月別アーカイブ: 2019年9月

ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は「苗字の日」だそうですよ。
私の苗字は「迫田(さこだ)」ですが
こっち(関東)では少ない苗字だと思います。
こっちに来てからはやたらと「追田」と間違われることも多いです(笑)
「さこだ」で変換すればでてくるはずなのですが。。。
「迫田」の苗字の多い地域の一番は鹿児島県で
2位が私の地元、広島県なのだそうです。
今はネットで調べれば何でもわかりますね。便利なものです。
語源は細く迫った土地とか細い谷とかだそうです。
私の曽祖父が蒲刈島の出身だということは知っているのですが
「平民苗字許可令」が出たのが明治3年だから
さらにその前からなのかな。。。
その頃のことはさすがにもはや調べることはできないなぁ。。。
自分の家系を調べていくのもおもしろうではありますねぇ

さてさて

本日は「ミノルタオートコード」のカメラ修理を行っています。
ミノルタの二眼レフは実質的に国産初の二眼レフともいえる
「ミノルタフレックス」に始まり、
国産最高峰の二眼レフの呼び声も高い「ミノルタオートコード」で終わります。
オートコードそのものは1955年の登場ですが
改良を重ねられ最終モデルは
1965年登場の「オートコードⅢ」です。
今回、お預かりしているのもこの「オートコードⅢ」です。
ミノルタ二眼レフの最終モデルとなります。
評価の非常に高い75mmF3.5のロッコールレンズを搭載し
シャッターはシチズンMVLで最高速は1/500です。
初期のオートコードとも共通ですが
独特の振り子式のピントレバーを装備し
フィルム装填は平面性を重視し他の二眼レフとは異なり
上から下に巻く方法を採用しています。
もちろんセルフコッキングでファインダースクリーンには
フレネルレンズを装備しピント合わせも非常に行いやすくできています。
私も祖父の遺品の前期オートコードを使っていますが
非常にシャキッとした写りで現在でも十分に通用するカメラです。

お預かりしている「オートコードⅢ」は
二眼レフでは定番のミラーの腐食が酷く
スクリーンの汚れもありファインダーの見えが非常に悪い状態です。
シャッター羽根には若干粘りがあり
スローガバナは固着気味で
SS1秒だと実際にシャッターが閉じるまで10秒近くかかってしまいます。
おそらく相当長い間、使われていなかったと思われ
各所に動きの悪い部分が多く
現状では快適に撮影に使うことは難しいですが
全体的に状態は悪くなくきちんと整備を行えば
気持ちよく撮影のできる状態になると思います。

シャッターユニットの整備、シャッター羽根、絞り羽根の清掃
レンズ清掃、ヘリコイドグリスアップ、ピント調整
巻上部の整備・調整、ファインダー清掃等々
各部点検整備一式を行いました。
全体的に非常に軽快に動作するようになりました。
このオートコードⅢはご依頼者様のおじいさまが使っていたものだそうです。
長らく撮影には使われていなかったものと思われますが
現在の景色も是非見せてあげてほしいと思います。
前期のオートコードとはコーティングが変更になった
「ニューロッコール」の写りも良いでしょうねぇ。。。
個人的に非常に写りの気になるカメラです。

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オリンパスオートアイのカメラ修理

今日は「かいわれ大根の日」だそうですよ。
うーん、かいわれ大根、長らく口にした覚えがない。。。(汗)
だいたい普段がコンビニやお弁当屋さん頼みの食生活なので
野菜が圧倒的に不足しているのですよねぇ。。。
かいわれは発芽直後の芽と茎だから
ビタミン、ミネラル豊富で身体に良いはずなのですよね。
せめてたまに食べる「チャンポンめん」に入れて
食べると良いかもしれないなぁ。。。(笑)

さてさて

本日は「オリンパスオートアイ」のカメラ修理を行っています。
1960年発売のカメラです。
レンズシャッターのレンジファインダーカメラですね。
いわゆるオート露出の先駆けとなったカメラです。
モデル名の「オートアイ」もオート露出であることを意味しています。
セレン光電池を使用したシャッタースピード優先オートを搭載します。
ちょっと面白いのがオートで選択される絞り値が
ファインダー内に表示されるのですが
円盤に印刷された絞り値がクルンと回転して表示されます。
全く回らなかったり、回りすぎてしまう場合は
オート範囲外のマークが表示されます。
レンズはD.ズイコー45mmF2.8を搭載します。

