月別アーカイブ: 2023年12月

ニコンFMのカメラ修理

今日はピンとくるような記念日がないですねぇ
記念日ではないですが今夜から明日の未明にかけて
「ふたご座流星群」がピークを迎えますね。
夏の「ペルセウス座流星群」と並んで
安定して毎年観測される流星群ですね。
数を見ようと思うとやはり日付の変わる夜半過ぎから
明け方になりますよね。
空気も澄んでいて天候と場所に恵まれれば
天体観察には絶好の季節ですが
なにせ寒いので防寒だけはしっかりとしなくてはいけませんね。
私は近年寒いのにはとことん弱いので無理ですねぇ(笑
「ふたご座流星群」とは関係ないかもしれませんが
昨夜の22:05頃、日課のウォーキング中に東の空に
めちゃくちゃ大きな青白い火球を偶然見ることができました。
痕がかすかに残るほどでした。
あんなに明るいのはヒサビサに見ました。
短い願い事なら三度言えたかもしれません(笑
いきなりのできごとだったので
「あっ!」と声が出ただけでしたが…惜しいことをしたかも…

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の中級機です。
キャッチフレーズは「コンパクト・ニコン」です。
それまでのニコマートFT系の後継機ともいえますが
ニコマートに比べると洗練され適度にコンパクトになりました。
レンズとの露出計絞り連動はAi方式とされ
ここだけでもニコマート時代のガチャガチャとは
時代の進化を感じます。
(ニコマート時代にもFT3・EL2はAi方式)
ただし、それまでの非Aiレンズユーザーにも配慮し
Ai連動爪は折りたたむことができ
非AIレンズも装着可能です。
当然ながら開放測光は不可ですが絞込み測光であれば
露出計も使用可能です。
ちなみに後継のFM2ではAi連動爪は固定となり
非Aiレンズは装着そのものが不可になっています。
機能的にもファインダー内に設定SSが表示されるようになり
Aiレンズの刻印の直読窓も装備され
ファインダー内で絞り値も確認できます。
露出計もLED化され進歩しましたが
好みにもよりますがここはFE系のような
指針式にしてほしかったような気もします。

お預かりしている「FM」は
かなり長い間使われずに眠っていた個体かと思われます。
ご依頼者様のおじいさまが使っていたカメラとのことです。
基本的に丈夫なカメラなので
さすがにシャッターは切ることができ
電池もきちんとん抜いてあったので
電池室へのダメージもなく露出計も作動しています。
ただ露出計は接触不良で少々不安定で
指示する値も少しズレてしまっています。
シャッターも一通り全速動作はするのですが
高速SSは精度的に問題があり
低速はガバナ―が粘っていてこちらも精度的問題有りです。
そして内部・フィルム室も含めて
当然ながらモルトは全滅でボロボロに劣化しています。
やはり不安なく撮影に使用するためには
一通りの整備が必要な状態です。

まだ取り掛かり始めですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
電子制御機で兄弟機でもあるFEと比較されることも多いFMですが
機械制御シャッター機ということで
プリズム周りの基盤等はシンプルです。
しかしながら整備性だけに絞ってみてみると
意外とFEのほうが分解整備は容易だったりします。
糸連動で動作するファインダー内SS表示や
非常にデリケートなLED式露出計周りが
分解整備していく上で非常に手のかかる箇所になってしまっています。
構造自体はシンプルではあるのですが
なかなか一筋縄にはいかないカメラだと思います。
特に露出計周りは非常に神経を使うカメラです。
これから集中して細心の注意を払って整備に取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ニコンFのカメラ修理

