月別アーカイブ: 2025年4月

オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「建具の日」だそうですよ。
「建具(たてぐ)」の要は「戸」であり
春に住宅の新築・増改築が盛んになって
建具に関心が集まることからということと
また、「よ(4)いと(10)」(良い戸)と読む語呂合わせからだそうです。
建具…板戸、格子戸、障子、襖(ふすま)、雨戸…
ガラス戸も含まれるのかな…
ガラス戸が身近ですがイメージ的には襖(ふすま)ですかね…
生まれ育った実家は古い家だったので
部屋の間の仕切りは基本的に襖と障子戸でした。
「襖はゆっくり閉めんさい!!!」とばあさんに
よく怒られた記憶が…(笑
滑りが悪くなると小豆油を薄く塗ってた記憶が残っています。
少しの力ですーっと滑らかに開け閉めできる
襖や障子は気持ちいいですよねぇ…
今となっては身近に引き戸自体があまりありません…
ちょっと寂しいですね

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「DC」は「デラックスなコンパクト」の意味だそうです。
その名の通り高級大口径レンズを搭載します。
Fズイコー40mmF1.7ですね。
この時代のレンズですから大口径ならではの
ボケ味を楽しむレンズではなく
光量の少ない場面でも手振れを起こさないSSを確保するための
大口径レンズです。
そもそも「35DC」はプログラムオート専用機で
シャッター羽根・絞り羽根も
兼用されるタイプのセイコーEEシャッッターなので
絞りを積極的にコントロールすることはできません。
反対に誰でも簡単に露出設定を気にすることなく
撮影を行うことができ「簡単によく写るカメラ」として
ヒット商品となりました。
ボタンを押すだけで補正できる「逆光補正機能」も
搭載しています。

お預かりしている「35DC」は電池を入れても露出計が動かないようです。
「35DC」のシャッターユニットは機械制御式で
電池を必要とはしませんが
プログラム露出制御が露出計連動で露出計が動いていない
(光量が足りない)とシャッターロックがかかるため
露出計がある程度振れていないとシャッターが切れません。
そのためお預かりしている「35DC」もシャッターが切れない状態です。
「35DC」はそのせいもあってか露出計に関するトラブルの多いカメラです。
この時代のカメラは「35DC」でなくても
多少にかかわらず露出計のトラブルは非常に多いのですが…

まだ取り掛かり始めの段階ですが
いろいろ試しているとたまに露出計が動くようです。
電池室はキレイでCDSまでの導通は一見問題なさそうなのですが
動いたり動かなかったりしているので
なかなか「ここか!」という原因を発見できなさそうです。
露出計本体は問題なさそうでなので
いずれにしろ接触不良であることは明らかです。
ハンダ劣化や配線不良等が原因かとは思われますが
ここから分解を進めて
怪しいところはできる限り交換・補修を行っていきます。

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「フォークソングの日」だそうですよ。
「フォー(four=4)ク(9)」と読む語呂合わせからだそうです。
ここでいう「フォークソング」とは
国内で1960年~1970年代にブームとなったものを
指しているようです。
私も世代的にギリギリかすっているかな…
あまり古いものは馴染みがないですが…
私の世代になると昭和アイドル全盛期に加えて
ニューミュージック(死語?)全盛期ですね。
当時に手に入れたレコードやカセットもいまだに持っていますが
カセットでしか持っていないものは
やはりちゃんとした音源が欲しいので
大人になってから
レコードや再発CDとかで買い集めました。
当時の思い出とセットになってしまっていますから
やはり10代の頃によく聴いた音楽は思い入れが強いですよねぇ…

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
1979年末に発売されたカメラです。
「Mシリーズ」は異端児的な「MX」を覗いて
全ての機種が元々エントリー機である「ME」をベースに
開発されています。
「ME」は絞り優先オート専用機でしたが
それに1/2000シャッターを追加し
マニュアル露出も可能にしたのが
「MEスーパー」です。これにより
撮影に幅が一気に広がるハイスペック機へと生まれ変わりました。
さらにファインダースクリーンに新規開発された
「クリアーブライトマットスクリーン」を搭載し
ファインダーは非常に明るくなりピントのキレも向上しています。
元々オート専用が前提の「ME」がベースになtっていることもありますが
マニュアル時のSS設定はこの時代あたりまえのダイヤル式ではなく
「アップ」「ダウン」の二つのボタンで行います。
おそらく当時はかなり賛否両論あったとは思いますが
慣れるとこれはこれで使いやすいと思います。
後のペンタックスAシリーズや中判の「645」にも搭載されますので
それなりに支持は合ったのだと思います。

