月別アーカイブ: 2020年8月

ミノルタSR-7のカメラ修理

今日は8月17日で
「パイナップルの日」だそうですよ
めねんちゃくちゃ暑い日が続く中
冷えてジューシーなパイナップルは本当に合いますね!
実は8月1日にも「パインの日」で
同じようなことを書いていますが
美味しいから何度でも書きますよ(苦笑)
さすがに私みたいな一人暮らしだと
丸ごとのパイナップルは持て余しますが
どこのスーパーにもカットしたパイナップルが売っていて
本当に気軽に買ってすぐ食べられます。
この季節だと桃の上品な甘さも捨てがたいのですが
パイナップルの濃い甘さはわかりやすく美味しいです!
明日は定休日だし今日も後でスーパーに
桃やカットパインを買ってこようと思います。
真夏の果実ってどれもこれも本当に美味しいですよねぇ。。。

さてさて

本日はミノルタSR-7のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
世界初のCdS受光素子を使った露出計を内蔵したカメラです。
まだいわゆるTTL測光ではなく外光式で
受光素子用の窓が巻き戻し側前面に付いています。
前身モデルはSR-3で何故一気に「7」になったかというと
マイナーチェンジを含めれば
通算7代目のミノルタ一眼レフカメラだという理由と
(いやこれ結構無理があるような気が。。。
毎年のように小さな仕様変更してたから7代目より多いと思いますが。。。。)
同じ時期に発売されたレンズ一体式カメラ「ハイマチック」が
米国の宇宙船「フレンドシップ7号」に持ち込まれ
撮影に使われたことをアピールする狙いがあったそうです
(こっちが主な理由でしょうねぇ)
ちなみにハイマチックは初代の次がいきなり「7」です(笑)
これ以来、ミノルタにとって「7」のモデル名は
ちょっと特別な存在になっていきます。

お預かりしている「SR-7」はシャッターが切れません。
少し前までは普通に作動していたとのことなのですが。。。
巻き上げてレリーズボタンを押すと
どこかで「カシュン」と何かアクションは起きるのですが
ミラーも上がらず、シャッターも動きません。
分解する前にある程度不具合箇所の予想をつけておきたいので
いろいろとチェックしていると
絞込レバーが動かないことが原因のようです。
レンズに連動する絞込レバーをレリーズボタンを押した状態で
指で押し込んでやると「カシャン」とミラーが上がり
シャッターが切れました。
レリーズと連動して絞込レバーの解除はされるようなのですが
肝心の絞込レバーを引っ張るバネが折れたか外れたかしているようです。
こんなところのバネがトラブルのはめずらしいですね
まぁ50年近く経過するカメラなので何が起こってもおかしくはないのですが。。。
しかしながらこのバネのいる場所がちょっと厄介なところです。
シャッターユニットの下にあるので
結構な分解を行わないとアクセスすらできません。
どちらにしても分解する部分ではあるのですが。。。。

SR-7はこう見えて分解組み立ては
前モデルの「SRー3」や次モデルの「ニューSR-7」より
非常に厄介です。
オリンパスほどではないですがミノルタも
独自性の高い構造をしているカメラが多く
このSR-7で採用している
「ユニット式横走りシャッター」もそのひとつです。
ミラボックスを外すとシャッタユニットまで一緒に外れます
さらに外光式露出計の連動糸もあるのでなかなかややこしいです。
このユニット式の横走りシャッターは
さすがにこの時代では無理も多かったのか
「SR-1」の一部モデルからいろいろ試行錯誤していたのですが
「ニューSR-7」では採用されず
その後のSR-Tシリーズでも採用されることはありませんでした。
しかしながら「X-700」の時代には再び採用し
横走り機なのにユニット化され
生産効率を非常に高めたのではないかと思われます。
(通常ユニット化されるのは縦走りシャッタ機が一般的)
頑固にあきらめていなかったのですねぇ。。。
この姿勢には見習うところがあると思います。
ただ、この時代のSR-7の整備性にはちょっと問題ありますよ(笑)
肝心の絞込レバーバネは外れてしまっているようです、
その周辺の部品の動きも非常に悪いので
何かのタイミングで外れてしまったのではないかと思われます。
シャッターユニット、巻上部の整備を
入念に行ってから再組立てしていきます。

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キヤノンⅡBのカメラ修理

今日まで「お盆休み」の肩も多いのではないでしょうか
ちょうど日曜日ですし16日は送り火の日ですものね
ここでも何度か書いていますが
私は霊魂とか死後の世界なんてもの+宗教は
全く信じていないので
今となってはお盆の行事ごとそのものには
全く興味はありませんが
やはりお盆と言えば子供の頃の
夏休みのクライマックスだったような気がします。
じいさんが8人兄弟の長男だったので
私が幼いころにはお盆になると狭い借家の実家に
親戚が結構来るのですよね
よく知らない人やたまにしか会えないおじさんとか
家の中が一気ににぎやかになって楽しかった覚えがあります。
そういう意味ではお盆行事も悪くないかもしれません。
今となっては私の甲斐性のなさもあり
親戚付き合いどころか
親族が誰もいなくなってしまいましたが。。。(笑)