お預かりしているオートアイは
もともとご依頼者さまのお父様のカメラなのだそうです。
ご依頼者様が子供の頃、持たせてもらったときに
落としてしまい、それから全く使っていないのだそうです。
ある意味、非常に思いで深いカメラだと思います。
おそらく落としたときになくなってしまっただと思われますが
巻戻しクランクが欠落していて
このままでは巻戻しが非常に困難です。
さらにこれも落下の影響かと思われますが
ファインダー内の二重像が全く見えません。
最も心配される露出計は今のところ全く動いていないようです。

写真は一通り整備が終わった状態でのものです。
欠落していたクランクは中古部品で補充しました。
二重像が全く見えていなかったのは
ファインダー内のハーフミラーが外れて
おかしな向きになっていたことが原因でした。
ハーフミラーはどちらにしろ劣化が激しかったため
こちらも交換で対応しています。
露出計不動の原因は内部配線の劣化のためでしたが
やはりセレンもそれなりに劣化しており
配線を変えただけではとても撮影に使えるほどの精度は出ませんでした。
内部抵抗等の変更で何とか
ネガフィルムであれば普通に使えるほどの精度には復活しました。
その他、シャッターユニット、絞り羽根、レンズ清掃等々
一通りの整備を行っています。
40年ぶりくらいに使うことになるのだと思いますが
改めてオートアイでこれからも色々な思い出を
撮影していただければと思います。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「マッチの日」だそうですよ。
1948年のこの日にそれまで配給制となっていた
マッチの自由販売が認められたのだそうです。
最近、マッチをする機会もなかなかないですよねぇ。。。
子供の頃に仏壇の側にろうそくや線香に火をつけるための
マッチが常に置いてあって
火をつけてみたくて手を出そうとしては怒られたものですが。。。
ところで、マッチといえば世代的に
やっぱり近藤真彦さんを思い出しますねぇ。。。
特別好きではなかったけどたのきん全盛期だったし。。。
「ヨコハマ・チーク」が好きでよく口ずさんでたなぁ(笑)

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
ミノルタの一眼レフはそれまでの機械制御シャッター機である
「SRシリーズ」から電子制御シャッター機の「Xシリーズ」に
1970年代に移行していくのですが
最初のXシリーズである「X-1」が1973年に発売され
翌年、1974年に「XE」が追加されます。
絞り優先AEを装備する金属羽根縦走りシャッター機です。
搭載されるシャッターユニットはコパル・ライツ・ミノルタの3社で
共同開発したコパルライツシャッターです。
「XE」といえば巻上の滑らかさが有名なカメラですが
その滑らかさはこのシャッターユニットやミラー駆動部の構造が
大きな要因となっています。
この時代としてはめずらしく「使い心地」を
セールスポイントのひとつにしていたカメラでもあります。

「XE」は元気に動作していれば素晴らしいカメラなのですが
トラブルの多いカメラとしても有名です。
お預かりしているXEは定番のプリズム腐食こそないのですが
(もはやプリズム腐食のないXEは希少です)
まれにミラーアップしたままになってしまうというトラブルを抱えているようです。
「。。。ようです」というのは
当店にやってきてから幸か不幸か一度も症状が出ないのです。
困ったものですね。。。
XEのミラーアップは多く日の場合、
横走りシャッター機でよくあるような
シャッター走行不良やミラー駆動部の動作不良が原因ではなく
シャッターユニットに正常に電気が伝わらないことが原因で発生します。
またこの症状が出た場合、シャッターは切れますが
開いていないので写真は当然写りません。

シャッターユニットや基板周りのチェックを行う前に
露出計とオートがかなりアンダー傾向なので
巻戻しクランク下の摺導抵抗を清掃しておきます。
XEは露出計が振り切ってしまっているものも非常に多いのですが
その原因は大抵の場合、この摺導抵抗の汚れです。
裏表それぞれにあり上側がASA感度に連動し
下側が絞り値に連動します。
摺導抵抗清掃が終わったところで
本格的に基板周りやミラー周りの接点清掃・調整に取り掛かります。
ミラーアップは接点不良やハンダ不良が原因のことも多いのですが
基板内部品不良の場合もあります。
症状が出ないので考えられる部分の清掃・調整を行っていきます。

