カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ヤシカエレクトロ35CCのカメラ修理

今日は「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」で
「猫の日」ですが
これは皆さまよくご存じだと思うのでここでは触れず
他のモノで…
ゾロ目ということで他にも多くの記念日が制定されていますが
そんな中に「ヘッドフォンの日」なんてのがありますね。
ヘッドホンが左右2チャンネルの出力で音楽を楽しめることから
「2」が重なる日を記念日としたそうです。
最近はイヤホンが主流ですね。
私も外出の際はワイヤレスイヤホン+スマホで
音楽を聴いていることが多いですね。
周りの音が聞こえないと危険なので音量はほどほどに…
家では夜間だとヘッドフォンを使います。
やはり耳をしっかり覆う方が聴きやすいような気がします。
でも本当は空間をしっかり感じられるスピーカーで
ある程度の音量で聴くのが一番気持ち良いですよね。
ただ昨今の状況でご近所のことを考えると
なかなかスピーカーを気持ちよく鳴らすことはできませんが…(苦笑)
ヘッドフォンと言えば…昔の話ですが…
ウォークマンのようなカセットポータブルプレイヤーが
出はじめた1980年頃、私も東芝Walkyを買ってもらって
毎日のように使っていました。
当時ならではの華奢な折り畳み式ヘッドフォンだったのですが
使っていると折りたたみ部分に髪の毛が挟まって
やたらと痛い思いをしたことを思い出します(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35CC」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
エレクトロ35シリーズは多くの機種が発売されましたが
その中でもこの「CC」と超小型な「MC」は
シリーズの本流とは少し異なる異端児的カメラです。
他のエレクトロ35シリーズは45mm~40mmの
標準域より少し広めのレンズを搭載しますが
この「CC」はシリーズ中の唯一の35mm広角レンズ搭載機です。
そして大口径が売りのエレクトロですからF1.8の明るさを誇ります。
35mmF1.8という当時としては珍しい広角大口径レンズです。
もちろんエレクトロのキャッチフレーズでもある
「ろうそく1本の光でも写る」を実現するために搭載されたレンズです。
大口径レンズというと現在だとボケ味云々みたいな話になってしまいますが
この「CC」は絞り羽根が2枚でその形状が独特なため
ボケを楽しみたいのであれば開放一択となります。
もともとそういうカメラではありませんが…
絞り羽根だけではなくシャッター羽根も2枚羽根で
「CC」専用のコパルエレクシャッターとなります。
シャッターの最高速も1/250となっています。
細かいスペックを見ても「CC」のみの仕様が多いですね。
この頃のエレクトロ35の本流はまだ初代からの流れを受け継ぐ
大柄のボディだったので小型化という面でも
「CC」の独自性が際立ちます。

お預かりしている「CC」はまず電源が全く入りません。
バッテリーチェックも点灯しない状況です。
電池室をチェックしてみるとやはり腐食があり
特に電池室底部マイナス側が多くの緑青で覆われています。
これではとても導通しないのは一目瞭然です。
レンズ・ファインダーにもカビ曇りが見られ
やはり全体的に整備を行わないと撮影には使えない状況です。

画像は取り掛かり始めの段階ですが
この後、分解を進めていくと予想よりも状況が悪いことが発覚します。
電池室周りの腐食は端子裏のハンダと配線までかな…と思いきや
そんな甘い状態ではなくマイナス側から
バッテリーチェック側に出ている配線は
バッテリーチェックSW内部まで腐食が拡がり
SW部内部もボロボロでもはや使い物にならない状態でした。
そしてもう一方マイナス側からシャッターユニットへ出ている配線は
シャッターユニット内部まで腐食が拡がっています。
これはなかなか手間がかかりそうな状況です。
腐食部分を取り除いてまずは導通させないと
何とも言えませんが電子回路内に大きなトラブルがないことを祈りつつ
できる部分から修理を行っていきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「交通事故死ゼロを目指す日」だそうですよ。
1年に3回あり、2月20日と、春・秋の「全国交通安全運動」の期間中
4月10日・9月30日。
「春の全国交通安全運動」は4月6日~15日、
「秋の全国交通安全運動」は9月21日~30日となっています。
天災よりも病気よりも交通事故にあう方が可能性は高いですものね…
自分でクルマやバイクを運転しているならなおさらです。
自分で運転していなくても近所を歩いているだけで
事故にあう可能性はありますものね。
毎晩、比較的交通量の多いところをウォーキングしていますし
とりあえずボーッとして歩かないように気をつけます。

