日別アーカイブ: 2019年12月26日

ニコンFのカメラ修理

クリスマスが終わると年末までは
ほんとうに「あっ」という間ですよねぇ。。。
この時期は時期的に中途半端なのか
記念日の設定も少ないのですよねぇ(苦笑)
毎月26日はいわゆる「風呂の日」なのですが
夏の時期には全く立ち寄らなかった近所の銭湯に
ここのところは数日に1回立ち寄るようになってしまいました。
やはりこの時期は大きな湯船にゆっくりと入って温まりたいですよね。
今年の営業は28日土曜日までで
翌日からは墓参りもかねて地元・呉に帰省の予定です。
(。。。といっても既に実家はないのですが)
いろいろ行きたいとこ、やらたいことはあるのですが
あっちでも「大和温泉物語」にでも行って
ゆっくり露天風呂でも楽しんできましょう

さてさて

本日は「ニコンF]のカメラ修理を行っています。
創世記の国産一眼レフを代表するカメラです。
一眼レフそのものは既に旭光学やズノーからも出ていましたが
システム化された本格的プロ向け一眼レフとしては
ニコンFが最初ではなかったかと思われます。
実際に報道写真の世界ではニコンFの登場以降
それまでに多く使われていたスピードグラフィック等のカメラに
代わってニコンFが使われるようになっていきます。
ニコンFの登場をきっかけとして
さらに市場は一眼レフへと移行していき
世界的にも国産一眼レフが世界的にシェアを拡大していくのもこの頃からです。

基本的な構造としてはそれまでのニコン最高級機であった
レンジファインダーカメラSPの部品をできるだけ流用し
SPのボディを二分割し間にミラーボックスを組み込んだ形として開発されています
ファインダー交換を可能とした上で視野率100%を実現し
ミラーアップ機構、自動絞り対応、
さらにはあらゆる撮影に対応するための
膨大なアクセサリー群とニッコールレンズと
どんなユーザーにも対応できる体制を整えています。
現在でも感心せざるを得ないのはその堅牢性で
未だにメンテンスさえしっかり行えば
当時とほぼ変わらないパフォーマンスを発揮できる個体が非常に多く存在します。
唯一の泣き所はプリズム腐食がやはり多いという部分で
これは当時の蒸着技術から考えるといたしかたない部分かと思われます。

お預かりしているニコンFはかなり使い込まれたと思われる
ブラックボディのアイレベルファインダー装着機です。
一緒にお預かりした装着レンズは
ある意味、非常にニッコールらしいカリカリで精密な描写が特徴の
Aiマイクロニッコール55mmF3.5です。
レンズはAiなので随分後になって買い足したものだと思われます。
かなり長い間、どこかに仕舞いこまれた個体と思われ
お預かり時にはその外装の汚れと
レンズ・ファインダーのカビがなかなか大変な状況でした。

外装の埃と汚れもなかなかなものですね。
でも、随分昔にメンテナンスはされているようで
心配されるプリズムにはカビはあるものの腐食はありません
シャッターは何とか切れますが
ミラーが上がったままになってしまいます。
(正確にいうと上まできっちり上がりきりません)
ミラー駆動部の固着が原因ですが
ニコンFを分解したことのある方ならご存知だと思うのですが
ニコンFのミラー駆動バネは他のカメラでは見ることができないほどの
これでもかというほどの強くて太いバネが入っています。
これほどの強いバネでも固着や粘りが発生するのですから
やはり古い油や汚れはバカにできません。。。。
もちろん幕軸や巻上にも油切れや汚れの影響が出ており
シャッタースピードは全く精度が出ておらず
Fに多いトラブルでもあるスローガバナの固着も起こっています。
レンズはカビ・汚れが酷く透かしてみると反対側が
はっきり見えないほどです。
。。。とはいえ全て古い油と汚れが原因です。
きっちり分解して隅々まで清掃して新たに注油を行えば
普通に撮影できる状態に復活できそうです。

。。。というわけで一通りの整備が完了した状態の写真です。
外装も見違えるほどキレイになりました。
適度に使い込まれた塗装ハゲはそのままですが
これは逆にカッコ良いですよね。
動きも当然バッチリでシャッタースピードも全く問題ない精度が出ています。
マイクロニッコールレンズも致命的なコーティング傷み等はなく
非常にクリアな状態になりました。
やはり元々の造りの良いカメラはメンテさえ行えば
全く問題ない状態になりますね。
いろいろ汚れてはいましたが
致命的なショック品とかではなかったのが幸いで
機械的な状態としてはそれほど問題はない個体でした。
随分長い間、眠っていたのだと思われますが
再びこれからの時代をたくさん切り取っていただければと思います。

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