月別アーカイブ: 2022年12月

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「観光バス記念日」だそうですよ。
1925(大正14)年のこの日に
東京乗合自動車により日本初の定期観光バスである
「ユーランバス」の運行が開始されたことが由来になっています。
ただこの観光バスは現在の観光バスのイメージとは異なり
路線バス扱いであり、途中の下車観光地から
乗車した場合の運賃も定められていたという。
当初のコースは「皇居前~銀座~上野」だったそうです。
典型的な「観光バス」って修学旅行でしか
乗ったことないかもしれません…
あ、いや…昔、社員旅行とかで海外では乗ったことあるかも…
もうよく覚えていませんが…(苦笑)
自分で運転しなくてよくて効率的に観光地をガイド付きで
回ってくれるのだから観光バスって良いですよね。
若い頃なら何が何でも自分で運転して自分でルートも考えて…って
やらないと納得しなかったでしょうが
年取ったせいもあって(笑)今なら連れってもらえる方がいいですねぇ
でもそれ以前に観光地に行きたいという意欲がありませんが…(苦笑)
それでも乗ってみたいバスはあって
生まれ育った地元のボンネットバスにはそのうち乗りたいのです。
たまに今でもイベントごとで不定期に走っていて
最近も1日だけ乗れる日があったようなのですが
とても帰れるようなスケジュールではなかったので…
懐かしい昔の市営バスのカラーリングのままなのですよ
私が幼いときにはまだ島の路線バスで
走っていたのですよねぇ…ボンネットバス…
次回のチャンスには何とか乗りたいですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
数日前にも別の個体を修理したばかりですね。
文句ナシにカッコ良いキヤノン初のフラッグシップ一眼レフです。
1971年に登場し1976年にマイナーチェンジを行っています。
基本的な構造に変更はありませんでしたが
細かい仕様変更を10か所以上行っており
より使い勝手が良くなっています。
マイナーチェンジ後の個体をF-1N、後期モデルと呼ぶことも多いです。
数日前のF-1もそうでしたが今回もマイナーチェンジ後の
後期モデルです。
個人的にマイナーチェンジでの最も大きな変更点は
巻上角の変更かと思っています。
巻上角180度・予備角30度から巻上角139度・予備角30度に変更されています。
180度と139度は操作感的にもかなり違います。
好みもあるでしょうがやはり139度のほうが巻き上げやすいと思います。
丸5年でマイナーチェンジこそありましたが
発売当初の宣言通り10年間基本的な変更はナシで生産し続けられ
1981年のNewF-1に引き継がれましたが
機械制御機という面では
キヤノン最高峰のモデルであることに変わりはありませんでした。

ご依頼者様のご指摘で露出計範囲外警告の赤いプレートが
スムーズにまっすぐ出てこなくて
ファインダー内露出計に斜めにかぶさってくるとのことでしたが
ここは劣化で取り付け部分がズレてしまっているのが原因でした。
加えてその影響もあってか
絞り連動の〇指針の取り付けもズレていたので修正を行いました。
そのあたりはそれほど大きな問題ではなかったのですが
やはり今回もシャッター周りに少々厄介なトラブルを抱えているようです。
数日前のF-1のように明らかなシャッターバウンドは見られなかったのですが
高速シャッターの精度が出ていない上にやたらと不安定だったのですが
横走り機でよくある幕速バランスの崩れかと思いきや
それだけではなく今回も幕ブレーキ周りに問題を抱えていました。
ブレーキライニング周りにかなりよごれも溜まっていましたが
それだけではなくやはり幕ブレーキのライニング自体が劣化で
本来の役目を果たせないような状態でした。
ライニングの整備を入念に行った上で
シャッターの調整は根本的に見直す必要がありました。
おそらく過去に幕ブレーキ・幕軸の整備なしで
幕速調整だけで何とかSSを揃えようとした経緯があるのだと予想され
その調整の悪影響もあり本来の設定になっていなかったものと思われます。
高速シャッター設定のみならず
スローガバナの連動も含めて根本的にやり直したところ
やっと安定して全速問題のない精度にまとめることができました。

画像は整備後でレンズは当店のテスト用レンズです。
外装もできる限り磨き上げよりカッコ良くなったと思います。
しかしながらF-1もなかなか一筋縄ではいかないカメラです。
基本的な機械部品の堅牢性は高いと思いますが
調整にデリケートな部分が多いと思います。
幕ブレーキ関連は毎度のことながら苦労させられますね。
でも今回も問題ないレベルに仕上げられました。
ご依頼者様には存分にお楽しみいただければと思います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「南極の日」だそうですよ。
1911(明治44)年のこの日に
ノルウェーの探検家ロアール・アムンセンと
4人の隊員が世界で初めて南極点に到達したことに由来しています。
もはや寒いのが近年すっかり苦手になってしまって
北極南極なんて考えただけでも凍り付きそうです(笑
身体冷えると血圧上がりますからねぇ…こわいこわい…
南極大陸って世界地図でも当然端っこで馴染みがないのですが
相当大きくてオーストラリアの約2倍
日本の37倍もの面積があります。
氷で覆われていますが平均海抜も最も高い大陸で
最も標高の高いのはビンソンマシフ山で
標高4,892mだそうです。
ただし平均海抜が高いのは
3000mを超える氷河におおわれているせいだそうです
…それでなくても寒いのに標高4800m超えって
どんな世界か想像もつきません…
ちなみに記録に残っている世界で一番の寒さ(世界最低気温)は
1983年7月21日に南極のボストーク基地で観測された-89.2℃です。
ポストーク基地の標高は標高3,488mだそうです。
でも沿岸部に位置している昭和基地(標高28.8m)だと
夏には雪が融け、年間平均気温-7.6℃だそうです。
でも最低気温は -45.3℃なので寒いことには間違いないですね
何だか寒い話ばかりしていると
足元がより冷え込んできたような気が…(笑