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートの修理依頼もコンスタントにありますね。
ちょくちょくこのブログにも登場するので
毎度同じようなことを書きますが
発売は1967年。それまでの「ニコマートFT」をベースに
ニコマートシリーズでは初めて開放F値補正操作を取り入れ
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
それまではASA設定ダイヤルで使用レンズの開放絞り値を
セットする必要があったのです。
ファインダー内に設定SSも表示されるようになり
露出計は中央重点測光が採用されています。
基本的な構造は変更なくシャッターは
お馴染みのコパルスクエアSで
その構造上の都合もありSS設定はマウント基部で行います。
ユニットシャッターの採用もありますが他にも
前板とミラーボックスのダイキャストを一体化するなど
コストダウンが効率よく行われており
その上で品質面でも妥協しないカメラとなっており
その堅牢性と使いやすさで大ヒットとなったカメラです。
ニコマートシリーズの中でも「FTN」は最大のヒットとなったモデルです。
現存するニコマート機でも「FTN」を見かける機会が
断然多いと思われます。

お預かりしている「ニコマートFTN」は
明らかにミラーの動きが悪い状態で
シャッターは切れなくはないのですが
ミラー動作が目に見えてゆっくりなため
レリーズしてから実際にシャッターが切れるまでに
結構なタイムラグがあり
これではシャッターチャンスを逃してしまいます。
ニコマートFT系は堅牢性と安定性で定評のある
コパルシャッターに関してはよほど羽根汚れがあるものでない限り
シャッターに大きな問題があることは少なく
巻上機構も非常に頑丈にできています。
なにかあるとすればミラーやレリーズ関連のことが多い気がします。
機械駆動部はそれ以外に大きなトラブルは起きにくいですが
露出計周りは比較的トラブルが多く
特にマイラー抵抗の劣化による露出計不安定が多い印象です。
今回は露出計周りは精度はともかくとしても
(もちろん整備時に調整します)
動きに大きな問題はなさそうです。

今回の「ニコマート」は人気のブラックです。
外装のコンディションも年式を考えると非常に良い状態です。
スクリーンにはモデル途中で追加された
スプリットイメージのA型スクリーンが入っています。
それなりの数が出回っているはずなのですが
A型スクリーン装着機は探すとなかなか見つからないのですよね。
まだ取り掛かり始めの段階ですが
これから分解を進めて全体の整備を行っていきます。

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ペンタックスKMのカメラ修理

今日は「天地の日」だそうですよ。
日付の由来はポーランドの天文学者で
「地動説」を提唱したニコラウス・コペルニクスの誕生日とのことです。
当時主流だった地球中心説(天動説)を覆す太陽中心説(地動説)は
天文学史上最も重要な発見とされています。
ただし、太陽中心説を初めて唱えたのは
ギリシャ・サモス島生まれのアリスタルコスで
紀元前3世紀のことだそうです。
今でこそ地球が太陽の周りを公転しているのは
周知の事実ですが
太陽な地球を含む太陽系も天の川銀河の中心を公転しています。
1周するのに2億年以上かかるそうです…とてつもないですねぇ
でも自分が地面の上に立っていて
太陽も星も見かけ上、天球面を動いて見えるのだから
何も知識がなければ天動説を考えてしまいますよね。
まぁ何事も自分を中心に回っているなんぞ
思わないほうがいいでしょうね(笑

さてさて

本日は「ペンタックスKM」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
ペンタックスはこの年にそれまで採用していた
M42マウントに別れを告げ
新規のバヨネットマウントである「Kマウント」に移行した
「Kシリーズ」を3機種発売します。
ロゴデザインやボディの外装デザインも一新し
これまでとは異なる全く新たなイメージで発売されたシリーズです。
「KM」はその3機種なの中でもボトムエンドを担うカメラで
普及機的な位置づけとなっています。
「Kシリーズ」の中でも機械制御シャッター機の「KX」「KM」は
新しい外装・マウントではありますが
基本的な機械的構造は従来の「SP系」を引き継いだものです。
その中でも「KM」は中身もほぼほぼ「SPF」と同一で
「SPF」のセールスポイントの一つでもあった
露出計電源オンオフ機構「フォトスイッチ」も継承されています。
長年作り続けられていて信頼と安定性の高い
「SP系」の良さをそのまま受け継いでいます。
目新しさには欠けますが従来のM42マウントペンタックスユーザーが
違和感なく移行するには最適のカメラだったかと思います。

