日別アーカイブ: 2020年8月3日

オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は8月3日ということで
「ハサミの日」だそうです。
昔から「〇〇とハサミは使いよう」と言いますが
使い方よりまず初めに
刃物類はきちんと切れるモノを使いましょう
歯が錆びついてロクに切れないものを
無理に使っているともちろん切り口も汚いですし
何よりも怪我の元です。
無理して使っていて勢いあまってカッターや彫刻刀を
指に突き刺したことが何度かありますが
一歩間違えると取り返しのつかない怪我になりかねません。
本当に道具類はちゃんとしたものを使いましょう。
ところで私は左利きなのでハサミも左手で使います。
普段使っているのは右利き用のハサミですが
子供の頃からこの組み合わせのせいかすっかり慣れてしまっています。
少し前に左利き用のハサミを買ってみたのですが
逆に使いにくくて狙ったところが正確に切れず
結局お蔵入りになってしまいました(苦笑)
仕事柄いろいろな刃物類を使います。
ハサミも大きなものから精密ハサミまで
カッターも普通のものから精密細工用、ロータリーカッター
他にも彫刻刀もたまに使いますし
刃物とはちょっと違いますがガラス切りも使います。
どれもそうですが刃が交換できるものは早めに交換
交換できないものは研ぐなり買い替えるなりで
常に気持ちよくスパッと切れるようにしておくことが大事です。
出来上がりの結果にも作業効率にも大きく影響します。
ハサミだけじゃないですね。ドライバー類だって結構な消耗品です。
先端のなまったドライバーを使っていると
ネジを舐める原因になってしまいます。
だからある程度のモノでないと困りますが
あまり高級な工具には興味がありません。
それよりもそこそこの工具を頻繁に買い替えるほうが良いと
個人的には思います。
まぁ高級な工具を頻繁に買い替えるのが
一番気持ちよいような気がしますが
なかなかそれは現実的には難しいですねぇ。。。(笑)
なんにせよ、よく切れるハサミを使いましょうね。

さてさて

本日はオリンパスペンFTのカメラ修理を行っています。
世界的にも類を見ないハーフ判一眼レフのペンFシリーズの一員です。
最初に出た初代ペンFのダブルストロークの巻上を
シングルに変更して露出計、セルフタイマーを装備したモデルです。
あ、ファインダースクリーンも異なりますね。
ペンFシリーズ共通のよくあるトラブルとしては
その独特のロータリーシャッタに関することが多いと思われます。
シャッター駆動部そのものもたまに固着等が起こりますが
多いのがガバナーに関するトラブルです。
ロータリシャッターのシャッター羽根は
円の一部が欠けたような形をしています。
(口を開けたパックマンのような。。。と
いえば同世代には通じやすいかも(笑))
その欠けた部分がフィルム室側窓を通過する瞬間が
シャッターが開く瞬間です。
なんの抵抗もなくクルンと1回転するときが最高速の1/500になり
それ以外のシャッタースピードではシャッターが開いた状態のときに
シャッター羽根の動きをわずかに止めてシャッタースピードを調整します。
ペンFの場合は1/250~1秒まで同じガバナを使って
シャッタスピードを調整しています。
通報のフォーカルプレーンシャッターやレンズシャッターだと
ガバナを使ってシャッターを止めるのはスローシャッター時だけですが
(だからスローガバナと普通は言うわけですね)
ペンFの場合は最高速以外は全てガバナが介入します。
で、一眼レフやレンジファインダー機で
「スローガバナーの粘り・固着」なんて症状をここでも良く書きますが
その構造上、粘りや固着が起きやすいのですね。
今回。お預かりしているペンFTも
数年前までは普通に使えていたのに
シャッタ-が切れなくなったということなのですが
原因はガバナの固着でした。
今回はガバナの清掃・調整で修理できましたが
場合によってはガバナを交換しないと駄目な場合も比較的多いです。

ペンFTは露出計を装備したために
ペンFでは普通のミラーを配置していた部分に
ハーフミラーを配置しファインダーに入る光の一部を
受光体(CdS)に導きます。
ハーフミラーはレンジファインダー機にもよく使われますが
劣化が激しく交換せざるを得ないことが多いパーツです。
ペンFTでも同様で今回もハーフミラーの腐食が酷く
ファインダー内でかなり目立つ状況だったので
交換で対応しています。
ちなみにペンFTでファインダー内にシミのような汚れが見える場合は
大抵の場合はハーフミラーの腐食で
ペンFで同じようなものが見られる場合はプリズムの腐食です。
プリズムの腐食はペンFのほうが多いような気がします。
(ペンFとFTのプリズムには基本的には互換性がありません)

一通り整備が終わって組み上げた状態です。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
外装も磨き上げ非常にキレイな状態になりました。
もちろんシャッターもスムーズに動作しており
精度的にも全く問題ございません、
ファインダーも非常にクリアで
露出計もしっかり動作しています。
中身の構造が独特なことももちろんですが
それに伴って外観のデザインも
他のカメラとは全く違うのがペンF系の魅力ですね。
確かに1台は手元に置いておきたいカメラだと私も思います。

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