ワルツエレクトリックのカメラ修理

今日は5月1日ということで
いろいろな記念日が制定されていますが
やはり「令和」改元の日、ですかねぇ
もう丸5年になるのですねぇ…あっという間ですね。
でもいまだに「令和」に馴染みが薄い気がします…
その前の「平成」も30年ありましたから
次第にもっと馴染んでくるのでしょうね!

さてさて

本日は「ワルツエレクトリック」のカメラ修理を行っています。
1950年代にアクセサリーメーカーとして
非常に大手だったワルツのカメラです。
今でも「WALZ」ブランドのフィルターあたりは
見かけることも多いと思います。
詳しい資料がなくてあまり細かいことまではわからないのですが
「エレクトニック」は「WALZ」ブランドとしては最後のカメラで
1960年発売のカメラです。
レンズ固定式レンズシャッターのレンジファインダーカメラで
セレン光電池を使用した露出計を搭載します。
レンズはKOMINAR45mmF1.8の大口径で
シャッターはコパルSVを搭載し
レンズシャッター機ではめずらしい最高速1/1000を搭載します。

お預かりしている「エレクトリック」は
シャッター羽根がかなり粘っていて
シャッターは切れたり切れなかった理を繰り返します。
切れるときも羽根の動きはゆっくりで
様子を観察していると羽根が開いたときに
それまで羽根が重なっていた部分には
べったりと油が付いている様子が確認できます。
当然ながら絞り羽根も動きはしますが粘り気味で
油滲みが確認できます。
いつもレンズシャッター機の修理には書きますが
絞りが粘っている状態で無理に動作させていると
絞り羽根を破損させてしまう状況に陥ることが多いので
注意が必要です。
今回も状態を最低限確認した後は動かさずに分解整備に入ります。
ファインダーもかなり曇っていて見づらいですが
曇っている上に距離計二重像が全く見えません。
見づらいとかいうレベルではなく全く存在が確認できません。
おそらく光路途中のミラーが外れて脱落しているのかと思われます。
いずれにしても普通に使用するためには一通りの整備が必要です。

ファインダー内の二重像を最初に反射するミラーは
単に外れているだけではなく真っ二つに割れている状態で
内部に転がっていました。
当然ながらミラーは交換です。
ファインダー内ハーフミラー等は大きなダメージもなく
通常の清掃で実用上問題ないレベルにクリアにできそうです。
シャッターユニットはもちろん分解して羽根清掃を行った上で
各部の整備調整を行います。
巻き戻しクランクが底部に配置されて独特の構造で
巻き戻し側フォークにリンクしています。
なかなか興味深い構造のカメラです。

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