度を出していきます。
加えて「X-7」はエントリー機が故に
比較的負荷がかかりやすい部分にもプラスチック部品が使われおり
状況によってはそこが破損する場合も多いので
弱い箇所のチェックも行っていきます。
今回は大丈夫そうですが劣化等で脆くなっている場所は
できる限り交換で対処していきます。

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キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「東名高速道路全通記念日」だそうですよ。
1969(昭和44)年のこの日に
神奈川県足柄上郡大井町の
大井松田IC~静岡県御殿場市の御殿場ICが開通し
東京から小牧まで346kmにおよぶ
東名高速道路(東名高速)が全線開通しました。
4年前の1965(昭和40)年に開通していた
名神高速道路(名神高速)とも小牧ICで接続し
東京と西宮の536kmが高速道路で結ばれ
関東・中京・関西を結ぶ日本の大動脈となりました。
今やいたるところに高速道路が整備され
クルマで移動する際には非常に便利です。
首都高C1のようにビルの隙間を入り組んで走るものから
C2のようにトンネルで緩やかにつながれるもの
そして中央道や東名のようにほぼ直線でひたすら
目的地に進むもの等々、自動車専用道路も千差万別です。
私は今クルマを所有していませんが
東名や中央道を淡々と一定のスピードで走るのも
なんとも旅気分で気持ち良いのですよね…
以前は頻繁に行っていましたが
そのうちクルマでまた広島まで帰省したいですねぇ

さてさて

本日は「キヤノンAE-1P」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
機能的には従来のAE-1に
プログラムオートが追加されたカメラですが
外観的にも中身的にも「AE-1」に比べると洗練され
明らかに進化しています。
まずファインダーの明るさが段違いに異なります。
そしてピントの山も非常にキレが良くてつかみやすいです。
露出計表示も指針ではなくLED表示となっています。
巻上周りや感度設定、グリップ部のデザインも
随分と時代が進んだ気がします。
そして内部的には制御系がもはや「AE-1」とは全く別物です。
「AE-1」ではアナログ的な部分も随分残っていましたが
「AE-1P」ではフレキからの配線もかなり少なくなり
上カバーを開けた景色も全く異なるものとなっています。
でもあくまでそれは制御系の話で
実際に駆動する機械部分の構造は基本的には
「AE-1」とほぼ同様です。
細かい部品は変更されている部分も多いのですが
機械的な構成や動きは同じです。
これは「Aシリーズ」は最初から最後まで同一です。

そのため「Aシリーズ」の中では新しい「AE-1P」でも
「Aシリーズ」定番の「シャッター鳴き」が起こります。
お預かりしてる「AE-1P」も結構激しめに
シャッターを切るたびに「ギャイン」と異音がします。
シャッター鳴きとは言いますが異音がしているのは
ミラー駆動部のギアです。
油切れが主な原因です。

今回の「AE-1P」はご依頼者様が新品で入手して
ずっとお持ちになられているものとのことです。
新品からずっと長い間つきあっているっていいですよね。
丁寧に扱われているのは十分わかり
外観も非常にキレイです。
しかしながらさすがに経年劣化もあり
シャッター鳴きもそうですが各部が油切れで動きが悪いようです
一通り動作はしていますがシャッターの精度もよくありません。
そしてモルトは当然ながら全滅です。
幕軸や巻上部も含んで各部の清掃整備を行い
その上で微調整を行い精度を出していきます。
電子制御機とはいえキヤノンらしくしっかりできていて
まだまだ長く使えるカメラだと思います。

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ヤシカエレクトロ35GXのカメラ修理

今日はこれといった記念日のない日ですねぇ…
過去の5月24日に起こった出来事を調べてみると…
1960年にチリ地震津波が起きています
前日のチリ地震の津波が1960年5月24日未明に
日本の太平洋沿岸に到達。
津波の高さは最大で5~6メートル。
死者・行方不明者142人だったそうです。
この時のチリ地震はマグニチュード9.5を記録した
観測史上世界最大級の地震です。
地球の真裏で起こった超巨大地震の津波が
高さ5~6mでやってくるなんて本当に怖いですね…
ちなみに震源近くのチリ沿岸での津波の高さは
最大18mだったそうです。
天災もそうですが不幸や事故は思いがけないときに
やってくることが多いので
なるべく色んな悪い事が起きる想像を
巡らせておいたほうがいいような気もします。
でもそれだと常にネガティブなことばかり想像してしまって
なんだか暗くなりそうですね。
適度にいろいろなことに備えましょう