お預かりしている「KM」はシャッターを切ると
十中八九、ミラーアップしたままになってしまいます。
その状態でほんのわずかにシャッター後幕を押してやると
ミラーがパタンと降りてきます。
ミラー駆動部に問題があるのではなく
シャッター後幕の動きがスムーズではないために
走行の最後にミラーダウンレバーをうまく蹴れないのだと思われます。
「SP系」でも頻発する症状です。
機械的機構が「SP系」であるがために
トラブルも「SP」や「SPF」でよくあるパターンのものが出てきますね。
後幕の動きが悪いということは当然ながら
シャッタスピードの精度も全く出ていない状況です。

加えてこれは「KM」だけではなく「Kシリーズ」全般同じですが
これも「SP系」と同じくプリズムの周りを囲む遮光材の
加水分解によるプリズム腐食が発生しています。
「SP」等と同じくファインダー内横方向に黒い線や帯が見えてくるパターンです。
これはもうメンテナンスしていないと必ず起きてしまう症状です。
腐食したプリズムは当店では交換するしか対処する手段がないので
腐食のないプリズムと交換で対応します。

「Kマウント」であることと
露出計基盤の形状が少々異なる以外は
やはり中身はほぼまんま「SPF」です。
修理する立場としてはとっつきやすくて助かりますし
「SPF」同様のトラブルは起こりやすいものの
それは「KX」であれど大差はありませんし
実績のある造りなので整備性は非常に良好です。
個人的には使いやすくてトラブルが起きても対処しやすく
非常に良いカメラだと思っています。
まだ取り掛かり始めの段階ですが
これから分解を進めて機械的駆動部を入念に整備していきます。
最後は微調整程度で精度は出せそうな状態です。

キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「天使の囁き」とは
マイナス20℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる
氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため非公式ではありますが
国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したことに由来しているそうです。
マイナス40℃以下なんてさすがに想像できませんね…
マイナス20℃近くであれば山で昔体験したことがあるのですが…
ダイヤモンドダストも一度は実際に見てみたいとは思いますが
ここ近年身体を冷やすことを極力避けているので
もう残念ながら見る機会はなさそうです(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
機能的にはそれまでの「AE-1」にプログラムオート露出が
追加になったカメラですが
中身…特に電子制御はAE-1のデビューから5年の間にかなり進歩して
AE-1プログラムでは数段洗練されています。
ファインダーの明るさやキレも格段に向上していて
スクリーンは下から取り外しができるようになり
清掃や交換も簡単になりました。
そしてA-1でも設置されていたコンデンサレンズも
設置されなくなりました。
ファインダー内露出計表示もLED表示となり
反応性も向上しています。
そして外観デザイン的にも明らかにスマートになりました。
その反面、機械的な部分は「Aシリーズ」は全機種
初代の「AE-1」が基本になっているのは変わりませんので
シャッターやミラー、巻上の機械的駆動部は「AE-1」のものを
引き継いでいます。
そのためやはり「Aシリーズ」定番のトラブルであるシャッター鳴きは
「AE-1プログラム」でも多発します。

お預かりしている「AE-1プログラム」はまず電池を入れても
電源が全く入りません。すべてのシャッターが電子制御な
「Aシリーズ」では当然ながら電源が入らないと
シャッターは全く切れません。
バッテリーチェックを行うと「チチッ」とわずかに反応があるのですが
通常のチェック音はやはり鳴りません。
電池室自体はキレイなので電池室周りの問題ではなく
巻上部のSWあたりに原因があるような気もしますが
もう開けてみないと何とも言えません。
ちなみに強制的にシャッターを切ってみると
結構派手な「シャッター鳴き」も確認できたので
そのあたりも含めて全体的にも整備が必要です。

