オリンパス35RCのカメラ修理

今日は「道具の日」だそうですよ。
「どう(10)ぐ(9)」(道具)と読む語呂合わせですね。
私も仕事柄、毎日、いろんな道具を使いますが
たとえばドライバーやピンセットひとつを取ってみても
道具の善し悪しで作業効率が驚くほど変わるので
やはり道具は大事ですね。
効率云々のみなら多少のことはまだ良いのですが
下手な道具を無理して使うと
作業そのものを失敗してしまう可能性もあります。
では例えば高級で高価なドライバーが最も良いかというと
またそこが難しいところで
趣味でそれを使うことに
満足感を得るのならともかく
作業道具は結局消耗品なので
コストとのバランスもでてくるのですよね…(苦笑)
ちなみにいくら高級な道具だったとしても
消耗したり劣化した道具を使い続けることは
安物を使い続ける以上に危険です。
高級な道具は長く使い続けられるものもあるので
一概には言えませんが
摩耗や劣化で使いにくくなったものは
早めに見切りをつけて交換することも大事です。
結局、自分のスタイルに合ったものを
自分でいろいろ使って見つけて
それを適切なタイミングで交換やメンテナンスしながら
良い状態で使い続けるのが大事かなと思います。
優先されるは道具ではなくて作業の結果ですものね…
でもよい道具には愛着も湧きますし
長く問題なく使えるものは
しっかり使い込んでいきたいものです。

さてさて

本日は「オリンパス35RC」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
非常にコンパクトなボディに使いやすい機能を詰め込んだ
当時も現在も人気のカメラですね。
「RC」から当時の愛称は「リチャード」でした。
CDS使用の露出計を内蔵し連動して
シャッタースピード優先オートが使用できます。
露出計はオフになりますがマニュアル露出でも使用できます。
その際にオート時にはオート機能が選択する
絞り値をファインダー指針が指しますが
マニュアル時には設定絞りを指針が指し示します。
いずれの場合もSSは設定SSもファインダー内表示されます。
シャッターはB・1/15~1/500をカバーしますが
変わっているのはレンズシャッタ機なのに
シャッターダイヤルは一眼レフ機のように
上カバー上に配置されます。
これは人によっては相当使いやすいと感じるかもしれません。
レンズはコンパクトなE.ズイコー42mmF2.8が搭載されます。
機能やスペックを見ても現在でも人気なのがわかりますね。

お預かりしている「RC」はシャッターは比較的問題なく
動作しているのですが露出計が電池を入れても全く動きません。
よくある電池室の腐食かと思いきや
電池室内の端子は非常にキレイで端子の裏側にも
緑青も全く出ていません。
リング連動のSWにテスターをあてて確認すると
ここまでの導通に問題はなさそうです。
いろいろ確認しながら分解を進めていくと
露出計本体内の断線が不動の原因のようです。
これは露出計本体を中古良品と交換するのが無難ですね。

「RC」の登場翌年に発売された「DC」同様に
露出計は底部に配置される少々変わったレイアウトです。
ここでこの時代定番の指針挟み込み式で
オート機能を制御しています。
このあたりの基本的構造は「RC」も「DC」も同様です。
今回は露出計本体がダメでしたが
挟み込みされ続けているうちに指針が固着してしまって
動けなくなるパターンもよくあるトラブルです。
露出計は載せ替えて露出計位置調整や絞り制御の調整を行います。
その前に先立って
これからシャッタユニット側の整備を行っていきます。
コンパクトなボディながら整備性も悪くないカメラです。