さてさて

今日は(も?)「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今回のOM-1はフィルム室にスタッドが4本立っていて
それに伴ってフィルム圧板の左右の長さも短い
初期モデルです。
ネーミングこそ「OM-1」ですが中身は最初期の「M-1」とあまり変わりません。
ただ今回の個体は過去に修復歴や整備歴があるようで
カバー部が破損しやすい巻上レバーは中期以降の「OM-1」のものに
変更されていて内部の露出計回路も一部改良されているようです。
プリズムも交換されているものと思われます。
プリズム接眼部の悪しきモルト貼りも対策が行われています。
とはいっても整備が行われたのは随分昔の話だと思われます。
シャッターは動作していますが少々動きが悪く
精度の面でもそのままでは問題がある状態です。
ご依頼者様からご指摘をいただいているのは露出計に関してで
露出計の指針は精度はともかく一応動作していて
SSダイヤルを動かすとそれに伴って露出計の指針も動きますが
レンズ側の絞りを回しても全く指針が連動しないようです。
レンズ側絞り設定レバーと連動するマウント部の絞り連動部を
早速チェックしますが絞り開放の位置に押し込まれたまま
レンズを外しても全く連動爪が戻ってこない状態です。
構造としては開放側に絞りを回すとレンズ側の連動レバーに押されて
ボディ側連動爪が押し込まれていき
レンズ側が最少絞り側に回されるとバネの力でボディ側連動爪が
戻っていくような造りなのですが
バネが効いていないのか押し込まれたままで戻ってこず
指で戻すと戻ってくる状態です。
ただ、指で戻しても露出計指針は連動しないようです。
…ということは、バネで引っ張られる連動糸が
内部で絡まっている可能性が高いような気がします。

連動糸はマウント側からの分解でもSSダイヤル側は
一部確認はできますが絞り連動側は
ミラーボックスをまずは外さないと様子がうかがえません。
で、まずはここまで分解するのですが
やはり連動糸がプーリーから外れて絡まってしまっています。
まずは切れてなくて一安心です…
絡まったままになっているせいで戻す方のバネが
これでもかといわんばかりに引っ張られて辛そうだったので
まずは絡まっている糸を早急に外し
再度プーリーに通して微調整を行います。
部品破損等はなく何とか修復できそうです。
プーリーやガイドに汚れが付着してるのが原因と思われますので
該当部分も含めて入念に清掃を行います。
少々動きが悪い幕軸や幕上げ機構、底部三連ギアも念入りに
清掃を行っていき、その上で調整を行っていきます。
最後にファインダー清掃や電気的な露出計調整も行います。
今回も問題ない状態に仕上げることができそうです。
OM-1はなかなかデリケートな部分が多いので
常に気を抜かずに作業を行っていきます。

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キヤノンVLのカメラ修理

今日は「バッテリーの日」だそうですよ。
バッテリーと聞いてついつい「野球かな?」と思ったのですが
ここでいうバッテリーは電池のことですね。
でも日付の由来は野球のバッテリーの守備位置が
数字で「1」と「2」と表されることからだそうです。
もともとこの日は「カーバッテリーの日」だったのだそうです。
ちなみに約1ヶ月前の11月11日も「電池の日」だったりします。
カーバッテリーもそうですし
カメラ用の電池もそうですが
この季節になると低温になる影響で電圧が落ち
本来の性能を発揮できなくなることが多くなります。
特に厳冬期に屋外で使用する際には注意が必要です。
クルマのバッテリーの場合は本格的に寒くなる前に
バッテリーの点検を行っておいたほうが良いかと思います。
街中で少しの距離しか乗らずにエンジンを切るような使い方を
繰り返しているとバッテリーに十分な充電もされず
かなり負荷がかかってしまいますものね。
カメラのバッテリーも特に電子制御機だと
安定した電圧が供給されないと動作不良を起こします。
厳冬期の屋外だと完全に防ぐのは難しい場合もありますが
なるべく新しくて高性能な電池を使用することをお勧めします。
そういえば今日は「漢字の日」でもありますね。
…ということは午後には「今年の漢字」が発表されるのですね
もう「流行語大賞」と「今年の漢字」は
あまり意味がないような気が…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンVL」のカメラ修理を行っています。
キヤノンのレンジファインダー搭載のフォーカルプレーン機は
「Ⅳ型」までがいわゆる「バルナックタイプ」で
ライカM3の登場に触発されてダイキャストを一新して造られたのが
「VT」を最初とする「Vシリーズ」です。
「VT」、「L1」、「L2」、「VT Deluxe」、「L3」
「VL」、「VL2」と普及型も含めていろいろなモデルが発売されました。
今回の「VL」は「VL2」と同時に1958年に発売され
「V型」の中では最終機となるモデルです。
「VT Deluxe」からさらに進化したファインダーはよりクリアになり
「VT」ではないので巻上は一般的なレバー式となり
シャッタ最高速は「VT Deluxe」同様に1/1000です。
キヤノンお家芸の3段階変倍ファインダーを装備します。
「VT」以降のモデルの特徴として変倍ファインダーに
35mmフレームが内蔵されています。
また「L1」以降のモデルはこれもキヤノンお得意の
ステンレス幕が採用されています。
確実に年々進化していることがよくわかります。
使い心地や使用感もよく
実用性を考えても明らかに使いやすいカメラに仕上がっています。