さてさて

今日は「キヤノンⅡB」のカメラ修理を行っています。
キヤノンがレンジファインダーカメラメーカーとして
礎を築いたのはやはり一連のバルナックコピー機だと思います、
その中でも「ⅡB」はその後のキヤノン機の大きな特徴ともなる
変倍ファインダーを初めて搭載したカメラです。
1946年発売のS2型で一眼式ファインダーを搭載し
それだけでも使い勝手が大きく進んでいましたが
(通常このタイプのカメラの多くは
ビューファインダーとレンジファインダーを別個とする
二眼式が普通でした)
その3年後の1949年発売の「ⅡB」で
凹凸レンズとプリズムを駆使した可変ファインダーを搭載します。
倍率は50mmレンズ装着時に使用する0.67倍
100mmレンズに対応する1.0倍
135mmレンズに対応する1.5倍の3段階切り替えが可能です。
一眼式ということもあり望遠レンズ装着時には
特にピント合わせが行いやすいと思います。
ギミック的にも楽しいですし実際に非常に便利です。
これ以降、バルナックタイプのキヤノン機は
この変倍ファインダーが基本的に採用されます。
シャッターの最高速は1/500で
低速側も1秒まで装備され十分現在でも通用するスペックです。
組み合わされて発売されていたレンズは
キヤノンセレナー50mmF1.9で
新型の大口径レンズでした
今回お預かりしているⅡBにもこのレンズが付いています。

キヤノンでもニッカでもレオタックスでもそうですが
この時代のバルナックコピーのカメラと言えば
基本的に幕交換が前提となります。
一度も幕交換が行われていないもはもちろんですが
一度は交換されているにもかかわらず劣化してるものも結構存在するようです。
今回は一度も交換された過去のない個体のようで
シャッター幕はガチガチのシワシワで
とてもまともに動く状態ではございませんでした。
今回はちょっとした罠(?)が仕掛けてあって
新しい幕の貼り位置も採寸も全く問題ないのに
最高速でシャッターが開かなくなるという現象が起きました。
よくよく調べてみると調速カムの後幕蹴とばし部分が
過去に細工されていてこのせいで開かなくなってしまっているようです.
正しい状態になるように細工しなおして
事なきをえましたが、おそらく幕がある程度硬化して
SS精度が出なくなったときに無理矢理合わせたのだと思われます。
いまやもちろんそんな小細工は必要ありません。

シャッター幕以外にもう一つ大きな問題があり
下カバーに何かが噛みこんでいるらしく
全く開きません。
スプールを無理矢理反対側に突っ込んでしまったのかとか
予想していましたが噛みこんでいたのは
切り出した長巻フィルムを入れるための
純正パトローネでした。
挟み込んで回らなくなった開閉レバーを
相当な力で回そうとしたのかレバー内側は激しく変形していました。
いつも書きますが力任せはやめましょう(苦笑)
大抵の場合でトラブルを深刻化させるだけです。。。
レバー変形部は何とか修正できましたが
このキヤノン純正パトローネはもう使用しないほうが良いと思います。

同じようなフォーカルプレーンシャッターでも
ミラー駆動が存在しないので当たり前なのですが
非常に上品な「コトン」といったシャッター音は
本当に気持ち良いですね。
日頃、一眼レフを扱うことがやはり多いので
この感覚は本当に新鮮です。
私は日本人で国産品びいきだから
いくら本家がライカだとわかっていても
この時代の国産レンジファインダー機は大好きです。
バルナックタイプも実用品として
個人的に1台持っておきたいと以前から思っていますが
なかなか縁がないですね。やっぱりキヤノンが良いかな。。。

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ミノルタSR505のカメラ修理

今日は「山の日」で祝日ですが。。。
「焼き鳥の日」でもあるのですよ!
夏の暑い日でも焼き鳥は美味しいですよねぇ
もちろんキンキンに冷えたビールが必須ですが。。。(笑)
基本的にはたれより塩で味付けされたものが好きで
特に皮が大好きです。カリカリになっているとさらに好きです!
もちろん、正肉(もも・むね)、ハラミ、ボンジリ
ネギマ、ナンコツ、ハツ、ズリ、レバー。。。
どの部位も押しくて苦手なものはありません
まぁこれが本当にビールに合うのですよねぇ
ちなみに明日11日(火)から当店もお盆休みで
15日(土)までお休みをいただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが
休み中どこかで焼き鳥も食べに行ってこようと思います。
あまり集団のお客さんがいなさそうな
ちょっと高級なお店でも行ってみようかな。。。(苦笑)
売上。。。というか回収があまりよろしくないので
閉めている場合でもないのですが
この時期は開けていても変わらないですしねぇ。。。

さてさて

本日は「ミノルタSR505」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
1973年には「X-1」、1974年には「XE」が発売され
ミノルタとしてもSRシリーズから
Xシリーズへ大きく舵を切る時期のカメラです。
このSR505が最後のSRシリーズのカメラとなり
最後のミノルタ機械制御シャッター機ともなるわけです。
基本構造は大ヒット&ロングセラーであった
SR-T101とほぼ同様ですが
ポジション的には「SR-Tスーパー」の後継という位置づけになります。
同時に「SR101」も発売されており
こちらが「SR-T101」の後継機というポジションです。
SR-Tスーパーからの変更点はフィルムシグナルの追加と
XE同様の背面メモホルダーが追加されました。

