日別アーカイブ: 2024年6月8日

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「成層圏発見の日」だそうですよ。
1902(明治35)年のこの日に
フランスの気象学者テスラン・ド・ボールによって
成層圏が発見されたことが由来となっています。
成層圏とは1万m以上の上空で
気温が一定していて気象の変化がなく
約50kmの厚さで地球を取り巻いている大気の層のことを意味します。
地球の大気の高度約11kmまでが対流圏と呼ばれ
その上の高度約11~50kmの範囲が成層圏と呼ばれます。
成層圏は雲がなくいつも快晴であり
ジェット機が飛んでいるのもこの成層圏です。
また、成層圏の中にオゾン層が存在し太陽からの紫外線を吸収しています。
地表と成層圏の間は対流圏で空気が対流し雲が生じる層だそうです。
エベレストでさえ標高9km弱で対流圏の中で
飛行機にでも乗らないと成層圏を体験することはないですが
それでも成層圏のかなり下のほうなのですねぇ
成層圏のことを調べていて風船で高度48000mまで到達した動画を
( https://youtu.be/CLDOG-oH4wQ?si=gvb41kyEhJfcMs76 )
みたのですが成層圏に入るとどんどん空は黒くなっていくのですねぇ
それだけ大気が薄くなっていくのですね。
なかなか興味深いです。今はこういう映像が簡単に視聴できたりするので
文章だけではわかりくいものもいろいろ調べられて楽しいですね

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
先日も書きましたが
キヤノン初の「プロ仕様一眼レフ」ですね。
1971年発売です。
登場時に「向こう10年間は不変」と言われていて
それだけ基本設計もよく考えられ
システムカメラとしてもいろんな場面で使われることを
想定したカメラです。
1976年に使い勝手の向上を中心としたマイナーチェンジが行われ
見た目こそさほど変わらないですが
10ヶ所以上細かな変更が行われました。
そして1981年の「NewF-1」登場まで当初の予定通り10年
まさにフラッグシップとして君臨した名機です。

今回、お預かりしているのはマイナーチェンジ後の
いわゆる「F-1N」です。
主な変更点は巻上角(180度→139度・予備角15度→30度)
巻上レバーの形状変更、対応フィルム感度(最高値が2000から3200へ)
シンクロターミナルがネジ留めに変更
ミラーとスクリーンマット面の反射率・明るさ変更
レリーズボタン受け皿部形状変更
バッテリーチェックダイヤルが自動復元式に変更
裏ブタ背面部にメモホルダー追加…等々
他にも細かい部分でいろいろあるようです。
使い勝手の部分では巻上角の変更が最も影響が大きいかとも思います。
お預かりしている「F-1N」は
定番のシャッターバウンドが出ている状態です。
F-1の場合は先幕にその症状がわかりやすく出る場合が多く
走行直後の先幕がその勢いで跳ね返って少し幕が視野内に
戻ってきてしまいます。
1/2000や1/1000だと跳ね返ってくる前に後幕が走行完了するので
さほど影響はありませんが1/125以上のSSになると
写真に影響が出てきてしまいます。
動作しているところを見た目ではなかなかわかりませんが
測定機でSS測定すると明らかに
おかしな値が出てくるので一目瞭然です。
原因は幕ブレーキの劣化です。
F-1の幕ブレーキは数十年経つとほぼ間違いなく経年劣化する材質なので
ここは消耗品と割り切って交換が必要です。
今回も交換の上でSS調整を行い最高速からスローまで
全く問題のない状態に整備することができました。
それとは別の問題でスローガバナを妙に弄った形跡があり
それがスローの精度に悪影響をもたらしていたのでそこも再調整しています。
他、露出計調整、ファインダー清掃、巻上・ミラー駆動部整備等
一通りの整備を行い快調に動作する状態になりました。
これであれば安心してお使いいただけると思います。
「旧F-1」は旧FDレンズとの組み合わせをよく見る印象ですが
NewFDも似合いますね。キヤノンらしく非常にスタイリッシュです。

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