月別アーカイブ: 2018年5月

ニコンFEのカメラ修理

今日は「旅の日」だそうですよ。
旅どころか小旅行すら
ここのところ行った覚えがないですが。。。(苦笑)
日常を離れて1ヶ月。。。
いやせめて1週間くらい旅に出る。。。してみたいですね。
鉄道で行くも良いし、バイクでもいいですよねぇ
あるいは南アルプスあたりを1週間くらいかけて
歩き続けるとかも良さそうです。。。
さぁ、空想はそのくらいにして仕事しますか。。。(笑)

さてさて

今日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
当店では修理依頼の非常に多いカメラです。
発売は1978年、キャッチフレーズは「シンプルニコン」
シャッターユニットはコパル製の金属羽根縦走りです。
適度にコンパクトで端正なスタイリング
電子制御シャッター搭載で絞り優先AEも使えます。
電子制御シャッターな故に敬遠されることもありますが
意外と電子基板関連のトラブルの多いカメラではございません。
それよりも機械的トラブルのほうが実際は多いです。
秀逸なのは直感的にわかりやすい露出計で
指針が2本あり、1本は現在のシャッタースピードを
1本は適正露出のシャッタースピードを指示しています。
個人的にはこのタイプの露出計が一番好みです。

FEで意外と多いのは巻上関連のトラブルです。

(1)チャージが滑ってしまうような感じで
チャージロックができない

(2)レリーズボタンを押したのに
巻上ロックが解除されず次の巻上ができない

(3)巻上げてチャージもできているのに
巻上軸がロックしたままでレバーも最大巻上角まで
軽く(フラフラ)で動いてしまいレリーズもできない

多いのはこの3パターンだと思います。
今回、お預かりしているFEは(3)のパターンです。
シャッター羽根を見てもチャージはきちんとされているのですが
巻上軸が最初の位置に戻ってきていない状態です。
(文章で書くとなかなか伝わりにくいとは思いますが)
FE/FM系は分割巻上げはできないので
巻上を途中でやめるとレバーは見かけ上、戻ってきますが
軸は途中で止まったままなので
巻き上げた位置までは手応えのないまま動き
そこからさらに巻き上げると軸も一緒に巻き上がります。
(3)の状態はしっかり巻き上げてチャージも完了しているのに
巻上が手応えのないまま軽く最後まで何度でも動いてしまう状態です。
巻上レバー下の巻上軸のロック機能の動作不良と思われます。

ちなみに(1)はシャッターユニット内の
チャージロック機能の動作不良
(2)は底部巻上ロック機能の動作不良が主な原因です。
(たまに例外はありますが。。。)

本格的な分解整備の前にその巻上レバー下のロック部の
状態を確認しておきます。
単純に動きが悪いだけであればいいのですが
たまに部品の変形、磨耗で交換しないと駄目な場合もあります。
巻上部の動きを一通り確認してから
シャッターユニットの分解整備に取り掛かります。
若干、羽根の動きが悪いのかシャッタースピードが
少々不安定な部分が見受けられます。
オートは少しアンダー気味なのでそちらも最終的に調整します。

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ヤシカミニスターのカメラ修理

5月14日。。。1983年のこの日に
カールルイスさんが平地の電動計時による100m走で
人類初の9秒台(9秒97)を出した日だそうです。
それまでに高地記録(標高が高くタイムが速くなる)や
手動計時による9秒台は何度かあったようなのですが
正真正銘の9秒台はこれが初めてだそうです。
次の年にはロサンゼルスオリンピックが開催され
4つの金メダルを取る大活躍でした。
ロサンゼルオリンピックは当時、中学生で
ちょうど夏休みだったこともあり毎日、1日中見ていました。
山下泰裕さんや森末慎二さん、具志堅幸司さんの金メダル、
よく覚えています。懐かしいですねぇ~