基本構造がSR-T101ですから
同じように非常に頑丈なカメラです。
シャッターまで動かなくなることはそれほどありません。
でもいつも書きますが
さすがに40年以上経過しているカメラなので経年劣化は
あって当たり前です。
シャッターが動作しているといっても
痛くて動きにくい関節をやっとの思いでうごかして歩いている
おじいさんのような状態だと思ってください。
決して見た目ほど良い状態ではないはずです。
お預かりしているSR505もシャッターの動作はしているものの
先幕と後幕のバランスは崩れていて高速での精度は全く出ていません
後幕が特に動きにくそうで明らかに幕速が遅い状態です。
場合によってはミラーアップしたままになるのではと思われます。
外観は非常にキレイなので大切に使われていた個体だと思われます。
プリズム・ファインダー内はモルト屑の混入や
多少のカビはありますが清掃で普通に対処すればキレイになりそうです。
ちょっと心配なのが露出計で
動作はしているのですがLV15とLV12の値が本来3段異なるはずなのに
1.5段分ほどしか指針が変化しません。
この症状、SR-T系に割とよくある症状で
CdS周りのハンダ付けの劣化が原因の場合が5割
CdS自体の劣化が原因の場合が4割
まれにある底面の可変抵抗の劣化が原因の場合が1割といった感じです。

精悍な黒のSR505、かっこ良いですね。
先にシャッターや巻上周り、ミラー駆動部の整備を行い
再組立てした応対での写真です。
露出計精度不良の原因はどうやらハンダ付け劣化が原因のようです。
CdS周りのハンダ付けをすべてキレイに除去し
ハンダ付けをやり直したところ明らかに状態が好転しました
あとは若干の調整で何とかなりそうです。
高速シャッターの精度や巻上の感触も明らかに良くなりました。
やはりSR系もX系に負けず操作感が良いのは
ミノルタらしいと言えると思います。
実は今回のご依頼者様からはXEも同時にお預かりしています。
SRシリーズからXシリーズへの移り変わり
当時はどんな風に感じていたのでしょうね
興味深いところです。
その時代、私は生まれてはいますがまだ5~6歳ですからね
さすがに実感としてはわかりません(笑)

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は8月9日
長崎に原爆が落とされた日ですね。
私は広島出身なので
8月6日は毎年特別な1日ですが
長崎の方にとっては今日が本当に特別な日で
決して風化させてはいけない出来事であると思います。
広島に平和記念公園や原爆ドームがあるように
長崎にも平和公園と平和祈念像があります。
私が訪れたのはまだ子供の頃でしたが
平和祈念像を目の前にして
非常に感動して写真を撮ったことをよく覚えています。
そういえばあの頃のネガどこに仕舞ったのか。。。
捨てるわけはないのでどこかにあるはずなのですが
今のうちにデジタル化しておかなくては。。。。
プリントはしっかりアルバムに貼ってあります。
あんまりしんみりしてばかりでもいけないので
8月9日ですから「野球の日」ですよ
カープが少し本来の戦い方ができている感じで
毎日ちょっと気分良いです!
とか、ここでこんなこと言っていると負けるのですよねぇ。。。(汗)
とりあえず今夜もがんばれ!応援します!

さてさて

本日はオリンパスOM-1のカメラ修理を行っています。
今月ももちろんコンスタントにOM-1の修理が入っています。
機種別でカウントするとOM-1が圧倒的に多いと思います、
(実際にカウントしてはいないので感覚的にですが)
次に多いのはミノルタSRT系とニコンFEあたりですかね。。。
オリンパスはペンF系も多いですね。
軽量コンパクトなボディのおかげで
「フィルム一眼レフは使ってみたいけど
あまり大きくて重いのはちょっと。。。。」と考えられている方の
ニーズを当時、一気に引き受けたカメラでもあります。
デビューは1972年でこの時代の一眼レフは
OM-1以外は大きくて重いものばかりでした。
3年後になるとライバルともいえるペンタックスMXが
ほぼ同じ大きさ(ほんの少しだけ小さい)で登場し
80年代が近くなると外装プラスチック+電子制御縦走りシャッターで
同じような大きさのOM-1より軽いカメラもいろいろでてきます
でもやはり軽量コンパクトな一眼レフと言えば
このOM-1がパイオニアで未だに使いやすく質感も高いと思います。
ただし、ここでも何度か書きましたが
当時他メーカーが全くできなかったことをやったわけなので
多少、耐久性に劣る部分もあるのは事実です。
新品で売っていた当時では全く問題にならないレベルの話ですが
さすがに50年近く経過していればそのあたりも目立ってきます。
ただメンテナンスを行えば何とかなる場合も多いので
未整備のまま無理に使い続けるのは
できるだけ避けていただきたいカメラとも言えます。

お預かりしているOM-1は
レリーズボタンを押してもミラーがポンと上がるだけで
シャッターが全く動き始めません。
まず底板を外して強制的にシャッターを切ってみると
精度はさておきシャッターそのものは
問題なく動作できるようです。
レリーズしたときのミラーの動きも妙に緩慢なので
ミラー駆動部に動作不良に加え
シャッターとのリンク部分に問題があるようです。
ある程度原因がつかめたところで分解整備に取り掛かるのですが
このミラー駆動部の動作不良が結構頑固で
機械的な駆動部・エアダンパーの清掃
ゴムブッシュの交換等を経てやっと普通に動作できるようになりました。
シャッターは動作してはいたものの
やはり幕軸や三連ギアの動きはイマイチで精度が出ていませんでした
ミラー駆動部がこれほど動作不良なのだから
他の部分も同じように動作不良なのは当然ですね
これもトラブルの多い露出計は動作してはいたのですが
電池室からの配線がお決まりの腐食で
断線寸前だったためこれも交換して対応いたしました。