AE-1にはまだ存在した糸連動等のアナログ的なリンクは
完全になくなり中身も洗練されています。
配線も随分少なくなりました。
それでもこのタイプのカメラとしては
整備性は非常に良好です。
電源の入らない原因はやはり巻上レバー下部の
SWで接触不良が起きてしまっているようです。
電子制御機では数多くの接点やSW類が設置されていますが
ここがキチンと導通していることが生命線ともなります。
そして忘れてはいけないのがシャッター制御の
マグネットの吸着部です。
ここも含めてしっかり清掃整備を行った上で
調整を行っていきます。

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コニカSⅢのカメラ修理

今日は「春一番名付けの日」だそうですよ。
そろそろ春一番お知らせが届いてもいい頃合いですが
まだまだ吹いているのは冷たい北風ですねぇ
特に日没後はかなり冷たい風が毎晩強く吹いています。
春一番と言えば暖かい南風で
なんとなく穏やかなものを想像しますが
由来はそうでもないようです。
もともと「春一番」または「春一」という言葉は
長崎の漁師の間で使用されていたものとする説があるそうです。
1859(安政6)年2月13日、長崎県壱岐郡郷ノ浦町(現:壱岐市)の
漁師が漁に出た際、強風で船が転覆し
53人の死者を出す事故があったそうです。
この事故で「春一番」という言葉は全国に広まったということです。
暖かいのは良いですが強風や暴風だと怖いですね。
何にしても早くもっと春らしい気候になってほしいものです。

さてさて

本日は「コニカSⅢ」のカメラ修理を行っています。
「コニカSシリーズ」はそれまでの
コニカⅠ・Ⅱ・Ⅲと続いたレンズシャッター機の後継となる
カメラですがそれまでのイメージを一新し
直線基調のデザインとなったシリーズです。
最初のモデルとなる「コニカS」が1959年に発売され
今回の「SⅢ」は1963年発売となります。
同年にシャッタースピード優先オートを搭載した
「コニカオートS」が発売されており
多くの部品が共通化されています。
搭載されるレンズはヘキサノン47mmF1.9です。
セレン光電池を使用する内臓露出計が装備されます。
露出計指針は上カバー上に表示されますが
SⅡ・SⅢではファインダー内にも表示されます。
Sシリーズを通して搭載されるシャッターユニットは
コパルSVEです。B・1s~1/500をカバーします。

お預かりしている「SⅢ」は非常にキレイな個体です。
レンズもなかなかクリアな状態で
保管状態が良かったことが伺えます。
心配されるセレン式露出計も
細かい精度はともかくとしても
セレン自体は元気に起電しています。
ただ、レンズシャッター機によくあるトラブルで
シャッター羽根が固着していて
シャッターが全く切れません。
巻上げてレリーズボタンを押してもうんともすんとも言いません。
ただレリーズボタンを押すと巻上ロックは正常に解除され
再び巻上は可能となります。
シャッター羽根に油滲み等があると予想されます。
絞り羽根の動きも少し重いのでこちらも粘りがあると思われます。

まだ取り掛かり始めの段階です。
これからシャッターユニットを降ろして
シャッター羽根及び絞り羽根の分解と洗浄を行っていきます。
「Sシリーズ」となって露出計が内蔵となりましたが
それでもまだボディが少々大柄で余裕もあるので
整備性は非常に良いカメラです。

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ミノルタコードのカメラ修理

今日は「煮干しの日」で「ふんどしの日」ですね…
いや、やはり「バレンタインデー」に
触れないわけにはいかないですか…(笑
この日は世界各地でカップルの愛の誓いの日とされています。
ヨーロッパやアメリカでは男性から女性に花やギフトを贈ったり
大切な友達にカードを贈ったり
夫から妻へアクセサリーを贈ったり
子供同士でキャンデーの交換をしたりすることが習慣になっています。
世界的に見ると日本とは異なり
男性から女性に贈り物をする日として広まっているようですね。
さすがに今の私には縁遠い日ですねぇ(苦笑)
関連する記念日もいろいろ制定されていて
簡単に調べても「チョコレートの日」「ネクタイの日」
「イケメンの日」「恋の神様の日」「日本酒女子会の日」
なんてものが出てきます。
バレンタイン関係なく私は甘いモノ大好きなので
いろいろ品ぞろえも良いでしょうから
あとでスーパーででもチョコレート買ってきて
おやつにしたいと思います。

