キヤノン7のカメラ修理

今日は「温度計の日」だそうです。
1686年のこの日が水銀温度計を発明し
華氏温度に名前を残すドイツの物理学者
ガブリエル・ファーレンハイトの誕生日であることに
由来しているのだそうです。
家にも昔、水銀温度計あったなぁ
一般的な赤液温度計(アルコール温度計)よりも
精度の高い計測ができるのですよねぇ
まぁそれらよりも今はデジタル表示なのでしょうが…
ファーレンハイトと言えば温度計というより
華氏温度(°F:ファーレンハイト度)に名前を残した人という
個人的なイメージがあるのですが
現在の日本に住んでいて「華氏」を使うことはまずないですよねぇ
未だに英語圏の一部では摂氏(℃)ではなく華氏を
常用する地域があるということなのですが…
向こうで未だに「マイル」や「ガロン」が
日常的に使われているのと一緒ですな…
まぁもはや海外に行くこともないでしょうから
あまり縁はないかな…(笑
華氏だと確かに普段の生活で考えられる温度で
「マイナス」という概念がほぼなくなるのですよね
(0℃は32℉、0℉は-17.78℃)
使い慣れているときっと便利なのでしょうね
いやいや、やっぱり水の融点・沸点を基準とした
摂氏のほうがどう考えても合理的だ…
まぁ国内で日常生活をしていて
華氏に出会うことはまずないからどうでもいいか…(苦笑

さてさて

本日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
高級レンジファインダーカメラメーカーとして
国内ではやはり第一人者だったキヤノンの
最後のレンズ交換式レンジファインダー機です。
正確に言おうと最後は「7s」なのですが
「7s」は「7」の」マイナーチェンジ版ですから
実質最後のシリーズとしてはこの「7」ということになると思います。
1961年に発売開始されたカメラです。
世の中ではこの頃になるとレンズ交換式カメラは
レンジファインダー機から一眼レフへ移行している真っ最中で
既にニコンFは登場していますし
ペンタックスは「S3」が発売されており
ミノルタはレンジファインダー機「ミノルタスカイ」の開発を断念し
一眼レフ機へ大きく舵を切り既に「SR-2」から「SR-3」へ
モデルチェンジを行っている頃です。
キヤノンもレンジファインダー機の開発を行いつつも
一眼レフの「キヤノンフレックスシリーズ」を展開していて
既に「R2000」等も発売されています。
そんな過渡期の中、発売されたのが「7」です。
世の中は一眼レフがもてはやされ始めた頃ではありますが
まだまだ高級レンジファインダー機の需要は高く
特にキヤノンは国内メーカーとしては
この分野の第一人者なのでそうそうに降りるわけにはいかなかったでしょうね
確かにこの頃の聡明期の一眼レフと比べると
100mm以上の望遠レンズや35mm以下の広角レンズを使わない限りは
レンジファインダー機がまだまだ有利な場面も多かったと思います。
シャッター音も静かでショックも少なく手ブレしにくいですし…
「7」はさらにファインダー内に35/50/85+100/135mmの
切替式ブライトフレームファインダーを搭載し
交換レンズの制約を受けない一眼レフに対抗しています。
シャッタスピード連動型のセレン式の露出計も装備し
シャッタスピードの最高速も1/1000
機能面では当時の一眼レフに全く見劣りするものではありません
そして何といっても長年フォーカルプレーン型シャッターの
レンジファインダー機を手掛けてきたキャノンらしい
巻上やシャッターフィーリング等の使い心地の良さ等は
「さすが」と思わせる部分が非常に多いと思います。
皮肉なことにこの素晴らしいレンジファインダー機があったがために
キヤノンは一眼レフでの開発競争には少し乗り遅れてしまった部分も
あると思われますが。。。

お預かりしている「7」はまず巻上に妙な引っかかりがあり
たまに巻上途中で巻上ができなくなってしまいます。
何度かリトライしていれば巻上はできるのですが
これは巻上フィールの本来良い「7」としては大きなマイナスです。
それよりこのまま使っていれば
そのうち巻上できなくて固着…なんてことになりそうです。
全体的に油切れの兆候が出ており
高速シャッターの精度はかなり狂っている上に不安定です。
1/1000はたまに開き切らないこともあるようです。
セレン光電池を使用する露出計はさすがにセレンの起電量が劣化のため
落ちてしまっているようです。その上に挙動が少し不安定なので
できる限りの調整は行いますが
全く問題ない状態には改善できないかと思われます。
他、ファインダー二重像にかなりのズレが見受けられます。

キヤノンお得意のモナカ構造ですね。
この後で上カバーも外していきますが
巻上のトラブルは巻き止め機構の動作不良が原因でした。
巻上部の分解清掃・注油で症状は改善されています。
シャッター幕軸等もかなり古い汚れが溜まっている状態で
分解清掃することでかなり動きは改善されました。
最終的には若干のテンション調整で精度を出していきます。
露出計は安定して動くようにはなったものの
やはり+1段~+2段といったところです。
ネガで使うことを仮定して
+1段くらい常に補正を入れておけば何とか使えるかな…という状態です。
しかしながら全体の操作フィーリングはかなりよくなりました。
露出計はともかくとしても
他の部分に関しては安心して当分使える状態になりそうです。

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