オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「中秋の名月」でもありますが
10月1日は「日本酒の日」ですよ。
美味い日本酒を入れた盃に月を映して
お月見なんてお洒落ですねぇ。。。
今夜、一人でベランダでやってみようかな(笑)
私は「塩で酒が飲める」というタイプではなく
美味いものをより美味しく食べるためのお酒であることが多く
その考え方で行くと
磨き上げて香りが芳醇でお酒単体で楽しめる大吟醸酒よりも
魚介類の味を引き上げてくれる純米酒のほうが好みです。
あまり肴の味わいを邪魔しないものがいいですねぇ
。。。とはいえ。。。
お腹が落ち着いたころにシンプルなあてで
吟醸酒ならではの香りと味を楽しむ。。というのもいいですよねぇ
まぁ、なんにしても日本酒が好きなんだな(笑)
朝は霧雨が降っていましたが
午後からは天気が回復するようです。
お月見しながら晩酌できるといいなぁ

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971(昭和46)年に発売されたレンズ固定型のレンジファインダー機です。
搭載されるレンズは40mmF1.7の大口径レンズです。
今では明るいレンズ(大口径レンズ)というと
開放時のボケ味が話題になることが多いですが
この時代、特にレンズ固定式のコンパクトカメラに搭載される
大口径レンズの役目は「朝夕や室内等の光量の少ない場面で
手振れを起こしにくいシャッタスピードを確保する」ということです。
実際問題、この時代のフィルムはASA100(ISO100)が主流ですから
少し暗めの降りだしそうな曇天(例えばLV10)でも
ASA100・1/125・F2.8とかになってしまうわけですから
室内撮影等になってくると
F2クラスの大口径レンズが必要となってくるわけですね。
そもそも「35DC」の場合はプログラムシャッターなので
意図して絞りをコントロールできるカメラではないので
大口径レンズの役目はやはり「速いSSの確保」なのです。
もちろんフラッシュを使えば真っ暗だったとしても撮影できますし
「35DC」はフラッシュマチック機能も付いているのですが
まだこの時代はフラッシュは外付けですし
「気軽に撮れるコンパクト」の立ち位置的にも
なるべくカメラ単体で対応できるほうが望ましいですものね
絞りコントロール云々はともかく
この「35DC」に搭載されるF.ズイコー40mmF1.7の写りは
非常に評価が高く、独特のシャッター音のセイコーESLシャッターや
気持ちよい巻上等の操作感も併せて
なかなか使っていて気持ちの良いカメラです。
F2.8クラスのレンズを搭載する同時期のコンパクトカメラに比べると
どうしてもレンズの出っ張りは大きいですが
それでも非常にコンパクトな
オリンパスらしいカメラであることは間違いありません。
現在でも非常に人気の高いこともうなづけます。

お預かりしている「35DC」は
距離計の二重像が大きくずれています。
製造されてから50年近く経つとはいえ
こんなに自然にズレるわけないでしょう?というほどです。
多少のことなら微調整で済ませられますが
おそらくこの35DCは分解歴もありそうなので
ファインダーブロックを降ろした際に
大きくズレたのではないかな。。。と推測されます。
落下とか衝撃でファインダーブロックの立て付けがズレたり
ファインダー内のミラーやレンズが取れたりズレたりということもあり
それだと修理も大変なこともあるのですが
今回はそこまでの重症度ではないようです。
他、ファインダーの汚れや多少の露出計のズレ
オート露出時の制御のズレ等も散見されますので
全体的な分解整備を行います。
その際にどちらにしてもファインダーブロックは取り外すので
立て付けや距離計の設定も最初からやり直します。

写真は一通り整備が終わった状態でのものです。
あとは最終チェックを残すのみの状態です。
貼り革がお洒落ですね。
これは当店で張り替えたものではなくて
もともと受付時からこの貼り革だったものです。
分解整備時には裏蓋はともかく
前板の貼り革はまず間違いなく剥がします。
で、貼り革が交換されているものだと
剥がす際に少々神経を使います。
通常、カメラの貼り革に多く使われている材質のものだと
接着や両面テープを剥がす際に
エタノール等を使っても全く問題ないのですが
交換されているものだとそういうアルコールや溶剤等に
耐性のあまりないものの場合もあるのですね。
なのでこういう交換されている貼り革の場合には
アルコールや溶剤が使えないことも多く
剥がすのに少々苦労します。
今回はそんなことはなかったのですが
明らかに弱そうな材質のものが貼ってあるときに限って
強烈な接着剤で貼ってあることがたまにあるのです(汗)
ちなみにたまにジャンク品で見かけますが
貼り革を瞬間接着剤で貼っているようなものはアウトです。
もうその貼り革は再利用できません。
下手をするとボディ側にもダメージが残ります。
貼り革交換はカメラのイメージも変わって個性も出せて
ドレスアップとしても非常に楽しいものですけどね。
今回の35DCの貼り革は材質も良く個人的にも好みです。

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