日別アーカイブ: 2020年12月24日

ペンタックスSPFのカメラ修理

少し早いけど「メリークリスマス!」ですね。
毎年同じことを書きますが
イヴ(eve)は「夜・晩」を意味する古語「even」から来たもので
「クリスマスの夜」という意味です。
キリスト教会暦では日没が一日の始まりで
クリスマスは24日の日没から25日の日没までとなるので
その間の夜である24日の夜のことを「クリスマス・イヴ」と呼ぶのですね。
決して「クリスマス前夜」という意味ではなくて
今日の日没から「クリスマス当日」なのですよ~
だから数年前から23日を「イヴイヴ」って呼ぶのは
おっかしいよなぁ。。。なんて静かに思っていました(苦笑)
某国内ヘヴィメタバンドの記念すべきデビューアルバム
『THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜』も
ちょっとおかしな訳になっているのか。。。(笑)
いやケチつけているわけではないですよ。名盤中の名盤です!
話が少しそれました。。。
「バテレンの行事だから関係ないよ」って思うのもわかりますが
(うちのじいさんも昔そんなこと言ってた
でも毎年サンタは来てくれてたよ)
もはやクリスマスはお祭りみたいなものなので
楽しめる人は存分に楽しんじゃいましょう!
え?私?私は今日は普通のいつもの木曜日ですよ(汗)
でもクリスマスが終わるとすぐに年末ですね。
今年の仕事も今日を含めても残り5日間です。

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットした「ペンタックスSP」の後継モデルです。
SPのデビューは1964年でその頃にはまだ
TTL露出計(ファインダー内測光の露出計)自体がめずらしく
SPは世界で2番目に発売されたTTL露出計内蔵カメラでした。
それから時代は流れSPのようにファインダー内を
実際の撮影時と同じ明るさに絞り込んで測光する
「絞込測光」から測光時も絞りは開放のままで
明るいファインダー像のまま測光できる「開放測光」へと
TTL露出計は進化していきます。
絞込測光を使ったことのある方ならお分かりかと思いますが
F11やF16に絞り込んだファインダーは非常に暗く
とてもとてもその状態でピント合わせは行えません。
先にピント合わせを完了しておいて測光するか
測光が終わった後に再び絞りを開放にしてピント合わせを行うか
作業を切り離して考える必要がありました。
そのため便利な開放測光が多勢を占めていくことになります。
。。。という背景もあり
SPの後継機であるSPFには「開放測光」の可能なカメラとなりました。
しかし開放測光を行うにはレンズの絞りリングがどこに
設定されているか露出計側に伝達させる必要があります。
M42マウントにはそんな伝達機構は元々ありません。
そこで絞り情報伝達機構を加えたペンタックスSMCタクマーレンズ群を
使用することにより開放測光を実現しました。
(SMCタクマー+開放測光自体は先に「ES」でデビュー済み)
従来のM42レンズ使用時には絞込測光で測光します。
露出計周り以外の機械的構造は基本的にはSPと同様です。
ただ細かい部分ではいろいろとブラッシュアップされており
より使いやすく安定した動きのカメラです。

とはいえ。。。寄る年波には勝てません。。。
お預かりしているSPFも
どこかが大きく破損しているわけではありませんが
経年劣化によるいろいろなトラブルを抱えています。
まず定番のプリズム腐食です。
プリズムに遮光のためにぐるりと外周に貼られている
モルトが加水分解し、プリズムの蒸着面も剥離してしまいます。
こうなるともはやプリズム交換または再蒸着しか手段はございません。
当店では再蒸着は行っていないので
中古良品のプリズムと交換で対応します。
ちなみにSPとSPFではプリズムのサイズが少し異なり
互換性はございません。
(SPFのプリズムのほうが少し大きい)
次にこれも定番と言えるミラーアップです。
今回もミラー駆動部のトラブルではなく
シャッター幕走行不良が原因かと思われます。
目視でも明らかに幕速が遅く感じます。
当然、この状態ではSSの精度は全く出ていません。
ここで無理矢理テンションだけあげて応急処置する方も
いらっしゃるようですが長続きしない上に
確実に幕軸のバネを傷めるので止めていただければと思います。
バカになったバネはもう元には戻りません。
走行不良はバネさえしっかりしていれば
幕軸をしっかり清掃して
注油を行うことでほぼ復活できます。
今回は妙な分解品ではないのは明らかなのでその点では安心です。

その他、ファインダーや装着されている
SMCタクマー55mmF1.8レンズは盛大にカビが発生しています。
こちらもできる限り清掃を行っていきます。
まだ現状チェックを行っただけで
上の写真も預かったままの状態で撮ったものですが
外観は非常にキレイです。
長年大切にされていたものだというのがよくわかります。
たとえ使っていなくても(逆に使っていないから)
動きが悪くなったり劣化が出てくる部分はたくさんあります。
今回、しっかりリフレッシュして昔と同じように
気持ちよく使えるように整備を行っていきます。

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