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オリンパスワイドのカメラ修理

今日は「木の日」だそうですよ。
「十」と「八」を組み合わせると
「木」の字になることからだそうです。
身近にある木について知り
木材をおおいに使ってもらおうという日とされています。
木や木材のぬくもりとか質感は
何とも言えず良いですよね
コストの関係上、プラスチック等に
置き換わってしまうものも多いですが
許される範囲で身の回りの家具や資材には
木材のモノを選ぶようにしています。
加工された木材もそうですが
実際に生きている大木も質感とか触感とか
そのたたずまいとか非常にいいですよね…
私の地域だと気軽に行ける範囲に新宿御苑とかが
あったりして色んな大木を観賞することができます
最近はなかなか行けてないのですが
大木のそばで写真とかを取っていると
何と言えずやはり落ち着きます。

さてさて

本日は「オリンパスワイド」のカメラ修理を行っています。
1955年発売のカメラです。
先行する「オリンパス35シリーズ」(V型)をベースに
D.ズイコー35mmF3.5の広角レンズを搭載したモデルです。
当時のレンズ固定式のカメラの多くは
45~50mmのいわゆる標準域のレンズを搭載したものがほとんどで
広角で撮ろうとすると
レンズ交換式の高級機を使うしかない時代でした。
手軽に広角レンズでの撮影が楽しめるということで
大ヒットしたカメラです。
このカメラをきっかけに後の「ワイドカメラブーム」に
繋がっていくことになります。
シャッターはコパルMXでB・1s~1/300をカバーします。
ピント合わせは目測で行います。

お預かりしている「ワイド」は
一番の売りのその広角レンズがかなり曇ってしまっていました。
レンズの曇りの多くはコーティングやレンズの変質に
よるものが多く場合によっては
修復不可なものが多いのが現実です。
他、シャッターの粘りやスローガバナの固着等もあり
ファインダーもかなり汚れてしまっている状態です。

画像は一通り修理整備が完了した状態でのモノです。
レンズは完璧とまではいいませんが
通常の撮影には全く問題がないほどにはクリアになっています。
お預かりした時点ではフィルム室から覗いて
向こうが見えないほどの曇りだったので
見違えるようになっています。
ファインダーも非常にクリアになりました。
機械的な動作部分は入念に清掃整備を行い
非常に快調に動作するようになっております。
これであればまだまだ長く使っていただけると思います。
シンプルなデザインで何ともレトロな雰囲気が
魅力的なカメラです。
この時代なので巻上も巻き戻しもノブ操作で
スピーディーに…とはいきませんが
1枚1枚マイペースで撮っていきたくなるカメラです。
ぜひご依頼者様にも存分に楽しんでいただけたらと思います。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「中秋の名月」ですね。
旧暦8月15日~16日の夜(八月十五夜)の月を
「中秋の名月」と呼び
古くから月見をして美しい月を愛でる慣習があります。
残念ながら都内では今夜は月は拝めそうにないですねぇ
ポツポツ雨も降るかもしれません。
正確には満月は明日だそうです。
個人的には「中秋の名月」よりも
次の満月(11月5日)あたりのほうが
より空気も澄んでていてキレイに見えそうな気がします。
でも「十五夜」も季節のイベントなので
今夜はお団子でも食べながら空を見あげてみるといいと思います。
関連して「月見酒の日」や「すっぽんの日」でもありますね。
そろそろ熱燗の美味しい季節も近いですねぇ…(笑

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のキヤノン初といえる
本格プロ志向一眼レフです。
この分野の一眼レフは「ニコンF」登場以来
長らくニコンの独壇場が続いていましたが
ついに対抗馬となるカメラとして満を持しての登場となりました。
キヤノンは昨日のブログでもあったとおり
高級レンジファインダー機の第一人者でもあったため
一眼レフへの移行が遅れがちになっていて
それまでの「Rシリーズ」でも苦戦を強いられてきました。
それが「Fシリーズ」移行後は徐々に一眼レフへの移行も進み
ついに最高級機の登場となったわけです。
中身を見るとよくわかりますが
基本となる機械駆動部分は「FX」や「FT」等の「Fシリーズ」がベースです。
その各部品を強靭且つ精度の高いものにブラッシュアップし
シャッター幕もチタンとして1/2000を搭載
さらにファインダー交換式且つ視野率を100%にして
プロの使用や要望に応えるものとなりました。
加えてFDレンズ群や豊富なアクセサリー類も揃えられ
システムカメラとしてあらゆる撮影にも対応できるようにもなりました。
このカメラの登場から長らく続くことになる
ニコン・キャノン2強時代への突入へとなりました。