写真は一通り整備が完了した後のものです。
外観も動作も見違えるようになりました。
非常に軽快に巻き上げられてシャッターも
OM-1らしい上品な音で動作します。
付属していたMCズイコーオートS50mmF1.4も清掃を行い
非常にクリアなになりました。
同じようなコンセプトのカメラは他にもありますが
やはり操作したときの質感は
OM-1が何とも上品で
「良いものを使っている感」が感じられて
気持ちよいです。
少し様子見をした後に最終調整&最終チェックで完成となります。
ご依頼者様にもこの操作感を是非楽しんでいただきたいと思います。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は8月8日、パチパチということで
「そろばんの日」なのだそうです。
私が子供の頃には近所に当たり前のように
「そろばん塾」があって
私も小学校3年から小学校卒業まで通ったなぁ
先生がちょっと面白いおじさんで
学校と同じくらい楽しかったですねぇ
今でも簡単な暗算は頭の中にそろばんの玉が浮かびますし
なんなら右手が自然と玉をはじきます
当時も暗算は得意なほうでしたが
そろばんは本当に習っていて役に立ったと思います。
そういえばそろばんは右手でやってたのです
(本来、書くのも何もかも左利き)
答えを書くのも数字だけなら何とか。。。という感じで
右手で書いていました。今は無理だと思いますが。。。
「伝票」が苦手だったなぁ。。。(笑)
(左手で伝票をめくりながら右手でそろばんで足し算をしていく)
でも小学生の間に全珠連2級までは取ったのですよ
「そろばん習うのは小学生の間だけ」という暗黙のルールがあって
卒業と同時にそろばん塾も卒業していくのでよねぇ。。。
あぁ、いろいろ思い出してきた
また余計な記憶の引き出しが開いてしまったようです(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットしたSPを開放測光化したモデルです。
もちろん従来のM42マウントでは
絞り情報の伝達ができないので
開放測光を行うには「SMCタクマーレンズ」を使う必要があります。
従来のM42レンズ使用の場合が絞込測光で対応します。
当時は絞込測光器と開放測光機が市場で混在している状態で
どちらが良いのか?という論争もあったようですが
やはり時代は開放測光機へと傾いていきます。
SPFはシャッター等の基本的構造はSPと同様ですが
当然ながら露出計周りは全くの別モノで
SPに比べると非常に複雑になっています。
(単純に考えればマウント周りから絞り情報に伴う
電気信号が1系統増えるだけではあるのですが。。。)
基本的なスペックはSPと同一とはいえ
微妙に部品の互換性はありません。
代表的なのはプリズムでSPよりSPFのプリズムのほうが少し大きく
ここも互換性がありません。
SPもSPFもプリズム腐食の多いカメラなので同一だと
少し助かるのですが。。。

お預かりしているSPFは
頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
SPでも共通してみられるよくあるトラブルです。
シャッター後幕の走行がきちんと完了していないために
起こる症状です。
高速シャッターで計測してみると後幕の幕速が
極端に遅い状態です。やはり幕軸の汚れや油切れが原因と思われます。
この症状が出ているときにとりあえず後幕のテンションを上げて
対処している個体をたまにみかけますが
それはバネに無駄な負荷をかけ続けるだけで
後々、ロクな結果になりません。
事実、この個体も軸の清掃を行った状態で幕速計測を行うと
明らかに引っ張りすぎで幕速が異様に速くなりました。
一時的に幕速を上げることで対処していたのだと思われます。
バネは当然引っ張りすぎると伸びてしまうこともあり
そうなるといくら調整しても正しい精度は得られなくなってしまいます。

最大の売りである開放測光可能な露出計は
全く動きません。
SPFの露出計はちょっと変わっていて
普通の露出計は構造的には電流計で
流れる電流の大きさにより指針が振れるわけですが
SPFの露出計はコイルを二つ重ねたような構造で
何も負荷のかかっていないとき(電源がないとき)は
指針はほぼ真ん中にいます。
その真ん中にある指針をCdSからくる電流と
絞り・SS情報からくる電流で引っ張り合うのです。
で、バランスが取れた真ん中に指針が来る時が
適正露出となるわけです。
電源のないときに真ん中にいるのは
ちょっと紛らわしいとは思いますが。。。(苦笑)
不動の原因は電池室周りの配線かな。。。と予想しましたが
その辺りに問題はありませんでした。
。。。となると露出計本体の断線?と思いましたが
それでもなく。。。CdSにも問題はなく。。。
どうやら基盤内に問題が隠れていそうです。
これはちょっと厄介かもしれません。。。

写真は本格的に露出計を調べる前に撮ったもので
上カバーを外してプリズムを降ろしただけの状態ですが
この状態でもSPとは電気回路が全く異なり
複雑になっているのがよくわかります。
もう少しシンプルにできていても良いような気もしますが
こういう構造もペンタックスらしいといえばらしいかもしれません。
露出計の件は時間がかかりそうなので
まずはいったん全部基盤も露出計も外しておいて
シャッターや巻上の機械的部分を先に整備しようと思います。
それで基本的な部分を仮組した状態で
露出計をどうするか考えていきたいと思います。

