日別アーカイブ: 2024年6月5日

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「芒種」ですね。
芒(のぎ)を持った穀物の種をまく季節という意味から
「芒種」とされています。
芒とは、米・麦などイネ科の植物の穂の先端にある
とげのような突起のことだそうです。
現在では実際の種まきや田植えは
これよりも早い時期に行われますね。
「芒種」がくるともうすぐ梅雨入りか…というイメージですね。
二十四節気は二週間余りで次の節気に移り変わりますが
もう次の節気は「夏至」です。
また鬱陶しい梅雨の後に暑い季節が来ると思うと
ちょっとげんなりしますねぇ(笑

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れたキヤノン初と言える「プロ向け高級一眼レフ」です。
1971年発売のカメラです。
キャノンは高級レンジファインダー機の分野で
トップを走るメーカーだったこともあり
他メーカーに比べると一眼レフへの移行はかなり
遅れてしまったのは周知の事実で
特に高級一眼レフの分野では
60年代は「ニコンF」の一人勝ちの状況でした。
(他に太刀打ちできる機種も実質的に皆無でした)
70年代に入りニコンFはF2にモデルチェンジされ
さらに進化を遂げてその地位を固めようとしていたわけですが
そこに満を持して対抗するために登城したのが
「キヤノンF-1」です。
スペックはもちろん、この分野で重視される耐久性安定性についても
「F-1」は「F2」に劣らぬものであり
さらにプロ仕様機として求められるシステムカメラとしての
膨大なアクサリー群、交換レンズ群に関しても
ニコンにひけをとらないラインナップとなりました。
この「F-1」の登場によりここから長く続くことになる
2大メーカーによる熾烈なシェア合戦が繰り広げられることになります。
そういった意味でも記念碑的なカメラだと思います。

今回の「F-1」は普通のF-1ではなく
ちょっとレアなオリーブ色です。
モデル名としては「キヤノンF-1オリーブドラブ」として
1978年に発売されています。

文句なしにカッコ良いですねぇ
1978年登場なのでタイプ的にはマイナーチェンジ後の
後期モデルです。
ボディカラー以外はいわゆる通常の「F-1N」(後期モデル)と同じです。
あまり資料もないのですが
発売当時は特に限定モデル等ではなく通常販売だったと思われますが
この時代はあまり変わった色というのは売れにくかったと思われ
販売台数も非常に少ないまま発売も終わってしまい
いまや現存している台数はかなり少ないのではないかと思われます。
それでも中古市場でたまにはみかけますが…
F-1は基本的に黒しかないのでオリーブ色はかなり新鮮です。
見ていると個人的にも欲しくなってきますね。

修理整備内容としては
何か大きなトラブルを抱えているわけではないですが
やはり機械的な動作不良はあって高速シャッターは不安定です。
持病のシャッターバウンドこそ症状はありませんが
やはり問題の幕ブレーキは劣化が進んでいて
このままだと時期にシャッターバウンドが出てしまいそうな状態です。
加えて電気的な接触不良もあって
バッテリ-チェックや露出計が非常に不安定で
指針の動きが全く落ち着きません。
一通りの分解整備を行って当分問題なく気持ちよく動作するように
整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。