月別アーカイブ: 2023年6月

ニコンF2フォトミックAのカメラ修理

今日は6月4日…
わかりやすく語呂合わせで「虫の日」ですねぇ
子供の頃は多くの子がそうであったように
私も昆虫類が大好きでまたそこそこ田舎に住んでいたので
ちょっと山のほうにいけば
いろんな昆虫と出会うことができたのです
で、いろんなものを捕まえてきては
家でもいろんなものを飼おうとしましたねぇ
それがいつの間にやら
もう虫なんて一切触れないようになってしまいました(笑
これって不思議ですよね
あんなに嬉々としていろんな虫に触れようとしていたのに
いつのまにかこんなにも触れなくなるものなんですよね
でもそういえば昨年、墓参りに山道歩いたときに
ひさしぶりに「ハンミョウ」を見かけて
あのなんとも美しい色合いにちょっと見入ってしまいました。
もちろん捕まえようなんてサラサラ思いませんでしたが…
あ、ちなみに今日は「蒸し料理の日」でもあるのですよね
それに気が付いたら美味しいシュウマイが食べたくなってきました(笑

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミックA」のカメラ修理を行っています。
フラッグシップのF2ボディに
「フォトミックAファインダー」(DP-11)を組み合わせたモデルです。
「DP-11」は最初に出たフォトミックファインダー「DP-1」の
露出計をAiレンズ対応にしたファインダーです。
なので露出計自体はオーソドックスな指針式です。
使用される受光体もCdSですね。
Ai化されたことによりいわゆる「カニの爪」連動ではなくなっています。
ただAi連動爪との連結部は収納可能になっており
露出計は連動できないのの非Aiレンズの装着は可能です。
ただしAi化したことによりファインダー内表示絞り値は
Aiレンズに刻印された文字を直読する方式になり
ここに限っては以前のDP-1のほうが視認性では上回ります。
レンズ連動関係以外の部分は基本的にはDP-1と変わりません。

お預かりしている「フォトミックA」は
ボディ側に関しては多少の油切れの兆候があって
高速シャッターの精度に問題がありますが
それ以外は大きな問題はない状態です。
ただファインダー側は一番のセールスポイントでもある
露出計がほぼ動きません。
F2フォトミック系で露出計不動だと
ファインダー側よりボディ側からの電源供給に問題がある場合が
非常に多いのですが今回は電池室やSW類に
問題はなくボディ側からは正常な電圧が供給されています。
加えてバッテリーチェックに関しては問題なく動作します。
ただ露出計として使おうとすると
うんともすんとも指針が動かない状態です。
CdSの劣化を疑いたくなるような状況ですが
テスタで調べてみてもCdSにも問題はなさそうで
明るさによりそれなりの抵抗変化を確認できました。
…となると怪しいのは絞りやSS連動で
ブラシで接触する摺動抵抗周りではないかと思われます。
単なる汚れとかで接触不良…とかであれば良いのですが
抵抗自体がダメな場合は修理不可能な可能性もあります。
ちなみにF2フォトミック系ではあまりなく
Fフォトミック系でたまに見かけるのは
明るさが暗くても露出計オンにすると
常に指針が古きってしまうパターンで
この場合は大抵の場合抵抗体が剥がれ落ちて修復不可な場合が多く
修理不可能となります。
今回は全く指針が触れない状態なので
そういうパターンではありませんが…

通常はボディ側から整備に取り掛かるのですが
今回はまずは露出計不調の原因をはっきりさせたいので
フォトミックファインダー側から取り掛かっていきます。
まだ現時点でははっきりとした原因はつかめてはいませんが
ブラシ接触部を一部簡単に清掃してみると
多少改善の余地が見られたので
やはろ摺動抵抗に問題があるものと思われます。
これからまずは摺動抵抗部の入念な清掃から取り掛かります。
「入念な」といいつつも清掃しすぎると
抵抗体を剥がれ落とすことになってしまうので
「できる範囲で適度に」行っていきます。
これで何とか通常の動きと精度が確保できればいいのですが…
そのあたりの問題がクリアできれば
露出計以外の部分のファインダー整備とボディ側の整備に
そのまま取り掛かっていきます。

