今日は10月9日…たくさんの記念日が制定されている日です。
「トラックの日」「塾の日」「東急の日」
「アメリカンドッグの日」「散歩の日」「熟睡の日」…等々
そんな中に「道具の日」というのもありますね。
「どう(10)ぐ(9)」(道具)と読む語呂合わせからですね。
仕事柄、いろいろな道具を使いますし
あまりメジャーな仕事内容でもないので
普通に市販されている道具では具合が悪く
自作した道具を使うこともよくありますが
道具次第で作業の効率は全く変わってくるので
道具は非常に大切です。
ただこれも必要以上にこだわると
おかしなことになってしまいます。
一時期は精密ドライバーとかピンセットに必要以上に
凝った時期があってちょっと高価なモノを
使ったりしたこともあったのですが
メンテをすることで長く使える道具もありますが
所詮多くの道具は消耗品です。
必要以上に良いモノは逆にコスト的に効率が悪くなり
適度に良いものを頻繁に交換したほうが効率は上がります
何よりもミスの防止になります。
例えばドライバーやカッターの刃にしても
高価なものは持ちもよく食いつきや切れ味も鋭いですが
それでもある程度使い込んでいくと消耗し
新品時の食いつきや切れ味はなくなります。
そこでコストとのバランスにもなるのですが
適度に良いものを頻繁に交換したほうが
トータルでは効率が上がることになります
あくまで目的は作業をミスなく仕上げることで
その上でできる限りスピーディーに…ということなので
その辺のバランスを考えて道具を選ばなくてはならないのですよね…
道具にこだわりたくなる気持ちもありますが
最終的な目的を取り違えないように気をつけなくてはなりませんね
でも道具が大事なのは間違いありません。
駆け出しのころはよくありましたが
つまらない作業ミスの多くの原因が
道具がイマイチだった…ということもよくありました…(苦笑)
さてさて
本日は「ニコンF2フォトミックA」のカメラ修理を行っています。
フラッグシップ機F2のボディに
フォトミックAファインダーが装着されたモデルです。
前モデルの「F」ではフォトミックファインダーが
後から開発されたこともあってデザイン上や
機能的にもアンバランスな部分がありましたが
F2ではアイレベルと同時にフォトミックファインダーが前提として
開発されており「F」に比べると随分スマートになりました。
それでもこの時代のニコン機らしく武骨さに溢れていて
それはそれでまた魅力でもあります。
「F2」がデビューした段階ではまだ対応するレンズは
「非Ai」の時代であり露出計連動はいわゆる「カニの爪」で行われます。
その後、レンズシステムが次世代を見据えた「Aiニッコール」に
モデルチェンジされたためフォトミックファインダーも
Aiレンズ対応のものが発売されます。
それが今回の「フォトミックAファインダー」です。
カニの爪連動ではなくAi連動となったため
逆に非Aiレンズだと開放測光での連動は不可能です。
しかしながらフォトミックファインダー側のAi連動爪は
引っ込めることができるので装着可能ではあります。
他、Aiレンズ側に直読用の絞り値の刻印がされているため
ファインダー内絞り値はレンズ側の刻印を直読する形式にかわりました。
個人的にはここに関しては以前の「非Aiフォトミック」のほうが
見やすかったと思います。
お預かりしている「F2フォトミックA」は使われないなまま
何十年も仕舞い込まれていたものと思われます。
その際に電池も入れっぱなしだったため
電池室を開くと白い粉に覆われた腐食した電池がゴロンと出てきました。
当然のごとく電池を入れ替えても露出計は動きません。
またあらゆるところに油切れだったり
あるいは古い油脂に汚れが混じったりして
動作不良が起きています。
シャッターの精度も出ていません。
モルトももちろん全滅です。
何かが致命的に破損している訳ではありませんが
このままではとても撮影に使用できる状態ではありません。
全体的に徹底的に清掃整備調整が必要な状況です。
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
ちなみに露出計不動の最大の原因は
電池室端子を支える部分が折れてしまっているために
端子が不安定になっており接触不良になってしまうためです。
端子や配線の緑青・腐食も酷いのでここも対処が必要ですが
電池室を外してみると…
見事に突起部が折れてしまっています。
負荷の掛かる部分が樹脂製なので経年劣化で
破損しやすくなってしまいます。
堅牢でオーバークオリティな部品を数多く使うF2の中で
唯一の泣き所ですね。ここもうまく対処して
端子をしっかりと固定していき周辺の配線は交換で対応します。
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