お預かりしている「MEスーパー」は
巻上が無限にできてしまいます。
でもどれだけ巻き上げてもシャッターは切れません。
レリーズボタンは押せますがシャッターはうんともすんとも言いません。
巻き上げてもシャッター幕は動いておらず
チャージ状態にあると思われます。
「ME系」といえばミラーアップのトラブルが有名ですが
今回の症状も原因は同じようなものです。
ミラー自体は下りたまま正常な位置ですが
ミラーチャージをロックする部分が固着して
チャージロックができず巻き上げを行うために
ミラーチャージのバネは引っ張るのですが
ロックされないためにそのまま戻ってしまいます。
ミラーチャージができていないために
巻き上げロックもかからず無限に巻上ができてしまいます。
シャッターはチャージされているものの
ミラーがチャージされていないため
レリーズしても何も起こりません。
チャージロック部分固着の原因は
ミラーアップトラブル時と同じく
ミラー駆動部に使われているゴムブッシュの溶解による固着です。
溶解したゴムをすべて取り除き
代用品に交換する作業が必要です。

「ME系」のカメラは電子制御機ですが
電子回路関係のトラブルは少ないカメラです。
今回も電池室もキレイですし
調整こそ必要ですが回路やシャッター・オート制御に
大きな問題はないようです。
この時代のペンタックス機は全機種、内部モルトも多く使われており
今回のゴムブッシュもそうですが
経年劣化に弱い消耗品が内部に多く
いろいろなトラブルを引き起こします。
ただしこの類のカメラとしては整備性は非常に良好で
手をしっかり入れれば一部の機種を覗き
大抵の場合は正しい動きに戻せるものが多いです。
使い心地も良いですしスペック的にも高いので
非常に使い勝手の良いカメラだと思います。

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コニカSのカメラ修理

今日はわかりやすく「し(4)ろ(6)」で
「白の日」ですね。
やはり白いアイテムは選びがちですね。
何でも合わせやすいですし…
同じ理由で「黒」もそうですが
私の身の回りを見ると「黒」より「白」の
アイテムの方が多いかな…
ただ白いアイテムは大抵の場合
「輝くような白」だからこそ良いものが多く
汚れも目立ってしまうためお維持するための
お手入れは大変なものも多いかもしれません…
でも「黒」もシミや汚れは目立ちますし
それはどの色でもそれほど大差はないかもしれないですね…
あ…そういえば個人的に歓迎できない白が…
最近さすがに寄る年波に勝てずに白髪が増えたのですよ…
もう白髪染めが手放せなくなってしまいました…(苦笑)

さてさて

本日は「コニカS」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラです。
レンズ固定式のレンズシャッター搭載レンジファインダー機です。
それまでの「コニカⅠ・Ⅱ・Ⅲ」と続いた
クラシカルなデザインから決別し
直線基調のデザインに一新されたモデルです。
露出計も内蔵になりました。
この時代なのでセレン光電池を使用します。
SS・絞りリングに連動して指針を動作させるタイプです。
露出を設定して指針が真ん中にくれば適正露出となります。
レンズはコニカⅢと同様のヘキサノン48mmF2を搭載します。
シャッターユニットはコパルSVでB・1s~1/500をカバーします。

お預かりしている「コニカS」は
やはり随分長い間、使われずにしまい込まれていたもののようです。
レンズシャッター定番のシャッターの粘りはなく
シャッター自体は元気に動作しています。
心配されるセレンも元気に起電しています。
ただ元気過ぎて指針が明らかに振り過ぎです。
この露出計のいうとおりに露出計設定してしまうと
かなりアンダーな写真になりそうです。
セレンの起電に問題はないのですが
このタイプの連動露出計はSS・絞りリングの摺動抵抗で
露出計への電流を調整しているので
この抵抗の摺動部に汚れ等がたまっていることが原因かと思われます。
汚れなら何とかなるのですが
稀に抵抗体が劣化で剥がれ落ちてしまっていて
とにかく指針が振りきったまま…という状態のモノもあり
こうなると残念柄修理不能です。
その点では機械的な追伸式のほうが経年劣化には
強いのではないかと思います。
今回は摺動部の清掃で実用上問題ない程度には何とかなりそうです。