今日は「百円玉記念日」だそうですよ。
1957(昭和32)年のこの日に
日本で初めて百円硬貨が発行されたことが由来となっています。
当時の百円硬貨は戦後初めての銀貨だったそうです。
現行の百円硬貨は1967(昭和42)年発行で
素材は銀から白銅(銅75%・ニッケル25%)に変更されています。
私よりも年上なのですね(笑
でも現行の一円、十円、五十円は現行になってから
もっと長い年月が経っています。
五百円硬貨は比較的頻繁にモデルチェンジされていますね。
現行の百円玉に描かれているのは
日本を代表する桜の山桜(ヤマザクラ)です。
百円玉って響きがなんだか他の硬貨よりも耳に心地よく感じます。
小学生低学年の頃の私のお小遣いが週に百円で
毎週水曜日にばあさんから百円玉を1枚もらっていたのですね。
そしてそれを握りしめて近所の駄菓子屋さんへ向かうというのがパターンでした。
そのせいもあってか「百円玉」という響きに
何だか特別なものを感じてしまいます。
今や百円だとお菓子もろくに買えませんよねぇ(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れた伝説の名機ですね。
ニコン初の一眼レフモデルであり
ニコンFマウント初搭載のカメラでもあります。
ベースとしてはそれまでの主力製品であり
トップモデルであったレンジファインダー機
「ニコンSP」の構造を引き継ぎ
SPのボディを左右に二分割してその間に
ミラーボックスを挟んだような構造となっています。
SP時代からそうですがプロ用として酷使されることを
前提として設計されていて
各部品の精度も非常に高い上にオーバークオリティ過ぎでは?と
言いたくなるほどの強靭な部品で各部が構成されています。
故によほどの酷い環境でない限り
致命的な破損、故障の非常に少ないカメラとしても知られ
難しい状況・環境でも最低でもシャッターは切れて
フィルムは巻き戻せる…といったことが
最優先に作られているカメラかと思います。
とはいえ、さすがに発売開始から60年以上経過したカメラであり
ペンタプリズムを蒸着はさすがに剥離しているものが多いですが
強靭な各駆動部の部品は
相変わらずの丈夫さを持ち続けているものが多いと思われます。
ただ、さすがに未整備の状態では
その各部品が正常に動けないような
状態になっている個体が多いかと思われ
とりあえずはシャッターは作動していても
SS精度等も含めて本来の動きを取り戻すためには
一通りの整備が必要なカメラかと思います。

お預かりしている「F」も一通りは動作しているのですが
巻上にスムーズさはなくレバーの戻りも悪い状態です。
シャッターも動作はしていますが精度的にはよろしくなく
測定器でSSをチェックしても高速は精度不良が見られ
低速ではガバナ―の粘りが見られます。
特に何かが破損しているとかいう状況ではありませんが
やはり本来の動きを取り戻すためには
一通りの整備が必要な状況です。

整備を行いながら長く使っていくことを
前提にされているカメラでもあり
当然ながら整備性もよく考えられていています。
画像には写っていませんが組み合わせている
ファインダーはアイレベルファインダーで
さすがにプリズムには腐食が多少見られますが
それほど撮影に問題になるほどの大きさ・酷さでもありません。
もちろんボディ側の整備が終わった後に
ファインダー側もできる限りの清掃整備を行います。
ご依頼者様は発売当時にこの「F」を手に入れて
使うことは少なくなったとはいえ
ずっとこの「F」を大切に持ち続けているそうです。
今回、リフレッシュさせて再び気持ちよく撮影に
使っていただけるように入念に整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

コニカオートS2のカメラ修理

今日は記念日制定の少ない日ですねぇ…と思いながら
毎日の日課で調べていたら
「マウスの誕生日」…ん?なんのこっちゃ???と思ったら
パソコンで使う「マウス」のことなのですね!
1968(昭和43)年12月9日、
アメリカの発明家で「ITの父」ダグラス・エンゲルバートにより
マウスやウインドウ、ハイパーテキストなど
パーソナルコンピュータ、インターネットの歴史の出発点ともなる
デモンストレーション「The Demo」が行われたことに由来しています。
そんな前からマウスって存在自体はあるのですね!
私がパソコンに最初に触れたのは中学生の頃の
PC-8801mkⅡSRだから1980年代半ば…その頃には
マウスどころかwindowsもまだ一般的ではなかったです。
windowsやマウスが一般的になったのはやはり
1991年のwindows3.1あたりからじゃないかと記憶しています…
でももう30年以上前の話なのですね。
いまやPCの操作にマウスなしは考えられませんが
ショートカットキーを使ったほうが早い場合も多いので
やたらとショートカットキーを覚えた時期があって
今でも重宝しています。でもマウスないと困りますけどね
今はワイヤレスが主流ですがたまにマウス側やOS側がトラブって
マウスが使えなくなると何もできなくなることもありますものねぇ
そんな感じで今日もエレコムさんの赤いマウスを右手に握りながら
PC作業も行っています。

