今日は1月7日
「人日の節句」で「七草粥」を食べる日ですね。
数十年食べた覚えがないですが。。。(苦笑)
さらに「七草の日」に関連して
「爪切りの日」とされています。
「七草爪」と呼ばれ、この日に爪を切ることが昔から決まっています。
七草を浸した水、または七草をゆでた汁に爪をつけ、
柔らかくしてから切ると、その年は風邪を引かないと言われています。
風邪だけではなくて新型コロナにかからないようになれば良いですねぇ
七草をゆでた汁は用意できませんが
あとで爪を切ることにしましょう
子供の頃は1月7日と言えば「三学期の始業式」でしたねぇ
冬休みが終わる寂しさもありますが
学校に行けば面倒くさいことも多いけど
それ以上に楽しいこともあるかも。。。とワクワクして行ったものです(笑)
さてさて
本日は「キヤノンⅣSb」の」カメラ修理を行っています。
キヤノンのレンズ交換式レンジファインダー機は
1934年の「カンノン」に始まり
32年間で40モデルが作られています。
大きく3世代に分けることも多く
「カンノン」をベースにした終戦直後までのモデルが第一世代
1946年のSⅡ型からⅣ型までが第二世代で
ここまでがいわゆるバルナックタイプコピーと言われるカメラです。
そしてⅤ型から7型までが第三世代となります。
「ⅣSb」は第二世代の完成形ともいえるモデルで
いよいよライカに匹敵するカメラが
キヤノンからも出たと言われたモデルです。
ベンチマークとされた「ライカⅢf」を
超えるカメラを目指して作られました。
キヤノンお得意の変倍ファインダーの
一眼式ファインダーを装備し
35mm判カメラとしては初のX接点も装備しています。
使い勝手の面では確実にライカを超えたといってよいと思います。
ボディの造りこみや機能精度も高度なレベルでバランスが取れており
当時のキヤノンの技術力を忍ばせるカメラです。
高価なカメラながら大ヒットし
後継のⅣSb改と合わせて35000台以上が生産されています。
そんな輝かしい実績を持つ「ⅣSb」ですが
さすがに登場から68年も経過するカメラなので
なかなか程度の良いものも数少なくなってきたように思われます。
特に当時からたいしたメンテナンスもされていないものは
シャッター幕の劣化が顕著に見られ
穴や破れがなかったとしても
ガチガチに硬化してしまい
まともにシャッターが動作しないものも多く見られます。
ただ、機構としてはシンプルな機械制御のカメラで
ファインダープリズムの劣化とかは
どうにもならない部分はありますが
シャッター幕は交換してシャッターの整備もきちんとやれば
全く問題なく使えるものもまだまだ多く存在すると思います。
お預かりしている「ⅣSb」は過去にシャッター幕交換を
明らかに行っており幕そのものはまだしなやかで
劣化も全く見られないのですが
交換時の施工が悪く幕本体を引っ張るリボンが
切れた状態になってしまっています。
リボンのみ交換するくらいであれば
一思いに幕ごと交換しても工数はそれほど変わりませんし
気持ち的にも安心度合いが違います。
さらにリボン部分だけではなく幕接着部等も
あまり良いとはいえない状態だったので総合的に判断し
今回は幕交換を行うことになりました。
少し話がそれますが
今回のⅣSbは問題なかったのですが
最近拝見するバルナックタイプのカメラで
シャッタスピードを確保するために
やたらと幕テンションを高くしている個体を多く見かけます。
シャッタースピードテスターで測定すれば一目瞭然ですが
幕速が異常に早く設定されています。
幕軸の汚れ等や幕の状態が悪いために
シャッターがスムーズに走行できない状態のものを
無理矢理とりあえず最高速で開くようにしたのだと思われますが
これをやられると幕軸のバネがバカになって
いくら幕軸の清掃や幕交換を行っても
まともな精度でSSがでなくなります。
衰えたご老体に鞭打つような調整は
本当に控えていただければと思います。。。
先日も一見問題の少なそうなⅣSbが
幕軸バネがテンション上げすぎで酷い状態になっており
修理不能で返品せざるを得ない案件がありました。。。
今回は前回の幕交換施工があまりよろしくなかったことが
原因でのリボン切れトラブルでしたが
そんなに無茶な設定をされているわけではなく
再度の幕交換の上、幕軸のメンテをきちんと行い
適度なテンションで調整させていただくことで
ⅣSbのセールスポイントの一つでもある
最高速1/1000のSSもまずまず良い精度が出ています。
1/1000として全く問題なく使っていただけるレベルで精度は出ています。
いろいろな部分の動きがスムーズになったおかげで
シャッター音もより静かになり
巻上もスムーズです。
ご依頼者様には改めて当時のキヤノン最高級機の使い心地を
堪能していただきたいと思います。
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