キヤノンFTのカメラ修理

今日は「日刊新聞創刊の日」だそうです。
1872(明治5)年のこの日に
「現存する中では」日本初の日刊新聞
『東京日日新聞』(現在の毎日新聞)が創刊したのだそうです。
正確に日本初の日刊新聞はそれより2年前の
1870年の『横浜毎日新聞』なのだそうです。
新聞。。。30年近く前にほんの少し取ったことがありますが
それ以来、自分では取ったことがないですね。。。
家にあれば読むのだと思うのですが
(それでも朝に読む余裕はないかな(苦笑))
ネットニュースで十分かも。。。
でも、プロ野球が開幕したら
中国新聞かデイリー広島版は読みたいかも。。。(笑)

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
何だか昨年末あたりから「FT」の修理が多いですね。
その代わりそれまで比較的多かった
「FTb」の修理があまりないですが。。。
1964年の「FX」からキヤノン「F」シリーズがスタートし
その後、FP、ペリックス、と続き
1966年に「FT」が発売されました。
この後には1971年にF-1・FTb+FDレンズ群が
デビューするのでFLレンズ+絞込み測光という組み合わせは
このFTで最後になるわけです。
キヤノンらしい歯切れの良いシャッター音が気持ちよいカメラですが
現存している未整備個体は
ほぼ間違いなく油切れでシャッター動作は良くない状態で
シャッター音も妙に高周波な音が混じった
「キャン」といった感じの音になってしまっています。
今回、お預かりのFTも同様です。
もちろん、この状態ではSS(特に高速域)の精度は出ていません。

今回のFTはシャッター以外にもいろいろトラブルを抱えています。
まずプリズム腐食が酷い状態です。
縦線が少し見えるとか視野の端に腐食が見えるなんてものではなく
プリズムのあらゆる角の部分から剥離が起きていて
ファインダー視野の上1/3はほぼ見えません。
FTのプリズム腐食はOM-1とかミノルタX系のような
モルト劣化とかによる原因ではなく
プリズムの蒸着が自然と劣化してしまうことから起こります。
そのためもあり、腐食のないFTのプリズムは
なかなか見つかりません。
今回も交換用プリズムの確保にかなり苦労しました。
プリズムだけではなくファインダー接眼レンズも
バルサム切れで要交換の状態です。
高速シャッターは先述したように精度は全く出ておらず
低速シャッターも粘り気味です。
特に1/8だけが以上に遅く1秒くらいで切れてしまいます。
(1/4はほぼ1/4で切れますが。。。)
加えてミラーの角度も狂っていて
ファインダー上で無限遠が出ていない状態です。
(フイルム面でのピントは問題なし)

とりあえず分解に取り掛かったところです。
写真ではちょっとわかりにくいですが
プリズム腐食は酷い状態です。
ご依頼者様は1970年頃にこのFTを購入されたのだそうです。
おそらく最近は使っていなかったのだと思われますが
もう一度、是非このFTで撮影を楽しんでいただければと思います。
現状、不具合はいろいろありますが
どれも今回の整備で改善できるものばかりです。
1970年当時の状態そのものにはなりませんが
極力その状態に近づけるように整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。