お預かりしている「VL」は
何はともあれシャッターが全く切れない状態です。
もちろん巻上もできません。
金属幕機なのでシャッター幕関連のトラブルではなく
何かしら巻上機構が固着しているか
噛み合わせのタイミングがおかしくなっているものと予想しますが
分解してみるとやはりまずは巻上ロック機構が固着
よくあるレバーのロックがかかったまま…というわけではなく
巻上完了後に幕ドラムのロックがうまくかからず
正しく巻上完了とならないようです。
さらにやはり固着した関連で巻上のかみ合わせタイミングが
おかしな位置関係になっていてレリーズもできない状態です。
元々の原因は汚れと油切れによる固着で
それに関連してタイミング等がおかしくなってしまっているようです。
まずは分解して各部品を清掃・必要最小限の注油を行い
組立の際に正しい位置関係に修復していきます。
それで何とかシャッターは切れるようになり
幕軸等他部分の清掃・注油を行った上で各部調整を行っていきます。

シャッターは精度も含めて非常に快調な状態に復活しています。
ファインダーもできる限りの清掃と調整を行っています。
組み合わせてあるレンズは当時セットで販売されていた
50mmF1.2の大口径レンズです。
こちらも絞り羽根に油滲みがかなりあったため
絞り羽根の清掃を行い、レンズもできる限り清掃を行いました。
絞り羽根はもちろんのこと
レンズも実用に問題ないレベルにクリアになっています。
非常に気持ちよく使える状態に仕上がっていると思います。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「百円玉記念日」だそうですよ。
1957(昭和32)年のこの日に
日本で初めて百円硬貨が発行されました。
戦後初めての銀貨だったそうです。
当時の百円玉の素材は主に銀(銀60%・銅30%・亜鉛10%)でした。
それまでは100円紙幣が使われていたのですね
(確かに自宅のの荷物のどこかに1枚あったような気が…)
1967(昭和42)年に現行の百円硬貨が発行されるまで
デザインの変更はありましたが素材は銀貨のままでした。
現行の百円玉の素材は白銅(銅75%・ニッケル25%)です。
金貨とか銀貨って何となく憧れますね。
金銀の価値が昔より高価になっているので
とても現実的ではないのでしょうが…
今だと1000円銀貨とか10万円金貨とかになるのでしょうかね…
それはそれでアリな気も…(苦笑)
百円玉ってなんだか子供の頃から馴染み深いような気がします。
小学校低学年のときの週のお小遣いが100円だったからかな(笑
毎週水曜日に百円玉1枚もらってそれを握りしめて
近所の駄菓子屋に通ってました…
駄菓子買ったり銀玉鉄砲の玉買ったり
スーパーボールのクジ引いたりしていましたねぇ
その頃あった地元の駄菓子屋はさすがに全てなくなっていますし
さらに小学校も合併でなくなってしまいましたが…
たまに地元に帰ったときにそのあたりを散歩すると
おぼろげながらその頃のことを思い出します。
キャッシュレス化も進んでいるし貨幣の価値は変わりましたし
百円玉を握りしめてお店に行くこともなくなりますねぇ

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月もちょくちょくOM-1の修理が予定されています。
さすが機種別依頼数ナンバー1のカメラです。
コンスタントに修理依頼が入っていきます。
それだけ人気がある証拠ですよね。
OM-1とペンタックスSP系が圧倒的に依頼数が多いと思いますが
修理依頼が多いのは単に人気と現存する個体数が多いからで
決して壊れやすいカメラだからではありません。
ただどちらも登場から50年以上経過するカメラで
さすがに整備もされず使いっぱなしな個体であれば
何らかのトラブルを抱えているものが多いと思います。
さらにOM-1の場合は同時代の他カメラでは実現できていなかった
小型化を推し進めたカメラなので
機構的に独創性も非常に高く
多少経年劣化に弱い部分もあるため
なおのこと修理依頼が多くなってしまうのではないかと思います。

お預かりしているOM-1は
まず露出計が電池を入れてSWオンにしても
全く動きません。
加えて各部の動きが全体的に悪く
巻上やSSダイヤルの動きも妙に重いです。
低速スローシャッターは元気ですが
高速シャッターの精度も幕速バランスの崩れで今一つです。
心配されるプリズムはファインダー視野の隅に
少し大き目な点腐食があるものの
それほど気になるほどではございません。
毎度定番のモルトによる大きな腐食はありません。
分解してみてわかりましたがモルトは貼ってあるものの
明らかに以前に交換しているものと見受けられます。
それ以外にもきちんとした手順で
あちこちに手が入った形跡がありますが
これもずいぶん昔のことだと思われます。
全く未整備な状態よりかは良いですが
さすがに再度全体的に手を入れなければならない状態になっています。