さてさて

本日は「ヤシカミニスター」のカメラ修理を行っています。
今回、お預かりしているのは1960年発売の
最初のタイプの「ミニスター」です。
当時はまだ少なかった露出計搭載の高級機です。
その露出計はセレン光電池を利用した
非連動型で露出計で示されるLV値を
シャッター・絞りを制御するLVリングを使って
露出を決定するという方法です。
露出計はセレンが劣化していると
どうにもお手上げですが今回、お預かりのミニスターは
できる限りの調整を行って全体的に+1段といった感じです。
ズレ幅がわかっていれば何とか対処できると思いますし
ネガだったらあまり気にしなくても大丈夫かと思われます。

レンズは4.5cmF1.9かF2.8が搭載されますが
今回の個体はF2.8搭載モデルです。
シャッターはコパルSVLを搭載し最高速は1/500です。
今回のミニスターはセレン式の露出計はともかく
まずはファインダーの二重像が全く見えません。
ピント合わせのできない状態です。
明るい光源に向けてファインダー内をよくよく見ると
かろうじてブライトフレームの一部がうっすら見えます。
ファインダー内のハーフミラーの劣化のため
二重像が写らない状態ですね。
ファインダーを降ろしてハーフミラーを取り出してみると
端っこのほうにわずかに蒸着が残っている程度で
ほぼ、ただの素通しガラス。。。といった状態でした。
部品取用のAF一眼のミラー(ハーフミラー)から
大きさを合わせて移植することで対処します。

他、シャッターに若干の粘り、レンズにカビが見受けられます。
いつもどおり全体の各部点検整備一式を行いますが
一通り終わったところで、感光済みのフィルムを使って
フィルムローディングから36枚、シャッターを切り
何かおかしいところがないかチェックするのですが。。。
フィルムが終わって巻き戻そうと底面のARダイヤルを
Rにしようとすると。。。どうにもこうにもダイヤルが
Rの少し手前で止まってしまい、スプロケットがフリーになりません。
底部スプロケットギアが固着してしまっているようです。
そうだった。。。ミニスターはたまにこういう症状あるのだった(汗)

スプロケットの問題も解決し、まずは一通り完了したところです。
各部、非常にスムーズに動作するようになりました。

少々、余談ですが。。。
冒頭でも書きましたが、このカメラは最初にLVリングで
露出を決定し、その後で絞り・SSの組み合わせを
絞り・SSリングで変更する作りになっています。
今回のミニスターは大丈夫でしたが
使い方がよくわからずにこのリングを無理に回し
リング留めのネジが折れてしまっている個体をよく見かけます。
古いカメラに限らず、機械は全てそうだと思うのですが
回らないものを無理して回すと大抵の場合、壊れます。
動かないものは何か理由があるということですから
無理に操作することなく、まずは相談していただければと思います。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「カクテルの日」だそうですよ。
若い頃はアルコール度数強めの
ショートカクテルにはまったことはありましたが
最近は飲むことなくなりましたねぇ。。。
30代後半あたりからは
食事を美味しく食べるためのお酒。。。というスタンスなので
どうしても日本酒、ワイン、焼酎になってしまいます。
でもたまにはカクテルをオシャレなバーで
ゆっくりと味わうのもいいですね。
機会があればそういう時間も過ごしたいものです。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
SPも当ブログ登場回数の多いカメラですね。
丈夫で使いやすく、大ヒットしたカメラです。
当時の写真雑誌のコンテストとかでは
使用カメラがSPとされている写真で
誌面が埋め尽くされていたと聞いた事もあります。
M42マウントを採用しているということで
海外製の変わったレンズも使えるカメラ。。。という
スタンスでも人気のあるカメラですね。

SP。。。というか古いカメラでは定番ですが
今回、お預かりした個体もシャッター幕の動きが悪いようで
低速シャッター時にミラーアップ(したまま固着)が頻繁に起こります。
プリズムはSP定番の視野真ん中ら辺に
横方向の黒い線が入るという感じの腐食が発生しています。
さらに露出計は不動。。。といった感じで
SPでありがちなトラブルが一通り出ている感じです。
その中で、露出計不動は電池室からの電源が
CDSまで繋がらず途中で断線状態になっていたことが原因ですが
動くようになったと思ったら
今度はCDS(受光素子)の劣化でどうにもこうにも精度が出ない状況でした。
多少の劣化はどのCDSでもあると思いますが
たまにこういう調整ではどうにもならないほど劣化しているものもありますね。
今回は中古良品のCDSと交換で対処しています。

