今日は「歩道橋の日」だそうですよ。
1963(昭和38)年のこの日に
大阪駅前に日本初の横断歩道橋が完成したことに由来しています。
東京で初めての横断歩道は
同じ1963年の9月10日に五反田駅前に完成したのだそうです。
意外と近年ですよね…私が記憶がある頃には
もう近所に歩道橋が何か所もありました
急激に全国に普及したのですね…
家から一番近い歩道橋は歩いて1分もかからないところにあり
小学校の通学で毎日通り
夕焼けのキレイな日には歩道橋の上から呉港方面を眺め
夏の呉海上花火大会の日もこの歩道橋の上から
何度も眺めました。
今でもちゃんと健在です。長らく渡っていませんが…
歩道橋は交通事故を大きく減らすことに貢献したそうです。
しかし、その一方で自動車を優先し
高齢者や障害者などの歩行に
大きな負担を強いるものだという批判もあったのだそうです。
そうそう、子供の頃は歩道橋渡ることなんて
何とも思っていなかったけど
今、実際に歩みが少し不自由になってみると
歩道橋ってしんどいのですよねぇ…渡れなくはないのですが…
さてさて
本日は「ペンタックスMX」のカメラ修理を行っています。
1976年11月発売のカメラです。
小型化を大きく進めた「ペンタックスMシリーズ」の
最初のモデルとなったカメラですが
最初に出た割にはシリーズ内では実は異端児的なモデルで
その1ヶ月後に発売された電子制御機「ME」のほうが
「Mシリーズ」の中核を担うモデルでした。
「Mシリーズ」の大きな目標は「小型化」と同時に
「電子化」でもあり
従来の機械制御式横走りシャッター機は
既に貴重な存在になりつつありました。
実際に「MX」以外の「Mシリーズ」のモデルは
「ME」がベースとなり
その後の「Aシリーズ」のベースともなっていくのですが
「MX」だけは取り残された形になり
後継機も開発されないまま純然たる機械制御シャッター機としては
ペンタックス最後のモデルとなってしまいました。
コンパクトな機械制御シャッター機というジャンルでは
実質このMXとOM-1の2機種の独壇場で
後発のMXはこのジャンルで既に大きな成功を収めていた
OM-1を相当に意識して開発されたカメラだと思われます。
OM-1同様に小型化するためにあらゆる部分に工夫や
独特の構造がみられその上露出計は整備するには厄介な
LED式ということもあり
修理整備の難易度としては高いカメラかと思います。
お預かりしている「MX」はもともとご依頼者様のお父様が
購入したカメラでご依頼者様がお生まれになった記念に
買われたものだそうです。
ということはご依頼者様の写真をこのMXで相当たくさん
撮られているはずですね。
そんな思いでの詰まったMXですが
さすがに近年は使われずに仕舞い込まれたままになっていたらしく
その間にいろいろなトラブルを抱え込んでいるようです。
まず保管時に電池が入れたままになっていたと思われるのですが
電池室裏の端子、そこから伸びる配線、繋がる電子基板に至るまで
盛大に緑青が発生しておりもちろん通電できない状態になっています。
露出計はもちろん動きません。
シャッターもスローガバナは固着しており
高速シャッターのバランスも全く話にならない状態で
とてもとてもこのままではまともな写真が撮れない状態です。
シャッターだけではなく巻上から裏蓋の開閉まで
いろいろな部分で動作不良が起きてしまっています。
電池室・露出計周りの緑青や腐食には少々苦労しましたが
シャッターや巻上・ミラー駆動は
致命的な破損があるわけではなく
とにかくスムーズに動けるように
抵抗になる古い油や汚れを取り除きひたすら清掃を行います。
その上で最小限の注油を行い
あとは微調整を繰り返すことで本来の動きを取り戻します。
画像は一通りの整備が終わって少し様子見の状態ですが
見違えるほど動きはよくなりました。
MXのシャッターは少々厄介な傾向が合って
先幕と後幕の幕速バランスがやたらと崩れやすい傾向があります。
そのため1/1000が開かない、高速シャッターで写真の片方が黒くなる…
というトラブルがかなりの頻度で発生します。
同じような構造のシャッターを持つOM-1でも同じようなトラブルはありますが
MXのほうが圧倒的にその頻度が高いような気がします。
OM-1以上に定期的な整備が必要なカメラだとは思います。
それでも一度、きちんとしっかり手を入れてやれば
また当分の間は安定して動作できると思います。
今回のMXも当分安心して使える状態になったと思いますし
今度はご依頼者様の手で
いろいろな思い出を切り取っていただければと思います。
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