一通りの整備を終えた状態での写真です。
(レンズは当店のテスト用です)
いつみてもXEはカッコ良いですね。
露出計やオート露出は問題ない精度に整備されていますが
例のミラーアップがまだ出るのかどうか
少し時間を置きながらテストを行っていきます。

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コニカⅢのカメラ修理

今日、9月第3日曜日は「牡蠣むきの日」だそうです。
そういえば一昨年、広島から一人で食べるには
大量の殻付き牡蠣が送られてきて
ちょっと苦労しました。。。(汗)
とっても美味しかったのでいいのですが。。。
殻付きの牡蠣はそのまま網で焼いてしまうのが
お手軽だし美味しいですね!日本酒がめちゃくちゃ合います!
殻付をむくのはちょっとコツがありますが
慣れれば全然難しくないと思います。
「牡蠣むき」ではないのですが
広島や呉の沿岸部にはいたるところに
「牡蠣打ち場」が合って近くを通ると独特の強烈な匂いがするのです。
私にとっては懐かしい匂いですが
慣れてない人にはちょっとキツイ匂いかもしれません(苦笑)

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカの一般向け135フィルム使用カメラは
コニカⅠ、Ⅱ、Ⅲと続いていきますが
コニカⅢは1956年の発売となります。
独特のフロントレバーでの巻上が特徴的なカメラです
それまでのモデルはフィルム巻上とシャッターチャージは
別々に行わなければならないのですが
このⅢからは同時にできる(セルフコッキング)となりました。
後のカメラでは当たり前になるのですが
この時代ではまだまだシャッターチャージとフィルム巻上げが
別アクションのカメラは多かったのです。
レトロなデザインと使いやすさ、ヘキサノンレンズの写りの良さで
今でも非常に人気のあるカメラです。
私も個人的に1台所有しています
(出番があまりないのですが。。。(汗))

お預かりしているコニカⅢは非常に外装コンディションの良い個体です。
ただ、魅力のひとつである招き猫のような
巻上レバーに問題を抱えていて
巻き上げた後、元のポジションに自動で戻ってきてくれません。
単純にバネの力で戻る構造なのですが
バネが破損しているものと思われます。
加えてレンズシャッター機では定番のシャッター羽根の粘りを発症しています。

いつもシャッター羽根粘りの話が出ると書いてしまうのですが
シャッターの羽根が粘っている場合は
大なり小なり絞り羽根も粘っています。
シャッター羽根は粘って動けなくなると
シャッターを切っても開かないだけで
それ以上おかしなことになることは少ないのですが
絞り羽根が粘ってしまいて絞りリングが重い場合、
無理に絞りを動かしていると
羽根が外れてしまうだけではなく
絞り羽根を留めているピンが破損する場合もあります。
そうなると修理不能になる可能性もありますので
古いレンズシャッター機、あるいは古いレンズを使っている方は
絞り羽根の粘りにはご注意ください。

もともと外装はかなりキレイだったのですが
整備も完了し外装も仕上げ
相当良い状態になったと思います。
ファインダーもレンズも非常にクリアで
シャッターも絞りも非常にスムーズに動作しています。
もちろん巻上も非常に軽く
レバー操作が気持ちよく行えます。
コニカⅢの独特の巻上レバーは2回巻上です。
リズミカルに巻き上げていると
それだけでも楽しくなってくるカメラです。
是非ご依頼者様にも存分に操作と撮影を楽しんでいただきたいと思います。

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オリンパスM-1のカメラ修理

今日は「コスモスの日」だそうですよ。
気がつけばコスモスやヒガンバナの季節になりました。
コスモスはよく漢字表記で「秋桜」と書きますが
これは1977年にヒットした山口百恵さんの
「秋桜」からなのですね。
一般的にコスモスといえばオオハルシャクギクを指し
もともとは熱帯アメリカ原産で短日植物の代表格です。
コスモスといえばやっぱりピンクの花で
細くて華奢な茎で風にユラユラ揺れているのが
何とも秋らしくていいですねぇ。。。
今年もまたどこかで撮ってこなくては。。。