一通り作業の終わった状態です。
しかしながらシャッターが安定するまで少し時間がかかりそうなので
現在は様子見といったところです。
落ち着いた頃に最終チェック+微調整を行って完成となります。

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オリンパスOM10のカメラ修理

今日は「ザリガニ」の日だそうですよ。
ここでいう「ザリガニ」とは「アメリカザリガニ」のこと
1927年のこの日に鎌倉の食用蛙養殖場に
餌として20匹ほどが持ち込まれたそうです。
ここから逃げ出した個体が爆発的に増え
1960年代には九州でも生息が確認されるほどになったそうです。
私も子供の頃、煮干を糸でしばって
山沿いの沼でよくザリガニ釣りしてました。
小学生の子供でもいくらでも釣れるのですよねぇ。。。懐かしい(笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM10」のカメラ修理を行っています。
昨日ご紹介のニコンEM同様に
絞り優先AE専用機です。
オリンパスらしく軽量コンパクトなモデルですが
基本的な構造はOM-2をベースとし
部品点数を半分程度まで減少させ
製造ラインもOM-2の設備を流用することで
低価格を実現したカメラです。
当時の各社、絞り優先AE専用機は
押し並べて価格4万円弱なのですが
これは当時の物品税(定価に含まれる、現在の消費税に近い性質)の
非課税上限値が4万円だったことも大きく関係しているようです。
発売開始は1979年です。
このOM10、ベースがOM-2ということもあって
ダイレクト測光がセールスポイントなのですが
(フラッシュ使用時のTTL制御は不可)
今となってはダイレクト測光関係が故障すると残念ながら修理不能です。
(同様の理由でOM-2は基本的に修理を当店では修理を行っていません)

今回、お預かりしているOM10は
一通り動作はしている状態なのですが
モルトや露出計の精度等々に少々問題もあり
各部点検整備一式でお預かりさせていただきました。

まずは一通りの精度をチェックしようと
計測器を使いいろいろとテストを行います。
OM10は電源オフにしておいてもある程度の明るさであれば
シャッターを押せばきちんとオートが効いて
写真が撮れるようになっています。
さらに電源オンにしておいても
ある程度の時間、操作をしないで放置していると
タイマーで自然と電源がオフになります。
この場合、シャッターボタンの台座(シャッターボタンではない)を
軽く押す(触れる)と電源が復帰するのですが
今回の個体はこれが全く復帰できないということが判明しました。
SW部の接触不良かと思われるのですが
OM10の場合、接点を掃除できるような構造ではないのです。。。
ご丁寧に小さなフレキで配線もされています。
うーん、どうしたものか。。。
いろいろ悩んだあげく、結局SW部の交換で対処いたしました。

露出計、オート調整、シャッタースピード調整、
各部清掃、モルト交換等々
全体をリフレッシュして組上げて完成です。
今回はボディ本体のみの整備ですが
精悍なブラックボディにワインダー、
マニュアルアダプター(これをつけるとマニュアルでSSが設定できる)
28mmレンズ。。。カッコ良い組み合わせですね!
シャッターチャンスを逃さない仕様ですね。

ちなみに各メーカーの絞り優先AE専用機は
当時、テレビコマーシャルも競って放送していて
OM10は当時コメットさんでブレイク中の大場久美子さん、
ミノルタX-7はあの強烈なCMでお馴染みの宮崎美子さん、
ペンタックスMGは早見優さん。。。だったかな。。。
当時のことも一緒に調べてみるとまた違った楽しみがあって
おもしろいかと思います。

