ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「処暑」ですね。
暑さが峠を越えて後退しはじめる頃、ということです。
今日の都内は朝から雨降りで
暑さもそれほど感じません。
晴れればそれなりに暑いのでしょうけど
これから一雨ごとに涼しくなっていくでしょうね。
夏が苦手な私としては大歓迎ですが
強烈に暑い夏の日々は今年は短かったような気もします。
早く朝の空気がピンと張り詰めるような
秋らしい気候になってほしいですねぇ。。。
でも冬はまた寒すぎるからずっと秋ならいいのに。。。(笑)
ま、それだとメリハリなくてまた物足りないのでしょうが。。。

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒット作の「SP」に開放測光機能を追加したモデルですね。
(対応するSMCタクマーレンズ使用時のみ)
加えてレンズキャップをして光が入らないようにすると
露出計のSWがオフとなり、光が入るとオンになるという
「フォトスイッチ」と呼ばれる独特の露出計SWを搭載しています。
1973年発売のカメラです。
機械的な構造や造りはほぼ「SP」と同様です。
ただし、開放測光を採用したため
レンズからの絞り情報を受け取らなくてはならないため
露出計及びその回路に関しては全くの別物です。

お預かりしているSPFは
ご依頼者さまのお父さまが使っていたカメラだそうです。
外装を見る限りでは非常に良いコンディションで
大切に使われていたことがわかります。
ただし、さすがに経年劣化に伴うトラブルはいろいろあるようで
まずSP同様に持病とも言えるプリズム腐食が発生しています。
これはプリズム周りに巻かれた遮光用のモルトが
加水分解しプリズムの蒸着にも侵食してしまったもので
SP&SPFの場合はファインダー視野内に黒い横線が
見えるようになっていまいます。
今回はまだそれほど撮影の邪魔になるほどではないのですが
ご依頼者様と打ち合わせの上、今回はプリズム交換で対応します。
加えてシャッターは1/1000~1秒まで一通り作動はしていますが
幕軸の汚れや油切れの影響があるようで
高速シャッターでは全く精度が出ていません。
さらに少し時間を置いてシャッターを切ると
ミラーが上がりきらずシャッターが動作しないことがあるようです。
一旦、動作し始めるとしばらくは大丈夫なのですが
また数時間おくとまた上がりきらなくなってしまいます。
比較的、トラブルの多い露出計は
やはり問題ナシとはいかず
電池を入れると明るさに関係なく常に振り切ってしまっている状態です。
SPFの露出計は少し変わった構造で
電圧がかかっていないときは指針はほぼ真ん中にきます。
露出計からはリード線が3本出ていて
1本はアースで1本は受光体(CdS)経由で指針を引っ張ろうとしています。
残りの1本はシャッタースピード、絞り設定の抵抗を経由していて
指針を反対側に引っ張ろうとしています。
これのバランスが取れたところが適正露出となるわけですね。
今回はおそらくSS・絞り情報からの電流が何らかの原因で
きていないのではないかと思われます。

まだ、現状を確認したのみでこれから本格的に
分解整備に取り掛かります。
装着されているSMCタクマー50mmF1.4レンズも
内側にかなりカビが発生しているので
清掃を行います。
ご依頼者さまご本人はこのカメラを使ったことがないそうなので
納品時には簡単に使い方からご説明する予定です。
気持ちよく撮影を楽しんでいただけるように
きっちり整備していこうと思います。