さてさて

本日は「オリンパスM-1」のカメラ修理を行っています。
毎回書きますが「M-1」=「OM-1」で
1972年7月の発売開始時には「M-1」だったのですが
「Mシリーズ」を既に展開していたライツ社からのクレームもあり
1973年5月に「OM-1」に改名されたという経緯です。
要は「M-1」は極初期の「OM-1」ということですね。
M-1として生産されたのは5000台ほどと言われています。
確かに数は多くないのですが、5000台の割には
比較的、中古市場でも見かけることが多いと思います。

お預かりしている「M-1」は
まず高速シャッターが開きません。
1/1000だとほぼ全体が真っ黒で
1/500だ視野の1/3くらいが
1/250で視野の2/3が何とか開くといった状態です。
さらにスローシャッターのテストをしていて気がついたのですが
先幕が走り終わった後も
先幕の金枠部分が視野内に少し残ったままになってしまっています。
「頭隠して。。。」の状態ですね。
後幕が走行したタイミングで収まるようですが
シャッター幕の動き(特に先幕)が非常に悪いようです。
他、定番のプリズム腐食のため、これは交換で対処します。
細かいことをいうと他にも事前チェックでわかっているのが
ミラーアップダイヤルを回してもミラーが全くアップしない
フラッシュはFP接点だと発光するがX接点だと発光しない。。。等々
色々問題を抱えています。

過去に配線腐食で露出計を修理した痕跡があり
電池室~SW部へのリード線が2箇所継ぎ足しされていました。
今回、ミラーボックスも当然外すので
配線も一緒に張り替えます。
シャッターの動きは軸の清掃等で改善されそうです。
フラッシュは接点不良でミラーのトラブルは
ミラーアップするステーが外れてしまっていました。
通常の各部点検整備一式で
また快適に使用できるようになると思われます。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今夜は八月十五夜(旧暦8月15日)で
「中秋の名月」ですね。
残念ながら曇り空で夜になっても
月は見られないかもしれないですが
曇りで月が見えない場合は「無月」
雨が降っていれば「雨月」と呼び
月が見えなくても何となく明るい様子を表す言葉もあるのですね。
旧暦は月の満ち欠けを暦にしたものですが
月の満ち欠けの周期は約29.5日のため
旧暦15日は必ずも満月にはなりません。
今年も十六夜の明日が満月となりますね。
もう少し季節が進むともっと月がキレイに見えそうですね。
来月の九月十三夜にも期待しましょう
八月十五夜の月に対して九月十三夜の月は
「後の月」とされ江戸時代の遊里では
どちらか片方の月しかみない客は
「片月見」と呼ばれ縁起が悪いとされたそうです。
十五夜に遊んだ客は翌月の十三夜も
遊びに行かなくてはならいのですね(笑)

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
名機「F2」に露出計内蔵の「フォトミックファインダー」を搭載したカメラです。
ニコンF一桁機は伝統的にファインダー交換式となっていますが
(F6を除く)
F2のフォトミックファインダーも4種類が存在します。
今回は一番最初に発売された「フォトミック」(無印)です。
LED搭載の「S」や「SB」は修理不能なことも多いです。
Ai化された「A」や「AS」も良いのですが
レンズに刻印された絞り値を直読する「A」や「AS」より
爪連動でファインダー内で絞り値を読む無印フォトミックの方が
絞り値は読みやすいですね。
露出計の有無も大きな要素ですが
フォトミックファインダーを組み合わせると
ファインダー内でSSと絞り値が読めることが便利かな。。。と
個人的には思います。