これほどのカメラなので当然ながら非常に丈夫です。
ただそれは使いっぱなしでも大丈夫というわけではなく
(それでも相当長い間使いっぱなしでも大丈夫な部分も多いですが)
さすがに何十年と使い続けていくためには
それなりにメンテナンスを行いながら
使い続けていくことが大事です。
やはりあらゆるものに経年劣化はありますものね。
お預かりしている「F-1」も一通りは動作するのですが
内部の古い油脂類や汚れの影響で
大きく幕測バランスがズレてしまっているようです。
高速域のシャッターはキレイにスリットが開かず
実際に写真を撮ると多くの場面で未露光のコマがあったり
写真の右側が黒くなってしまう状態です。
測定機にかけてみても
1/2000は全く開かない状態で
1/1000も全体の1/3しか開かず
1/500でなんとか開きききるものの
写真右側はかなり暗くなってしまうだろうな…と思われる数値です。
幕軸の清掃整備を行った上での調整が必要な状況です。

露出計もかなり大きく狂っている状態でした。
こちらも抵抗を調整して適正な精度に調整します。
画像は一通り整備の終わった状態のモノです。
1/2000からスローシャッターまで問題なく精度は出ています。
シャッター音も歯切れのよい当時のキャノンらしいものになり
各動作部もスムーズになっています。
この時代のキヤノン機の泣き所は幕ブレーキで
ここをしっかり整備しないと
シャッターバウンド等が出てしまうのですが
そのあたりも対策もしっかり行っています。
これから最終的なチェックを行い
問題なければ完成となります。

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キヤノン7Sのカメラ修理

今日は記念日の制定は比較的多いのですが
あまりピンとくるものがないのですよねぇ…(苦笑)
…ということで10/5の過去の出来事を調べてみると…
1969年10月5日にテレビアニメの「サザエさん」が
放送開始されていますね。
アニメの「サザエさん」開始って私の生まれた年なんだ…
生後半年って頃ですねぇ
今と同じ日曜18:30スタートです。
枠も変わりなく現在まで続いているってすごいですねぇ…
子供の頃はもちろん見ていましたし
ある程度大人になってからも日曜18:00から
ちびまる子ちゃん、サザエさん、と続けて観ていましたねぇ…
今や地上波を全く見なくなったので
ここ10年くらいは全く知らないのですが…
サザエさんの世界観も
子供の頃は比較的身近に感じられましたが
今となってはいい意味でレトロですし
身近なようで遠い存在になってしまいましたね…
とりあえず私には絶対無理だな…(笑

さてさて

本日は「キヤノン7S」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のカメラです。
キヤノン高級レンジファインダー機の最後を飾る
記念すべきモデルですね。
1965年といえば時代は既に一眼レフへの移行がかなり進んでいて
新規の高級レンジファインダー機を開発していたメーカーも
それをベースにしながらも一眼レフの開発へ変更を
相次いで行っていた時期ですね。
そんな中、国産レンジファインダー機のトップを走る
キヤノンから発売された最高級機です。
この時点で高級レンジファインダー機を生産していたメーカーは
既にキヤノンだけとなっていました。
前作「7」の改良版と言えるモデルで
内蔵露出計がセレン光電池からCDSへと変更になりました。
そのため電池室やSWが追加されましたが
露出計が本体や受光素子が小型化されたことで
問題なく配置されアクセサリーシューも追加になっています。
当時の持てる技術をすべて注ぎ込んだカメラで
「カンノン」から始まった32年にわたるレンジファインダー機の
歴史を閉じることになりました。