さてさて

本日は「ミノルタコード」のカメラ修理を行っています。
1953年発売の二眼レフです。
ミノルタの二眼レフと言えば「オートコード」が有名ですが
その前の世代にあたるモデルです。
ミノルタの本流としては「ミノルタフレックスシリーズ」が存在し
「ミノルタコード」は当時の現行モデル
「ミノルタフレックスⅡB」の普及版として発売されました。
ただ、この「ミノルタコード」でその後のミノルタ二眼レフの
大きな特徴ともなる「ハラキリ型」の
ピントレバーが装備されピント合わせが
より迅速に行えるようになりました。
テイクレンズは3群3枚プロマーSⅢ75mmF3.5で
ビューレンズはビュープロマー75mmF3.2です。
シャッターはシチズン搭載のモデルと
セイコーシャラピッドが搭載されたものが併売されていました。
フィルム装填はスタートマーク合わせのセミオートマットです。
ただセルフコッキングは装備されておらず
シャッターチャージはフィルム巻上とは別途に
チャージレバーでチャージする必要があります。
このタイプは意図しない多重露光に注意が必要です。

お預かりしているミノルタコードは
かなり長い間使われずにしまい込まれていた個体のようです。
外装もかなりボロボロですが
問題なのは各部の動きがかなり重くなっていることです。
シャッターは何とか動作しますがやはり羽根の動きに粘りがあります。
絞り設定レバーも妙に重いので絞り羽根にも粘りがあるようです。
絞り羽根に粘りがある場合は無理に動かし続けていると
羽根を破損させる恐れもあるので早急な清掃整備が必要です。
そしてこのモデルの大きな特徴でもあるボディ下部に設置された
「ハラキリ型」のピントレバーも動きが重いです。
「オートコード」もそうですが
このピントレバーは経年劣化の影響もあって
重い状態で動かしていると比較的折れやすいモノが多いのです。
折れてしまうともはや交換部品はありません。
軽くスムーズな状態で普通に動作させる分には
全く問題ない場合が多いのでここも早急に清掃整備が必要です。
他、ファインダーはやはり汚れ等で非常に見えにくく
スクリーンの清掃はもちろんですがミラーの交換が必要です。
レンズは比較的状態が良いのですが
こちらもできる限りの清掃を行っていきます。

まだ現状の問題点を洗い出しただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。

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リコーフレックスⅦMのカメラ修理

今日は「苗字制定記念日」だそうですよ。
苗字を名乗ることが義務づけられた日だそうです。
これも当時はなかなか浸透せずに結構大変だったようです。
江戸時代、苗字を使っていたのは貴族と武士だけでしたが
1870(明治3)年9月19日、平民が苗字を名乗ることを許可する
「平民苗字許可令」という太政官布告がまずは出されました。
しかしながら、当時はまだ読み書きが不得手の人が多く
また、当時国民は明治新政府を信用しておらず
苗字を付けたらそれだけ税金を課せられるのではないかと警戒し
なかなか広まらなかったのだそうです。
そこで、1875(明治8)年2月13日、
「平民も必ず姓を称し、不詳のものは新たにつけるように」と
苗字を名乗ることを義務づける「平民苗字必称義務令」という
太政官布告が出されたのだそうです。
それでもなかなか当時は簡単にはいかなかったようです。
ちなみに先述の「平民苗字許可令」が出された9月19日は
「苗字の日」となっています。

さてさて

本日は「リコーフレックスⅦM」の
カメラ修理を行っています。
1950年代の二眼レフブームの火付け役でもある
リコーフレックスシリーズです。
大ヒットとなったのは1950年発売の「Ⅲ」からで
このモデルから歯車を使った前玉回転式ピント調整となります。
これもオリジナルではなくコダックフレックスに倣ったものですが
リコーフレックスの大きな特徴の一つです。
軽量なプレスボディ、中板を外してのフィルム装填等
いろいろな独自の特徴を備えたカメラです。
生産の合理化の恩恵もあり
なんといっても当時としては破格の
お求めやすい価格で発売され
空前の大ヒットとなったカメラです。
まだまだ当時は高級品だったカメラを
一般に普及させる役割を担ったカメラです。
その後、リコーフレックスは「Ⅳ」「Ⅵ」「Ⅶ」
「ホリディ」「ミリオン」とモデルチェンジを行い
1950年代を駆け抜けていきました。
その間にダイキャストボディの「ダイヤ」
「ニューダイヤ」も発売されています。

