月別アーカイブ: 2019年6月

オリンパス35DCのカメラ修理

6月7日。。。1986年にカープの衣笠祥雄選手が
日本プロ野球初の2000試合連続出場を達成した日ですね。
私は広島・呉の出身なので
子供の頃から当然、野球はカープファンですが
当時の衣笠さんや山本浩二さんは
当時のカープを牽引していたヒーローです。
特に衣笠選手の豪快なスイングは記憶に鮮明に残っています。
早いもので突然の訃報から1年が経ちました。
71歳か。。。早すぎましたね。
。。。というか、あのバットをブンブンと振り回していた姿でさえ
比較的、最近のようなことの気もするのですが。。。
時間は確実に情け容赦なく流れているのですねぇ。。。

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
35DCも修理依頼の多いカメラです。
搭載されるFズイコー40mmF1.7の評価が非常に高いカメラです。
発売は1971年、プログラムオート専用機なので
露出は基本的にカメラ任せです。
レンジファインダー搭載機でフラッシュマチック機構も装備しています。
大口径レンズ搭載機なのでコニカC35やトリップ35あたりに比べると
少しばかり大きいですが、それでも十分にコンパクトなサイズです。
シャッターは機械制御ですが
露出計がある程度振れていないと光量不足と判断し
レリーズロックがかかるので
実際には電池を入れないとシャッターを切ることができません。

お預かりしている35DCは
シャッターや露出計はきちんと動作してるのですが
レンズにカビが発生しているとのことでお預かりしました。
前玉ユニット側のカビあれば前玉だけ外して清掃すれば良いのですが
今回は後玉内側に大きなカビが発生しています。
35DCの場合、後玉はレンズボードを取り外さないと取り外せません。
他は距離計が垂直水平方向それぞれズレていることと
露出計は少々オーバー気味なのですが
実際のオートはかなりアンダー気味なので
そのあたりの調整も随時行います。

まずはレンズを取り外しておいてシャッターユニットの整備から行います。
基本的にはシンプルなカメラなのですが
ペンやトリップと大きく異なるのは
フラッシュマチック関連の回路と
露出計がボディ上部ではなく底部に配置されていることです。
露出計の調整やオート調整も底部で行います。
本来露出計が配置されるであろうボディ上部には
フラッシュマチック機構とセルフタイマーが鎮座しています。
こういうコンパクトなカメラはメーカーやモデルによって
いろいろな工夫が凝らされている場合が多く
面白い反面、整備にはなかなか手がかかることも多いですね。

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コニカSのカメラ修理

今日は四十八節気でいうところの「芒種」でもあるのですが
ぞろ目ということもあってたくさんの記念日が制定されています。
「飲み水の日」、「かえるの日」、「兄の日」、「ほんわかの日」
「梅の日」、「ロールケーキの日」、「ヨーヨーの日」。。。。等々。。。
そんな中に「楽器の日」、「邦楽の日」、「いけばなの日」というのもあるのですが
これらは「習い事は6歳の6月6日に始めると良い」と
昔から言われているからだそうです。
6歳。。。小学校1年生か。。。何してたかな。。。
知っていれば私も6歳の6月6日に何か始めればよかったな。。。
もしかしたらその後の人生が変わっていたかも(笑)

さてさて

本日は「コニカS」のカメラ修理を行っています。
コニカⅠ・Ⅱ・Ⅲと続いた
レンズ固定式距離計搭載レンズシャッター機の後継機となります。
「Sシリーズ」はそれまでのデザインから一変し
スマートな直線的なデザインを採用しています。
「コニカS」は「Sシリーズ」最初のモデルとして
1959年に発売されました。
先代に当たるコニカⅢと同様のヘキサノン48mmF2レンズを搭載します
シャッターユニットはコパル製に変更されました。
コニカⅢM等で外付けだったセレン式露出計は
Sでは内蔵されシャッタースピード、絞り設定に連動します。

お預かりしている「コニカS」は
シャッターは切れていますが
シャッタースピードをどこに設定しても
常に最高速で切れているようです。
加えてセレン光電池は全く起電していない様子で
露出計は動きません。
距離計二重像も垂直水平それぞれズレも見られます。
全体的に整備が必要な状況です。