お預かりしている「7S」は
状態としてはかなり良いのですが動きの悪いところが
多少みられる状態です。
スローガバナーが固着してしまっていて
内部にそれなりの汚れが溜まってしまっている状態です。
全体的にリフレッシュが必要な状態と言えます。

画像は一通りの整備が既に完了した状態です。
低速シャッターはもちろんスムーズに動作するようになり
高速シャッターの精度も調整済みで
全く問題のない状態です。
ファインダーも二重像の多少ズレ等ありましたが
これも改善しています。
装着されているレンズはキヤノン25mmF3.5ですが
こちらも一通りの清掃やヘリコイドグリスの交換を行い
非常にクリアになり操作感も良くなっています。
この重量感や凝縮感、全体に質感の高さは
非常に所有感を満足させると思います。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

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コニカⅢのカメラ修理

今日は「徒歩の日」だそうですよ。
「と(10)four(4)」(徒歩)の語呂合わせからだそうです。
歩くことはやはり生活の基本ですね
私は以前の病気のリハビリもかねて
できるかがり毎晩、ある程度のウォーキングを行っていますが
やはり効果はかなりあると思っています。
リハビリという側面もあるから
通常の方とは異なる部分もありますが
3日、ウォーキングをさぼると明らかに
歩きにくさをわずかに感じますし
毎日行っていれば糖尿病の対策にもなるし
身体全体の調子も明らかに良くなります。
適度な運動と質の良い睡眠はやはり大事ですね。
ただし、だらだら散歩気分で歩いていても
全く効果がないので
気合を入れてテンポBPM130~135で
ちょうど合うようにペースを上げて歩きます。
少し息が上がるくらいが有酸素運動にもなって
ちょうどよいような気もします。
これがしっかりできるうちはまだ何とか大丈夫かな…

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカブランド初のカメラである「Ⅰ」からの
流れを汲むカメラで
1956年発売のカメラです。
その名の通り3代目に当たりこの「Ⅲ」から
セルフコッキングも搭載され
使い方にあまりややこしい部分がなくなりました。
巻上はレンズ鏡胴からのレバーで行い
2回巻上です。よく整備された「Ⅲ」は
巻上も軽く非常に楽しく撮影が行えます。
シャッターはモデルや生産時期によってユニットが異なりますが
いずれもB・1s~1/500をカバーします。
レンズは写りの評価の高いヘキサノン48mmF2です。

お預かりしている「Ⅲ」はいわゆる「L1」呼ばれるモデルで
露出設定はライトバリューに対応しています。
ここはちょっと好みが分かれるかもしれませんが
使い慣れると通常のものとかわりなく使用できると思います。
シャッターユニットはセイコーシャMXLです。
他のカメラにも多く搭載されている高級シャッターユニットです。
で、そのシャッターがレリーズしても全く動きません。
この類のレンズシャッター機定番の羽根固着です。
当然ながらこれだけシャッター羽根が固着していると
絞り羽根も動きに粘りがあります。
機械制御オート(SS優先)搭載機とは異なり
絞りはリングからの入力がほぼそのまま羽根に伝わるので
絞り羽根が粘って状態で動作しえていると羽根の脱落や破損に繋がります。
今回は絞り羽根自体には大きな問題はなさそうです。

