日別アーカイブ: 2019年12月20日

キヤノンPのカメラ修理

今日、12月20日は「果ての二十日」といって
身を慎み災いを避ける忌み日。だそうです。
1年の終わりである12月は「果ての月」で
本来は旧暦12月20日を「果ての二十日」と呼ぶそうです。
年末の挨拶や大掃除、正月の準備など忙しい時期ですが
この日は一切の仕事をやめて外出を避け
静かに過ごす日と伝えられています。
うーん、12月は祝日なくなってしまったので
この日を祝日にしてしまえばいいのに。。。(笑)
そうなっても私にはあまり関係がないのですが。。。(汗)
山の神に深く関わる忌み日とされていて
この日に山に入ることを避ける地方が多いのだそうです。
今日は登山に行ってはいけない日なのですね。

さてさて

本日は「キヤノンP」のカメラ修理を行っています。
「P」はフランス語の「Populaire」(人気のある)の頭文字から
命名されたそうです。(1959年発売開始)
高級機のⅥL型をベースに35/50/100mmフレームを
固定で表示する等倍ファインダーを装備する普及機モデルです。
部品点数をかなり減らすことに成功し
当時としてはお求め易い価格で販売され
10万台も作られたヒット商品です。
部品点数を減らしてコストカットしたといえ
この時代のキヤノン機なので安っぽさは微塵もなく
非常に質感の高いカメラです。
複数のフレームはアルバダ式で表示されます。
当時の広告のコピーは「キヤノンがぼくの手に」というものでした。
シャッター機構は上級機のそれと変わらず
最高速は1/1000です。シャッター幕はキヤノンお得意のステンレス幕です。

お預かりしている「P」は
まず巻上時に油切れと思われる異音がかなりあります。
加えて高速シャッターが非常に不安定です。
例えば1/1000の設定で切ってみると
まぁまぁの値が出ることもあれば
シャッターが開かないこともあり
1/1000なのに1/250くらいの値で切れてしまうこともあり。。。
といった状況です。
巻上の件もそうですが
全体的に油切れと長い間に積もり積もった汚れ等で
全体的に動きが悪いものと思われます。

これから本格的に分解整備に取り掛かります。
ファインダーはフレーム切替機能等は省略されていますが
プリズムを使ったしっかりとした造りです。
今回は大きな問題はなく距離計の調整や清掃で良いのですが
Pのファインダープリズムはたまに剥離してしまっている個体も見かけます。
そうなってしまうと修理は非常に困難となります。

レンズ交換式レンジファインダー機としては
非常に良いカメラだと思います。
特殊なレンズを使う場合はどちらにしても外付けファインダーでしょうし
このくらいシンプルなほうが使い勝手はよいと思います。
露出計がないのも今となってはそのほうが良いですね。
使い心地も非常に優れたカメラです。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。