MD非対応の前期モデルですが
フィルム室スタッドは片側2本なので
初期モデルではありません。
あまり初期のモノはいろいろとデリケートな部分が増えるので
作業により神経を使います。
露出計不動の「主な」原因はOM-1ではありがちの
ON/OFFスイッチの接触不良でした
接点の清掃及び磨きである程度は動作するようになったのですが
まだ妙に不安定で様子を見ているうちに
たまに再び全く動かなくなったりします。
まだ他にもおかしなところがあるな…と
テスターでいろいろ当たりながら調べていくと
メーター本体からのアースが接触不良で動作が安定しないようです。
ここはもう少し分解を進めないと根本的な対処ができないので
原因もある程度確定したので先に分解を進めて
シャッターや巻上、そして底部3連ギアあたりの整備を先に行います。
慣れていても毎度思いますが
OM-1はなかなか一筋縄ではいかない
ちょっとややこしいカメラです(苦笑)

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「ベルトの日」らしいですよ。
ここで言うベルトは普段ズボンに通すベルトです。
日付は奈良の正倉院に収蔵されている
日本最古のベルトの本体に紺玉の飾りが付けられており
紺玉は12月の誕生石のラピスラズリのことなので12月
12月に流れるクリスマスソングの「ジングルベル」の「ベル」に
10日の「ト」を組み合わせて「ベルト」とする語呂合わせからだそうです。
お、おう…なかなかに強引な…(笑
ベルトをギュッと締めると何だか気合入りますよね!
無理に締めすぎてかがんだ瞬間に破損させたことが
過去に何度か…(苦笑)
いや、私もここ20年以上…ちょっとお腹周りが太すぎるのですよ…
実は「そろそろええ加減にせんにゃいけん!」と思って
夏くらいから摂取カロリーの制限と管理を始めてて
その効果もあって少しばかり体重落ちてきて
明らかにベルトの位置も変わってきてはきたのですが
いやぁ…まだまだですね…ここ20年数年で積み重ねてきた
体内脂肪がなかなか半端ない…
それにお腹周りは他の部位に比べても落ちにくいので
まだまだ当分努力が必要なようです。
でもおかげさまで食べる量は少なくて済むようになっているし
頭のリハビリも兼ねた毎日の運動はちゃんと継続しているし
このままあきらめずにがんばります!

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
ここでも何度も取り上げていますが
1971年に発売されたキヤノン初のプロ指向のフラッグシップ機です。
開発は1965年に各部門から24名の人員を集め
悪条件下の酷使に耐えぬく信頼性を第一の目標として
開発がスタートしたそうです。
測光機能の拡大や全システム無調整互換機能
マイナス30℃からプラス60℃までの温度域に耐える環境性能等が
開発の焦点となりました。
そうして「F-1」は発売当初から本体とアクセサリー類を含む
システムカメラとしてデビューしました。
この分野で圧倒的にリードしていたニコンF/F2に
一気に追いつき追い越すたことを使命とされたカメラでもありました。
性能も風格もフラッグシップに相応しい中身を備えた
「F-1」は現在でも非常に人気の高いカメラです。
フラッグシップだけあって非常に丈夫なカメラでもありますが
やはり本来の姿で撮影に使用するためには
定期的なメンテナンスも必要です。
シャッター等の基本的な部分は非常に堅牢に造られており
そうそう動作不能に陥ることはないですが
気づかないうちに本来の精度を失っている個体も多いと思います。

お預かりしているF-1もシャッターは元気に切れているのですが
測定機にかけてみると中速域での精度がおかしなことになっています。
写真で言うと端っこの一部だけが露光が極端に足らない状態です。
横走り機でよくある先幕・後幕のバランスが崩れて
後幕が追い付いてしまうような状態とも異なります。
幕速のバランスはそれほど悪くありません。
どうやら先幕が走行完了時にバウンドしてしまっているようです
一旦走行の完了した先幕が跳ね返ってわずかに戻ってくるようです。
そのため中速域でのみ写真片端の露光不足が出るようです。
これが1/500・1/1000・1/2000あたりの高速域だと
バウンドして先幕が跳ね返ってくる前に後幕が閉じてしまうので
症状が出ないのですが中速以下のシャッターでは影響が出てしまうのです。
原因は幕ブレーキの劣化・損傷です。
実はF-1やFTbあたりではこの幕ブレーキを起因とする
シャッターバウンドは定番のトラブルです。
先幕がバウンドすると片端露光不足になり
後幕がバウンドすると片端露光過多になります。
先幕がバウンドしてしまうほうが症状としては多いと思います。
F-1は基本的には非常に堅牢な造りをしていますが
この幕ブレーキに関しては
明らかに定期的に交換整備が必要な構造をしています。
使用されていた環境にもよりますが
幕ブレーキのライニングがボロボロになっている個体は
結構多いかと思われます。

画像は一通り整備の完了した状態でのものです。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
シャッターの精度は高速から低速まで全く問題のない状態になりました。
幕ブレーキ以外にも油切れや積年の汚れ等で
動きが今一つな部分も多かったのですが
シャッター・ミラー駆動部・巻上機構
それぞれ非常にスムーズに動作する状態になっています。
巻上フィールはF-1独特の少々ゴリゴリした感じですが
シャッター音はキヤノンらしいアタックの効いた
非常に歯切れの良い気持ち良い音が出ています。
しかしながら毎度言いますが何と言ってもF-1の最大の魅力は
この洗練されたスタイリングですね。
低く構えたペンタ部が文句ナシにカッコ良いです。
ブラック一択にしたのもキヤノンらしいですが
これも明らかに正解かと思います。
個人的にはこのF-1+旧FDレンズの登場以来
キヤノンは「黒&赤」のイメージです。