まずは羽根固着しているシャッターユニットの整備から行います。
これからユニットの分解を行い
入念な羽根洗浄と組みなおしを行います。
その際に駆動部やスローガバナー等の清掃整備も行います。
組みなおす際にはレンズ清掃を行い
そのあとで巻上やファインダーの整備調整を行います。
シンプルでよくできた精密機械だと思います。
各部の動きを楽しみながら1枚1枚撮るのが非常に楽しいカメラです。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「洗浄の日」だそうですよ。
「千(セン)は10の3乗(ジョウ)」の
語呂合わせからだそうです。
ここでいう「洗浄」は主に施設や設備の高圧洗浄を
指しているようです。
さすがにそんな大規模な洗浄は縁がないですが
私も仕事柄、古いカメラの部品を取り外して
単体で洗剤や溶剤を駆使して
汚れや古い油脂を洗浄することは多々あります。
大きな汚れがごそっと取れるのは気持ち良いのですよねぇ(笑
もちろんキレイになった後の組み込み時には
適量の注油を行って保護とスムーズな動きを確保します。
カメラのことではなくても普段なかなか手が行き届かなくて
汚れてしまっているところなんていくらでもありますよね
汚れが溜まっているところを一気にキレイにするのは
本当に気持ち良いです。お店の中にも自宅にも
探せばそういうところがいくらでもあるのですが…
実際はなかなか手が付けられない…(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
大ヒットした「SP」の改良版と言えるモデルです。
「SP」は純粋なM42マウント機で
レンズからの伝達機構は全くないため
当然ながら絞り込み測光なのですが
「SPF」では対応する「SMCタクマーレンズ」との組み合わせで
開放測光を実現したカメラです。
当然ながらレンズ側には設定絞りの伝達機構があり
ボディ側にもそれに連動する伝達機構と
M42マウントを維持しながらSMCタクマー使用時に
レンズを決まった位置に留める定点ピンが追加されています。
M42マウントは単純なねじ込みマウントなので
レンズの留まる位置が微妙に一定しないためですね。
加えて「SP」では絞り込みSWが露出計の電源を兼ねていましたが
開放測光可能となった「SPF」では
露出計SWは「フォトスイッチ」と呼ばれる自動SWになっています。
レンズキャップ等でファインダーに光が入らなくなると
露出計の電源がオフになるというものです。
このためフォトスイッチ用のCDSが接眼レンズ上部に設置され
ここの光が当たらないと抵抗値が最大値となり
回路への電源が遮断されるという仕組みです。

お預かりしている「SPF」はそのセールスポイントの一つでもある
露出計が電池を入れても全く動きません。
電池室はキレイで一見ダメージはなさそうなのですが
開けて電池室マイナス端子の根元を見てみると
その部分のハンダは緑青に覆われていて
配線は完全に断線状態でした。
配線の中身も腐食が進んでいて電流を全く通しません。
水銀電池のガスが原因と思われます。
電池を入れたままにしていた期間が長かったものと思われます。
加えて予想通り各部の動きはあまりよろしくなく
やはり高速シャッターの精度は出ていません。
場合によってはミラーアップしたままにもなりそうです。
やはり機械的駆動部には清掃整備の上での調整が必要です。

お預かり時にファインダーを覗いたときには
腐食はないかと思っていたのですが
やはりプリズムには遮光材の加水分解に伴う
プリズム腐食が見受けられます。
目立つほどではないのですがせっかく分解しているので
プリズム交換で対処します。
これからさらに分解を進めて各駆動部の清掃整備
配線の交換等を行っていきます。

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フジカST701のカメラ修理

今日は10月1日ということで
たくさんの記念日が制定されています。
日本酒の日、コーヒーの日
日本茶の日、都民の日、土地の日
香水の日、そして衣替えの日ですねぇ…
他にもまだまだたくさんありますねぇ
そんな中に「メガネの日」なんてのがあります。
10月1日が「1001」と表記でき
「1」をメガネのつる、「0」をレンズとみなすと
メガネの形をしていることからだそうです。
近視と乱視が酷く(特に乱視)20代半ばから
メガネやコンタクトを使うようになっていますが
裸眼で見えればベストですが
やはり視野がクリアに焦点合って見えていることは
大事ですね。明らかにストレスが軽減します。
近視がある程度進んでメガネの度が強くなってくると
遠くを見えやすく合わせると近く(手元)が見えなくなるんですよねぇ…
なかなか万能なものはないですね。
裸眼だとまだ手元はかなり見えているので
作業中はほとんどメガネを外して行っています。
そのうち今度は近くも見えずらくなって
今度は遠視(いわゆる老眼)のメガネも
必要になってくるのでしょうね…
やれやれ…(苦笑)