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ニコンEMのカメラ修理

今日、5月11日は1970年に
植村直己さんと松浦輝男さんが日本人で初めて
エベレストに登頂した日ですね。
標高8000m超の世界はいろいろ本とかで
読むことはあっても想像を超える世界なんでしょうねぇ。。。
一度、8000m峰に登るとボクシングで殴られ続けて
ノックアウトされるくらい脳にダメージがあると話も
聞いたことがあります。
今は700万円程出せばツアーで登ることもできるみたいです。
。。。。無理だな。。。。(笑)

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に発売されたニコンとしてはめずらしく
軽量コンパクトな上にスタイリッシュな
絞り優先AE専用機です。
ミノルタX-7やオリンパスOM10、ペンタックスMV1等々
ライバルの非常に多いクラスですが
現在でも人気の高いカメラですね。
EM用に「シリーズE」と呼ばれる
ニッコールより少しお求め易いレンズ群も発売されました。

今回、お預かりしているEMは
EMにしてはめずらしくプリズム腐食が発生しています。
さらにカウンターが「1」になっても露出計がオンにならず
いつになっても一定のシャッタースピードでしか切れません。
カウンターが「1」になるまでは機械式の1/90で切れ
「1」になるとオートが働くのが正常で
そのためのSWの不良かと思われましたが
分解してみるとどうもそうではないようです。
バッテリーチェックは作動するので電池室近辺の問題でもなさそうです。

写真ではわかりにくいですが
プリズム縦方向に腐食が発生しているのが写っています。
プリズムは腐食のない中古品と交換して対応します。
露出計不動の件はSW周りを中心に清掃を行い
ハンダ付けのやり直しを行います。
比較的、最近まで動作していて分解品でもないようなので
おそらくこれで何とかなるのではないかと思われます。
確率は低いですが基板そのものがNGという可能性もありますが
その場合は基板を丸ごと載せかえることで対応します。

EMに限らずこのクラスのカメラはプラスチック部品が
非常に多く使われています。
それが経年劣化で脆くなっている場合も多いので注意が必要です。
EMの分解でかなり神経を使うのが
トップカバーを外す際に取り外す巻き戻しクランクで
普通にフィルム室側フォークを固定してクランクを逆回しに
力任せに回すと結構な高い確率でクランク根元部分の
円盤が破損します。今回も結構固着していて
強い力で回さなければ外れないのですが
下手をするとプラスチック部品を破損するということで
慎重に時間をかけて外しました。
カメラの分解の主な作業は「回す」(ネジやリング等々)ことだと思うのですが
これが年月の経ったものだと一筋縄ではいかないことが多いですね。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は5月10日、「コットンの日」だそうですよ。
綿(木綿)のことですね。
衣類の素材としても定番ですが
女性の方はメイクのときに使うコットンのほうが
馴染み深いかもしれませんね。
私の場合は作業でたまに使う脱脂綿が
一番、身近な「コットン」かなぁ。。。(笑)
。。。そんなことを考えていたら
杏里さんの「コットン気分」の
脳内リフレインが止まらなくなってきました。。。

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
当ブログでも定期的に登場する
キヤノン初のプロ向け最高級一眼レフです。
フラッグシップ機にふさわしい高級感と堅牢性に加え
キヤノンらしいスタイリッシュさも併せ持つカメラです。
発売は1971年で、前期モデル、後期モデルにわけられますが
10年に渡って生産・販売が続けられたモデルです。
流通している台数は相当数あると思われますが
状態も千差万別で、これから購入される際には
コンディションには気をつけたいカメラです。

お預かりしているF-1はいわゆる後期モデルです。
ご依頼者様が随分昔から使われているカメラとのことです。
まずファインダーを覗くと一面にプリズム腐食が見受けられ
さすがにこの状態ではピント合わせも非常にしづらいと思います。
F-1はプリズム腐食の比較的少ないカメラで
腐食があっても端に少しとか、点腐食とかが多いのですが
今回は少しめずらしいですね。
余談ですがF-1はプリズム腐食よりも
露出計を映し出すために接着されている小さなプリズムに
欠けや割れが多いような気がします。