さてさて

本日は「コニカオートS2」のカメラ修理を行っています。
コニカⅠ・Ⅱ・Ⅲシリーズの後継機である
「コニカSシリーズ」をベースに
露出計受光体をCdSに変更し
さらにシャッタスピード優先オート露出を搭載したのが
「コニカオートSシリーズ」です
「S2」はその2代目のモデルにあたり
CdS受光体がレンズフィルター枠内に移設され
フィルター使用時の露出倍数等の補正が不要となった改良版です。
レンズもヘキサノン47mmF1.9から45mmF1.8へ変更されています。
シャッターユニットはコニカSVAが搭載され
B・1s~1/500をカバーします。
公式な資料はないのですがかなりのヒット作だったと思われます。
…というのもコニカSシリーズ、オートSシリーズで
最もよく見かけるのがこの「オートS2」ですし
実際にこの時代のコニカとしては
この「オートS2」が一番修理依頼も多いカメラだと思います。
実際にSS優先オートも含め非常に使いやすく
ヘキサノン45mmF1.8のレンズの写りも非常の良いカメラです。

お預かりしている「オートS2」は
かなり長い間、ご依頼者の自宅で眠っていた個体だと思われます。
使われなくなってから数十年は経過していると思われます。
まずシャッターが切れない…というより
レリーズボタンが押せません。
おそらくシャッターはチャージされているものと思われますが
レリーズボタンそのものが錆と緑青で完全に固着していて
全く動かない状態です。
溶剤や油を使ってまずはレリーズボタンの固着を解消してみたところ
レリーズはできるようになりましたが
シャッター羽根は定番の粘りでゆっくりとしか動作できない状態です。
全体的にサビや緑青で巻上機構も含めてかなり動きの重い状態です。
レンズやファインダーの状態は比較的良いのですが
それでもそれなりにカビや汚れは付着しています。
水銀電池はしっかり抜いてあって電池室への
大きなダメージはないですがやはり電池室裏のハンダやSW部は
緑青で覆われていて通電せず露出計も不動の状態です。
フルコースで整備が必要な状態かと思われます。

まずは各部の動きを確認しながら分解に取り掛かっていきます。
ここからさらに前板及びシャッターユニットを分離して
機械的な整備を行っていきます。
並行して露出計回路の配線等を必要に応じて交換し
各接点を入念い清掃していきます。
その上で各部の調整を行っていきます。
この時代のカメラなので少し大柄で内部には余裕があり
整備性は良好なカメラです。
見慣れた内部構造ではありますが
細心の注意を払って修理整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスフレックスのカメラ修理

今日は12月8日…「御事納め」で
関連して「針供養」の日ですね。
ここのブログを始めてほぼ丸8年が経つのですが
毎年この「お事納め」の日になって
それに関するブログを書いていると
なんとなく年末感を感じてしまいます。
この日は農作業など一年の作業が終わる日であり
農事が終わることを祝って行った行事のことも意味するそうです。
この日には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた
「御事汁」を食べる風習があったそうです。
いいですね。御事汁…素朴な味であったまりそうです。
ちなみに御事納めに対応する御事始めは2月8日です。
この間はお正月あるいは年神さまをお迎えする期間になるわけですね。
そう考えると…昔のお正月…長いな…(笑
あくまで農作業的に御事納めなのでしょうが
ここから御事始めまでは厳しい寒さを耐え忍ぶ時期でもあるのですよね。
現在の社会ではこのあたりからが本格的師走で
年末に向ってラストスパートですね
仕事納めの28日までしっかりがんばります!!!