さてさて

本日は「フジカST701」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
フジカブランド…現在の富士フイルムのカメラです。
「ST701」はM42ねじ込みマウントを採用した
絞り込み測光の露出計を内蔵するカメラです。
ここでよく登場する「ペンタックスSP」と
同様のジャンルのカメラです。
シャッターは布幕横走りで最高速は1/1000です。
SP同様に絞り込みボタンを押すと
露出計がオンとなりますが
ST701の場合は絞りこみがロックされないので
押している間だけ絞り込み且つ露出計がオンとなります。
好みはあると思いますが個人的にはここに関しては
フジカのほうが使いやすいかと思います。
使用電池はこれもSPと同じくH-B水銀電池ですが
ST701は2個使います。ちょっと電池室の形状の問題もあって
現在のボタン電池で使うには一工夫必要ですね。

お預かりしているST701はシャッターは一通り動作しているものの
露出計は電池を入れても全く動きません。
配線かSW接点に腐食や汚れがあるためと思われます。
しゃったーは動いているといっても
さすがに精度は出ておらずこちらも幕軸の清掃と
その上での調整が必要な状態です。
さらにファインダーコンデンサレンズには大きなカビが見られ
付属するレンズにもそれなりにカビが発生しています。
おそらく長い間、しまい込まれていたカメラだと思われますが
やはり普通に使うには一通りの清掃整備調整が必要な状況です。

ST701はファインダー周辺に
ほとんど内部モルトがないので
モルト由来のプリズム腐食はないカメラです。
その代わりプリズム蒸着そのものの劣化が
比較的多いような気がします。
蜘蛛の巣状にプリズム全体に剥離してしまっている個体も
割と頻繁に見かけます。
絞り込み測光の横走り機ということで
構造はシンプルなはずなのですが
フジカST系はあまり整備性はよろしくないです。
詳細は割愛しますが結構手間がかかります。
それでも比較的見慣れた内部の光景ではあるので
油断せずに慎重に整備を行っていきます。

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オリンパスペンEESのカメラ修理

今日は「接着の日」だそうですよ。
「くっ(9)つ(2)く(9)」と読む
語呂合わせからだそうです。
当店でも作業で接着剤を使うことはありますが
接着剤とひとことでも言っても
特に現在はいろいろな種類の接着剤があるので
用途には注意が必要です。
当店の作業では使うことはまずありませんが
特に瞬間接着剤の類は使いどころに
気をつけた方が良いと思います。
接着するモノ自体や
付着していなくても
その周りにダメージを与える場合があります。
調べてみるとわかりますが
接着剤って用途によって本当にたくさんの種類があるのですよ
上手に使えば非常に便利な場合もありますが
何事も「適材適所」です。
ついついおざなりになりますが
接着剤に限らず何を使うにしても
まずは説明書をしっかり読むことをお勧めします。

さてさて

本日は「オリンパスペンEES」のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
ペンシリーズを代表するともいえる「ペンEEシリーズ」の
派生シリーズで固定焦点からゾーンフォーカスへ変更されたカメラです。
通常の「EE」より少し綿密にピント合わせが行えます。
光量と撮影距離の十分ある通常の撮影では
あまり違いはないと思いますが
絞りを開け気味になる撮影とかだと
ゾーンフォーカスだとやはり安心です。
レンズは少し「EE」と異なり30mmF2.8となっています。
SS・1/30、1/250秒の2速切り替えとなる
オート露出で撮影するカメラです。