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GX」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
「エレクトロ35」は当店の場合、比較的シリーズ前半の
初代の流れを汲んだモデルの依頼が多い印象ですが
今回の「GX」は「エレクトロ35」としては
最終モデルとなります。
初期のモデルに比べると時代を反映して
随分と小型化が進みました。
それでも「ろうそく1本の光でも写る」というコンセプトは
これまで同様に受け継がれていて
40mmF1.7の大口径レンズを搭載し
コパル電子シャッター+絞り優先オートであることも
これまで通りです。
内部の構造はさすがにいろいろと進化し変更されていますが
基本的な考え方や構成は初代からの流れを受け継いでいて
似たような部分も非常に多く見られます。
良い部分をうまく引き継いだこれまでのエレクトロ35シリーズの
集大成としても非常に魅力的なカメラだと思います。

お預かりしている「GX」は機械的にシャッターは切れてはいるものの
電池を入れても電源がまった入りません。
シャッター制御がされないのはもちろんのこと
バッテリーチェックも点灯してないので
そもそも電池室から全く基盤側に電気が流れていない状態だと思われます。
こうなると想像するのは電池室周りのトラブルですが
電池室は非常にキレイです。
底板を開けて電池室の周辺を確認してみても
電池室裏側のハンダもキレイで配線にもダメージは見渡らず
不具合の下人となるような個所はこの段階では見当たりません。
どこで電流が遮断されてしまっているのか…
分解歴もあるような感じなのでちょっとイヤな予感がします…

こうなると電流経路をテスター片手に順番に
調べていくほかありませんね。
まだ取り掛かったばかりなので
何も原因はわからない状態ですが
これから分解を進めながらいろいろとチェックしていきます。
先ほども書きましたが分解跡が見受けられるので
中身が酷いことになっていないことを祈りつつ
これから本格的に修理整備を行っていきます。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「ラブレターの日」らしいですよ。
由来は日付は「こ(5)いぶ(2)み(3)」(恋文)と読む語呂合わせと
浅田次郎の短編小説が原作の映画『ラブ・レター』が
1998(平成10)年のこの日に公開されたことからだそうです。
恋人や家族など大切な人に想いを届ける日とされています。
…さすがにもう縁がないですね(笑
いただくにしても書くにしてもそんなの
40年以上前の記憶の彼方です。
ラブレターはともかくとしても
手紙を書くなんて行為そのものが
すっかりなくなってしまいました。
もはやハガキすら書くこともないですね。
たまにはある程度しっかり文字書かないと
それでなくてもキレイではない文字が
さらに汚くなりそうです…
昔は手書きならではの威力を信じて
小まめに手書きしていたのですが…
今では手書きどころか仕事上のメールこそ
必要に応じて打ち込みますが
手書きどころかプライベートでメールすら打つ機会ありません(苦笑)
LINEもめったに使うことありません…
まぁそのあたりは別にいいのですが…(笑

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理をしています。
1976年発売のカメラです。
キヤノンAシリーズの第一号機で
電子カメラ時代の幕開けを飾ったカメラともいえます。
もちろん大ヒットモデルです。
シャッタースピード優先オートを搭載したAEカメラで
オート露出自体は既に登場してからある程度
時間がたっていたもののマイクロコンピュータ搭載で
従来の同機能搭載モデルに比べ
300点以上の部品削減と生産効率化を一気に進めたカメラです。
オプションで専用のパワーワインダーが存在し
「連射一眼」のキャッチフレーズで
ワインダー一気に普及させたカメラでもあります。
さすがにワインダーは修理対象外でもありますし
AE-1のパワーワインダーは見る機会も少ないですが…

大ヒットモデルで現存数も多いこともあって
修理依頼も多いカメラです。
本来の姿であれば現在でも使い勝手もよくて
非常に良いカメラです。
ただ当店にやってくる「AE-1」は
長期にわたって放置されていたカメラが多く
当然ながらコンディションは良くないものが多いです。
今回お預かりしている「AE-1」も電池を入れれば
かろうじて電源は入りますが
非常に不安定な状態です。
シャッターは切れたり切れなかったりで
切れたとしてもかなりの高確率で
ミラーアップしたままになってしまいます。
そして露出計はかなりオーバー目に出ていて
感度が鈍くなっているようです

配線や接点を含む電源周りの清掃整備と
シャッターやミラー駆動を実際に制御する
マグネットの清掃、露出計関連の調整
実際に駆動する機械的部分の清掃整備等
全体的に手を入れる必要がありそうです。

コンピュータやフレキ実装で確かに典型的な
電子制御機ではあるのですが
まだ70年代のカメラということもあり
意外と機械的な連動とかも残っています。
SSダイヤルからの糸連動とかもあり
反対にこのあたりが整備時に注意が必要です。
後継のAE-1Pになると
まさに典型的な電子カメラといった中身になりますが
AE-1はまだまだ進化過渡期な部分も多く認められます。
でもキヤノンらしく非常に上手くまとめられたカメラです。
整備性はこのタイプのカメラとしては非常に良いと思います。
コンスタントに修理依頼のあるカメラなので
中身も見慣れた光景で社ありますが
それなりに神経を使うカメラではありますので
慎重に丁寧に整備を行っていきます。

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