少し動きが落ち着くまで様子見をしている段階ですが
これから最終テストを行い
問題なければ完成となります。

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オリンパスペンDのカメラ修理

今日は「マウスの誕生日」だそうですよ。
ここでいうマウスは実際に生きている動物のマウスではなく
トムとジェリーのジェリーでもなく
パソコンで使う「マウス」のことだそうです。
1968(昭和43)年12月9日に
アメリカの発明家で「ITの父」ダグラス・エンゲルバートにより
マウスやウインドウ、ハイパーテキストなど
後のPCやインターネットの歴史の出発点ともなる
デモンストレーションが行われたことに由来しているそうです。
マウスの普及ってwin3.1あたりからですかね?
日本では1993年頃ですねぇ
この頃からパソコンにおけるGUI 機能が強化されて
今の形に近くなったのですよねぇ
もう随分昔のような気が…
まだまだPCの世界ではマウスは必須ですが
スマホやタブレットにタッチパネルが当たり前になったように
そのうちマウスも「昔はそんなもの付いてたねー」なんてことになるのかな…
ノートPCとかのポインティングデバイスもいま一つでしたし
まだ当分は大丈夫な気がしますが…
使われる道具…特にインターフェイス系のものは
時代ととともに変わっていきますよねぇ
いい歳になってくると
昔ながらのモノに固執したくなるのですが…(苦笑)
あ、でもマウスでできる操作の多くは
ショートカットキーを多用したほうが
慣れると早いし簡単なのですが…

さてさて

本日は「オリンパスペンD」のカメラ修理を行っています。
「ペンD」の「D」は「デラックス」の頭文字です。
このあたりももはや時代を感じますね…
ペンシリーズはまず1959年に無印の「ペン」が発売され
その後、高級版の「ペンS」が追加となりました。
そして1962年に最高級版といえる「ペンD」がさらに追加となります。
Fズイコー3.2cmF1.9の大口径レンズを搭載し
シャッターユニットはコパルXで最高速は1/500
さらにセレン光電池使用の露出計まで搭載します。
この時代としてはハーフ判のみならず
レンズ固定式カメラとしては最上級の装備です。
ハーフカメラなのでさすがにピントは目測ですが
35mm判であればこれに距離計があればいわゆるフル装備ですね。
マニュアル系のペンとしては正に最上級のグレードになります。
その後、受光体はCdSに変更され「ペンD2・D3」へと
モデルも変遷しますが
セレン劣化の心配があるとはいえ電池不要の初代ペンDは
やはり魅力的なカメラです。

セレン光電池の劣化が心配…と書きましたが
今回お預かりのペンDは若干オーバー気味ではありますが
実用的には全く問題のないレベルです。
調整できる範囲も狭い上に
固体によっては全く起電できないモノも多いので
やはりここが一番のウィークポイントだと思います。
ただし、ペンDの場合はボディ側と全く連動がなく
露出計に表示されるLV値を読んで
絞り・SSリング連動のボディ側LV値を合わせる方式なので
露出計がダメならば外部露出計を使えば
ボディ本体側の機能には全く問題がないのは良いところです。
ただせっかく付いていてボディ上面に大きな表示窓がある
露出計が使えないとちょっと寂しいですよね(苦笑)
いずれにせよ今回はその心配はしなくて良さそうです。

ただ今回のペンDはおそらくかなり長い間
使われずに仕舞い込まれていたものらしく
レンズやファインダーのカビ、外装の汚れ
シャッター、絞り羽根の動き等々
全体的にかなり問題も多い個体です。
致命的な破損個所とかはないものの
全体的に一通り整備を行い
リフレッシュしてやらないと快適には使えそうにない状態です。
もちろんモルトも全滅です。
ペンDに限らず底板を取り外すタイプのペンは
蓋側底部のモルトが劣化するとすぐに光線漏れを起こすので
今回の個体も普通には撮影できない状態と思われます。

これだけいろいろ汚れていると
ある意味やりがいがありますね!
でも凹みや大きなキズはないのです。
キレイに仕上げればかなり良い状態になるのではと思います。
まずは取り掛かったばかりですが
機械的な部分やレンズからしっかり清掃・調整を行っていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「クリスマスツリーの日」だそうですよ。
1886(明治19)年のこの日に
横浜・明治屋に日本初のクリスマスツリーが飾られたとされているそうです。
実はこれ以前にも日本においてクリスマスツリーが
飾られていたという情報もあるそうですが
はっきりした記録が残っていないようです。
子供の頃は家でクリスマスツリーの飾り付けに
夢中になりましたねぇ
いや…大人になっても若い頃は
結構喜んでやってたな(笑
いまや全く持って縁遠いものになってしまいました(苦笑)
でも街に出ると
あちこちで大きなツリーをみかける季節になってきましたね。
クリスマスを感じる…というのもありますが
「今年ももう年末かぁ…」と思ってしまいますね…
ほんと今年もあっという間に終わりそうです…