そしてレンズ・ファインダーには
それなりのカビがやはり発生しています。
レンズのカビは比較的軽微なもので清掃で問題なく除去できそうです。
ファインダーはカビよりも曇りが深刻です。
昨日も同じようなことを書きましたが
濃霧の中にいるかのような状態です…
ハーフミラー蒸着部が劣化で曇っていると
清掃ではどうにもならないのですが
今回の曇りは主に接眼レンズ内側の汚れによるものです。
これであれば清掃でかなりクリアになると思われます。
距離計二重像も大きく縦・横ともにズレしているので
こちらも清掃後に調整します。
まずはこれから分解す進めて機械的駆動部の整備から行っていきます。

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キヤノネットQL19G-Ⅲのカメラ修理

今日は「オープンカーの日」だそうですよ。
「4月」が桜の舞う中を走れるオープンカーにとって
最高のロケーションの時期であることと
オープンカーは「五感」に訴えかける車であることから
4月5日になったそうです。
確かにこの時期はオープンカーにとって
良い季節ですね。
私も過去に数年間オープンカーに乗っていたことがありますが
やはりオープンにして本当に気持ちの良い季節は
かなり限られます。
…とはいえバイクに比べればまだオープンカーの方が
気持ちよく走れる季節は長いような気もします。
車種によりますが比較的現代的オープンカーであれば
窓を上げておけば比較的風の巻き込みは少ないですし
足元は真冬でもかなり暖かいです。
シートヒーティングなんてついているクルマなら
真冬でもかなり快適だと思います。
反対にどうにもならないのが真夏ですね。
どうやったって幌を開けていると暑いです…(笑
バイクと比べてヘルメットも必要ないですし
開放感だけを言えばバイク以上ですね…なんてこと書いていると
またオープンカー欲しくなってきちゃいます…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノネットQL19G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
社会現象にもなった初代(1961年)の登場から
どのモデルもヒット商品となっているキヤノネットですが
この「G-Ⅲ」が最終モデルになってしまいます。
初代モデルに比べると随分と小型化が進みました。
それでも大口径レンズ搭載のレンジファインダー機
シャッタースピード優先オート装備でマニュアル露出も可能
マニュアル露出時には露出計はオフ…なんてところまで
初代から脈々と受け継がれています。
現在でも人気の高い非常に使いやすいカメラです。
ちなみに今回はQL19ですがQL17との違いは
搭載レンズの開放値(F1.7 or F1.9)
バッテリ―チェックがランプ式(QL17)か
指針式(QL19)の違いのみです。
開放F値0.2の違いなんて実質違いなんて分かりません…
この時代はキヤノネットだけではなく
同様な微妙な差別化によるモデル展開は多いですよね…
いろいろシビアな現在だとまずありえないでしょうね。
こういうのも時代を感じてしまいます。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
シャッターはまずまず快調に動作していて
露出計も精度はさておき動作しています。
電池室や端子の腐食もありません。
ただファインダーがどうにも曇っていて
濃霧の中で周りを見ているような状態です。
ハーフミラーの曇りは完全には除去できないかもしれませんが
できる限りの清掃を行っていきます。
曇っていてわかりにくいですが距離計二重像にも
縦ズレがあるようです。
レンズも比較的状態は良いのですがカビと曇りがある状況です。
キヤノネットは前玉のコーティングの劣化が酷い個体も多く
そうなると清掃ではどうにもならないのですが
今回はコーティングの状態はまずまず問題なさそうです。

この時代の多くのコンパクトカメラは
コストとの兼ね合いもあり
裏ブタの遮光は裏蓋の形状で遮光するよりも
大量のモルトプレーンに遮光を頼っているものが多いです。
キヤノネットも「ニュー」以降の小型化されたモデルはそうですね。
もちろん全て劣化してボロボロになっていますので
内部モルトも含めて全てしっかり交換していきます。
まだ取り掛かったばかりの段階ですが
ここからさらに分解を進めて
シャッターや巻上、オート制御部等々各部を
清掃整備の上、調整を行っていきます。

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ミノルチナSのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「清明」ですね。
草や木、水などが清く明らかであり
東南風の心地よい季節という意味で「清明」とされています。
また、「清浄明潔」の略でもあるそうです。
全てのものが清々しく明るく美しい頃とされ
様々な花が咲き乱れ、各地でお花見のシーズンを迎えます。
都内は昨日まで寒の戻りもあり
冷たい雨が続いていましたが今日はスッキリと晴れています。
陽射しも暖かでまさに「清明」にふさわしい気候です。
天気に恵まれれば非常に気持ちのよい季節ですね。
先程も書きましたがいろいろな春の花が咲き誇る季節でもあり
写真を撮りに出かけるのにも最適な季節です。
私も時間と予定が許せば春らしい写真を撮りに行きたいです!

