オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「ホスピタリティ・デー」だそうですよ。
ホスピタリティ…もてなしとか思いやりですね
「もてなし」の方から言うと
サラリーマン時代に営業職だったので
ホスピタリティって言葉自体はイヤと言うほど
聞かされましたねぇ(苦笑)
売りたい側のエゴが強すぎる
うわべばかりのホスピタリティが多かったですが…
「思いやり」の方は
人間という動物が「ひと」であるために不可欠な要素ですよね
ただこれも自分自身にある程度は余裕がないと
なかなか自然には出てきにくくなってしまうのですよね
だからまずは精神的にも経済的にも
自分自身に余裕が出るように日々を過ごさなくては…
えっと…というわけで
まずは目の前にある仕事を一生懸命やるかな!(笑

さてさて

今日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
最近はSP系の依頼が多くなってきましたが
それでもやはりコンスタントに
整備依頼の多いのはOM-1です。
軽量コンパクトな機械制御シャッター機と言うポジションでは
まさに王座に君臨して続けているカメラでもありますね。
70年代半ば以降、一眼レフにも電子化の波が押し寄せて
機械制御シャッター機はその数を極端に減らしていき
ライバルも少なくなってしまいました。
もう少し付け加えるならば
露出計も何かトラブルと修理の難しいLED式ではなく
昔ながらの指針式という部分も考えると
これほどシンプルで小さい一眼レフは他にはありません。
それでも正直なところ
新品部品の手に入らない現在では
修理不可能になる場合もあるのですが
比較的、何かあっても何とかなる可能性の高いカメラであることは
間違いないかと思います。

お預かりしているOM-1は中期のMD対応モデルです。
現存するOM-1で最も数の多いものだと思います。
しかしながら今回の個体も
これまで整備らしい整備はされたことがないと見られます。
まずは定番のプリズム腐食です。
上カバーを開けてみると
加水分解でベタベタになったモルトがプリズムに
べったり付着しています。
こうなるとプリズム内部まで間違いなく剥離してしまいます。
これはもうプリズム交換で対応するしかありません。
そしてこれまた定番の露出計トラブルです。
それも原因はこの生産時期のOM-1に非常に多い
電池室マイナス側端子留めの樹脂ネジ破損です。
OM-1の電池室マイナス側端子は絶縁の為、
金属ネジに絶縁ワッシャが使われているパターンと
ネジ自体が樹脂製の場合があるのですが
樹脂製ネジの場合はまず間違いなく経年劣化で折れてしまいます。
そしてこの樹脂ネジのサイズが少々特殊なサイズで
金属ネジ+樹脂ワッシャで代用ができません。
同じサイズの樹脂ネジを新たに切り出して
交換するのが無難な方法かと思います。
樹脂製なので加工はダイスさえあれば簡単です。
ただし今回の露出計不動の原因は樹脂ネジ破損のみならず
過去に水銀電池を長期に入れたままの時期があったらしく
端子自体は比較的キレイなのですが
配線が完全に腐食してしまっていて
遠く離れたボディ上部SW端子にまで腐食が広がっています。
これでは樹脂ネジを立てただけでは露出計は復活しません。
緑青の発生したハンダは磨いてハンダ付けをやり直し
配線は丸ごと交換を行います。

こうして内部の構造を見ると小さく造るために
あらゆる部分に工夫が見られる事が良くわかります。
通常の一般的な横走りシャッター機とは
いろいろと異なる部分も多いです。
それが故に多少、堅牢性が犠牲になっている部分もありますが
それはある程度、仕方がないことでしょうね
それでも普通に現行モデルの頃には
全く問題ないレベルでしかなく
あくまで50年近く経過した場合で見ると…という前提ですし…

それで樹脂部の非常に脆い最初期の場合は
いろいろ厄介な点も多いですが
中期以降のOM-1は致命的な破損がない限り
しっかり整備すれば
実用にはまだまだ全く問題ありません。
今回も非常に快適に使える状態に仕上がりそうです。

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