オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は7月15日、いわゆる「中元」で「お盆」なのですが
本来は旧暦の7月15日なのですよね
日本では明治6(1873)年にグレゴリオ暦(新暦・太陽暦)を採用し
その際に新暦7月15日に盆を行うことを原則としたのですが
日本の多くの年中行事は旧暦を基にしていたため
年中行事によっては新暦の採用によって
季節が合わなくなるものも生じたようです
(七夕なんかもそうですよね)
特に新暦の7月15日が農繁期にあたる地域では
著しく支障があったため地方によってお盆の時期に違いがみられるようになり
新暦8月15日をお盆(月遅れ盆)としている地域が多いのだそうです。
私、こっち(関東)に来るまでは
お盆は8月15日前後で全国的なものと思っていたのですが
東京は7月15日なのですね。こっちに来て初めて知りました。
東北・北陸地方の一部もそうなのですね
他にも沖縄・奄美などでは旧暦7月15日としており
新暦に直すとお盆の日程は毎年変わり、時には9月にずれ込むのだそうです。
同じところにずっと住んでいると
当たり前と思っていることが日本国内だけでも
こんなにいろいろ変わるものなのですねぇ
私も広島から登用に来た時に
意外なものが常識で通用しなかったりで困惑したことが
たくさんあったような気がします。
まぁ、でもお盆はやっぱり全国的にも
8/13から8/16ですよね。
またお知らせいたしますがそのあたりは当店もお休みの予定です。

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
少しの間、OM-1の修理入ってこないなぁ…と思っていましたが
やはりありますね。
機種別でみると当店では圧倒的に多いのがOM-1の修理・整備です。
1972年7月に「M-1」として発売開始となり
1973年5月に「OM-1」に」改名されます。
オリンパスとしてはこれ以前に「FTL」という
「M42マウント」の一眼レフ機を発売していましたが
実質的な35mm判一眼レフ機としては
このOM-1が最初といってよいと思います。
他メーカーに比べると参入がかなり遅れましたが
実は一眼レフ機というだけの括りであれば
ハーフ判一眼レフの「ペンF」のほうが早い登場で
1963年に発売されています。
この時期だと他メーカーも一眼レフに参入し始めたばかりの頃ですね。
孤高の存在でハーフ判ブームもあり
好調だった「ペンF」も60年代末になると人気に陰りが出始めます。
それでついに35mm判の一眼レフ、「OM-1」の登場となったわけです。
後発メーカーですから
独自性をより高めて…というのもあったと思いますが
「OM-1」はそれまでの一眼レフの「大きい・重い・うるさい」を
徹底的に排除する方向で開発されました。
それが他に類を見ない「軽量コンパクトさ」と
シャッター音の「静かさ」を実現させました。
今聞いてもOM-1のシャッター音は何とも上品で
耳障りの良い音です。
で、個人的には巻上の感触が相当好みです。
抵抗感のない軽さではなく
独特の「シャリッ」とした手応えのある巻上で
何ともはや気持ち良いのですよね…

話が逸れました。
お預かりしているOM-1は
かな~り長い間、どこかに仕舞い込まれていたものと思われます。
保管状態自体は悪くはなく
接眼レンズやプリズムに多少のカビの発生が見られるものの
装着されていたF.ズイコー・オートS50mmF1.8には
フィルター部以外にはほぼカビもありませんでした。
しかしながら長期に放置していると
OM-1は例のモルト加水分解を原因とする
プリズム腐食が起こってしまいます。
今回も例外ではなく見事にファインダー視野下部に
腐食痕が見えています。
そして上カバーを開けてみるとベタベタになった
モルトがプリズムに貼り付いてしまっていました。
もうこうなると交換しかありません。
さすがにこれだけ動かされていないと
シャッター等の動きも悪くなっています。
動作しないわけではないのですが精度は全く出ていません。
スローガバナにも粘りが見られます。
電池室からは当時の水銀電池が入ったままとなっており
電池室の状態が心配されましたが
思ったほどのダメージではなかったのが不幸中の幸いでした。
もちろん露出計も再調整が必要です。

フィルム室に4本スタッド、プリズム留めは4本のバネ
露出計制御回路には「低照度自動警告回路」が組み込まれています。
かなり初期のOM-1でほぼ中身はM-1と同様のものです。
マウントネジはプラスで
巻上レバーはOM-1のものに替えられてたりで
やはりM-1とは異なる部分もありますが
どちらにしても1972年から73年初頭に生産されたものかと思われます。
M-1や初期OM-1は使われている樹脂部品の強度が
経年劣化で脆くなっているものが多く
非常に慎重な作業を求められます。
メーターや基板、接眼レンズ部が一体となった枠部分は
交換が効かない部分なので特に慎重に作業します。
中期以降のOM-1ではそれほど気を遣うこともないのですが…

これから本格的に分解整備を行っていきます。
おそらく何十年ぶりかに撮影に使わられる個体かと思われます。
それまで見てきた時代と全く異なる現代の風景を
レンズを通して調子のよくなったボディで
またフィルムに焼き付けてほしいものです。

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