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ニコンFGのカメラ修理

今日は「路地の日」だそうですよ。
日付は「ろ(6)じ(2)」(路地)と読む
語呂合わせからだそうです。
今、住んでる地域では
道路も比較的近年に整備されているようで
それほど昔ながらの細い路地なんてないのですが
私の生まれ育った田舎では
家の間を縫うようにクルマの出入りができない
細い路地がいまだにたくさんありますね。
おまけに平地の少ない土地なので
その路地が階段だらけで急坂だったりするのです。
子供の頃はその路地が格好の遊び場でした。
急坂や階段が多いので
転んだりして怪我することも多かったのですが
クルマの出入りがないことだけは安全だったかな…
いや…今考えると危ないことだらけだった気が…
でもそんなのその頃は普通だったかな…
そういえば小学生の頃
かくれんぼしてて柵のない細い路地を踏み外して
2m位下の別の路地に落ちて
膝を9針縫う怪我とかしていました
あの路地もまだあるのかな
今度帰省した時に行ってみましょう
そんな感じで昔ながらの細い路地を見ると
なんだか懐かしい気持ちになれますね!

さてさて

本日は「ニコンFG」のカメラ修理を行っています。
1982年発売のカメラです。
ニコン初のエントリーモデル「EM」をベースに
機能的なフルスペック化を行ったモデルです。
いわゆるマルチモード機で
自動露出は「プログラムオート」、
「絞り優先オート」を搭載し
「マニュアル露出」も可能です。
これは絞り優先オート専用機で割り切った機能の
「EM」が輸出では好調だったものの
国内での人気があまり出ないため
機能を追加して発売のだと言われています。
機能的には当時の上位機種だった「FE」をも超える機能を持ちますが
ファインダー表示情報や各部の造りは
やはりエントリークラスのクオリティで
そのあたりがこのFGやさらに後に出るFG-20の
独特の雰囲気を出していると思います。
シャッター音もプログランシフトや瞬間絞り込み測光の関係もあり
他のモデルと異なるちょっと独特なものがあり
個人的にはFG-20も含めてかなり好きなモデルです。

お預かりしている「FG」は
それなりに使い込まれたものかと思われますが
おそらく近年は仕舞い込まれたままになっていたものかと思われます。
EM系のカメラはコストの関係もあり
フィルム室の遮光をモルトに頼っている部分が多いのですが
フィルム室のみならずファインダー周りや
内部モルトも含めてモルト関係は全滅です。
おそらくこの状態だと光漏れも起こると思います。
加えて接触不良があるようで電源が安定しません。
ニコンらしく「M90」と「B」は
電池がなくても作動しますが
基本的に電子制御シャッターなので
安定した電圧での電源供給は不可欠です。
電源が不安定なこともありシャッターやオート制御にも
不安定な部分が見受けられます。
他、ファインダー内がカビやゴミでかなり汚れていることや
一部外装品に破損も見られます。
外装部品は中古良品から補充することで対処いたします。