さてさて

今日は「ミノルチナS」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のカメラです。
レンズ固定型のレンジファインダー機です。
この時代の同カテゴリのカメラは
まだまだ大柄なものが多かったのですが
「ミノルチナシリーズ」は機能性や性能を犠牲にすることなく
小型化が進められたシリーズです。
レンジファインダー搭載でマニュアル露出の「S」と
目測ピント合わせで手動プログラムシャッターの「P」が
発売されていました。今回は「S」ですね。
セレン光電池使用の連動露出計が装備されています。
レンズはロッコールQF40mmF1.8です。
大口径レンズを搭載するわりに小さく造られていて
特にボディ本体が薄くなっていて非常にスタイリッシュなカメラです。
現在ではこの小ささやスタイリングの良さもあって
なかなか根強い人気のあるカメラです。
ただ発売当時は「マニュアルカメラは
ある程度大きくないと高級感に欠ける」と思われていた時代でもあり
なかなか販売的には伸び悩んだようです。

お預かりしている「ミノルチナS」はレンズシャッター機定番の
シャッター羽根粘りの状態です。
シャッターを切るとシャッター羽根がわかりやすく
ゆっくりとしか動作せずSS設定に関わらず
じわっと開いてじわっと閉じるという状態です。
写真は全て真っ白になってしまうような状態です。
心配される露出計はセレン光電池はなかなか元気で
それなりに起電しています。
若干の調整は必要ですが通常の屋外撮影には
問題ない状態にできそうです。
このタイプの電気定期抵抗でSS/絞りと
露出計指針が連動しているタイプは
セレン本体よりも鏡胴内の摺動抵抗の劣化が
どうしようもないことが多いのですが
今回も抵抗に劣化は見られますが実用上にはそれほど
悪影響のない状態です。
ただ、その摺動抵抗やセレンを結ぶ配線やハンダは
酷い劣化だらけでよくこれで断線していないな…と思うほどでした。

画像は一通りの整備が完了した状態でのモノです。
少し動きが落ち着くまで様子見を行っている段階です。
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。
シャッター羽根の動作不良はやはり油滲みで
シャッター羽根の根元や駆動部まで油だらけの状態でした。
できる限りの分解を行い脱脂と洗浄を行い
再組立てして調整を行っています。
もちろん現在はシャッターはシャキシャキと歯切れよく動作しています。
距離計二重像のズレもあったので調整を行ったのですが
過去に明らかに無理な調整を行った形跡があり
意外にも非常に手間がかかりました…現在は問題ございません。

ミノルチナにはシルバーとブラックが存在しますが
スッキリとして軽快に見えるシルバーが個人的には好みです。

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キヤノンEFのカメラ修理

今日は「趣味の日」だそうですよ。
「し(4)ゅみ(3)」(趣味)と読む語呂合わせからだそうです。
私、個人的な主観であまり「趣味」という言葉が
好きではないのですが
時間が経つのを忘れるほどに夢中になれる
「好きなこと」があるのは素晴らしいですよね。
どのくらいその「好きなこと」に
時間や予算を割くことができるのかは人それぞれですが
どんな形であれ基本的には楽しんでやることが大事ですかね…
まぁ「好きなこと」もいろいろ追い込んでやっていると
楽しいことばかりじゃなくなってもくるのですが
またそれを乗り越えたときがさらに楽しかったり
達成感があったりするのですよねぇ…
やはり「好きなこと」に夢中になれる時間は大切ですね。

さてさて

本日は「キヤノンEF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
発売時期的には「キャノンFシリーズ」の一員とも
言えるカメラなのですが内部構造や機能的にも
他の「Fシリーズ」とは一線を画したカメラで
異端児的な存在です。
次期「Aシリーズ」への橋渡し的な役割を担ったカメラです。
まず当時のキヤノンとしては唯一の
「縦走り金属幕シャッター」を搭載しています。
それを基本的には機械制御で駆動し
1秒以下のスローシャッター時には
機械的なスローガバナーではなく
電子回路で制御します。
シャッタースピード優先オートも搭載しますが
これも指針連動式で基本的に機械仕掛けで制御します。
露出計動作に当然電源が必要なことと
1秒以下のスローシャッター時にのみ電子回路で制御を行います。
構造的にも「Fシリーズ」とは全く異なり
次世代「Aシリーズ」とも異なる構造を持っています。
レリーズボタンが巻上軸上に配置されているのも
キャノン機ではめずらしいですね。

