ペンタックスKMのカメラ修理

今日は「天地の日」だそうですよ。
日付の由来はポーランドの天文学者で
「地動説」を提唱したニコラウス・コペルニクスの誕生日とのことです。
当時主流だった地球中心説(天動説)を覆す太陽中心説(地動説)は
天文学史上最も重要な発見とされています。
ただし、太陽中心説を初めて唱えたのは
ギリシャ・サモス島生まれのアリスタルコスで
紀元前3世紀のことだそうです。
今でこそ地球が太陽の周りを公転しているのは
周知の事実ですが
太陽な地球を含む太陽系も天の川銀河の中心を公転しています。
1周するのに2億年以上かかるそうです…とてつもないですねぇ
でも自分が地面の上に立っていて
太陽も星も見かけ上、天球面を動いて見えるのだから
何も知識がなければ天動説を考えてしまいますよね。
まぁ何事も自分を中心に回っているなんぞ
思わないほうがいいでしょうね(笑

さてさて

本日は「ペンタックスKM」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
ペンタックスはこの年にそれまで採用していた
M42マウントに別れを告げ
新規のバヨネットマウントである「Kマウント」に移行した
「Kシリーズ」を3機種発売します。
ロゴデザインやボディの外装デザインも一新し
これまでとは異なる全く新たなイメージで発売されたシリーズです。
「KM」はその3機種なの中でもボトムエンドを担うカメラで
普及機的な位置づけとなっています。
「Kシリーズ」の中でも機械制御シャッター機の「KX」「KM」は
新しい外装・マウントではありますが
基本的な機械的構造は従来の「SP系」を引き継いだものです。
その中でも「KM」は中身もほぼほぼ「SPF」と同一で
「SPF」のセールスポイントの一つでもあった
露出計電源オンオフ機構「フォトスイッチ」も継承されています。
長年作り続けられていて信頼と安定性の高い
「SP系」の良さをそのまま受け継いでいます。
目新しさには欠けますが従来のM42マウントペンタックスユーザーが
違和感なく移行するには最適のカメラだったかと思います。

お預かりしている「KM」はシャッターを切ると
十中八九、ミラーアップしたままになってしまいます。
その状態でほんのわずかにシャッター後幕を押してやると
ミラーがパタンと降りてきます。
ミラー駆動部に問題があるのではなく
シャッター後幕の動きがスムーズではないために
走行の最後にミラーダウンレバーをうまく蹴れないのだと思われます。
「SP系」でも頻発する症状です。
機械的機構が「SP系」であるがために
トラブルも「SP」や「SPF」でよくあるパターンのものが出てきますね。
後幕の動きが悪いということは当然ながら
シャッタスピードの精度も全く出ていない状況です。

加えてこれは「KM」だけではなく「Kシリーズ」全般同じですが
これも「SP系」と同じくプリズムの周りを囲む遮光材の
加水分解によるプリズム腐食が発生しています。
「SP」等と同じくファインダー内横方向に黒い線や帯が見えてくるパターンです。
これはもうメンテナンスしていないと必ず起きてしまう症状です。
腐食したプリズムは当店では交換するしか対処する手段がないので
腐食のないプリズムと交換で対応します。

「Kマウント」であることと
露出計基盤の形状が少々異なる以外は
やはり中身はほぼまんま「SPF」です。
修理する立場としてはとっつきやすくて助かりますし
「SPF」同様のトラブルは起こりやすいものの
それは「KX」であれど大差はありませんし
実績のある造りなので整備性は非常に良好です。
個人的には使いやすくてトラブルが起きても対処しやすく
非常に良いカメラだと思っています。
まだ取り掛かり始めの段階ですが
これから分解を進めて機械的駆動部を入念に整備していきます。
最後は微調整程度で精度は出せそうな状態です。