キヤノネットのカメラ修理

今日は「音の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
アメリカの発明家トーマス・エジソンが
自ら発明した蓄音機「フォノグラフ(Phonograph)」で
「メリーさんの羊…」の音を録音・再生することに
成功したことに由来しているのだそうです。
そのため、この日はオーディオの誕生日ということになるのだそうです。
フィルムカメラ好きな方にはオーディオ好きな方も多そうですね。
特に私たちの世代はレコードやCD、あるいはFMラジオ等から
好きな音楽をテープに録って聴く…というのを体験している方が多いので
マニアではなくても多少はオーディオの知識を持っている方が多いと思います。
私もマニアではありませんがいまだにレコードが聴ける環境は
維持していてCDと並行して比較的頻繁に聴いていますし
それなりのアンプやカセットデッキが
いまだにシステムに組み込まれていて
現在も元気に稼働しています。
デジタル化して音源もあって携帯とかで聴くには非常に便利ですが
レコードを拭いてスタイラスクリーナーで針先もキレイにし
アンプに灯を入れてレコード針をそっと落とす…って行為は
いまだにやっていて楽しいですね!
マニュアルカメラで露出決めて
ピント合わせてシャッターを切る…に通じるものがありますね。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
創業以来、フォーカルプレーンシャッターの
高級レンジファインダー機を手掛けてきたキヤノンが
初めて世に送り出した中級レンズシャッター機です。
以下、キヤノンのサイトから引用
「高級カメラメーカーが手掛ける
中級35mmカメラとの期待と、明るいf/1.9レンズ付きで2万円を割るとの
予告情報から、カメラ業界は一斉に反発したが
1961年1月無事に発売され、1週間分の台数が僅か2時間で完売という
快記録を残し、キヤノネットブームが沸き起こった。
2年半後実販累計100万台を記した。」
まさに社会現象となった伝説のカメラです。
上記の通りで大口径レンズを搭載し
セレン光電池式の露出計を装備し連動して
シャッタースピード優先オート露出まで搭載
露出計情報はEE時のみだがファインダーに表示され
もちろんレンジファインダー装備で
マニュアル露出も可能、
シャッターはコパル製でSSは1/500~1s・B…等々
レンズが固定式である以外は
当時の最先端を行く機能を満載した上で価格破壊的な設定で
発売されたキヤノネットは爆発的ヒットを記録します。
キヤノネットの登場は1940~50年代にたくさん誕生した
大小の多くのカメラメーカーを低額化・高機能化の面でぶっちぎり
ついていけなくなった多くのメーカーが
倒産・撤退するきっかけとなったとも言われています。
ただし内部を見てみればわかりますが
安っぽい造りやちゃちな部分は微塵もなく
非常に精巧に効率よく組み上げられた機械であることがよくわかります。
それだけまだこの時代は生産や内部構成の効率化は
進んでいなかったということかと思います。

お預かりしているキヤノネットは長らく眠っていたものかと
思われますが比較的レンズの状態も良く
大切に保存されていたことが伺えます。
ただファインダーはクモリが酷く
シャッター羽根・絞り羽根が粘りがあり
ピントリングもかなり重い状態です。
さすがに動かしていなかったため
あちこちで動きの悪い部分が多発していると思われます。
ちゃんと目覚めてもらうには
全体的にリフレッシュさせる必要がある状態です。

心配されるセレンの起電状況も悪くなく
そのままではダメですが調整で充分に精度が出せる状態です。
巻上レバー、巻き戻しクランクも底部に配置されているので
上カバー部は非常にすっきりしたデザインです。
そのレリーズボタンとカウンター窓しかない上カバーに
筆記体で「Canonet」の文字…なんともレトロでオシャレです。
この時代なのでコンパクトカメラというには
少し大柄で重いですがその分しっかりと作られていて
内部的にも余裕があり整備性も良好です。
内部も分解整備を行い調整することを前提とした造りになっています。
個人的にも非常に良いカメラだと思います。
これから入念に各部の清掃整備を行った上で調整を行っていきます。

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