少々わかりにくいですが
プリズムの視野はこのような状態です。

プリズムの上に大きな座布団モルトが貼られているのは
いつものことなのですが、通常はプリズムの上に
プラスチックのカバーがかけられていて
その上にモルトが貼ってあるのが正常です。
今回の個体は随分昔に一度分解されている形跡があるのですが
その際にプラスチックカバーを付けすに
直接プリズムにモルトを貼ってしまったようです。
そのためモルトの加水分解が直接影響し
プリズムの塗装・蒸着を剥離してしまったようです。

プリズムは中古のキレイなものと交換で対処します。
他にも問題がいろいろあり
まずシャッタースピードは1/2000、1/1000は
全く開かず1/500、1/250もかなりムラのある状態です。
元々、幕軸の動きが悪かったのだと思われますが
とりあえずシャッターを開くようにしようと
テンションを上げ無理矢理開かせていたらしい形跡もありました。
今回はもちろん幕軸の清掃・注油を行い
幕速もかなり下げて通常の状態に戻した上で
微調整を行いました。

露出計も大幅なズレと接触不良のため不安定な動きをしています。
こちらも接点の磨き+清掃で対応しています。

いろいろ問題はございましたが
まずは一通りの整備を行い組み上げたところです。
後は様子見の上で最終チェック+微調整を行って完了です。

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ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は「アイスクリームの日」だそうですよ。
アイスの日というには今日は寒すぎますね。
まぁ、私は真冬でもアイス食べるので
全く問題ないのですが。。。
あとでアイス買ってきましょう!
こういう寒い日は爽やかなラクトアイス系ではなくて
濃厚なアイスクリームが良いですね!

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
エレクトロ35にも色々種類があるのですが
今日のエレクトロは初代無印の「エレクトロ35」です。
発売開始は1966年。
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指して開発されたカメラです。
この時代としてはめずらしい電子シャッター「コパルエレク」を搭載します。
もちろんレンズも大口径でヤシノンDX45mmF1.7です。
電池はHM-4Nという5.6Vの水銀電池を使用します。
現在だと4SR44(4LR44)にアダプタ等を組み合わせて使うことになります。
この当時のHM-4N積層型水銀電池は
エレクトロ35で使うために開発された電池だそうです。

お預かりしているエレクトロ35は長い間、
保管されていたものらしいのですが
外観は非常にキレイです。
この頃のヤシカらしい太刀魚のような
ギンギラギンなシルバーに梨地が非常に美しいボディです。
電池室は若干の腐食跡がありますが
それほど問題はないようです。
それよりも今回は絞り羽根に目に見えて油が付着しており
絞りリングも非常に重く、F5.6より開きません。
無理にリングを回すと高確率で絞り羽根が破損するので
ここでは決して無理には動かしません。
当然のようにシャッター羽根にも粘りが見られます。
エレクトロ35はどのモデルでも
あまり油シミが羽根に付着している個体は見ないのですが
ちょっとめずらしいパターンです。
加えて「B」シャッターが効かず普通に切れてしまいます。

レンズボード側にほとんどの機構が集中しています。
電気仕掛けのシャッターなので各接点も入念に清掃します。
まず絞り・シャッター羽根の洗浄に取り掛かります。

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リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は「コナモンの日」だそうですよ。
「コナモン」って何かと思ったら
お好み焼きとかたこ焼き、うどん等々の
「粉モノ」のことらしいです。
日本コナモン協会というところが制定しているようです。
うーん、ここでいうコナモンというかお好み焼きは
関西のお好み焼きのことだと思われますが
これ書いていると無性に
広島のお好み焼きが食べたくなってきました。。。
熱々を鉄板の上でヘラで食べるのがいいのですよねぇ~
皿で箸でも、もちろん美味しいですが。。。
あぁ、呉の細うどんも食べたいなぁ。。。
食べ物はやっぱり生まれ育った地元のものが
落ち着くし美味しいですよねぇ~

さてさて

本日は「リコーオートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
「SE」ということは「オートハーフE」に
セルフタイマーが付いたものですね。