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
M42マウントのペンタックス機を代表するカメラですね。
いろいろレンズ遊びができる…という点で
現在でも人気が高く使っている方も多いカメラだと思います。
でも現行モデルだった当時の人気はこんなものではなく
雑誌のフォトコンの入選作品のほぼ全てが
SPで撮られたものだった…なんてことも珍しくなかったようです。
絞り込み測光とは言え使いやすいTTL測光の露出計を内蔵し
交換レンズの豊富なM42マウントで
当時としては比較的お求めやすい価格…ということもあり
大ヒット商品となった一眼レフです。
そのため現存している個体数も非常に多いですが
コンディションは千差万別で
整備済みのバリバリに使えるものから
シャッターすら切れずボロボロになったジャンクまで
いろいろなものが市場に溢れています。

今回お預かりしているのはちょっとめずらしいブラック塗装のSPです。
外装はそれなりにスレやキズもありますが
かなりキレイなほうだと思います。
上カバーに比べて底板がかなりキレイなので
ほぼケースに入れて使っていたのではないかと思われます。
シャッターも一応は切れているのですが
低速シャッター時にミラーアップしたままになってしまいます。
ペンタックスM42機ではよくある症状ですね。
毎度書きますがミラー駆動部の動作不良の可能性も多少ありますが
大抵の場合はシャッター幕の走行不良が起因となっています。
後幕がキレイに走り切らないためミラーダウンレバーを
十分な力で蹴れないのが原因です。
先幕の力も借りて勢いのある高速シャッタ時には何とか蹴れても
スロー時にはうまく蹴れなくなる状態です。
そんな状況なので高速シャッターの精度も
当然ながら出ていません。
幕軸の清掃と注油を行い動きを良くしてから調整が必要な状況です。

いずれにしても修理・調整が必要だろうと思って
受付時には露出計のチェックを行っていなかったのですが
整備前に一応現状をチェックしておかなくては…と
まずは電池を入れようとしたら…
電池室の蓋が固着していてビクとも開きません…
これは力任せに無茶をすると蓋側を舐めてしまうので
溶剤と潤滑油を使って時間をかけて開けていくしかありません。
底板は外しておいてその間に他部分から取り掛かります。

SPもプリズム腐食の非常に多いカメラですが
今回はそこの心配は不要でした。
ただしシャッターのみならず
全体的に機械部分の動きが古い油や溜まった汚れで良くありません。
ここからさらに分解を進めて清掃整備を行います。
電池室の蓋はかなり時間がかかりましたが
まずは無事に外れました。
中から真っ黒に腐食した水銀電池が出てくるのではないかと思いましたが
幸運にも中は空でした。
ただし電池室蓋のネジ部にはびっしり緑青が付いていて
これが固着の原因になっていました。
当然ながら電気は通りません。
ここも普通に導通するように処置していきます。
配線にも若干の劣化はあり交換しますが
電池室の状況に比べると全然まともな状態です。
機械的な部分の整備を行った後に露出計の調整も行っていきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「アルバムの日」だそうですよ。
一年最後の月の12月はその年の思い出を
アルバムにまとめる月。
そして「いつか時間が出来たら」「いつか子どもが大きくなったら」
「いつか、いつか…」と後回しにされることなく
アルバムづくりをしてもらいたいとの願いを込めて
その5日(いつか)を記念日としたものだそうです。
なかなか考えられた由来ですね。
制定したのはフエルアルバムでお馴染みの
ナカバヤシ株式会社さんです。
製本されたアルバムで保存することも時代的に少ないかもしれませんが
やはり紙の写真で残されたアルバムは味わい深いですね。
私も実家を引き払ったときにたくさんのアルバムを
自宅に持ち帰りましたが眺め始めるとキリがありません(笑
一生懸命私の写真を撮ってくれたじいさんにも感謝ですが
今となっては自分自身の写真よりも
一緒に写っている友達やクラスメイトの写真や
たまに写っているじいさんやばあさんの写真、
私のアルバム以外のじいさんの職場等での写真、
私の写真の背景の懐かしい風景や建物等に目が行ってしまいます。
何十年も経つと写っているもの何もかもが愛おしいですねぇ
残念ながらネガが残っているものはわずかだけで
プリント写真しか残っていないのですが
これからも大事にしまっておこうと思います。
たまに引っ張り出すのがまたいいのですよね…

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコンは最初の一眼レフにトップモデルとなる
「F」を発売し、いわゆる普及機として
ニコレックスシリーズを発売しましたが
これがいろいろな意味で成功とは言えない結果に終わり
そのあたりの反省点を活かして誕生したのが
ニコマートシリーズとなります。
シャッタユニットはコストを抑える意味もあり
コパルスクエアを採用し
前板やミラーボックスの造りも簡略化されています。
しかしながら以前の一部のニコレックスとは異なり
開発製造は自社内で行われ
その結果、当時のニコンらしい非常に精度の高い堅牢なカメラとなっています。
ニコマートシリーズは機械制御シャッターの「FT系」と
電子制御シャッターの「EL系」に大きく二分され
今回は機械制御の最初の「FT」の
改良版にあたる「FTN」です。
開放F値補正操作(いわゆるニコンのガチャガチャ)が採用され
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了します。
(それまでは都度ダイヤル設定が必要)
加えて平均測光から中央部重点測光となりました。
「FT系」のニコマートの中で最も生産されたモデルです。
現存する台数も他のFT系モデルに比べても圧倒的に多いと思われます。
作動音が全体的に騒々しいのが少々玉にキズですが
元々のコパルシャッターの信頼性の高さに加え
ニコンクオリティの造りこみ精度の高さが加わり
F一桁機ほどではないにしろ非常に丈夫なカメラに仕上がっています。
登場から50年以上経過した現在でも
細かい精度はさておき
とりあえず動作している個体が多いことにも驚かされます。