お預かりしている「EF」はまずは電源が入りません。
そのため露出計が駆動できないのでオートは使用不可
1秒以下のスローシャッターも使用不可です。
ただこの状態でも構造上高速シャッターは使用可能です。
加えてファインダー内SS表示がSSダイヤルを動かしても全く連動しません。
ここは糸連動ですが糸が切れていなければ良いのですが…
高速シャッターは駆動はしていますが
精度は全く出ていません。これは金属幕上の汚れが原因かと思われます。

画像は一通り修理整備の終わった状態でのモノです。
動きが馴染むまでしばらく様子見をしていたのですが
安定して動作するようになっています。
電源は安定して入るようになりました。
電源とは全く別の問題でメーターとの連動部が大きくズレて
組付けられている状態で連動できていない状態でした。
露出計はそのため電源に関係なく正常に動作できていない状態でした。
もちろん連動部は正しく調整を行い現在は精度も問題なしです。
ファインダー内SS表示の連動糸も絡まって動かなくなっている状態でした。
連動糸が切れていたら…と心配していたのですが
それは杞憂に終わってなによりです。
もちろんこちらも現在は問題なく連動します。
SS表示の件も露出計連動異常の件も
おそらく落下等の大きなショックを受けたことが原因かと思われます。

「EF」は同時期の「Fシリーズ」とはデザインも全く異なりますし
もちろん次期「Aシリーズ」とも全く異なるカメラなので
キャノンとしてはちょっと異質なカメラです。
でもこの外観デザインはなかなか端正で魅力的ですね。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「五百円札発行記念日」だそうですよ。
1951(昭和26)年のこの日に
政治家・岩倉具視の肖像の500円札が
日本銀行より発行されたことに由来しています。
当時の1000円札と100円札の間を埋めるべく登場したお札ですね。
さすがにこの1951年発行のB号券は馴染みがないですが
1969(昭和44)年11月1日に発行されたC号券は
非常に懐かしいですね。全体的に青みのかかった
独特の色合いが強く印象に残っています。
1982(昭和57)年に500円硬貨が発行された後も
1985(昭和60)年までこの500円札の製造は続けられ
1994(平成6)年4月1日に支払いが停止されています。
停止から30年少々…もうそんなに経つのですね…

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
少々ヒサビサですが
非常に修理依頼数の多いカメラです。
元祖「小型軽量一眼レフ」といったところでしょうか
電子制御機が主流になってきてからは
「OM-1」に近い軽量一眼レフは他にも多く存在しますが
機械制御シャッター機でこのクラスの
小型軽量一眼レフとなると
この「OM-1」とOM-1登場(1972年)から4年後に登場した
「ペンタックスMX」くらいしか存在しません。
それだけの小型ボディなだけに内部構造にも
かなりの工夫が加えられており
それがために同時期の大柄な一眼レフと比べると
デリケートな部分も多くあります。
よち定期的に点検整備が必要なカメラだと思います。

お預かりしている「OM-1」は
MD対応の中期モデルです。
シャッターは一通りは動作しており
心配されるプリズム腐食はございませんが
全体的に動きが重く特に巻上は重く感じます。
OM-1独時のシャリシャリとした軽快な巻上は
大きな魅力でもあります。
巻上ギアの経年劣化等も考えられ
できる限りの整備とはなりますが
本来の巻上感覚に近づくように整備を行います。
加えてファインダーが全体的に
ぼんやり曇っています。
OM-1は接眼レンズのバルサム切れが多いカメラでもありますが
接眼レンズのバルサム切れによる曇りは残念ながら
当店では修理不可能となります。
今回はバルサム切れによる曇りも多少はありますが
主にプリズムの汚れかと思われるため
こちらもできる限りの清掃を行っていきます。

通常の同時期の一眼レフに比べても
意外と調整箇所も多く少々手間がかかるカメラです。
先述の通り独特の構造をしている部分も多いので
慎重に手順を踏みながら整備を行っていきます。

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