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コニカⅢAのカメラ修理

今日は8月7日ということで
予想通り(笑)
「花の日」や「鼻の日」だったりするわけですが
ちょっとひねって「バナナの日」でもあるそうです。
果物は何でも大好きですし
この季節だと桃に目が向きがちですが
バナナは年中簡単に手に入って
そして安定した美味しさですよねぇ。。。
引き合いに出すのは申し訳ないのですが
例えば桃とかだと個体差で美味しさが
かなり違ってしまうような気がしますが
バナナは安定してどれも同じように
美味しいと思うことが多いと思います。
そして簡単に手で皮が剥けるので
本当に気軽に食べられるのが良いですね!
山登りに良く出かけていた頃には
行動食として2、3本必ずリュックに入れていました。
登山中に食べなくても帰り道に気軽に食べられますし。。。
安くていつでも手に入るから軽く見てしまいがちですが
そう考えてみるとバナナって偉大ですねぇ
とりあえず今日の帰りにスーパーでひと房買って帰りましょう(笑)

さてさて

本日は「コニカⅢA」のカメラ修理を行っています。
コニカ(前身の小西六写真工業を含む)は
の日本初の印画紙やカラーフィイルム
商品名の付くカメラとしてはこちらも国産初の
カメラの販売を行うなど
非常に歴史のある老舗メーカーです。
35mm判フィルム使用のカメラは戦後のコニカスタンダードが
最初のカメラとなりますが
その後、コニカⅠ(ほぼスタンダードと同様)、コニカⅡと続き
1956年にコニカⅢが発売されます。
巻上方式が大きく変更され前面に配置された
大きなレバーでダブルストロークで巻き上げます。
フィルム巻上と同時にシャッタもチャージされる
いわゆる「セルフコッキング」となりました。
その後のカメラでは当たり前の機能ですが
この時代は二眼レフやスプリングカメラも含め
チャージと巻上はまだまだ別操作のカメタの多い時代です。
当然、意図しない多重露光や未露光の操作ミスも多かったと思われます。
今回のⅢAはⅢをベースに当時「生きているファインダー」と言われた
パララックス・画角自動修正機能付採光式等倍ファインダーを
装備したモデルです。
今となっていは「生きているファインダー」はちょっと大げさな気がしますが
ピント操作に連動して自動的にブライトフレームの位置が
補正されるといった機能です。
これも後のレンジファインダー機では普通の機能になっていきますが
この時代としては非常に画期的な機能です。
さらに等倍ファインダーのため両眼を開けて
両目の視野の中にブライトフレームが浮きあがって見え
ファインダー視野外も確認しながら撮影できるというのは
見え方に慣れると本当に便利です。
搭載されるレンズはⅢと同じ48mmF2のものと
50mmF1.8搭載のものが存在します。

お預かりしているⅢAは
普通に撮影に使っていたものだそうですが
突然巻上レバーが動かなくなってしまったとのことです。
受付時に確認しましたが
がっちり何かが噛みこんでしまっているような感じで
全くレバーが動きません。
どんなカメラでも同じですがこういうときは無理に
力任せに動かしては絶対にダメです。
単純に何かが挟まっているだけかもしれないものを
無理に動したため部品が破損してしまうことがよくあります。
結果からいうと今回も部品の噛みこみが原因でした。
無理に動かすと余計なトラブルを招き
最悪、修理不能になる可能性もございます。
今回のご依頼者様は
何度もお付き合いさせていただいている方で
古いカメラの扱いもわかっていて
その辺りは私ごときが改めて言うことではないのですが
こういうのも経験がないとわかりませんものね。
実際に無理に動かして破損したカメラが入ってくることも多いのです。

 

でっかいレンズとちょっと頭でっかちなところが
通常のⅢとは全く異なり佇まいも違って見えますね。
先程、少し触れた通り巻上ロックの原因は
ボディ下部のネジの緩みにより一部ギアが外れ
それが噛みこんでしまったためでした。
もちろん正しく組みなおしてネジも締めて
巻上機構全体の整備を行います。
もちろんシャッターやファインダーの整備も
並行して行いました。
シャッターに大きな問題はなかったのですが
自慢のレンジファインダーの
二重像反射面のミラーの状態が悪いためここは交換で対処いたしました。
ちなみにⅢAのファインダーは
よくあるハーフミラーで二重像を映すものではなく
プリズムを使用した贅沢なものです。
通常のⅢはハーフミラーなので
やはりファインダーには相当こだわって作られたカメラだと思います。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は8月6日「原爆の日」ですね。
私は広島県の呉市というところの出身ですが
やはり広島県民にとっては8月6日は特別な日です。
私もこっちで生活してそれなりに年月が経ちましたが
やはり8月6日の8時15分には少しでも黙とうします。
今朝は起きてすぐでしたがしっかり黙とうできました。
実家はじいさんばあさんとの3人暮らしだったので
戦時中の話は子供の頃にたくさん聞かされました。
空襲のたびに防空壕に逃げ込む毎日で
原爆投下の際には呉なので直接的な被害はなかったのですが
キノコ雲は見えたそうです。
細かく見ていくと平和じゃないことはたくさんあるし
理不尽で残酷なことも毎日起きていることは思いますが
国として戦争状態になく
普通に生活できている点で現在の日本はやはり平和なのですよね。
ただ、これが当たり前じゃなく
何かのきっかけでそうではなくなる可能性もあると肝に銘じて
毎日を過ごしたいと思います。
あまりしんみりするのも
ここのブログっぽくないような気がするので少しおまけで。。。(苦笑)
今日は語呂合わせで「ハムの日」でもあります。
三田屋のハムにやたらとあこがれた時期が昔あって
取り寄せて食べたけど美味しかったなぁ。。。
また取り寄せてみようかな。。。

