今日は記念日の制定の少ない日ですね…
しいていえば「お彼岸明け」ですね。
春分の日を中日として前後各3日を加えた
7日間が「(春の)お彼岸」ですが
今年は今日でお彼岸も最終日となります。
子供の頃はお彼岸というと山腹に今でもある
うちのお墓に参ることが恒例行事で
山の中にあることからお弁当を持って
ちょっとした遠足気分で好きな行事でした。
お墓の掃除等が終わったらじいさんが
さらに山道の奥の湧水の湧いているところまで連れて行ってくれて
そこで飲む水がとにかく冷たくて美味しかった記憶が残っています。
さすがに春も秋も「お彼岸」に帰省する予定は立てられないので
彼岸の墓参りは随分ご無沙汰ですが
次回はGWに行ってこようかと思っています。
さてさて
本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
今回は1961年に発売された初代キヤノネットです。
キヤノン初のコンパクトカメラです。
(当時はコンパクトといえるほど小さくはないですが)
レンズは45mmF1.9の大口径
シャッターはコパルSVを搭載しB・1S~1/500をカバーします。
セレン光電池使用露出計と連動し
シャッター優先オート露出も装備します。
マニュアル露出も可能ですがその場合露出計はオフとなります。
当然ながら連動距離計搭載です。
当時の家庭用カメラとしては
ほぼ最高の性能を持っていましたが
キヤノンの社員たちが自分たちの月給で買えるカメラを望んだことから
18,800円という性能に比して非常に安価なカメラとして発売されました。
その破壊的な価格設定とスペックの高さが相まって
発売と同時に爆発的大ヒット商品となりました。
発売直後は2週間分と見積もっていた在庫が
数時間で売り切れ社会現象にまでなったそうです。
カメラ業界からはダンピングであるという批判の声も上がったそうです。
キヤノネットの登場はカメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった
多くのカメラメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったと言われています。
お預かりしているキヤノネットは
ご依頼者様から指摘いただいている点は
巻き上げロックが頻繁にかかったままに
なってしまうというものです。
症状はすぐに再現でき、やはり巻上ロック機構の
粘りが原因と思われます。
加えて露出計がかなり不安定なようで
普通に動作しているかと思えばパタッと
うんともすんとも反応しなくなるようです。
いろいろ試しているとレンズボードが少々ガタついていて
レンズボードが動くたびに断線状態になってしまうようです。
キヤノネットは整備性も非常に考えられていて
レンズボードボディ側の電気的連携は
配線でなく接点で導通しています。
そこの接触が悪くなることが原因かと思われます。
当時の破壊的価格設定が注目されることが多いですが
中身に安っぽさは微塵もなく
非常に効率よく造られたカメラです。
部品もしっかりしたものが使われていて
お求めやすい価格の根本は
効率の良い生産や部品の集大成であることがよくわかります。
整備性も非常に良く
分解して整備調整することを前提に造られています。
心配されるのは劣化すると交換しか術のない
セレンの状態ですが
今回はセレン光電池は非常に元気で問題ないようです。
巻上レバーや巻き戻しクランクが底部に配置されているため
上カバーは非常にシンプルでそこに刻まれた
筆記体の「Canonet」の文字が非常に良い感じです。
これからシャッターユニット、巻上機構、オート機構等々の
清掃整備を一通り行っていきます。
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