お預かりしている「ニコマートFTN」は
ご依頼者様が当時から所有しておられる個体です。
ただここ数十年は仕舞い込まれたままで
まったく動作させていなかったものと思われます。
それでもとりあえずシャッターはきちんと作動しているのは
やはり驚きですね。
しかしながらシャッタースピードの精度にさすがに難はあり
それよりも巻上が古い油や汚れが抵抗となり
非常に不自然に重いこととファインダー内にカビが大量に発生しています。
露出計はさすがに動きませんがこれもSW部等の接触不良とみられ
致命的な故障ともいえない状態かと思われます。
プリズムに劣化があり多少ファインダー内に影響が出ていますが
キレイに清掃すればそれほど気にならないレベルかと思われます。
いずれにせよ、一通りの整備を行えば
問題なく使用できる状態には仕上げられそうです。


ファインダー内のSS表示も「FTN」の特徴の一つですが
それが実際のダイヤルの値とはズレてしまっています。
(1.5段ほど)調整箇所はあるのですが
勝手にズレる箇所ではないのでおそらくはプーリーから
連動糸が外れているとかかな…と思いつつ分解したところ
やはり糸外れが原因でした。
今回の個体は過去に分解歴が全くないようなので異なりますが
余談ですが、これとは違うパターンでシャッターユニットのSSと
ダイヤルのSSがズレている場合があります。
(例えばダイヤル・ファインダー表示は
1Sなのに実際に切れるのは「B」とか)
それは以前の分解時(ミラーボックス脱着時)の再組立て時に
位置をずらしてしまっていることが原因です。
これもニコン機はこのあたりが良くできていますが
ミラーボックスを再び脱着しなくても
嚙み合わせが前板窓から調整できます。さすがですねぇ…

画像には写っていませんが装着されていた
35mmF2レンズもカビが大発生しており
できる限りの清掃を行います。
加えてピントリングが完全に固着していて
ビクとも動かない状態なので
ヘリコイドの整備も合わせて行います。
かなり長い間眠っていたダメージがそれなりにありますが
再び快適に使えるようにしっかりと整備を行います。

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オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日は「血清療法の日」だそうですよ。
1890(明治23)年のこの日に
北里柴三郎とエミール・ベーリングが連名で
破傷風とジフテリアの血清療法の発見を発表したことに由来しています。
血清療法と言えば個人的にイメ―ジするのは
マムシやハブなどの毒蛇に咬まれた時…なのですが
ベーリングさんはジフテリア
北里さんは破傷風の研究をしていたのですよね。
私が幼い頃は「破傷風」ってまだまだよく聞く
怖い病気でした。
傷から破傷風菌が体内に入り感染するので
転んで膝や肘を擦りむいたりすると
「破傷風になったらいけんけぇすぐに赤チン塗って!」って
ばあさんによく言われていた記憶が…(苦笑
そりゃ子供だし真冬以外は半ズボンでいることが多いから
そりゃよく転んで膝を擦りむいていましたよ
当時の写真を見るといつも膝は赤チンで真っ赤でした(笑
破傷風は三種混合ワクチンの普及で
現在では先進国では発症の報告は少ないそうです。
でもそこら辺中の土の中に破傷風菌はいるのですよねぇ
そう考えると怖いですね…
これを書くために破傷風のことをちょっと調べたのですが
その発症後の症状や致死率を知って軽くショックでした…
そう考えるといろいろ自然界には
まだまだ怖い感染症はたくさんあるのですよね…

さてさて

本日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
前モデルのOM-1を含むと圧倒的に修理依頼の多いカメラです。
今月も数台予定が入っていますね。
「1N」は1979年に発売となった
「OM-1」のマイナーチェンジモデルです。
機能的には 専用アクセサリーシューとフラッシュ使用時に
フラッシュ充電完了表示確認、フラッシュ適正発光表示確認が
ファインダー内で可能になったくらいで大きな変更はありません。
内部機構的には結構な部品や露出計回路の変更等が行われていて
意外と「1」との互換性がない部分も多いです。
改「良」されているので良くなっているのは当然で
特にトラブルの多い露出計SW部は大きく変更されています。
ただ…いや独り言ですが…露出計のアース部分は以前の方が
整備性が良くて助かったかなぁ…
ちょっとアース不良も起こりやすいのですよねぇ(苦笑)
シャッターや巻上等の基本的な構造は以前の「1」から変更ありません。
ただしミラーボックスのリンク部等は一部変更になっているので
少しばかり注意も必要です。

お預かりしている「OM-1N」はまずシャッターが切れません。
フィルム室から幕位置で判断する限りシャッターはチャージされています。
レリーズボタンは押し込めない状態で
レリーズボタンを使わずに
底部から強制的にシャッターを切ろうとしても切れません。
OMでこういう場合はまぁ大抵そうなのですが
トラブルの多い底部三連ギアの位置関係を見てみると
やはりかみ合わせが狂ってしまっています。
幕位置的にはチャージ完了なのですが
巻上機構としてはチャージ完了に至っておらず
レリーズできない状態です。
三連ギアの位置関係が狂っていて後にも先にも動けないため
巻上が完了にならない状態です。
ここの三連ギアはOMの大きな特徴でもありますが
巻上完了時に瞬間的にギアの噛み合わせが外れ
巻き上げた分、三連のうちの二つのギアが
小さなバネの力で逆回転して元に位置に戻る仕組みなのですが
汚れ等でギアの動作不良が起こると簡単に噛み合わせが狂い
ジャムってしまいます。
動きが悪いからと言ってここに注油するのは厳禁で
逆に油の粘りでより動作不良を起こしてしまいます。
単純に汚れのないサラサラな状態で
動きの良い状態ではないとなりません。
このあたりはやはりOMはデリケートにできていますね…