お預かりしている「F2フォトミック」は
先幕・後幕の幕速バランスが崩れていて
1/2000だとシャッターの走り終わり付近でほぼ閉じてしまっています。
このまま撮影すると写真の端が黒くなってしまうと思います。
1/1000でも同じような状況で
1/500だと何とか全体が写りそうですが露光ムラが出ると思われます。
整備前にもう一度、シャッターをチェックしてみると
高速シャッターでは気がつきませんでしたが
例えばバルブでシャッターを動作すると
レリーズボタンを押してまず先幕を走らせると
視野の端に先幕のシャッター幕の金具が少し出たままになってしまいます。
後幕が走りきったタイミングで一緒に引っ込むようですが
かなり幕軸の動きが悪いようです。
加えてF2お約束の電池室マイナス端子を留めている部分が
折れてしまっていて端子がグラグラです。
露出計は当然動きません。
これも露出計不動の原因ではあるのですが
今回はそれだけに留まらず露出計内部にも断線があるようで
フォトミックファインダーに直接電圧をかけても
露出計は全く動きません。

ボディ側の修理・整備は一通り完了し
ファインダーの整備・修理に取り掛かるところです。
ボディ側の電源供給やシャッターの不具合は
問題なく修理され快調に動作しています。
ファインダー内露出計不動の原因は接点の接触不良のようです。
露出計の精度やリング状の摺導抵抗の劣化に関しては
できる限りの整備・調整となりますが
これから本格的に取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は「宇宙の日」だそうです。
小学生の頃、星座や天体観測にめちゃくちゃはまった時期があって
その年齢にしては難しい天文関連の本を図書館で借りてきては読んで
夜になると6cmの屈折望遠鏡を引っ張りだして
夜空をよく眺めていました。
この頃、覚えたことは忘れないもので
未だに夜空を見ればある程度星座はわかります。
これから空気も澄んできて
星空を眺めるには良い季節ですね!
でっかい望遠鏡でアンドロメダ大星雲とか見てみたいですねぇ。。。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
エレクトロ35シリーズは1966年から70年代後半まで
モデルチェンジを繰り返しながら生産された
ヤシカを代表するレンズ固定式のカメラです。
今回は1966年に発売された初代のエレクトロ35です。
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指し
スローシャッターを制御しやすい電子制御シャッターを搭載し
45mmF1.7の大口径レンズを装備したカメラです。
もちろんレンジファインダー搭載で
露出は絞り優先オートで撮影するカメラです。
当時、使用される積層水銀電池「HM-4N」はエレクトロ35のために
メーカーに作らせたといわれています。

初期の電子制御シャッター機ということで
かなり気難しいところもあるのですが
意外と電子部品による修理不能は少ないカメラだと思います。

お預かりしているエレクトロ35は
電池室に緑青がたくさん付着しており
まずは電源が全く入りません。
電子制御シャッターが無事かどうかも現状では確かめようがございません。
まずはある程度分解してシャッターユニットに電源を直結して
動作状況を確認するところから始めます。

どうやらシャッターは精度はともかく作動はしているようです。
電池室内の緑青も問題ですが
マイナス側の端子に繋がっている配線は腐食でボロボロになっており
全く通電しない状況です。
シャッター羽根に粘りもあるようで
通常のSSだと見た目にはわかりませんが
バルブにすると羽根が開ききりません。
オート露出は全くまともに動作しておらず
LV15(ASA100・F16・1/125)の明るさでも
黄色ランプ(手振れ警告)が点灯し、1秒近いシャッターを切ってしまいます。
オート露出の不良は各接点やハンダの劣化もありますが
最大の原因はレリーズ下のゴムブッシュ劣化です。
以前にもエレクトロのブログで書きましたが
エレクトロ35シリーズは巻き上げるときに
「カツン」とレリーズ棒がバネで戻る音がします。
これがしないものはレリーズのゴムブッシュが劣化しており
オート露出はまともに制御できません。
今回のエレクトロも分解前に確認しておきましたが
巻上時に「カツン」音は全くしない状況でした。
実際にレリーズ下を確認してみると
ゴムブッシュは溶解した後でほぼ跡形も残っていませんでした。

いろいろ細かいトラブルもありますが
どれも想定内のものでした。
シャッターユニット整備、レンズ清掃、ファインダー清掃・調整と
各部点検整備一式を行っていきます。

初期のエレクトロ35のギラギラとしたシルバーが
太刀魚みたいで個人的に非常に好みです(笑)