さてさて

本日は「オリンパスフレックス」のカメラ修理を行っています。
1950年代に到来した二眼レフブームですが
オリンパスはズイコーレンズを他メーカーの二眼レフや
フォールディングカメラに供給しつつ
自社でも二眼レフを発売していて
それが今回のオリンパスフレックスです。
オリンパスフレックスにもいくつか種類があるのですが
特に75mmF2.8の大口径ズイコーレンズを搭載したモデルは
当時としてもかなりの高級機です。

今回お預かりしてるのは最初に出た「Ⅰ型」「BⅡ型」から
少し機能を簡略化した「A2.8型」かと思われます。
搭載レンズは最大の特徴でもある自慢の
ズイコーF.C 75mmF2.8レンズです。
この時代のズイコーレンズは搭載カメラに関係なく
経年劣化で曇っているものが多く
またその曇りは修理不可な場合がほとんどなのですが
今回のオリンパスフレックスは前玉表面に拭き傷は多いものの
曇りはほぼ皆無な状況でコンディションは
かなり良いほうだと思われます。
シャッターはセイコーシャラピッドで
B・1s~1/200・1/400までをカバーします。
ただ、1/400は後のセイコーシャラピッドやMXの1/500と同様で
そのためだけに用意された別の強力なバネで駆動する
シャッタースピードのためリリース時でも1/400に入れるのは
少し重いですしチャージ後は重すぎて1/400に入れることは不可能です。
(もちろん無理に入れてはいけません)
フィルム装填はスタートマーク合わせのセミオートマットです。
「BⅡ」との大きな違いはSS・絞り設定がダイヤル式ではなく
レバー式になっていることとレリーズロックレバーが省略されています。
このため見た目で比較的簡単に判別できます。
レリーズボタンはビューレンズの脇にあり
少々独特ですね。慣れないとついつい探してしまいます。

全体的にはコンディションの比較的良い個体ですが
シャッターの動きに少し粘りがあることと
ファインダーやレンズにそれなりの汚れも見受けられるため
できる限りの清掃整備を行っていきます。
まだ現状を確認しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ニコンFGのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「大雪」ですね。
北風が吹いて雪が激しく降り始める頃という意味で「大雪」とされています。
日本海側では雪が降る時期ですよね。
関東ではまだ年内はほとんど雪は降らないでしょうし
今日なんて妙に陽射しが強くて暖かく
ちょっと「大雪」という雰囲気ではないかもしれません。
明日は少し冷えそうですが週末は20度に届くかも…なんて予報が出ています。
なんだかいつまでも季節が落ち着かない感じですね。
それでも今日はともかくとしてもここ数日は
冬らしい寒さが続き少し前まではまだ妙に暖かいと思っていましたが
いつの間にかしっかりした上着とネックウォーマーが
手放せなくなってしまいました。
暑いのも寒いのも本当に困りますねぇ
特に年老いてきてからは寒い季節になると
また血管関連のリスクが高くなると思うと
本当に油断できません…(苦笑)
季節の変わり目なうえ、よくわからない寒暖差もあるので
皆さまも体調管理にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

さてさて

本日は「ニコンFG」のカメラ修理を行っています。
絞り優先オート専用機のエントリー機「ニコンEM」をベースに
マニュアル露出、プログラムオートを追加し
なんでもできるフルスペック機に仕立て上げたモデルです。
プログラムオートは絞りを手動で変更すると
プログラムシフトと称してシャッター速度優先オート的にも使用できまする。
そのためAi絞り連動レバーの動きを絞り段数にほぼ比例するよう
改善したAi-Sニッコールレンズが同時期に投入されています。
ただし従来のAiニッコールレンズでもオート露出を可能とするため
ミラーアップ直前に絞り込み測光を行う瞬間絞り込み測光が搭載されています。
いわゆるマルチモード機にするために
なかなか苦肉の策を盛り込んだ形になっています。
この複雑な機構のせいもありシャッター音(正確にはミラー駆動音)が
少々独特で「シャコン」とう感じのFGならではのシャッター音がします。
個人的にはこの駆動音が妙に耳に心地よく
無駄に空シャッターを切ってしまいそうになります(笑