さてさて

今日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
。。。先日もペンFTやりましたね(汗)
まぁ順番に修理していっているのでこういうこともありますね。
元々、ペンFTは修理依頼の多いカメラでもありますし。。。
ハーフ判の一眼レフの代表ともいえるペンFですが
正確に言うとハーフ判の一眼レフは数は少ないながらも
他にもないことはないのですよね。コニカとか。。。
ただ、「ハーフ判なのだから通常の一眼レフより
軽量コンパクトでなければ!」と考えたかどうかまではわかりませんが
ペンFシリーズは通常の一眼レフとは
全く異なるアプローチで作られ
そのおかげで非常にコンパクトにまとめられ
さらに一眼レフとは思えないスタイリングを
手に入れることができました。
ある意味、非常にオリンパスらしいカメラだと思います。
私も1台は記念碑的に手元に置いておきたいと
常日ごろからから思っています。
(部品取りの残骸をまとめて
自分用に使える1台にしようと
以前から思っているのですが
なかなか集中してそんなことをしている精神的余裕がない(汗))

その特異な構造のためどうしても経年劣化的な
トラブルは起こりがちで特にFTは
露出計を搭載するために多少無理をしている部分もあるので
トラブルを抱える可能性は高いと思います。
お預かりしてペンFTは
シャッタスピードの制御を司るガバナの動作不良を抱えており
露出計も非常に不安定な状態です。
加えてなぜかミラーが外れてなくなっています。
おそらくご依頼者様のご実家でどなたかが
使っていたカメラなのだと思われます。
レンズも標準レンズの他、広角、望遠と揃っていますが
どれもカビ、クモリが酷くそのままでは
とても使い物にならない状況です。
一部絞り羽根の動作不良も見られます。
全体的にいろいろありますが
まとめてしっかり整備してしまえば
一通り大抵の撮影に対応できる一式の完成となりますね。

写真は整備後の状態でこれから最終チェックを行って完成となります。
非常にシャッターの動きも良く精度も出ています。
レンズはできる限りの清掃で
一部、コーティングがカビの侵食されている部分もあり
そこは薄曇りとして残ってしまっていますが
まずは普通に撮れるレベルにはなっていると思います。
しかしながら、いつ見ても
ペンFのスタリングは惚れ惚れしますね。
全てのレンズに装着された花文字のキャップもステキです。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は8月5日ということで
「ハコの日」とか「ハンコの日」とか
「ハシゴ車の日」とか語呂合わせの記念日も多いですねぇ
そんな中、「箱そばの日」という記念日がありました。
「箱そば」というのは小田急沿線で展開する
「箱根そば」のことです。
「よみうりランド前駅」、「本厚木駅」と
小田急沿線に住んでいた時期も長かったので
「箱根そば」は非常に身近な存在です。
ちょっと甘めのつけ汁がいいのですよねぇ
(普段、冷たいつけ汁のそばしか食べないのです)
どこの駅のそばにも展開している某そば屋チェーンさんの
つけ汁は尖った感じがしてあまり好みではないのですが
箱そばのつけ汁は優しい感じで美味しいです。
一緒に売っている天ぷらとの相性も抜群です。
でも本当はこの類のチェーン店では
「ゆで太郎」が一番美味しいと思っています、
ただ、私が知らないだけなのか近所にないのですよねぇ。。。
厚木に住んでいるときには自転車で行けるところにあったので
休日の朝か昼は大抵「ゆで太郎」のそばだったのですが。。。。
真夏に冷たいそばは欠かせないですよね。
近日中に新宿駅で「箱そば」食べてきます(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「SP」より前の「アサヒペンタックスS系」の
完成形ともいえるカメラです。
SVの「V」はドイツ語でセルフタイマーを意味する
Voraufwerk」の頭文字でその名の通り
セルフタイマーを装備します。
ただ、その後の一眼レフによくある
ボディ前面にレバーのあるタイプではなく
巻き戻しクランク下のダイヤルを回してセットする形式です。
あらかじめ知っていないとセルフタイマーがここにあるとは
気づかないままになってしまうかもしれません。
基本的構造としては従来のS系の発展型で
シャッタスピードは最高速1/1000を搭載し
一軸型不回転型で倍数系列のシャッターダイヤル
完全自動絞り、自動復元式のフィルムカウンター等
露出計こそ装備されないものの
その後の一眼レフと使い方で迷うことのない装備が
一通り搭載された現代的なカメラということができると思います。