「E」以降のオートハーフは前板のデザインが
いろいろあるのが魅力のひとつですが
このシンプルなものもまたいいですね!
以前も書いた気がしますがこのタイプのオートハーフを見ると
私がまだ2~3歳くらいの頃に実家にあった
白黒テレビを思い出してしまいます。。。

ご依頼者様は最近、このカメラを手に入れて
まずは1本、撮影してみたところ
半分以上のコマがほぼ真っ白になってしまったそうです。
お話を聞いたときに真っ先に疑ったのは
光線漏れですが、実際にフィルム室をチェックした感じでは
写真全体が真っ白になるほどの光漏れは考えにくそうです。
それなら。。。と今度は測定機でオートを計測してみたところ
オートが相当オーバー目になっています。
どうやらオート時にほぼ絞りが開放になっているようです。
。。。というとセレン光電池の不良の疑いが大きいですが
絞りが全く反応していないわけではないので
セレンは大丈夫ではないかと予想しました。

実際に分解してみると
セレン光電池は普通に起電しているのですが
絞り制御が固着していてまともに動作していません。
これだと確かに明るい屋外で撮ったものはほぼ真っ白になると思われます。
さらにシャッター羽根の動きも悪く
これもさらに露出オーバーになる原因になっています。

シャッターユニットを中心に各動作部の整備を行い
露出計・オートの調整を行いました。
もちろん、レンズ・ファインダー清掃、モルト交換も行います。
全体的にリフレッシュされて調整されたことで
オート露出は適正に調整されました。

ここのところ、入ってくるオートハーフを見ていると
絞り制御が全くできず常に開放になってしまうものの
1/3くらいはセレン不良で根本的に起電しないものですが
残りはセレンは大丈夫なのだけど
露出計が何らかの原因で振らなかったり
絞り制御が動かないといった様子です。
一概にセレンがダメとは決め付けられないですが
こればかりは分解してみないとわからないし
なかなか判断が難しいですね。

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ペンタックスK2のカメラ修理

今日は「コロッケの日」だそうですよ。
揚げたてアツアツのコロッケ。。。美味しいですよねぇ~
小腹がすいたときに丁度良く
結構、腹持ちもいいですよね!
あぁ。。。そういえばコロッケではないですが
ここ数年、メンチカツが食べられなくなってしまいました(苦笑)
いや、食べてるときは美味しくいただけるのですが
あとですごく胸焼けしてしまうのですね。。。
これも年のせいだろうなぁ。。。

さてさて

本日は「ペンタックスK2」のカメラ修理を行っています。
この「K2」を筆頭とする「ペンタックスKシリーズ」から
いわゆる「Kマウント」が採用されています。
発売は1975年です。
同時発売された他のKシリーズ2機種は
機械制御の横走り布幕シャッターで
M42マウントの大ヒット作「SP」の焼き直しともいえるモデルですが
この「K2」は完全新設計のモデルです。
電子制御縦走り金属羽根シャッターを装備し
受光素子もSPDで反応速度を高めています。
「Kシリーズ」を代表するカメラであることは間違いありませんが
翌年には次世代の「Mシリーズ」が登場しており
シリーズとしても短命に終わっています。

今回、お預かりした「K2」は
まず肝心要の電源が全く入りません。
ES系と異なりマニュアル時のシャッターも
全速電子制御なので電源が入らなければ何もできません。
電池室そのものには問題なさそうなのですが
電池室裏から基板にかけての何箇所かで
導通不良が起こっているようです。
おそらく随分長い間眠っていた個体だと思われますが
色々な箇所で固着が発生しています。
K2でよくある感度リングの固着に始まり
ミラー駆動部、絞り制御アーム等々。。。
電源を直した上で各動作部は徹底的に清掃・注油を行います。

写真は一通り整備が終わって様子見の状態です。
電源は安定し、オート、SS、露出計とも十分精度は出ましたが
動きが安定するまで少し時間を置いてから
最終調整を行います。