起電しなくなったセレンは他部品取り個体から
交換するしかないのですが
シャッターが常に最高速という部分がちょっと気になるので
本格的に分解する前にシャッターユニットの様子をチェックします。
予想はしていたのですが
やはり調速カムに連動している部分が
固着してしまっていてシャッタースピードの変更が効かなくなっていました。
取り急ぎその部分を動くように処置してみたところ
シャッタースピードは変更できるようになりましたが
やはりシャッター羽根には粘りがあるようです。
一見、羽根はキレイに見えるのですが
重なっているや根元部分に油シミがあるようです。
原因が判明し、全体的にトラブル箇所も把握したところで
本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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オリンパスXAのカメラ修理

今日は6月5日(ロ・ゴ)ということで
ロゴマークの日らしいですよ。
ロゴマーク。。。仕事柄、カメラに刻印されている
メーカーやモデル名のロゴマークは
毎日見ていますが
昔のロゴマーク、特に1950年代とか1960年代とかのものは
丸みを帯びていてレトロな感じが良いですよね。
ミノルタやキヤノンのロゴもこの頃が一番良いような気がします。
あ、コニカのロゴも特徴あっていいですよね。
これが80年代になると
直線的な感じものが多くなります。
これが現在のように洗練された感じではなくて
いかにも80年代というイメージなのです。
この頃になると私もリアルタイムで体験しているのですが
時間が経つと当時のイメージとは随分変わってしまいますね。
カメラだけじゃなくて他のものでも
ロゴマークで時代を感じることはたくさんあると思いますが
いろいろ調べてみると楽しそうですね。

さてさて

本日は「オリンパスXA」のカメラ修理を行っています。
ハーフカメラほどの小さなカメラですが
ちゃんと35mm判の非常に軽量コンパクトなカメラです。
発売は1979年です。
スライド式のレンズバリヤーを備え
レンズキャップが不要になったデザインです。
このカメラ以降、同様のレンズバリアーを備えたカメラが
他メーカーでもたくさん出てきます。
このレンズバリアー、ファインダー窓もしっかり隠すので
このタイプのカメラでありがちな
「レンズキャップを付けたまま撮影してしまう」という失敗が
完全になくなったと思います。
私も一眼レフばかり使っていて
たまにレンジファインダー機を使うとよくやる失敗です。。。(汗)
XAシリーズはこの「XA」が最初のモデルで
その後、XA2、XA1、XA4、XA3と発売されますが
レンジファインダー搭載機はこの最初のXAだけです。
目測のみだとやはりピントが不安。。。と思う方も多いと思いますが
やはり距離計があると安心ですよね。

お預かりしているXAはシャッターが切れません。
電子制御シャッターな上にレリーズも電子式のため
電源が入らなければもちろんシャッターは切れないのですが
今回は電源はきちんと入っているようです。
露出計も反応しています。
。。。となると。。。XAの場合、多いのが電子レリーズの
接触不良なのですが今回はそこも問題なさそうです。
で、分解していきながらいろいろチェックしていると
原因はどうやらシャッター羽根の固着のようです。
XAだからついつい、電気的な問題を心配してしまうのですが
今回はレンズシャッター機でシャッターが切れない場合に
最も多い原因ともいえる羽根固着でした。
ややこしい電気的な問題でなくて少し安心です(苦笑)
ちなみにXAシリーズはお預かりして分解しても
電気的なトラブルが原因で修理不能なものも
結構多いカメラです。

シャッター羽根、絞り羽根の清掃、レンズ清掃
各部清掃・注油、露出計及びおーと調整
ファインダー清掃及び距離計調整。。。等々
一通りの整備が完了した状態です。
軽快にシャッターが切れる状態になりました。
写真では専用フラッシュA11が装着されていますが
フラッシュを外すと本当にポケットに楽々入る大きさです。
常に持ち歩くカメラとして必要な資質を全て持っているカメラですね。
XAやXA2が定期的に私も欲しくなるのですが
こうやって整備しているとまた欲しくなってきました(笑)

