日別アーカイブ: 2022年1月6日

ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今日は1月6日、語呂合わせで「色の日」ですね!
「色」って見るものの印象を決定づける大事な要素ですよねぇ
透明度の高い青系は涼しさや場合によっては寒さを感じさせますし
逆に暖色系の黄色やオレンジは暖かさを感じさせますよねぇ
グリーン系は爽やかさを感じますし
パープル系はカッコよさやクールさを感じさせるかな…
彩りのない無彩色も大事ですよねぇ
写真はやっぱり色鮮やかなほうがわかりやすくキレイですし
私もそう思っているから普段は
鮮やかで透明度の高い色を出しやすいポジフィルムを多用しますが
色の鮮やかさばかりに頼っていると被写体選びがパターン化していくので
たまには無彩色のみで被写体の形や明るさだけで
表現する白黒フィルムも使います。
(実は昔から少々苦手分野です)
この年末年始は生まれ育った呉に滞在していたのですが
休み中はフィルムは白黒のみで撮りました。
(まぁカラーはコンデジもあるし360度動画カメラもあったので…)
今はラボにもよるでしょうがカラーより白黒の方が
現像の期間もかかるのですよねぇ
2週間くらいかかってしまうようです…
自家現像するまで趣味の写真に手間はかけたくないので
もう少し現像納期が早ければ
白黒フィルムも多用したいのですが…
あ、色の話から随分外れてしまいました…
人間の目はカラーで見えるのでやはり色は大事です。
例えば焼きあがったステーキが鮮やかな青や緑だったら
さすがに美味しそうに見えないですものね!
(なんだか例えが悪いなぁ(苦笑))

さてさて

本日はニコンF2フォトミックのカメラ修理を行っています。
「F2」自体は伝説の名機「F」の基本路線を受け継ぎつつも
使いやすさの面で随分進歩したカメラだと思います。
アイレベル同士を比べてもシャッターボタンの位置や
裏蓋の開閉方法等にそういう点がわかりやすく表れていますが
「フォトミック」同士を比べるとさらに数段「F」時代から
進歩しているのが「F2フォトミック」です。
電池室がボディ側に移動したおかげもあり
基本的な構造は引き継ぎながらも頭でっかちな印象はかなり薄くなり
随分スマートな印象になりました
(それでも少々頭でっかちで武骨なのは「ニコンらしい」ですが…)
メインSWは巻上レバーと連動となり
バッテリーチェックも追加されました。
さらにこれはF2アイレベルに対してもアドバンテージがある機能ですが
ファインダー内にSS/絞り値が表示されるようになりました。
個人的には露出計の有無より
この機能がF2フォトミックの最大の魅力です。
絞り値は後に出るAi方式対応のフォトミック(A・AS)より
非Aiの連動式表示の方が文字が見やすく使いやすいです。
さらにLED式のフォトミック(S・SB)は
LED制御部が壊れると残念ながら修理不能になりますので
個人的には最初に出た無印のF2フォトミックが
一番無難ではないかと思います。

お預かりしているF2フォトミックは
まず露出計が全く動きません。
調べてみたところ1ヶ所の問題ではないようです。
まずよくあるパターンである
電池室から全く電圧がかかっていない状態のようです。
これはもちろんボディ側に問題があって
まれにSW部の接触部が原因のこともありますが
大半は電池室の底部端子を留めている樹脂部分が破損して
端子がグラグラになりまともに接触しない…というのが
お約束のパターンです。今回もまさにそうでした。
今回はさらにファインダー側にも問題があり
ボディ側の修理に入る前に
正常なF2ボディに今回の修理品フォトミックファインダーを
取り付けてみたのですが
バッテリーチェックだけは動作するものの
露出計では全く光に反応せず指針はピクリとも動きません
どうやらCdS周りの基板に問題があるようです。
他にはシャッター自体は何とか一通り動作しているものの
全体的に油切れの兆候で
さらに何と言っても付属の50mmF1.4レンズ、ファインダ-スクリーン
プリズム、接眼レンズにかなり強烈なカビが大量に発生しています。
一部に多少のカビ跡は残るかもしれませんが
とにかく丁寧に清掃してできる限り除去していきます。

いつ整備しても部品の工作精度の高さと
素材のクオリティの高さ
機械としての正しさを見せつけらるようなカメラです。
まさにフラッグシップという呼び名が
これほどふさわしいカメラも少ないかと思います。
ショック品や水没品、素人分解品はどうにもならない場合も多いですが
単なる経年劣化ならプリズム腐食を覗いては
通常の整備でたいていが生き返るカメラです。
本当に長く使うことを前提に考えられているカメラだと思います。

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