修理する立場としてはなかなか難しいカメラのひとつで
フレキ満載でも比較的シンプルなEMであれば
この類のカメラの中ではまだ何とかなるほうでしたが
FGとなると調整箇所もチェック箇所も倍増し
何かトラブルがあると非常にややこしいカメラです。
お預かりしているFGはご依頼者様が昔から使っているカメラとのことですが
しばらくぶりに使おうとしたところ
電源が全く入らない状態になってしまったようです。
当店でも試してみましたが単純な電池室の接触不良とかではなく
電源SW部に接触不良か何かの問題を抱えていそうです。
EMも含めこのシリーズのカメラは
フィルムカウンターが「1」にならないと
電気的にオンにならないような仕組みになっています。
「1」になるまでは機械的なM90で切れるようになっています。
露出計もオフのままです。

これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
単純なカウンター部のSW不良とかならいいのですが
まずそのあたりから原因を探っていきます。
電源が入ったところで各機能の動作チェックも行っていきます。
ここで何も問題がない…なんて都合の良いことは大抵はないのですよね(苦笑)
この類のカメラは何にしてもやってみないとわからない部分も多いですし
今回のように電源が入らず動作確認できない状態だと
動作確認ができる状態になって初めてわかるトラブルも多く
それが致命的な場合もあるので
ある程度、先が予測できるまではなににせよ非常に不安です。
まずはひとつひとつ確認しながら修理整備に取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノネットのカメラ修理

今日は「音の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
アメリカの発明家トーマス・エジソンが
自ら発明した蓄音機「フォノグラフ(Phonograph)」で
「メリーさんの羊…」の音を録音・再生することに
成功したことに由来しているのだそうです。
そのため、この日はオーディオの誕生日ということになるのだそうです。
フィルムカメラ好きな方にはオーディオ好きな方も多そうですね。
特に私たちの世代はレコードやCD、あるいはFMラジオ等から
好きな音楽をテープに録って聴く…というのを体験している方が多いので
マニアではなくても多少はオーディオの知識を持っている方が多いと思います。
私もマニアではありませんがいまだにレコードが聴ける環境は
維持していてCDと並行して比較的頻繁に聴いていますし
それなりのアンプやカセットデッキが
いまだにシステムに組み込まれていて
現在も元気に稼働しています。
デジタル化して音源もあって携帯とかで聴くには非常に便利ですが
レコードを拭いてスタイラスクリーナーで針先もキレイにし
アンプに灯を入れてレコード針をそっと落とす…って行為は
いまだにやっていて楽しいですね!
マニュアルカメラで露出決めて
ピント合わせてシャッターを切る…に通じるものがありますね。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
創業以来、フォーカルプレーンシャッターの
高級レンジファインダー機を手掛けてきたキヤノンが
初めて世に送り出した中級レンズシャッター機です。
以下、キヤノンのサイトから引用
「高級カメラメーカーが手掛ける
中級35mmカメラとの期待と、明るいf/1.9レンズ付きで2万円を割るとの
予告情報から、カメラ業界は一斉に反発したが
1961年1月無事に発売され、1週間分の台数が僅か2時間で完売という
快記録を残し、キヤノネットブームが沸き起こった。
2年半後実販累計100万台を記した。」
まさに社会現象となった伝説のカメラです。
上記の通りで大口径レンズを搭載し
セレン光電池式の露出計を装備し連動して
シャッタースピード優先オート露出まで搭載
露出計情報はEE時のみだがファインダーに表示され
もちろんレンジファインダー装備で
マニュアル露出も可能、
シャッターはコパル製でSSは1/500~1s・B…等々
レンズが固定式である以外は
当時の最先端を行く機能を満載した上で価格破壊的な設定で
発売されたキヤノネットは爆発的ヒットを記録します。
キヤノネットの登場は1940~50年代にたくさん誕生した
大小の多くのカメラメーカーを低額化・高機能化の面でぶっちぎり
ついていけなくなった多くのメーカーが
倒産・撤退するきっかけとなったとも言われています。
ただし内部を見てみればわかりますが
安っぽい造りやちゃちな部分は微塵もなく
非常に精巧に効率よく組み上げられた機械であることがよくわかります。
それだけまだこの時代は生産や内部構成の効率化は
進んでいなかったということかと思います。

