ペンタックスMXのカメラ修理

今日は「刃物の日」だそうですよ。
カッターナイフやガラス切り、普通のハサミに
細かいものを切る精密ハサミ等々、
毎日、仕事でいろいろな刃物を使っていますが
切れない刃物で無理して作業すると
ほぼ間違いなく失敗するので
どれも比較的小まめに交換するなり買い替えるなりしています。
刃物だけでなく道具全般が同様ですね。
道具の状態や良し悪しで作業効率が全く変わってしまうので
ここはケチってはいけない部分です。
。。。とはいいますが、そのバランスが難しいところで
じゃ、できるだけ高価な道具を使えばいいかというと
そこがなかなか難しいところで
所詮、道具は消耗品なので頻繁に交換が必要になってきます。
あまり高価なものだとコスパが非常に悪くなってしまいます。
この仕事を始めた頃は精密ドライバーにやたら凝った時期があって
高価なドライバーは確かに非常に使いやすくて良いのですが
ドライバーなんて先端が減り始めれば即交換なので
そこそこ良いものでそれほど高価なものでないものが良いですね
今は何となくドライバーの銘柄も落ち着いていますが
また何か他のモノも近日中に試したいと思います。

さてさて

本日は「ペンタックスMX」のカメラ修理を行っていきます。
ペンタックスMシリーズの一員ですが
このモデルだけが機械制御シャッターで他のMシリーズのカメラとは
明らかにキャラクターの異なるカメラです。
Mシリーズはどのモデルも軽量コンパクトで
そこはこのMXも同様です。
軽量コンパクトなマニュアル一眼レフといえば
オリンパスOM-1がパイオニアで
MXはOM-1の4年後に発売されたカメラですが
OM-1の存在をかなり意識して作られたらしく
幅・高さ・厚み、全てOM-1より0.5mmずつ小さくなっています。
いろいろ比較してみるのも楽しいかもしれません。

今回、お預かりしているMXですが
全く異なるご依頼者さまから同じに日に立て続けに
2台、ご依頼が入ったので一気に行いたいと思います。
同じカメラが同じようなタイミングで複数台入ってきたときは
なるべく固めて一気に作業を行ったほうが効率は上がります。

シルバーのほうはミラーアップしたままになっていました。
他、露出計も不安定です。
ブラックのほうは高速シャッターの精度が全く出ておらず
スローガバナーも固着してしまっています。
MXはシャッター走行不良トラブルが非常に多いカメラです。
シルバーのほうのミラーアップもMEとかのように
ミラー駆動部が悪いわけではなく
後幕がキレイに走りきらないために起こる症状です。
ブラックのほうもシャッターは一応切れていますが
こちらもシャッター幕の走行不良で
高速シャッターだと写真両端で1段以上露出が異なる状態です。
全体的にシャッタースピードが速いとか遅いのであれば
ネガで撮っている分にはほとんど気にならないと思うのですが
(よほど大きく狂っていなければ)
1枚の写真両端でSSが異なっているとさすがに大問題です。
これが酷くなってくると場合によっては一部シャッターが開かないとか
ミラーアップしてしまう。。。とかのトラブルに発展するわけですね。
MXは特にこの手のトラブルが多く
未整備のMXは測定機で計ってみると
高速シャッターに大抵見逃せないほどシャッターのバランスが狂いが見られます。
もちろん原因は幕軸の動作不良なので
しっかり清掃した上で注油を行い微調整を行えば直ります。
一度しっかり手を入れておけば
またかなりの間、問題なく使えます。
シルバーのほうの露出計不調は半固定抵抗の接触不良と
ダイヤル基部の汚れが原因でした。
MXの露出計はLED使用ですが
LED制御部が壊れている場合は修理不可能な場合があります。
もちろん今回は2台とも問題ございません。

2台とも無事に整備が終わって後は最終チェックを残すのみです。
どちらも非常に気持ちよく使っていただける状態になっています。

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