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オリンパスペンEE-3のカメラ修理

今日は「公衆電話の日」だそうですよ。
1900年(明治33年)のこの日に
上野駅と新橋駅の構内に
日本初の自動公衆電話が設置されたそうです。
当時は自動電話と呼ばれていて
交換手を呼び出してからお金を入れて相手に繋いでもらうものだったそうです。
ダイヤル式で交換手を不要とする電話が登場してから
「公衆電話」と呼ばれるようになったそうです。
中学生くらいの頃は家で聞かれたくない電話は
10円玉をたくさん握り締めて
よく近所の公衆電話に行きました。
10円で3分、100円玉で30分(おつりは出ない)だったなぁ。。。
携帯電話なんてもちろんない時代で
お互いに家電だったからいろいろ大変でした。
最近年取ったせいかその頃のことを
よく思い出すのですよねぇ。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-3」のカメラ修理を行っています。
その名の通り3代目のペンEEで
発売開始は1973年です。
ペンEE-3は非常に長く製造され続けたカメラで
他のペンシリーズが次々と生産中止になる中で
1986年まで生産されました。
後から発売されたペンEF(1981年発売)が生産中止となった後も
生産が続けられたカメラです。
固定焦点でオート露出、巻き上げて構えてシャッターボタンを押すだけで
簡単に撮影ができるというセールスポイントでヒットしたカメラです。
ペンEEシリーズ全体としても
初代からEE-3まで基本的な構造やデザインを変えずに
25年に渡って生産され続けたカメラです。
それだけ最初の設計や考え方が優れていたということですね。

お預かりしているペンEE-3は
ご依頼者さまが2年余り使い続けているカメラで
愛着のあるものだそうです。
普通に使えていたのですが
最近、赤ベロ(光量不足のときにファインダー内に出る警告)が
明るいときにも出たままになりシャッターが押せなくなることがあるそうです。
お預かり時にすぐ気がついたのですが
赤ベロの件もそうですが
それよりもレンズ鏡銅全体がグラグラで何かの拍子に外れてしまいそうです。
こちらのほうが大問題ではないかと思われます。

改めてじっくり観察してみると
フィルム室から見えるレンズ・シャッターユニットをボディに留めている
4本のネジには全く緩みはございません。
。。。ということはシャッターユニットを留めているネジが
緩んでいるものと思われます。
ペンEE系はこのあたりのネジの緩みが非常に多いですね。

早速、分解してみると予想通りで
写真真ん中左にあるシャッターユニットカバーのネジ3箇所のうち
2箇所が外れていてゆるゆるの1箇所でかろうじて留まっている状態でした
(この間にシャッター羽根が本来あるのですが
写真では取り外してあり写っていません)
外れたネジのうち1本はシャッターユニットとボディの間で
発見されましたが1本は外に落ちてしまったのか見当たりません。
このネジが妙なところに挟まってしまうと
とんでもないトラブルに発展することもあるので
このくらいで済んでいてまだ良かったほうです。
おそらく赤ベロの作動不良もこれが原因なのではないかと思われます。
原因がわかったところでシャッターユニット、絞りユニットの整備
レンズ清掃等々を行い
オート露出やピントの調整を行っていきます。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は「温泉の日」だそうですよ。
大分県の九重町というところが制定した記念日で
町内に数多くの温泉があり「九重九湯」(ここのえきゅうとう)と
呼ばれたことが由来となっているそうです。
この日は九重町内の多くの温泉施設で
入湯無料なのだそうです。いいなぁ。。。
これから少し肌寒くなってくるといよいよ温泉シーズンですね。
去年は全く行けなかったから
今年こそ少しくらいは。。。日帰りでもいいから温泉に行こうと思います!

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
愛称は「リトル・ニコン」ですね。
それまでいわゆるエントリー機をほとんど作ってこなかった
ニコンが満を持して発売した
絞り優先AE専用のエントリー機です。
そのため、それまでのとにかく堅牢なニコン機と比べると
全くイメージが異なる部分も多いのですが
適度にコンパクトで軽くて使いやすいEMは
当時も市場に歓迎されヒット作となりました。
ジウジアーロデザインのちょっと丸っこいデザインも
それまでのニコンとは全く違うイメージですね。
絞り優先AE専用機ということで電子制御シャッターなのですが
エントリー機でも機会制御で動作する「M90」と「B」を装備しているのは
さすがニコンと思ってしまいますね。
私も個人的に非常に好きなカメラです。