SPより前のアサヒペンタックスのカメラで
まず懸念されるのはシャッター幕の状態です。
未整備で動かされることもなく眠っていた個体は
かなりの高い確率でシャッター幕が劣化・硬化してしまっています。
今回、お預かりしているSVも同様で
シャッター幕はガチガチに硬化し
しわくちゃな状態になっています。
これではいくら幕軸等の動きを改善しても
まともにシャッターは動作することができません。
やはりシャッター幕交換が必要となります。
横走りのフォーカルプレーンシャッターは
レンズシャッターや金属羽根縦走りシャッターに比べると
強いバネ力で駆動しますが
それでもシャッター幕は常に柔らかくしなやかな状態で
あることが大前提です。
穴や破れがあるものは問題外ですが
巻き癖がついてしまう状態であればもうまともにSSは出ません。
経年劣化には勝てませんが
やはり長い間動かさないでいることも劣化を促進させる原因だと思います、

写真は整備が一通り終わった状態でのもので
写っているのは交換したシャッター幕です。
クルクル巻き癖がついていましたが
少し伸ばして撮影しました。
写真ではわかりにくいですが硬化してしわくちゃです。
シャッター幕を外した際に
徹底的に幕軸や巻上部の清掃も行い
現在はシャッタースピードの精度はもちろん
巻上も非常にスムーズで見違えるほどになりました。
装着されていたレンズもカビ取り等清掃を行い
非常にクリアになり
プリズムに少々腐食もあったのでプリズムも交換し
ファインダーも非常にクリアです、
あとは存分にご依頼者様に撮影を楽しんでいただくだけですね。
もう少しだけ時間をおいてから
最終チェックを行い完成となります。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は8月3日ということで
「ハサミの日」だそうです。
昔から「〇〇とハサミは使いよう」と言いますが
使い方よりまず初めに
刃物類はきちんと切れるモノを使いましょう
歯が錆びついてロクに切れないものを
無理に使っているともちろん切り口も汚いですし
何よりも怪我の元です。
無理して使っていて勢いあまってカッターや彫刻刀を
指に突き刺したことが何度かありますが
一歩間違えると取り返しのつかない怪我になりかねません。
本当に道具類はちゃんとしたものを使いましょう。
ところで私は左利きなのでハサミも左手で使います。
普段使っているのは右利き用のハサミですが
子供の頃からこの組み合わせのせいかすっかり慣れてしまっています。
少し前に左利き用のハサミを買ってみたのですが
逆に使いにくくて狙ったところが正確に切れず
結局お蔵入りになってしまいました(苦笑)
仕事柄いろいろな刃物類を使います。
ハサミも大きなものから精密ハサミまで
カッターも普通のものから精密細工用、ロータリーカッター
他にも彫刻刀もたまに使いますし
刃物とはちょっと違いますがガラス切りも使います。
どれもそうですが刃が交換できるものは早めに交換
交換できないものは研ぐなり買い替えるなりで
常に気持ちよくスパッと切れるようにしておくことが大事です。
出来上がりの結果にも作業効率にも大きく影響します。
ハサミだけじゃないですね。ドライバー類だって結構な消耗品です。
先端のなまったドライバーを使っていると
ネジを舐める原因になってしまいます。
だからある程度のモノでないと困りますが
あまり高級な工具には興味がありません。
それよりもそこそこの工具を頻繁に買い替えるほうが良いと
個人的には思います。
まぁ高級な工具を頻繁に買い替えるのが
一番気持ちよいような気がしますが
なかなかそれは現実的には難しいですねぇ。。。(笑)
なんにせよ、よく切れるハサミを使いましょうね。

さてさて

本日はオリンパスペンFTのカメラ修理を行っています。
世界的にも類を見ないハーフ判一眼レフのペンFシリーズの一員です。
最初に出た初代ペンFのダブルストロークの巻上を
シングルに変更して露出計、セルフタイマーを装備したモデルです。
あ、ファインダースクリーンも異なりますね。
ペンFシリーズ共通のよくあるトラブルとしては
その独特のロータリーシャッタに関することが多いと思われます。
シャッター駆動部そのものもたまに固着等が起こりますが
多いのがガバナーに関するトラブルです。
ロータリシャッターのシャッター羽根は
円の一部が欠けたような形をしています。
(口を開けたパックマンのような。。。と
いえば同世代には通じやすいかも(笑))
その欠けた部分がフィルム室側窓を通過する瞬間が
シャッターが開く瞬間です。
なんの抵抗もなくクルンと1回転するときが最高速の1/500になり
それ以外のシャッタースピードではシャッターが開いた状態のときに
シャッター羽根の動きをわずかに止めてシャッタースピードを調整します。
ペンFの場合は1/250~1秒まで同じガバナを使って
シャッタスピードを調整しています。
通報のフォーカルプレーンシャッターやレンズシャッターだと
ガバナを使ってシャッターを止めるのはスローシャッター時だけですが
(だからスローガバナと普通は言うわけですね)
ペンFの場合は最高速以外は全てガバナが介入します。
で、一眼レフやレンジファインダー機で
「スローガバナーの粘り・固着」なんて症状をここでも良く書きますが
その構造上、粘りや固着が起きやすいのですね。
今回。お預かりしているペンFTも
数年前までは普通に使えていたのに
シャッタ-が切れなくなったということなのですが
原因はガバナの固着でした。
今回はガバナの清掃・調整で修理できましたが
場合によってはガバナを交換しないと駄目な場合も比較的多いです。

