日別アーカイブ: 2019年12月21日

オリンパスペンのカメラ修理

今日は「大洗濯の日」だそうです。
大掃除と同じく普段洗いにくいカーテンや毛布のような
大物も洗ってすっきりと新年を迎えましょう、ということですね。
残念ながら関東は洗濯にはイマイチの曇天ですが。。。
昨日の「果ての二十日」もそうですが
年末にちなんだ記念日が毎日のように出てくると
今年もあと少しだなぁ。。。と感じますねぇ
私の大洗濯&大掃除はきっと年末ギリギリだと思われますが(笑)
少しずつあちこちの1年の垢を落とす準備も
始めなくてはなりませんね

さてさて

本日は「オリンパスペン」のカメラ修理を行っています。
当店に修理に入るペンは「ペンS」や「ペンEE系」が
比較的多いのですが今回は一番最初に発売された
無印の「オリンパスペン」です。
1959年の発売です。
「6000円で売れるカメラの開発」という目標を持って
作られたカメラですが
当時の6000円はカメラの価格としては相当に低い価格設定でした。
(まだまだカメラそのものが高級な嗜好品の時代です)
ハーフカメラで引き伸ばし倍率が高いゆえに
レンズだけは妥協せずに高級なテッサータイプを採用し
ピント調整も単純な前玉回転式とせずに全群を繰り出す方式に拘りました。
その他の巻上やシャッターには独自の工夫を凝らし
コストを抑えることに成功しています。
シャッターは2枚羽根のコパル製#000で
SSはBと1/25、1/50、1/100、1/200の4速です。
シンプルで写りの良いDズイコー2.8cmF3.5レンズを搭載します。
様々な工夫を凝らされて誕生した初代ペンですが
価格は目標の6000円にはわずかに届かず
6800円で発売されました。
それでも非常に競争力の高い価格で写りもよいということで
大ヒット作となりその後もシリーズ化され
いろいろなモデルが誕生することになりました。
ちなみに発売当初は原価計算上、オリンパスで製造することができず
三光商事という別会社を立ち上げて生産にこぎつけました。
この初期のペンを「三光ペン」と呼ばれています。

お預かりしているのはその「三光ペン」です。
シャッターボタンのスリットが横方向に入っているのが
外観上の特徴です。
かなり長い間使われていなった様子で
モルトはもちろん全滅、レンズ、ファインダーにも
盛大にカビが発生しています。
シャッターは動作してはいますがやはり羽根に粘りが確認でき
正常なシャッタースピードは確保できていないようです。
外観も年代相当にくたびれていはいますが
それは味わいといって良い程のレベルです。
全体的に経年劣化はあれど
致命的なトラブルをかかえているわけではなく
しっかり清掃して整備すれば問題なく使えるレベルになると思われます。

写真は一通りの整備が完了した時点でのものです。
レンズ、ファインダーのカビはあまり深くまで浸潤しておらず
清掃で全く問題のないレベルでキレイになりました。
もちろんシャッターも快調に動作しています。
外観もお預かり時よりはかなりキレイになったと思います。
何ともレトロなデザインで眺めているだけでも楽しいですが
発売されてから約60年。。。
まだまだ現役で活躍できます!