お預かりしているキヤノネットは長らく眠っていたものかと
思われますが比較的レンズの状態も良く
大切に保存されていたことが伺えます。
ただファインダーはクモリが酷く
シャッター羽根・絞り羽根が粘りがあり
ピントリングもかなり重い状態です。
さすがに動かしていなかったため
あちこちで動きの悪い部分が多発していると思われます。
ちゃんと目覚めてもらうには
全体的にリフレッシュさせる必要がある状態です。

心配されるセレンの起電状況も悪くなく
そのままではダメですが調整で充分に精度が出せる状態です。
巻上レバー、巻き戻しクランクも底部に配置されているので
上カバー部は非常にすっきりしたデザインです。
そのレリーズボタンとカウンター窓しかない上カバーに
筆記体で「Canonet」の文字…なんともレトロでオシャレです。
この時代なのでコンパクトカメラというには
少し大柄で重いですがその分しっかりと作られていて
内部的にも余裕があり整備性も良好です。
内部も分解整備を行い調整することを前提とした造りになっています。
個人的にも非常に良いカメラだと思います。
これから入念に各部の清掃整備を行った上で調整を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ミノルタX-700のカメラ修理

今日は「カレンダーの日」だそうですよ。
1872(明治5)年に太政官布告で
太陽暦が採用されることとなり
明治5年12月3日(旧暦)が
1873年(明治6年)年1月1日(新暦)となったのだそうです。
新暦になって150年になっているのですね。
季節的にも来年のカレンダーを準備する時期です。
壁掛け用には恒例の「カープカレンダー」を既に入手済みですし
卓上はありがたいことに毎年お客様から
お送りいただいているものがあり
これも既に来年のモノをいただいているので
カレンダーに関してだけは来年の準備は万全です!
こうして年の変わり目を意識することが毎日増えていくと
今年ももうすぐ終わりだなぁ…という気持ちが盛り上がってきますね
さぁ、あと4週間ほどのラストスパートです!

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
1981年に発売され
かなりの長期間にわたり
ミノルタのMF一眼レフカメラの頂点に君臨したカメラです。
機能的には中級機クラスに該当しますが
新設計のフレーム+ユニット化された横走りシャッターを搭載し
非常に使いやすく、またミノルタらしく使い心地の良いカメラです。
ミノルタX3桁機種として最上位のカメラでもあり
1985年には社会現象ともなるAF一眼レフのαシリーズが登場し
主役の座を譲りながらも1999年まで
18年もの間、存在し続けたロングセラーモデルです。
マニュアル露出、絞り優先オートに加え
プログラムオートも搭載した
初心者から上級者まで幅広い層に支持され続けたカメラでもあります。
使い勝手が良い上にロングセラー機で現存台数が多いこともあり
現在でも人気の高いカメラでもあります。

当店で扱えるカメラとしてはこのX-700あたりが
最も新しい世代のカメラとなります。
80年代の電子制御機なので
シャッターの制御が全くできないものに関しては
修理不可能な場合もございます。
ただ致命的な電子制御トラブルは比較的少ないカメラです。
やはり大抵のトラブルの原因は機械的なものだったり
接点の接触不良等が原因の場合も多く
それであればまだ対処が可能という状況です。

お預かりしている「X-700」は電源は入り
シャッター半押しでファインダー内の露出計表示は反応するものの
シャッターは全く切れないという状況です。
なかなか判断の難しい状態です。
シャッターが切れないこと自体は
マグネットの吸着状況の問題である可能性が高く
それであればマグネットの清掃整備で何とかなると思われますが
電磁レリーズの制御が原因であれば修理不可能となります。
またレリーズの問題がクリアできたとしても
シャッターの制御に電気的トラブルがあればお手上げの可能性もあります。

まだ上下カバーを外しただけの段階です。
こればかりはもうやってみないと何とも言えません。
妙な分解とかショック品ではないので
おそらく何とかなる確率のほうが高いとは思いますが
まずはできることから試してみて
ひとつひとつ動きを確認していきたいと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスペンEES-2のカメラ修理

