今日は「えんぴつ記念日」だそうです。
1886(明治19)年のこの日に眞崎鉛筆製造所で
日本初の鉛筆の工場生産が始まったことが由来だそうです。
この眞崎鉛筆製造所は、後の三菱鉛筆株式会社なのだそうです。
小学校4年生あたりからいわゆる「シャーペン」が
学校でも主流になってだんだん鉛筆を使わなくなったけど
それまで筆箱に何本もきっちり尖らせた鉛筆を入れてましたねぇ
じいさんがボウリングが大好きで親父がボウリング勤めだったこともあって
家にはボウリング場によくあるケツに消しゴムのついたタイプの
鉛筆がたくさんあったことをよく覚えています。
そして鉛筆が短くなると鉛筆についている消しゴムの枠を使って
短い鉛筆同士を連結してさらに使い込んでいました。懐かしいですねぇ
小学校に入った時に買ってもらった学習机に
電動の鉛筆削り機が内蔵されていてめっちゃ喜んで使っていました。
ただかなり動作音が賑やかだったような覚えが…
今では鉛筆どころか筆記具で字を書くこと自体が激減してしまいました。
たまにはしっかり文字を手書きで書かないと
書けなくなるんじゃなかろうか…と少し心配になります…(笑)
さてさて
本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
孤高の存在ともいえるハーフ判一眼レフ「ペンFシリーズ」の中で
「FT」は1966年に追加となったカメラで
オリジナル「ペンF」をベースにCdS使用のTTL露出計と
セルフタイマーを内蔵したモデルです。
さらに巻上はオリジナルペンFのダブルストロークから
シングルストロークに変更されています。
内部の部品もかなり変更されており
意外な程、ペン「F」との互換性がない構造になっています。
「ペンF」自体が他に類を見ない独特な構造で
より一層の独自性が際立つカメラですが
「FT」の内蔵露出計の構造もそれに合わせるために
かなり変わった構造になっています。
第三反射面となるミラー部をハーフミラーとし
その裏側全面を覆うようにCdSが配置されています。
露出計(電流計)はSS設定ダイヤルと機械的に連動して
電流計の配置角度を物理的に変更するような構造になっていて
露出計指針は「TTLナンバー」と呼ばれるこれまた「FT」独特の
数値を指示しレンズ側で通常の絞り値とは別に刻印された
「TTLナンバー」を合わせることで露出を決定します。
文字で書くとややこしいですが要は通常の絞り値指示の代わりに
「TTLナンバー」を使用するということだけです。
いずれにしても「FT」ならではの機構や機能があって
なかなか興味深いカメラです。
お預かりしている「ペンFT」は巻上レバーは動くものの
手ごたえが戻しのバネの感覚以外全くない状態で
フィルム巻上もシャッターチャージもできない状態です。
何か無理な力を加えて巻き上げてしまったと思われますが
さすがに開けて内部を見ないと状況がよくわからない状態です。
「ペンFT」というと露出計やCdS前面のハーフミラーに
トラブルが多く場合によっては修理不能になることも多いのですが
そちらはあまり問題はないようです。
ただ、電池室からの配線は劣化で断線寸前だったため
こちらも並行して修理整備を行っていきます。
巻上側のインレットがぐらついていたので
「もしかしたら」と思ったのですが
上カバーを外してみるとインレットを留めている2本のネジは
完全に外れて行方不明になっていました。
勝手に外に出ていく隙間はないので
ミラーボックスを降ろしてさらに巻上部を分解してみると
巻上機構の奥で2本のネジが発見できました。
巻上部のギアはかなり激しく損傷しており
これが原因で巻き上げ不能になっているようです。
ここからは予測ですが外れたインレットのネジを噛みこんだ状態で
無理に巻上動作を行ったためギアが破損したと思われます。
インレットのネジもそう簡単に外れるようなものではないのですが
「ペンFT」はシングルストローク化されたため
巻上角がかなり大きくなっており
ストラップをつけた状態で巻き上げるとストラップや
ストラップ金具に巻上レバーが引っかかることが多いのです。
長年のそういったことの積み重ねでインレットのネジが緩んだと思われます。
FTのレバーは本当に三角環やストラップに引っかかりやすく
トラブルを起こしやすいので巻上時には注意が必要です。
巻上部の一部部品は中古部品を使って交換し
正常な動きができるように修理を行います。
同時にペンF系の弱点でもあるミラー駆動部や
ガバナ類の清掃整備も行っていきます。
コンパクトなボディに非常に効率よく
独特な機構が収められていて
他のカメラでは見られない景色の広がる内部機構です。
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