今回お預かりしているのは
1956年発売の「ⅦM」です。
歴代のリコーフレックスの中では
生産数も少なくあまり見かけることのないモデルです。
基本的には「Ⅶ」でシャッターユニットが
セイコーシャ製のものに変更されたモデルです。
セイコーシャ製と言っても
当時の最高級シャッター「セイコーシャラピッド」ではなく
簡易的なユニットを搭載されたものです。
(「Ⅶ」には「セイコーシャラピッド」搭載モデルもあります)
シャッター速度はB・1/10・1/25・1/50・1/100・1/300となります。
それ以外の部分は「Ⅶ」の後期モデルと同一です。
現存するリコーフレックスの多くがそうであるように
今回もピントギアが非常に重い状態になっていました。
ガッチリ固着してしまっているよりは全然良いのですが…
他、レンズ・ファインダーにはカビ・クモリで
とても現状ではまともに使えない状態でした。

画像は既に一通りの整備が完了した状態です。
少しシャッター等の動きが落ち着くまで
様子見をしている段階です。
これから最終チェックして問題なければ完成です。
現存するリコーフレックスの大半が未整備で
それではさすがにまともに撮影に使えないものが
ほとんどだと思われます。
しかしながらリコーフレックスは造りがシンプルなこともあり
しっかり整備すれば見違えるほど良い状態になるカメラです。
今回の個体もピントギアは非常に滑らかに動作し
ファインダーもとてもクリアになっています。
ファインダーと言えば…
今回少々びっくりしたことがありました
もともとスクリーンの汚れが酷くてファインダーは
あまり見えない状態だったのですが
開けてみるとスクリーン下のミラーが変えられていて
それがミラーと同じ形状のプラ板に
ミラーシールが貼り付けられたものでした。(苦笑)
そのミラーシールも貼り付けが上手くいっておらず
写る像はぐにゃぐにゃに曲がって写ってしまいます(笑)
これではたとえスクリーンがキレイになっても
ファインダーとしての役目は果たせません。
いずれにしてもミラー劣化を予想していたので
ミラーを交換するつもりだったので
作業上の問題はありませんでしたが…
最近は開けてみて驚くパターンがいろいろ多いですね…

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「ボンカレーの日」だそうですよ。
1968(昭和43)年のこの日に
日本初のレトルト食品である
「ボンカレー」が発売されたことに由来しています。
今年で57年なのですね。
現在のパッケージもだいぶ見慣れてきましたが
やはりボンカレーといえば松山容子さんの
パッケージのイメージがいまだに強いですね…
「ボンカレー(Bon Curry)」の名前の
「ボン」はフランス語の形容詞「bon」
(よい、おいしいの意味)に由来するそうです。
一人暮らしの独身男性でも温めるだけで簡単に食べられることから
「独身男性のカレー」という意味で
「チョンガーカレー」という案もあったそうです。
仮にもし「チョンガーカレー」になっていたら
間違いなく現在まで続く
ロングセラー商品とはなっていなかったでしょうね(笑

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
1967年発売のカメラです。ボンカレー発売の前年ですね。
それまでの「ニコマートFT/FS」の後継機で
ニコマートシリーズでは初めて開放F値補正操作を取り入れ
レンズの絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了します。
いわゆるニコンのガチャガチャです。
それまではレンズ交換の際には装着するレンズの開放F値を
手動でセットしてやらないといけなかったのです。
開放F値をボディ側に伝えてやらないと
TTL内蔵露出計が正しく動作できません。
ニコマートFTNでは加えて測光方式がそれまでの平均測光から
中央部重点測光へと変更が行われています。
さらにファインダー内に設定SSが表示されるようになりました。
使い勝手の面で格段に進歩したというわけですね。
ニコマートシリーズの中では最も生産されたカメラではないかと思います。
現存台数も非常に多く加えて非常に丈夫なカメラでもあるため
現在でもつかわれている方が多いカメラだと思います。
搭載されるコパルシャッターは耐久性安定性共に優れていて
未整備の個体でもシャッターだけは切れる…というものも多いですが
多くの個体はやはり本来の動きをしていないものが多いようです。