外装部品の破損はよくある巻き戻しクランクの破損ではなく
今回は巻上レバーの破損でした。
EM系の分解整備ではまずはとにかく巻き戻しクランクを
外す際に非常に神経を使います。
年月も経過し固く固着してる場合が多いのですが
力任せに外そうとすると簡単にクランク基部の円盤部品が破損します。
もともと強度のあまりない部品な上に
ここも経年劣化で脆くなっている場合が多いからです。
無駄な力をかけることのないように慎重に外していきます。
FGはEMに比べてかなり機能が追加されている分
整備はなかなか難しいカメラで
さらに電子回路関係でトラブルを抱えていると
修理不可能な場合も多々あるカメラです。
今回は電子回路関連のトラブルはなく
単なる接触不良が発生しているだけなので
そこは対処した上で一通りの機械的整備を行いつつ
各部の清掃整備を行っていきます。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は6月1日ということで
たくさんの記念日が制定されています。
「気象記念日」「電波の日」「牛乳の日」
「衣替えの日」「麦茶の日」「氷の日」
「ねじの日」「鮎の日」「いぐさの日」等々等々…
でもやはり今日は「写真の日」でしょう!
1841(天保12)年のこの日に日本初の写真が撮影された…として
公益社団法人・日本写真協会が「写真の日制定委員会」において
1951(昭和26)年に制定したのですが
後の調査でこれ以前に
写真撮影が行われていたことが分かっているのだそうです。
とはいえ、一度制定したこともあり
引き続き6月1日を「写真の日」としているのだそうです。
詳しくは調べていないのですが
1841年に写された写真は時代的に
いわゆるダゲレオタイプですよね
その時代に比べると普通にだれでも簡単に撮れる
いわゆるフィルム写真になり
いまや写真の主流はすっかりデジタル写真になってしまいました。
より便利で簡単、クオリティの高いものへ…という時代の流れは
当たり前だとうは思いますが
私は個人的にフィルムで撮る写真が単純に好きなので
いろいろ環境は厳しくなってきていますが
まだまだ少しずつでもフィルムで写真を楽しみたいと思います。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行なっていきます。
1976年発売の「キヤノンAシリーズ」の1号機となるカメラです。
来るべき「AE時代」を開花させたともいえる
記念碑的なカメラだと思います。
実は「AE-1」の「AE」は
「Totral Automatic System By Electoric SLR Camera」の意味だそうで
いわゆる自動露出を意味する「AE」(Automatic Exposure Control)とは
異なる意味なのだそうです。
キヤノン的には電子制御カメラの頂点を意味するモデル名なのですね。
その名の通り当時の最先端の電子技術を駆使されたカメラで
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラでもあります。
機能的なハイライトはTTL開放測光シャッタスピード優先オート露出ですが
同じ機能を持つ前身の「キヤノンEF」に比べると
300点以上の部品を削減し生産の効率化によるコストダウンも大きく進んでいます。
それまでのシャッタスピード優先オートといえば
露出計の指針を挟み込んでその位置関係から
機械的からくりで絞り連動させるのが通常でしたが
このAE-1からは露出計からの信号を電気的に受け取り
電子制御で自動露出を行います。
もちろんシャッタスピード制御も電子制御です。
それでも中身をじっくり見てみるとまだまだ機械的な部分も多く残っていて
シャッタスピードダイヤルからの連動には糸が使われたりしています。
後のAE-1Pになるとこのあたりも次々と電子制御に置き換わっていくので
そのあたりの変化をモデルごとに見ていくと
なかなか興味深いものがあります。

お預かりしているAE-1は一通り動作はしている状態なのですが
いくつか問題点を抱えている状態です。
まずお決まりのシャッター鳴きや巻上鳴きが出ている状況です。
高速シャッタスピードの精度も出ておらず
汚れや古い油脂類で各部の動きが悪くなっているような状態です。
オート制御も絞り連動部の動きが悪いせいもあり不安定です。
加えて露出計も妙にオーバー気味な値が出ているようです。
そのあたりもとりあえずは電源が入って動作しているから
確認できているわけなのですが
実はこのAE-1、普通に電池を入れただけでは電源が入らない状態です。
ご依頼者様のほうでも当店受付前から
とりあえずは応急処置的に対処されていたので
とりあえずは電源が入っていたのですが
電池室のマイナス側端子が引っ込んだまま固着していて
そのまま電池を入れても端子に電池が届かずぶかぶかな状態なのです。
とりあえずはアルミ箔で電池の長さを延長して
動かしている状態です。
マイナス側端子はバネで伸び縮みして電池を抑えるような構造ですが
ここの端子が引っ込んだまま固着しています。
この状況は実はAE-1で比較的多く見かける症状です。
通常は電池室側からいろいろ対処してやるとそのうち固着が解けて
普通に動くようになるのですが…
今回はまぁこれが強烈に固着していて
電池室側から少々何をやろうともビクとも動きません。
いずれにしても分解整備するので電池室も外して
じっくり対処していきたいと思います。

フレキが使われている割にはまだまだリード線も多く
少々分解に手間がかかるのは事実ですが
この類のカメラの中では整備性はかなり良いほうです。
ただ、電気的回路の少ないカメラに比べると
いろいろと異なる点で神経を使う部分が多いので
扱いに慣れは必要だとは思います。
乾燥度合いの高い季節に比べれば
静電気の心配が少ない時期になってきたので
少しだけ気が楽ですね。
それでも分解した状態で手を触れるときには注意が必要です
いろいろと細心の注意を払って整備を行っていきます。

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