お預かりしている「EES」は絞り羽根が固着してしまっているようで
最小絞りの状態から全く動かないようです。
これでは当然ながらオート露出は全く機能しません。
やはり心配されるのはセレン光電池の状態ですが
絞りこそ動かないもののSS切り替えは明るさによって
切り替わっていることが受付時に確認できたので
精度はともかくとしても露出計は動作しているようです。
レンズ・ファインダーにはそれなりにカビや汚れが確認できます。

画像は既に一通りの整備が完了した状態です。
少し動きが落ち着くまで様子見の状態です。
絞り羽根にはやはりわずかな油汚れが付着していて
それが原因でしっかりと羽根同士が張り付いてしまっている状態でした。
シャッター羽根も絞り羽根もいったん外して
入念に洗浄して再組立てしました。
現在は非常にスムーズに動作しています。
セレンの起電は十分で露出計の精度も問題なく調整いたしました。
SSの切り替えタイミング、絞り羽根の制御も調整済みです。
レンズ、ファインダーもできる限り清掃し
快適に使える状態になっています。
これからもまだまだ長く使える状態になっています。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

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リコー500GSのカメラ修理

今日は「パソコン記念日」だそうですよ。
1979(昭和54)年のこの日に
日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータPC-8001(PC-8000シリーズ)を
発売したことに由来しています。
当時の定価は168,000円でした。
これがパソコンブームの火付け役となり
PC-8000シリーズは3年間ほどで約25万台を売り上げました。
リアルタイムで世代ですねぇ…
私も一番最初のパソコンはこの後継機となる8001mk2SRでした。
当時はまだWindowsどころかMS-DOSもない時代で
OSはプログラム言語でもあるBasicで
なにかひとつやらせるにも大変でした…(苦笑)
市販のソフトを手に入れて何とか使えるか…っていう感じでしたね。
今とは使う上での気軽さが全く異なります。
当時の記憶媒体はカセットテープか5インチフロッピーでした。
メモリは初代8001でROM 24KB(最大32KB)
RAM 16KB(最大160KB)でした…KBですよ…
今となっては単位がふたつくらい違います。
約45年前ですか…パソコンって本当に進化しましたね。
今もパソコンでこのブログを書いていますが
もはやパソコンなしでは仕事は成り立ちません。
そしてパソコンは本当に何にでも使えるツールになりました。

さてさて

本日は「リコー500GS」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
リコーのサイトによると
前年(1972年)に発売された「500G」のデザイン変更モデルで
500Gの前面のデザインが一般的ではなく
カメラの性格上、常識的な外観を要求されたので
機構はそのまま前面カバーの黒白の配分を変えて
常識的なデザインとしたもの…となっています。
いや…500Gのデザインも全然一般的に良いと思うのですが…
いずれにせよ「500G」と「500GS」は兄弟モデルで
中身は変わりありません。
40mmF2.8のコンパクトなレンズを搭載することで
全体の大きさも小さくなり
この時代にもてはやされていた
「よりコンパクトなコンパクトカメラ」となっています。
前玉回転式のピント調節で距離計も搭載します。
シャッターは自社製でB・1/8~1/500をカバーします。
CDS露出計を搭載し連動してシャッタースピード優先オートで
露出決定できます。加えてマニュアル露出も可能です。
ひととおりなんでもできるコンパクトカメラです。

お預かりしている「500GS」は電池を入れても
露出計が全く動きません。
以前に電池が長く入れっぱなしだったことがあるようで
電池室は激しく腐食しています。
マイナス側の端子も真っ黒に錆びています。
これでは通電しません。
配線にもかなりダメージがありほぼ断線状態です。
電池室裏側周辺はボディダイキャストにまで
緑青が拡がっています。
まずは端子を磨いて配線交換を行う必要があります。
電池室からの配線はCDSへとつながっていて
ここまで腐食が拡がっている可能性もあったのですが
CDSが配置されている小さな端子盤はダメージはないようです。
ただCDSは相当劣化していて
抵抗値がかなり下がり、もはやスカスカです。
光が当たっていなくても電気を通してしまいます。
ここは交換で対応します。