今日からいよいよ12月!
2023年も残すところ1ヶ月となりました。
12月のスタートということもあって
今日は多くの記念日が制定されている日ですが
そんな中に「カイロの日」がありますねぇ
少し前まではカイロといえばハクキンカイロと思って
愛用していましたが腰やポケットに入れて
ひとつふたつとかで使う分には長時間使えて
温かさも段違いで非常によいのですが
頭やらかして右半身温痛覚麻痺になってからは
(少しはよくなって多少は温度を感じるようになりました)
低音やけどの心配があり使い捨てカイロ愛用のほうが多くなりました。
そしてうちの店内はとにかく下から底冷えするので
足や腰に何枚も使い捨てカイロを貼りたくなるのですね…
今日も実は3枚貼っています(笑
おそらく1月・2月になると5,6枚貼ります…
そのかわり電気代ばかりかかって
たいして効きもしない(効いても上ばかり)
店内のエアコンはいまだにオフです。
ほんと冬場は室内外問わず使い捨てカイロが手放せません。
昔はこんなに寒がりではなかったのですが…これも歳ですか…

さてさて

本日は「オリンパスペンEES-2」のカメラ修理を行っています。
ペンSやペンD等のマニュアル露出のペンも根強い人気がありますが
やはりペンといえばEE系の人気が高いと思います。
小さくて手軽に持ち歩けるハーフカメラだからこそ
簡単に軽快に撮りたい…といいうことなのでしょうね。
ペンEE系はピントは固定焦点で被写界深度でカバーしますが
EES系はEE系をベースにゾーンフォーカスとしたカメラです。
ゾーンフォーカスなのでそれでもアバウトではありますが
固定焦点のEE系に比べるとピントを多少は正確に合わせることができます。
3m付近(EES-2の場合、大人二人全身マ-ク・赤)に合わせておけば
ペンEE系と同じように固定焦点で撮ることも可能です。
EES-2はその名の通りEES系としては2代目のカメラです。
デザイン的にはペンEE系らしいレトロ且つ愛嬌のあるデザインで
グリーンがかったグレーの貼り革が何ともオシャレです。
機能的には前モデルのEESからかなり変更があります。
まずは裏ブタが取り外し式から丁番式に変更
対応するフィルム感度がASA200までだったのがASA400までに変更
ゾーンフォーカスが3点式から4点式に、
さらにピントリングは大径で使いやすいAuto切替式リングの隣に移動
フィルムカウンターは自動復帰式に変更
ホットシューが追加…今見比べてみたのですがこんな感じでしょうか…
基本的なスペックは変わりなくても使い勝手がかなり向上しています。
オリンパス曰く「普及型ペンEEシリーズの決定版」ということで
実際にかなり使いやすいカメラだと思います。

お預かりしている「EES-2」はフラッシュモード時には
普通にシャッターが切れるもののオートにすると
明るさに関係なく常に赤ベロが出てしまい
シャッターが切れないという状態です。
露出計指針が正常に動作しておらず
常に光量不足で赤ベロが動作しシャッターロックがかかるということですね。
この場合、セレンの劣化により起電がなく(あるいはわずかしかなく)
露出計が駆動していないのが最悪のシナリオですが
ペンEE(EES)系の場合はなかなかそうとは言い切れない場合が多いので
まずは分解して確認していきます。

最近手がけたペンEE(EES)系の露出計不動の原因は
やたらとこれが多いのですが
今回もシャッターユニットのネジが緩み外れて
(赤矢印にあるはずのネジ、実際の外れたネジが赤囲み)
露出計内部に磁力で引き寄せられ
指針駆動部に挟まって露出計を動かなくしていました。
シャッタ―羽根駆動部を挟み込む部分を留めているネジが3本あるのですが
ここのネジがやたらと緩みやすく外れるパターンが多いのです。
今回は1本だけ外れて露出計内部に紛れていましたが
3本とも外れて鏡胴がグラグラしている個体もたまに見かけます。
ペンEE系のセレンは意外と劣化している個体は少ないので
露出計不動の原因は今回のようなパターンが多いですね。
原因がわかったところで後は通常の整備一式を行った上で
露出計・オートの調整を行っていきます。
小さくても整備性は非常に良好なカメラです。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。