お預かりしている「EM」は
まず巻戻し部のASA感度設定盤が外れてしまっています。
支えているのは巻戻し側の軸も支えている筒状の部品ですが
EMは軽量コンパクトなローコスト機ということもあり
ここが樹脂製なのですね。これが折れてしまっています。
何らかの無理な力が加わってしまったものと思われまが
こうなると中古部品と交換するしか手段はございません。
ここが破損してるのは比較的めずらしいですが
これよりもEMは巻戻しクランクの円盤が
破損しているものを非常に多く見かけます。
経年劣化で脆くなっているせいもありますが
動かない状況でちょっと無理に回転させると簡単に割れてしまいます。
まぁ、これも樹脂製だからしかたがないのですが。。。
今回はその部分は無事でほっとしました
(当店の部品取り用のEMはことごとく巻戻しクランク部が
使われてしまって既にない状態なので。。。(汗))

他、電池室及び配線の腐食があり
電源が非常に不安定です。
さらにEMではめずらしいのですが
プリズム腐食がありファインダー視野真ん中に
横線が入ってしまっています。
プリズムは交換で対応します。

1980年発売の電子制御シャッター機なので
しっかりフレキで覆われています。
まだ取り掛かったばかりですが
下に転がっているのが破損してしまっている
巻戻し部の樹脂部品です。
これから分解を進めて本格的に整備に取り掛かっていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「白露」です。
季節はいよいよ秋に移り始め大気も冷えてきます。
夜間に気温が下がり、
大気中の水蒸気が草花に朝露となってつくようになります。
光によって白く見える露ができ始める頃という意味で「白露」と言うそうです。
空を見ても少しずつ秋の高い空に近づいている気がします。
日によってはまだまだ暑いですが。。。
ところで今夜、関東は台風の直撃を受けそうです。
猛烈な風雨が予想されていますので
皆さま本当にお気をつけください。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
同年にF-1とFDレンズが発売されており
従来のFTをFDレンズ対応として
開放測光になったものがFTbです。
それだけではなく内部の基本仕様はF-1と共通の部分も多く
色々な意味でFTからブラッシュアップされています。
しかしながら外観はF-1ではなく
従来のFTのイメージを引き継いでいるのも良いと思います。
機械制御の布幕横走りシャッターで
少々重いですがその分、非常にしっかり造られています。
この当時のキヤノンお得意のQL(クイックローディング)を装備し
フィルム装填は当時の他のカメラに比べて随分楽にできます。

FTbには1973年にマイナーチェンジを行います。
巻上レバーに指当てを装着し
セルフタイマーレバーもF-1に近いものに変更され
シャッターボタンも変更されています。
最大の改良点はファインダー内にシャッタースピードが
表示されるようになりました。
マイナーチェンジ後のモデルはFTb-Nとも呼ばれます。

今回、お預かりしているのもマイナーチェンジ後の「FTb-N」です。
もともとご依頼者様のお父さまが使われていたカメラだそうです。
外観の状況で何となく予想できるのですが
丁寧に大切にかなり使い込んでいるカメラかと思われます。
ご依頼者様の小さな頃の写真もこのFTbで
相当な枚数を撮っているのではないかと思われます。
さすがにここ10年くらいは全く使われずに
仕舞いこまれていたものと思われます。
まず、高速シャッターは開きません。
先幕と後幕の動きのバランスが崩れてしまっているようです。
スローシャッターはスローガバナが固着気味で
何度かシャッターを切っていると
たまにミラーアップしたままになってしまいます。
露出計はわずかに反応するもののほぼ不動です。
後から気づいたのですがミラーも外れかかっているようです。
この時代の80年代以降の普及機と違って
一眼レフのミラーは接着剤で付けてある上に
金具でずり落ちないように固定してあるので
ミラーがずりおちることはまずないのですが
ミラーを清掃しているとズルッとミラーが動いたので気がつきました。
もちろん再接着し、ファインダー上のピントも再調整します。

まだ上カバーを開けただけの状態です。
FT系ならではの露出計連動のノコギリ歯が見えていますね。
これから分解を進めて
シャッター幕軸、スローガバナー、ミラー駆動部あたりの整備から取り掛かります。

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