ニコマートFTnのカメラ修理

今日は「宇宙の日」だそうですよ。
1992年のこの日に毛利衛さんが
日本人として初めてアメリカ航空宇宙局(NASA)の
スペースシャトル・エンデバーに搭乗し
宇宙へ飛び立ったことが主な由来となっています。
まぁ、私が生きている間は
地上から星空を眺めるくらいしかできないでしょうが
それだけでも宇宙の不思議さや美しさは堪能できますものねぇ
しばらく満天の星空なんて見ていませんが
空の暗いところで一晩中眺めていたいですねぇ
ところで、こういう話になるといつも思うのですが
地上から3000mも離れれば
もう少しばかり人体に影響が出るほど酸素が薄く
80000mも離れれば「デス・ゾーン」なんて呼ばれるほど
危険な領域になるわけです。
それって地表面の大きさから考えたら
人が生きていける領域ってめちゃくちゃ上下に薄いエリアなのですよね
8000mって確かに高所ですが、たった8kmですよ
平地だと新宿から品川くらいの距離です
それでも8000mというとエベレスト含むヒマラヤの一部か
飛行機でないとたどり着けない領域なのですが…
ちなみに空と宇宙の境界線は「カ-マン・ライン」と呼ばれ
海抜100km(10万m)です、
100kmというと地上だと新宿から熱海あたりまでの距離です。
個人的には100kmというと
広島から浜田までの距離と言われると結構ピンときたりします(笑
どちらにしても意外と近いような気がしませんか?
確かに地上での話と重力に逆らって空に向かうのでは
全く状況が異なるのですが。。。
でもそんなことを考えたり調べながら空を見上げると
少し宇宙が身近なものに感じられるような気がします。

さてさて

本日は「ニコマートFTn」のカメラ修理を行っています。
1967年発売のカメラです。
この辺のカメラって個人的には「少し前の型のカメラ」って
イメージがいまだに捨てきれないのですが
もう50年以上経過しているのですよねぇ
そりゃ私もじじいになるわけだ…(笑
「F」がフラッグシップの時代の中級機です。
ニコマートシリーズ全般がそうなのですが
「F」よりもお求めやすいカメラにするために
コパル製シャッターユニット等々、汎用部品を使って
コストダウンをいろいろと試みていますが
ニコン基準の品質を守るため開発製造はニコンで行われていました。
その努力の甲斐もありニコマート…特に機械制御シャッターである
ニコマートFT系は非常に堅牢性の高いカメラです。
特に巻上やコパルシャッターは水没品やショック品でない限り
完全に動かなくなることがめったにないのでは…と思われます。
大きくて重くて騒々しいカメラではあるのですが
この頑丈さだけは特筆できると思います。
OM-1あたりとかのカメラとは正反対の考えで作られたカメラです。
「FTn」はいつも書きますが
開放F値補正操作(いわゆるガチャガチャ)を採用し
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定ができるようになりました
いちいちダイヤルで合わせる必要がなくなったのは大きな進歩ですね。
細かいところまであげるとこの「FTn」から
露出計は「平均測光」ではなく「中央部重点測光」になりました。

先述したように基本的には非常に丈夫なカメラです。
動かさずに保管されていた期間やその環境にもよりますが
細かい精度はともかくシャッターが切れないなんてことは
あまり起こらないカメラです。
たまにミラー駆動部に粘りが出ているものを見かけるくらいです。
そんな状況もあり
ニコマートFT系のトラブルの多くは露出計関連に集中しています。
今回お預かりの「ニコマートFTn」も
シャッターや巻上は油切れのため少々異様な重さはありますが
とりあえずは動作しています。
ガチャガチャはたまに空振りするようで
3回に一度はセットされませんが
これも単に汚れ等で粘っているのだと思われます。
露出計も一応は動作しているのですが
少しその動きが妙な状態です。
たとえば非常に明るい光にあてて
露出計指針がいったん大きく振り切ったとします。
で、絞り・SSを調整して指針を真ん中に持って来ようとするのですが
何段分も動かしても指針は全く動かず
何かの拍子に大きく動いて今度は行き過ぎていまうという動きをします。
指針が上下端に貼り付いてしまういわゆる「吸い込み」ではなく
(「吸い込み」もニコマート系は多いのですが)
指針がたとえ真ん中にあっても何段か大きく動かさないと
指針がなかなか反応しません。
要は1段、2段動かしたくらいでは変化してくれない状況です。
これではとてもとても正常露出に合わせることはできません。
露出計本体の原因かと予想されますが
場合によっては露出計本体の交換で対応していこうと思います。

まだ現状チェックを詳しく行っている段階です。
おそらくご依頼者様のご自宅で
長い間眠っていた個体かと思われますが
ボディの外観等は非常にコンディションが良く
現役で使われていた頃にも
かなり丁寧に扱われていたことが想像されます。
おそらく十数年もしかすれば数十年ぶりに
フィルムを入れられることになるのかもしれませんが
現在の景色もそのレンズを通して
焼き付けていただきたいと思います。
元が頑丈なカメラなのでまだまだ現役で大活躍できると思います。

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