お預かりしている「ニコマートFTN」も
おそらく何十年も使われないまま
仕舞い込まれていたものと思われます。
シャッターは何とか切れているものの
シャッターの精度は出ておらず
加えてミラーの動きが明らかに悪く
シャッターが切れるときもミラーの動作はかなりゆっくり目です。
何度かシャッターを切っていると
たまにミラーが動かずそのままシャッターも
切れなくなってしまうこともあります。
露出計も入ったままの酸化銀電池のガスの影響か
端子や配線に腐食が起きてしまっていて
何とか断線直前で繋がってい入るものの
接触不良が起きてしまっています。

まだ取り掛かり始めですが
これから本格的に分解整備を行っていきます。
外像もかなり汚れてしまっているので
できる限り磨き上げてキレイに仕上げていきます。
画像には写っていないのですが
装着されていたオート50mmF1.4レンズの
状態がかなり悪く盛大なカビと汚れ曇りで
まともにレンズを通して対象が見えないような状態です。
曇りの完全除去は難しいかもしれませんが
そちらもできる限り清掃を行って
通常使用に問題のない状態に仕上げていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「左利きグッズの日」だそうですよ。
由来は「レ(0)フ(2)ト(10)」と読む語呂合わせからだそうです。
本来は世界的に8月13日が「左利きの日」とされているそうですが
日本ではお盆の時期でイベントが開催しづらいとの理由で
2月10日となったそうです。
私も生粋の左利きで書くのもお箸も左ですが…
左利きグッズって例えば何なのよ?と思ったら
ハサミやカッター、定規、鉛筆削り、扇子、急須、
フライ返し、コルク抜き、スライサー、缶切り、
ギター、草刈り機、マウス、キーボードなどの商品があるそうです。
いや、ここにあがったものほとんどここにあるけど
全て右利き用を左で普通に使ってるな…(笑
あ、ギターだけは右利き用を右利きとして使ってるか…
まぁ小さい頃から周りには右利き用しかなかったし
慣れてしまえば大抵のものが左でそのまま使えますねぇ
今更左利き用を入手しても逆に使いづらいような…
スマホなんかも右利き用にできてますが
もう右手に持つのが慣れましたね…
スマホと言えば自動改札も右利き用にできてますね
意外と無意識に右で慣れてしまっているものも結構ありますね。
左利きの人の割合は世界的に見て約10%なのだそうです。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のキャノンの中級機です。
前モデルのFTまでは絞り込み測光でしたが
F-1の発売と合わせて開放測光対応のFDレンズが登場し
それに合わせて「Fシリーズ」の主力機種である「FT」も
開放測光対応の「FTb」にモデルチェンジされました。
「F-1」とほぼ同時開発だっただけに
F-1との共通項も多いですが
そもそも「F-1」が機械的な基本構造は「Fシリーズ」の強化版で
主に耐久性と拡張性を格段にグレードアップしているカメラなので
通常の「Fシリーズ」と「F-1」の共通項は元々多いですね。
シャッターや巻上の基本構造もそうですし
コンデンサレンズ裏にCdSを配置する
独特の中央部分測光も共通です。
お得意の「QL」クイックローディングだけは
裏ブタ交換の必要のない通常の「Fシリーズ」のみの装備です。
これがあるとやはりフィルムの争点が簡単で失敗がありません。
その機構もまずトラブルが起こることもありません。
よく考えられたいい機能だと思います。
それでもデータバックの普及等で
裏ブタが取り外しできないといけなくなるので
「Fシリーズ」や「キャノネット」までの機能となってしまいますが…

お預かりしている「FTb」はまずは見かけ上
一通りは動作しています。
ただやはり各部の動きは本来のものとは程遠く
1/1000、1/500の高速シャッターは開いていない状況で
1/250、1/125も開いてはいるものの精度的には問題のある状態です。
低速シャッターはスローガバナの粘りにより
やはり不安定な動きになってしまっています。
巻上等にも油切れの兆候もありますので
やはり全体的な整備が必要な状態です。