他、シャッターの粘り、レンズ・ファインダーのカビ
距離計の大きなズレ等々の修理を行いつつ
各部の清掃整備を行います。
この時代のコンパクトに多いモナカ構造ですが
裏ブタをボディにかぶせるようになるので
遮光を大量のモルトに頼ることとなります。
画像のように当然ながらモルトは全滅です。
もちろん交換で対処します。
500G系のカメラは忘れたころにポツポツ依頼のあるカメラです。
使い勝手が良くてなかなか良いカメラだと思います。

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ウインザー35のカメラ修理

今日は「女性ドライバーの日」だそうですよ。
運転者に性別は関係ないとは思いますが
1917(大正6)年のこの日に
栃木県の渡辺はまさん(23歳)が
日本の女性として初めて自動車試験に合格し
運転免許を取得したことに由来しているそうです。
この時代ならたとえ男性でも運転免許を持っている方は
まだまだ少なかったでしょうし
男女格差は今では考えられないくらいあったでしょうね…
まぁ女性ドライバーはさておき
私ももう丸8年、クルマを運転してないのですよね(苦笑)
若い頃は年間2万kmは普通に運転していたのに
その頃の自分からしたら考えられないです。
今や所有していない上に都内にいると
自分で運転する必要性もないので
こうなってしまいました…
いずれにしても冷静に考えると1トン前後の物体を
時速40kmとかで側を人が歩いている公道で
運転するってめちゃくちゃ怖いですよね…
もしまた運転することがあったら
そのあたりを肝に命じたいと思います。

さてさて

本日は「ウインザー35」のカメラ修理を行っています。
1956年発売のカメラです。
1950年代には数多くのいろいろなメーカーが存在して
様々な二眼レフやレンズシャッター機が発売されていますが
「ウインザー35」もそんな時代のカメラのひとつです。
東興写真株式会社というメーカーから発売されたカメラです。
レンズは自社製と思われるColor Sygmar50mmF3.5という
テッサータイプですがレンズ製作に使われた
光学硝子が当時の日本光学から
提供されていたものとのことです。
シャッターユニットもオリジナルのVELEXとなっていて
お預かりの個体では1/200が最高速なっています。
(他に中期・後期モデルがあり1/300、1/400のシャッターがあるようです)
あまり当店では見ることのないカメラなので
分解前に全体像を記念撮影…

この時代に多い距離計搭載レンズシャッター機ですが
1950年代はまだまだセルフコッキング非搭載のカメラが多く
それが故にモデル別に操作方法が異なったります。
このウインザーもシャッターチャージ・レリーズは
はシャッターユニット側で行い
フィルム巻上は巻上ノブで行います。
巻上ノブにはコマごとの巻き止めと
巻き止め解除ボタンが装備されています。
そのあたりまではこの時代のカメラに慣れていれば
すぐ理解できるとは思うのですが
フィルム終端まで撮影後の巻き戻しがかなり独特です。
まず底部にある皿…というか皿状のネジを
めいっぱい緩めます。これでスプロケットがフリーになり
さらに巻き止め解除ボタンを押しながら
巻き戻しノブを回して巻き戻します。
これ予備知識ゼロだと初見じゃわからないでしょうね…(苦笑)
そしてこれはウインザーに限りませんが
ノブによる巻き戻し作業は時間かかって結構大変です。
巻き戻しクランクとロック式巻き戻しボタンの
偉大さが本当によくわかります(笑

今回のウインザー35はシャッター羽根の固着
チャージレバーの粘り、レンズカビ
ファインダー汚れクモリ、二重像がめちゃくちゃズレている…等々
この類のレンズシャッター機にありがちなトラブルが一通りです。
基本的にはシンプルなカメラですが
あまり手にかけることがないカメラなので
より慎重に一通りの清掃整備を行っていきます。

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