オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日は「血清療法の日」だそうですよ。
1890(明治23)年のこの日に
北里柴三郎とエミール・ベーリングが連名で
破傷風とジフテリアの血清療法の発見を発表したことに由来しています。
血清療法と言えば個人的にイメ―ジするのは
マムシやハブなどの毒蛇に咬まれた時…なのですが
ベーリングさんはジフテリア
北里さんは破傷風の研究をしていたのですよね。
私が幼い頃は「破傷風」ってまだまだよく聞く
怖い病気でした。
傷から破傷風菌が体内に入り感染するので
転んで膝や肘を擦りむいたりすると
「破傷風になったらいけんけぇすぐに赤チン塗って!」って
ばあさんによく言われていた記憶が…(苦笑
そりゃ子供だし真冬以外は半ズボンでいることが多いから
そりゃよく転んで膝を擦りむいていましたよ
当時の写真を見るといつも膝は赤チンで真っ赤でした(笑
破傷風は三種混合ワクチンの普及で
現在では先進国では発症の報告は少ないそうです。
でもそこら辺中の土の中に破傷風菌はいるのですよねぇ
そう考えると怖いですね…
これを書くために破傷風のことをちょっと調べたのですが
その発症後の症状や致死率を知って軽くショックでした…
そう考えるといろいろ自然界には
まだまだ怖い感染症はたくさんあるのですよね…

さてさて

本日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
前モデルのOM-1を含むと圧倒的に修理依頼の多いカメラです。
今月も数台予定が入っていますね。
「1N」は1979年に発売となった
「OM-1」のマイナーチェンジモデルです。
機能的には 専用アクセサリーシューとフラッシュ使用時に
フラッシュ充電完了表示確認、フラッシュ適正発光表示確認が
ファインダー内で可能になったくらいで大きな変更はありません。
内部機構的には結構な部品や露出計回路の変更等が行われていて
意外と「1」との互換性がない部分も多いです。
改「良」されているので良くなっているのは当然で
特にトラブルの多い露出計SW部は大きく変更されています。
ただ…いや独り言ですが…露出計のアース部分は以前の方が
整備性が良くて助かったかなぁ…
ちょっとアース不良も起こりやすいのですよねぇ(苦笑)
シャッターや巻上等の基本的な構造は以前の「1」から変更ありません。
ただしミラーボックスのリンク部等は一部変更になっているので
少しばかり注意も必要です。

お預かりしている「OM-1N」はまずシャッターが切れません。
フィルム室から幕位置で判断する限りシャッターはチャージされています。
レリーズボタンは押し込めない状態で
レリーズボタンを使わずに
底部から強制的にシャッターを切ろうとしても切れません。
OMでこういう場合はまぁ大抵そうなのですが
トラブルの多い底部三連ギアの位置関係を見てみると
やはりかみ合わせが狂ってしまっています。
幕位置的にはチャージ完了なのですが
巻上機構としてはチャージ完了に至っておらず
レリーズできない状態です。
三連ギアの位置関係が狂っていて後にも先にも動けないため
巻上が完了にならない状態です。
ここの三連ギアはOMの大きな特徴でもありますが
巻上完了時に瞬間的にギアの噛み合わせが外れ
巻き上げた分、三連のうちの二つのギアが
小さなバネの力で逆回転して元に位置に戻る仕組みなのですが
汚れ等でギアの動作不良が起こると簡単に噛み合わせが狂い
ジャムってしまいます。
動きが悪いからと言ってここに注油するのは厳禁で
逆に油の粘りでより動作不良を起こしてしまいます。
単純に汚れのないサラサラな状態で
動きの良い状態ではないとなりません。
このあたりはやはりOMはデリケートにできていますね…

高速シャッターが不安定な場合も三連ギアが原因の場合があります。
今回は幕軸も汚れがそれなりに溜まっていて
三連ギアの状況が良くなっても
高速シャッターで精度が出ない状態だったので
その辺りの整備を含んで一通りの整備を行っていきます。
露出計も前述したアースの関係で少々不安定なので
対策を講じていきます。
以前にプリズム腐食を対策した痕跡があり
心配されるプリズムの状態は問題ないようです。
当分安心して使っていただけるように
入念に仕上げていきます。

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