キヤノンⅡBのカメラ修理

今日まで「お盆休み」の肩も多いのではないでしょうか
ちょうど日曜日ですし16日は送り火の日ですものね
ここでも何度か書いていますが
私は霊魂とか死後の世界なんてもの+宗教は
全く信じていないので
今となってはお盆の行事ごとそのものには
全く興味はありませんが
やはりお盆と言えば子供の頃の
夏休みのクライマックスだったような気がします。
じいさんが8人兄弟の長男だったので
私が幼いころにはお盆になると狭い借家の実家に
親戚が結構来るのですよね
よく知らない人やたまにしか会えないおじさんとか
家の中が一気ににぎやかになって楽しかった覚えがあります。
そういう意味ではお盆行事も悪くないかもしれません。
今となっては私の甲斐性のなさもあり
親戚付き合いどころか
親族が誰もいなくなってしまいましたが。。。(笑)

さてさて

今日は「キヤノンⅡB」のカメラ修理を行っています。
キヤノンがレンジファインダーカメラメーカーとして
礎を築いたのはやはり一連のバルナックコピー機だと思います、
その中でも「ⅡB」はその後のキヤノン機の大きな特徴ともなる
変倍ファインダーを初めて搭載したカメラです。
1946年発売のS2型で一眼式ファインダーを搭載し
それだけでも使い勝手が大きく進んでいましたが
(通常このタイプのカメラの多くは
ビューファインダーとレンジファインダーを別個とする
二眼式が普通でした)
その3年後の1949年発売の「ⅡB」で
凹凸レンズとプリズムを駆使した可変ファインダーを搭載します。
倍率は50mmレンズ装着時に使用する0.67倍
100mmレンズに対応する1.0倍
135mmレンズに対応する1.5倍の3段階切り替えが可能です。
一眼式ということもあり望遠レンズ装着時には
特にピント合わせが行いやすいと思います。
ギミック的にも楽しいですし実際に非常に便利です。
これ以降、バルナックタイプのキヤノン機は
この変倍ファインダーが基本的に採用されます。
シャッターの最高速は1/500で
低速側も1秒まで装備され十分現在でも通用するスペックです。
組み合わされて発売されていたレンズは
キヤノンセレナー50mmF1.9で
新型の大口径レンズでした
今回お預かりしているⅡBにもこのレンズが付いています。

キヤノンでもニッカでもレオタックスでもそうですが
この時代のバルナックコピーのカメラと言えば
基本的に幕交換が前提となります。
一度も幕交換が行われていないもはもちろんですが
一度は交換されているにもかかわらず劣化してるものも結構存在するようです。
今回は一度も交換された過去のない個体のようで
シャッター幕はガチガチのシワシワで
とてもまともに動く状態ではございませんでした。
今回はちょっとした罠(?)が仕掛けてあって
新しい幕の貼り位置も採寸も全く問題ないのに
最高速でシャッターが開かなくなるという現象が起きました。
よくよく調べてみると調速カムの後幕蹴とばし部分が
過去に細工されていてこのせいで開かなくなってしまっているようです.
正しい状態になるように細工しなおして
事なきをえましたが、おそらく幕がある程度硬化して
SS精度が出なくなったときに無理矢理合わせたのだと思われます。
いまやもちろんそんな小細工は必要ありません。

シャッター幕以外にもう一つ大きな問題があり
下カバーに何かが噛みこんでいるらしく
全く開きません。
スプールを無理矢理反対側に突っ込んでしまったのかとか
予想していましたが噛みこんでいたのは
切り出した長巻フィルムを入れるための
純正パトローネでした。
挟み込んで回らなくなった開閉レバーを
相当な力で回そうとしたのかレバー内側は激しく変形していました。
いつも書きますが力任せはやめましょう(苦笑)
大抵の場合でトラブルを深刻化させるだけです。。。
レバー変形部は何とか修正できましたが
このキヤノン純正パトローネはもう使用しないほうが良いと思います。

同じようなフォーカルプレーンシャッターでも
ミラー駆動が存在しないので当たり前なのですが
非常に上品な「コトン」といったシャッター音は
本当に気持ち良いですね。
日頃、一眼レフを扱うことがやはり多いので
この感覚は本当に新鮮です。
私は日本人で国産品びいきだから
いくら本家がライカだとわかっていても
この時代の国産レンジファインダー機は大好きです。
バルナックタイプも実用品として
個人的に1台持っておきたいと以前から思っていますが
なかなか縁がないですね。やっぱりキヤノンが良いかな。。。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。