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「測量の日」だそうですよ。
測量。。。といえばやはり地図を連想してしまいますが
前にも他の記念日絡みで書いたような気がしますが
子供の頃は地図を見るのがとても好きでした。
もちろん日本地図や学校で使う地図帳も見るのですが
一番好きだったのは住宅地図。。。
私の場合は呉市内全域を網羅している分厚い住宅地図が
何故か家にあって(商売とかしてるわけでもないのに)
暇さえあれば開いてみてみました。
何かを調べるというよりは
例えば家の近くにある川がどこから来てどこの海に注いでいくのか。。。
なんてことを延々と地図をめくって辿っていくんですね。
で、散々見て何となく覚えたら
行けるところまで歩いて行ってみるのです。
ちょっとした冒険気分を味わっていたような気がします。
今はスマホやタブレットで相当詳しい地図を持って歩けるので
便利ですよねぇ。。。街中で道に迷うことなんてもうないのかな。。。

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
キャノンの一眼レフのラインナップは
本格的なプロ指向の一眼レフを長らく欠いた状態だったのですが
1971年のF-1の発売により
その頃、この分野のトップを走っていたニコンF一桁機に
対抗できる体制となりました。
プロ向けの高級一眼レフということで
やはり最重視されたのは耐久性で
人の手によって徹底的にテストされ
シャッターは10万回切り、ダイヤル類のテストも
カウンターで数えながら実際に手で回すという徹底ぶりだったそうです。
加えてマイナス30度~プラス60度の温度域に耐える環境性能
さまざまな使用目的に対応できるシステム性等々
時代の先端を担う最高のプロ機材を目標に開発されました。
そんなF-1は現在でも非常に人気が高く
当店でも整備依頼の多いカメラでもあります。

お預かりしているF-1は
1980年に発売された
レークプラシッド冬季オリンピック記念モデルです。
なかなかお目にかかれない限定モデルです。
とはいえ、中身は普通のF-1と変わりないのですが。。。
1981年には「NewF-1」が発売されているので
旧F-1としては末期に近いモデルです。
1976年にF-1はマナーチェンジを行われているので
今回のレークプラシッドはもちろん後期モデルとなります。

しまった。。。この角度で撮ると
せっかくのレークプラシッドのロゴが
半分以上隠れてしまいました。。。(汗)
お預かり時には高速シャッターが開かない状態でした。
幕軸の清掃・注油、ミラー駆動部・巻上部の清掃注油
露出計の調整等々、一通りの整備が終わった状態です。
F-1は幕ブレーキに革のような素材が使ってあり
これに関連するトラブルが比較的多いのですが
今回もここが原因でシャッターの動きが不安定になっていました。
もちろん整備済みで現在は安定しています。

F-1を見るとどうしてもニコンF2と比較してしまうのですが
F2の無骨さとは正反対のスタイリッシュなカメラです。
どっちが良いとかではなくてもはや好みの問題だとは思いますが
何度見てもやはりカッコ良いですね。

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コニカⅢのカメラ修理

今日は6月2日ということで
「路地の日(6・2)」だそうです。
昔ながらの小さな路地や裏道って
何ともいえない生活観の溢れた雰囲気が良いですよね。
自転車すら入れないような細い路地や
長屋の裏を通るような路地
石を積み上げた不揃いの階段
どれも子供の頃は格好の遊び場になりました。
まだ生まれ育った田舎町に行けば
結構当時のまま残っていたりするのですよね。
今度、呉に帰ったときには
そういうのも今のうちに撮っておこうかな。。。

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカは国産初のカメラを発売したカメラメーカーでもあり
国産初のカラーフィルムを発売したフィルムメーカでもあります。
2003年にはミノルタと合併し「コニカミノルタ」となり
2006年には残念ながら写真関連分野から撤退ということになりました。
今回のコニカⅢは1956年の発売で
コニカ初の135フィルム使用カメラであるコニカスタンダードを源流とした
レンズ固定式のレンズシャッター機です。
このⅢからセルフコッキングが採用され
使い勝手が格段に向上したモデルです。
総金属製で大きさの割りにずっしりと重いですが
そのレトロなデザインと高い質感で
現在でも人気のカメラです。
レンズはヘキサノン48mmF2を搭載し
シャッターユニットはセイコーシャMXLです。