ペンFTは露出計を装備したために
ペンFでは普通のミラーを配置していた部分に
ハーフミラーを配置しファインダーに入る光の一部を
受光体(CdS)に導きます。
ハーフミラーはレンジファインダー機にもよく使われますが
劣化が激しく交換せざるを得ないことが多いパーツです。
ペンFTでも同様で今回もハーフミラーの腐食が酷く
ファインダー内でかなり目立つ状況だったので
交換で対応しています。
ちなみにペンFTでファインダー内にシミのような汚れが見える場合は
大抵の場合はハーフミラーの腐食で
ペンFで同じようなものが見られる場合はプリズムの腐食です。
プリズムの腐食はペンFのほうが多いような気がします。
(ペンFとFTのプリズムには基本的には互換性がありません)

一通り整備が終わって組み上げた状態です。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
外装も磨き上げ非常にキレイな状態になりました。
もちろんシャッターもスムーズに動作しており
精度的にも全く問題ございません、
ファインダーも非常にクリアで
露出計もしっかり動作しています。
中身の構造が独特なことももちろんですが
それに伴って外観のデザインも
他のカメラとは全く違うのがペンF系の魅力ですね。
確かに1台は手元に置いておきたいカメラだと私も思います。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「おやつの日」だそうですよ。
おやつは元々、江戸時代に一日二食が一般的だったころ
「八つ時(やつどき)(午後2時から3時頃)」に
とっていた小腹を満たす間食のことをいうのだそうです。
。。。ということは
昼ごはん普通に食べてさらの3時のおやつってのは
やはり食べ過ぎなのですね(苦笑)
実際、間食は制限しているので「3時のおやつ」なんて
さすがに今は「あまり」食べませんが。。。。
そのころにちょっと甘いものとか欲しくなりますよねぇ
特に集中して仕事していると。。。。
はっ。。。またそれをいいわけにして
間食を食べてしまいそうです。。。(苦笑)
ちなみに2月から3月にかけての入院で
8kg以上減らした体重は
いつのまにか入院前のレベルに戻ってしまいました(涙)
そういうとこだけすぐ戻るのね。。。。

さてさて

本日はミノルタXEのカメラ修理を行っています。
初期のミノルタ一眼レフといえば
昨日のSR-Tスーパーもそうですが
ミノルタ最初の一眼レフSR-2から始まった
機械制御のSRシリーズです。
しかしながらミノルタは比較的早い時期に
カメラの電子制御化に大きく舵を切り
一眼レフも電子制御シャッター搭載の
「Xシリーズ」へとシフトしていきます。
最初のXシリーズのカメラは当時のフラッグシップでもある
X-1ですがXEはそれに続いて発売された
Xシリーズ第二弾のカメラです。
いわゆる機械制御から電子制御へと移行する
過渡期のカメラですがミノルタらしい
造りの良さと優れた使い心地が魅力のカメラです。
XEのブログになると毎回書かざるを得ませんが
大きな特徴はミノルタ、コパル、ライツの3社で
開発した「コパルライツシャッター」を搭載していることです。
XEの大きな魅力のひとつでもある
巻上の滑らかさもこのシャッタユニットに起因する部分が大きいのです。
さらにXE特有の上品なシャッター音も
このシャッターユニットのおかげです。

魅力的な部分も非常に多いXEですが
捕獲的初期の電子制御機ということもあり
正直言ってトラブルも多いです。
今回は同じご依頼者の方からシルバー、ブラックの
XEを2台お預かりしてますが
それぞれ結構大きな問題を抱えています。

(装着捨しているレンズは当店のテスト用レンズです)

まずはブラックのほうですが巻上はスムーズなのですが
電子制御されるシャッターは全てミラーアップしたままになってしまいます。
もちろん電池は新品です。
XEでは定番のトラブルの一つです、
この症状が出ているときは一見シャッター自体は切れているように見えますが
実際にはしゃったーは閉じたまま作動してるだけですので
写真は全く撮れない状態ということです。
このミラーアップの症状は原因がいくつか考えられるので
ひとつひとつ怪しいところを潰していく形になります。
加えてこれもXEの定番トラブルですが
電源を入れると露出計が基本的に一番上に振り切ったままになってしまいます。
これは巻き戻しクランク下の摺動抵抗の汚れ・劣化が原因です。
清掃、場合によっては交換で対処します。
シルバーのほうはまず電源が入りません。
これは電池室からの電源供給がうまくいかない様子です。
電池室裏の配線、ハンダの劣化が原因です。
とりあえず電池室周りに細工をして
強制的に電源を供給してみるととりぜずシャッタの動作はできますが
こちらも露出計は振り切ったままになってしまいます。
それよりも巻上の感触がかなりガリガリしていて
XEらしい巻上の滑らかさのかけらも感じられません。
どちらもそれなりに手のかかりそうな修理になりそうです。

ただ、不幸中の幸いは
XEのトラブルの中で最も困る「プリズム腐食」が
ファインダーえを見ている限りではほぼ見当たらないということです。
10台XEを見かけると
8台以上は腐食してるイメージなのでこれは貴重です。
ただ安心できないのが整備のためにプリズムは
降ろさざるを得ないのですが
加水分解したモルトが張り付いたままになっていて
プリズムを降ろすときに蒸着が剥がれてしまうこともあるのです。
何にしても慎重に分解整備を行いたいと思います。

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