今日は「アルバムの日」だそうですよ。
一年最後の月の12月はその年の思い出を
アルバムにまとめる月。
そして「いつか時間が出来たら」「いつか子どもが大きくなったら」
「いつか、いつか…」と後回しにされることなく
アルバムづくりをしてもらいたいとの願いを込めて
その5日(いつか)を記念日としたものだそうです。
なかなか考えられた由来ですね。
制定したのはフエルアルバムでお馴染みの
ナカバヤシ株式会社さんです。
製本されたアルバムで保存することも時代的に少ないかもしれませんが
やはり紙の写真で残されたアルバムは味わい深いですね。
私も実家を引き払ったときにたくさんのアルバムを
自宅に持ち帰りましたが眺め始めるとキリがありません(笑
一生懸命私の写真を撮ってくれたじいさんにも感謝ですが
今となっては自分自身の写真よりも
一緒に写っている友達やクラスメイトの写真や
たまに写っているじいさんやばあさんの写真、
私のアルバム以外のじいさんの職場等での写真、
私の写真の背景の懐かしい風景や建物等に目が行ってしまいます。
何十年も経つと写っているもの何もかもが愛おしいですねぇ
残念ながらネガが残っているものはわずかだけで
プリント写真しか残っていないのですが
これからも大事にしまっておこうと思います。
たまに引っ張り出すのがまたいいのですよね…
さてさて
本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコンは最初の一眼レフにトップモデルとなる
「F」を発売し、いわゆる普及機として
ニコレックスシリーズを発売しましたが
これがいろいろな意味で成功とは言えない結果に終わり
そのあたりの反省点を活かして誕生したのが
ニコマートシリーズとなります。
シャッタユニットはコストを抑える意味もあり
コパルスクエアを採用し
前板やミラーボックスの造りも簡略化されています。
しかしながら以前の一部のニコレックスとは異なり
開発製造は自社内で行われ
その結果、当時のニコンらしい非常に精度の高い堅牢なカメラとなっています。
ニコマートシリーズは機械制御シャッターの「FT系」と
電子制御シャッターの「EL系」に大きく二分され
今回は機械制御の最初の「FT」の
改良版にあたる「FTN」です。
開放F値補正操作(いわゆるニコンのガチャガチャ)が採用され
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了します。
(それまでは都度ダイヤル設定が必要)
加えて平均測光から中央部重点測光となりました。
「FT系」のニコマートの中で最も生産されたモデルです。
現存する台数も他のFT系モデルに比べても圧倒的に多いと思われます。
作動音が全体的に騒々しいのが少々玉にキズですが
元々のコパルシャッターの信頼性の高さに加え
ニコンクオリティの造りこみ精度の高さが加わり
F一桁機ほどではないにしろ非常に丈夫なカメラに仕上がっています。
登場から50年以上経過した現在でも
細かい精度はさておき
とりあえず動作している個体が多いことにも驚かされます。
お預かりしている「ニコマートFTN」は
ご依頼者様が当時から所有しておられる個体です。
ただここ数十年は仕舞い込まれたままで
まったく動作させていなかったものと思われます。
それでもとりあえずシャッターはきちんと作動しているのは
やはり驚きですね。
しかしながらシャッタースピードの精度にさすがに難はあり
それよりも巻上が古い油や汚れが抵抗となり
非常に不自然に重いこととファインダー内にカビが大量に発生しています。
露出計はさすがに動きませんがこれもSW部等の接触不良とみられ
致命的な故障ともいえない状態かと思われます。
プリズムに劣化があり多少ファインダー内に影響が出ていますが
キレイに清掃すればそれほど気にならないレベルかと思われます。
いずれにせよ、一通りの整備を行えば
問題なく使用できる状態には仕上げられそうです。
ファインダー内のSS表示も「FTN」の特徴の一つですが
それが実際のダイヤルの値とはズレてしまっています。
(1.5段ほど)調整箇所はあるのですが
勝手にズレる箇所ではないのでおそらくはプーリーから
連動糸が外れているとかかな…と思いつつ分解したところ
やはり糸外れが原因でした。
今回の個体は過去に分解歴が全くないようなので異なりますが
余談ですが、これとは違うパターンでシャッターユニットのSSと
ダイヤルのSSがズレている場合があります。
(例えばダイヤル・ファインダー表示は
1Sなのに実際に切れるのは「B」とか)
それは以前の分解時(ミラーボックス脱着時)の再組立て時に
位置をずらしてしまっていることが原因です。
これもニコン機はこのあたりが良くできていますが
ミラーボックスを再び脱着しなくても
嚙み合わせが前板窓から調整できます。さすがですねぇ…
画像には写っていませんが装着されていた
35mmF2レンズもカビが大発生しており
できる限りの清掃を行います。
加えてピントリングが完全に固着していて
ビクとも動かない状態なので
ヘリコイドの整備も合わせて行います。
かなり長い間眠っていたダメージがそれなりにありますが
再び快適に使えるようにしっかりと整備を行います。
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