お預かりしている「コニカⅢ」は
このカメラ。。。というよりレンズシャッター機であれば
定番のシャッター羽根粘りが発症しています。
羽根に油が滲み出てしまい固着してしまう症状です。
シャッター羽根粘りは単純にレリーズしても
シャッターが開かない、或いはシャッター羽根が
ゆっくりとしか動かない。。。などの症状なのですが
シャッター羽根粘りが起こっている個体は
高い確率で絞り羽根の粘りも発症しています。
今回も絞り羽根にも粘りが見られました。
絞り羽根が固着、あるいは絞りリングが動きにくい場合は
決して無理して絞り操作をしてはいけません。
単純に油や汚れで粘っているだけであれば
清掃で解決できますが
絞り羽根は無理に動かしていると
絞り羽根を留めているピン(ダボ)が破損する場合も多く
そうなると修理の工数は格段にかかることになります。
コニカⅢは特にダボが破損した個体を見かけることも多いので
未整備のⅢをお持ちの方は
そのあたりもよくチェックしてみることをお勧めします。

シャッター羽根や絞り羽根には油シミですが
他動作部分は逆に油切れで全体的に動きがイマイチでした。
距離計二重像にもズレが見られました。
全体の整備一式を行い軽快に動作するようになりました。
招き猫のようなレバーを2回押し下げて
チャージと巻上を行いますが
この操作も何とも楽しいカメラです。
実は私も個人的に1台持っています。
最近出番があまりありませんが
整備しているとまた持ち出したくなりました。
冒頭のお話ではありませんが
こういうカメラを持って路地とかを歩くとかなり楽しそうです。

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ニッカ5型のカメラ修理

今日、6月1日は「写真の日」です。
さぁ、カメラを持ってステキな写真を撮りに出かけましょう!
私も。。。と言いたいところですが
土曜日にお店を閉めるわけには。。。(汗)
しかしながら写真及びカメラの世界も
ここ数十年で本当に様変わりしてしまいました。
私の育った家ではじいさんが写真・カメラ好きだったこともあって
比較的幼い時期から
写真が撮れる理屈とかの基本的部分は覚えましたが
その頃から考えると、こんな何でも簡単に撮れる時代が来るとは
思っていませんでした。
。。。などと思ってはいますが
私の使っている機材や環境だと昔の写真撮影の考え方そのままで
まったく変わってはいないのですが。。。(笑)

さてさて

本日は「ニッカ5型」のカメラ修理を行っています。
ニッカカメラそのものが現在には存在しないメーカーですが
当時のカメタの主流だったバルナックライカコピーを
製造していたメーカーです。
1942年の「ニッポン」というカメラから始まり
戦後になってから「ニッカ」として
いくつものモデルを製造販売していました。
1958年にヤシカの完全子会社となり
1966年にヤシカに完全吸収合併となりました。

今回のニッカ5型は1955年に発売されたモデルです。
デザインは典型的なバルナックタイプですが
ボディはダイキャスト製です。
シャッターは1秒-1/1000の倍数系列です。
隅々までしっかり造りこまれていて
非常に質感の高いカメラです。
5型の特徴としてはフィルム装填のために
底カバーを外すと裏蓋も開けることができ
フィルム装填が非常に簡単・確実になりました。
バルナックタイプのフィルム装填は
慣れていても手こずることが多々ありますので
これは非常に良い機能だと思います。
修理を行う側としても
裏蓋が開くことで分解することなく
そのままシャッタースピードの測定等ができるので
非常に助かります。
通常のバルナックタイプだと外側カバー部から
中身を引き抜いてからではないと
測定ができずかなり不便なのです。

この時代のバルナックタイプのカメラは
基本的にシャッター幕の劣化が起こっていることがほとんどです。
今回もシャッター幕はゴム引きが一旦溶解し
また固まっているような状態で
幕が巻かれている部分は幕同士でくっついてしまっている状態の上
硬化していてとてもシャッターが走行できる状態ではありません。
この時代のカメラは例えシャッターが動作してるとしても
シャッター幕の硬化で精度が全く出ていないことも多いので
幕が交換されていない個体はまず間違いなく
シャッター幕交換が前提となります。

幕交換は日頃の整備の中でも重整備な部類となります。
写真は一通りの整備が終わったもので
これから最終チェックを行って完成となります。
装着されているニッコール5cmF2のレンズ清掃も行い
非常に気持ちよく使っていただける状態になっています。
Lマウントなのでいろいろなレンズが使えるのですが
当時、ニッカに標準装着されていたレンズは
ニッコール(当時の日本光学・現ニコン)です。
ライバルのレオタックスが
トプコール(東京光学)を標準装着してたので
ここでも「海のニッコー、陸のトーコー」の
ライバル関係が見られたわけですね

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