高速シャッターが不安定な場合も三連ギアが原因の場合があります。
今回は幕軸も汚れがそれなりに溜まっていて
三連ギアの状況が良くなっても
高速シャッターで精度が出ない状態だったので
その辺りの整備を含んで一通りの整備を行っていきます。
露出計も前述したアースの関係で少々不安定なので
対策を講じていきます。
以前にプリズム腐食を対策した痕跡があり
心配されるプリズムの状態は問題ないようです。
当分安心して使っていただけるように
入念に仕上げていきます。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「カレンダーの日」だそうですよ。
1872(明治5)年に太政官布告で
太陽暦が採用されることとなり
明治5年12月3日(旧暦)が
1873年(明治6年)年1月1日(新暦)となったことに由来しています。
切替時は大変だったでしょうね…
いきなり暦が1ヶ月近く進んでしまうわけですから…
でもこのおかげで明治維新以後、
行き詰って余裕のなかった政府の財政回復ともなり
新暦に移行することで、その年は閏月を含む
2ヵ月分の人件費を削減することができたそうです。
このあたりも現在同じことが起きれば大パニックになるでしょうね
さすがに新暦以降から150年経過した現在では
もはや旧暦を意識することはほとんどないですが
昔ながらの年中行事等では旧暦の影響も多少残っています。
七夕なんて明らかに新暦7/7だと季節にそぐわないですものね(苦笑)
季節的に来年のカレンダーの準備も必要になってくる頃ですね
来年の壁掛けカープカレンダーは既に入手済みです(笑

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
1974年発売の中級機です。
1960年代から70年代にかけてSRシリーズからSR-T系の
機械制御シャッター機で順調に推移していたミノルタ一眼レフですが
さらに次世代を見据えて機械制御のSRシリーズから
電子制御のXシリーズへと大きく舵を切っていきます。
そこで最初のXシリーズとして発売されたのが
ミノルタとしては初のプロ向け高級一眼レフとなる「X-1」です
その「X-1」登場の翌年に今回の「XE」が発売となっています。
「X-1」は、これまでのノウハウを有効に活用できる
布幕横走りシャッター機でしたが
「XE」は新たな試みともなる金属羽根縦走りシャッター機です。
それまでの縦走りシャッター機というと
ユニット化されたコパルスクエアを採用したカメラが
既に数多く出ていたのですが
「XE」はコパル、エルンスト・ライツと共同開発した
コパルライツシャッターを搭載しました。
このシャッターユニットのおかげで
「XE」ならではの心地よい使用感と高信頼性を得ています。
ミノルタ中級機としては初のAE搭載機でもあります。
抜群の使用感と使い勝手の良さが売りのカメラです。
この時代ならではの少々大柄で重いボディではありますが
非常に使っていて気持ちの良いカメラとして根強い人気のカメラです。
私も個人的にこの「XE」をメインに使っていた時期があって
出番は減ったものの今もしっかり所有しています。

今回お預かりの「XE」は正確に言うと北米輸出仕様の
「XE-7」です。モデル名ロゴが「XE-7」であること以外は
国内仕様の「XE]と違いはほぼありません。
これとは別に欧州仕様の「XE-1」もたまに見かけますが
こちらは生産時期によるのかもしれませんが
アイピースシャッターが省略されていたりするようです。
外観も非常にキレイな状態で
動作も一通りは動くのですが
「XE」最大の魅力でもある「巻上」がスムーズではなく
妙に引っかかるような感触があります。
そしてたまにですが巻上完了時に
レバーが戻ってこれなくなることもあるようです。
巻上機構部の汚れあるいは油切れによる動作不良と思われます。
そして露出計・オートもどうさはしてはいるのですが
少々不安定で値もあまりよろしくありません。
これはいつもの絞り連動・ASA連動の摺動抵抗の汚れと思われます。

画僧は本格的な分解に取り掛かる前に撮ったものです。
XEといえば最も心配されるのは最大の持病ともいえる
プリズム腐食ですが
今回の「XE-7」はファインダー内もキレイで
おそらく以前に対策済みなんだろうな…とプリズムを降ろしてみましたが
肝心のプリズム前部には腐食しかけたモルトが貼り付いていて
全然対策済みではありませんでした…(汗)
何はともあれ腐食する前に対策できて良かった…
おそらく随分以前にモルトは交換されているものだとは思われます。
でもこのまま放置していると
環境にもよりますがあと数年でプリズムに影響が出そうな状態でした。
今回はもちろん腐食しない素材で貼り直します。
ちなみにもはや当店でも
腐食のないXEのプリズムは既にご用意できない状況です。

電気的に少々デリケートな部分もあるカメラなので
慎重に整備を行っていきます。
もちろんこの季節は特にですが
作業中の静電気帯電は厳禁です。
なので無防備な状態はできるだけ短く集中して作業を行っていきます。

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