こうしてみると、シルバーのK2、カッコ良いですね。
そういえば先程も少し触れましたが
マウント基部にある感度設定リングの固着の多いカメラです。
さらに固着していなくてもちょっと回しにくい構造です。
一旦設定した後に簡単に動いてもらっても困る部分ですが。。。
感度設定リングは普通に回すと
露出補正リングと一緒に回り露出補正を行います。
リングの向かって右側にあるボタンを押した状態で
感度設定リングのみを回すと感度設定が行います。
これも説明書がないとなかなかわかりにくいかもしれません。

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ミノルタオートコードLのカメラ修理

今日は「こどもの日」でもあり
二十四節気でいうところの「立夏」でもありますね。
暦の上では夏到来です!
。。。とはいえ昨日から今朝にかけては
妙に冷え込みましたねぇ。。。
自宅では毛布がいまだ大活躍です。
(実は真夏でも冷房かけて毛布使うのですが。。。。(笑))

さてさて

本日は「ミノルタオートコードL」のカメラ修理を行っています。
国産二眼レフの最高峰とも言われるカメラですね。
オートコードも生産時期によって何種類かあるのですが
今回、お預かりしているのは
セレン光電池式露出計を装備した「L」です。
基本的には前期型オートコードと共通です。
発売は1955年です。

お預かりしているオートコードLは
シャッターの粘りにスロー固着、といった
レンズシャッター定番のトラブルに加え
フィルムカウンターの動作が少々おかしいようです。
オートコードはスタートマーク合わせ式のセミオートマットで
カウンターは自動復元式です。
これがリセットされることもあればされないこともあるようです。
さらにカウンターそのものも動作したりしなかったりです。
カウンター周りの部品の動きがどうも悪いようです。

今回の修理が何が大変かというと
ほんの少しでも油断すると破れてしまう貼り革剥がしですね。。。
今回はうまくいきましたが
基本的に二眼レフやスプリングカメラは革を剥がす場合は
貼り替え前提となります。
やはりカウンターをロックする部品の動作不良が
今回のトラブルの原因でした。

ところで、少々話が逸れますが
オートコードのカウンターリセットについて書いておきます。
意外と知らない方も多いのではないかとふと思ったので。。。。

まずフィルム装填時には
カウンターは必ず「▼」マークになっていなければいけません。
ここで「▼」になっていないと1枚目にうまく合わせられず
最悪の場合、高価な120フィルムを
全て巻き取ってしまうことにもなりかねません。

で、カウンターリセットの方法なのですが
その前のフィルムを正しく取り出していれば必ず
「▼」マークに自動復元されているはずです。

フィルムを正しく巻いているときは
12枚目(最後のコマ)が終わるとカウンターは「◎」マークになり
どこまでも巻ける状態になります。
フィルムを全て巻き取ったら

「最後に必ずクランクを逆に1回転させて格納位置に戻します」

これで裏蓋を開けるとカウンターは「▼」にリセットされるはずです。
(機械的に正常な状態であれば)
クランクの位置が格納位置でなかったり
最後に逆転させていない場合はリセットされません。
今回、念のためオートコードの説明書も出してみたのですが
説明書にもそう書いてあります。
ネット上でクランク脇にある多重露光レバーが
カウンターリセットを兼ねている。。。なんて書かれている場合がありますが
多重露光レバーでカウンターリセットできる場合もありますが
それは本来の使い方ではなくリセットされない場合もあります。
カウンターがリセットされていない場合は
裏蓋を閉めてクランクを1回逆転させてから再度裏蓋を開けましょう。
それよりもその前にフィルムを取り出す際に
必ず1回逆転させておきましょう。

説明書もなく中古で使い始めた方は
きっと知らない方も多いかと思います。
と言っている私も
祖父のオートコードを使い始めたばかりの頃
これを知らなくて何本かフィルムを無駄にしたことがあったので。。。(汗)

さて、話が随分、逸れてしまいました。
巻上部の問題はクリアになったので
これからシャッターユニットの分解整備に取り掛かります。

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