キヤノンⅡS改のカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
1608年のこの日に
オランダの眼鏡技師ハンス・リッペルハイが
凹レンズと凸レンズを組み合わせると
遠くの物が近くに見えるという望遠鏡を発明し
特許を申請するためにオランダの国会に
書類を提示したことが由来となっています。
しかし、原理があまりにも単純で
誰にでも作れそうだという理由で
特許は受理されなかったそうで
その代わりにオランダの政府から
報酬を得ることができたのだそうです。
カメラの望遠レンズも原理としては同じですね。
望遠鏡といえば私がまだ幼稚園児だったころに
ある日、突然なにを思いついたのか
じいさんがビクセンの6cm天体望遠鏡を買ってきて
家の窓から灰ヶ峰の頂上とかを見せてくれました。
展望台に上っている人の姿まで見えて感動したのをよく覚えています。
夜になると月とかを見せてくれたなぁ…
ばあさんは「なんでこんな小さい子に望遠鏡なんよ!高いのに!」って
随分ご機嫌斜めでしたが…(笑
その天体望遠鏡のおかげで小学生高学年の頃には
星空を見上げてはいろいろな天体や惑星を追っかけてました。
ただ当時の赤道儀は全くもって使いこなせませんでしたねぇ(笑
まず極軸合わせすらできなかったし…

さてさて

本日は「キヤノンⅡS改」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「バルナックコピー」と言われるカメラですね。
キヤノンの始まりも1930年代にこのタイプのカメラからです。
1950年代にかけてキヤノンの独自性も盛り込みながら
いろいろなモデルが発売されています。
ただこれがモデル刻印等も本体にはなく
非常に判別が面倒なカメラです。
修理する立場で言えば構造的にはどのモデルもそれほど
大きくは変わらないのでモデル名はなんでもいいのですが…

今回お預かりしているのはおそらく1955年発売の
「ⅡS改」だと思われます。
このタイプのキヤノン機で最高峰とされる
「ⅣSb改」の普及モデルという位置づけのカメラです。
基本的な構造・仕様は「ⅣSb改」と同様で
SS最高速が1/1000から1/500へと変更され差別化されています。
かなり高価だった「ⅣSb改」に比べ1割程度お安い設定だったそうです。
仕様が「ⅣSb改」と同様ということで
SS最高速こそ1/500ですがスロー側は1秒まで搭載し
いわゆる倍数系列となっています。
もちろん「B」「T」も装備します。
ファインダーは一眼式でキヤノンお得意の
可変倍率ファインダーを搭載しています。

お預かりしている「ⅡS改」は
まずもってシャッターが全く切れません。
この時代のフォーカルプレーン機は大抵の場合がそうですが
やはりシャッター幕が激しく劣化+硬化しており
シャッターは全く動けない状態のようです。
何はともあれシャッター幕を交換しないとどうにもならない状況です。
もちろん幕軸を始め各部の動きも悪いですが
巻上軸にも問題があり
巻上が空回りしてしまっている問題もあるようです。

画像は一通りの修理整備が完了した後のモノです。
巻上からレリーズに至るまで非常にスムーズに
動作するようになりました。
低速から高速までシャッターの精度も全く問題ございません。
ファインダーも非常にクリアで
距離計の精度も問題ない状態です。
このタイプのカメラはフィルム装填等に面倒な部分もございますが
そういう部分も含めて使っていて非常に楽しいカメラだと思います。
キチンと整備されてスムーズに動作する機体だと
尚のこと撮影を楽しめると思います。
今回のご依頼者様にも存分にお楽しみいただければと思います。

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