そしていつものことですがプリズム抑えのモルトは
ボロボロでかなり分解されてしまっています。
プリズムカバーにも随分付着しています。
その隙間から画像では見えにくいのですが
プリズム表面にも隙間にあたる部分に白いシミができてしまっています。
これが内部まで浸食すると「Fシリーズ」定番の縦に流れたような
プリズム腐食が発生してしまいます。
今回はプリズムの塗装面の影響のみにとどまっていて
鏡蒸着にはまだ影響が出ていません。
あと数年放置していればプリズムもダメになっていたと思われます。
そのあたりの処置も含め
全体的な整備をこれから行っていきます。
ちなみに今回の「FTb」は正確に言うと1973年発売の
マイナーチェンジ版「FTb-N」ですね。
ファインダー内にSS表示がされるようになり
セルフタイマーレバー部やレリーズボタン、巻上レバーのデザインが
変更されたモデルです。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は語呂合わせでわかりやすく
「肉の日」ですね。
毎月29日を「肉の日」として
都道府県食肉消費者対策協議会が制定していて
同協議会は2月9日を「肉の日」に制定していないのですが
一般的に2月9日も「肉の日」となっているそうです。
また、全国食肉事業協同組合連合会(全肉連)では
2月9日と毎月29日を「肉の日」または「お肉の日」として
キャンペーンを実施しているそうです。
「肉」といえばやはり「牛肉」をイメージしてしまいますが
豚や鶏、魚…どのお肉も美味しいですよねぇ
そういえば昨年年末に焼肉行って以来
今年はまだ焼肉屋さんにも行ってないですね…
昔ほど大量に食べることはできなくなりましたが
たまにはがっつり焼肉も味わいたいものです。
で、焼肉にはやっぱり苦みの効いたビールですよねぇ…
なんであんなに合うんでしょうね。
普段は思いっきりビールを流し込むなんて飲み方はしないのに
焼肉だと一気に飲み干したくなってしまいます。
で、後で後悔すると…(苦笑)
食べるのも飲むのもほどほどにしないといけませんね。

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
SR-TスーパーやSR505/101を含む
SR-T系のカメラはコンスタントに修理依頼のあるカメラですが
今回は少しヒサビサのような気がします。
「SR-T101」は1966年発売のカメラで
ミノルタ初のTTL測光方式を採用した一眼レフカメラです。
同時にミノルタ初の開放測光対応機種でもあります。
開放測光に対応するためにTTL露出計に絞り値が連動する
MCロッコールレンズ群も発売されています。
使いやすく丈夫なカメラで当時も大ヒット作となりました。
基本設計に優れたカメラで後に登場する
「SRTスーパー」や「SR505/101」も基本的な内部構造は同一です。
「SR-T101」自体も7年に渡って生産されるロングセラー機となりました。
そのおかげもあり現存する個体数も多く
現在でも見かけることの多いカメラです。
シャッターや巻上は基本的に丈夫にできていて
精度云々はともかくとしても
未整備でもシャッターは動作する個体が多いかと思います。
しかしながらさすがに本来の使用感や精度の出ている個体は
当然ながら少なく何らかの整備が必要になってくるカメラでもあります。

お預かりしている「SR-T101」は
ご依頼者さまが新品で手に入れて以来
ずっと頻度はともかくとしても使い続けられている個体です。
50年以上同じものを大切に使い続けるのは
本当にステキなことですね。
元々丈夫なカメラなのでシャッターは動作していますが
さすがに油切れや積年の内部の汚れの影響もあり
高速シャッターの精度は出ていません。
1/1000はほぼ開かないような状態になっています。
幕軸の動作不良が原因と思われますので
幕軸の清掃整備を行った上で調整が必要です。
接点等にも劣化が多少見られ
露出計も少々不安定な動きを見せています。
モルトはさすがに全滅です。
それでもコンディションとしては悪くない状態です。
しっかり整備の上で調整を行えば
当時に近い動きを取り戻せると思います。

まだ取り掛かり始めの状態です。
SR-T系といえばやはり連動糸ですね。
分解時にある程度糸の取り外しや段取りが必要で
ここを知らずに安易に分解すると糸を切ってしまいますが
慣れてしまえば難しいことはありません。
よく考えられた構造で整備性も非常に良好です。
ファインダー周辺を中心に内部モルトも多く使われているので
そのあたりの整備も定期的に必要になってきます。
見られた光景ではありますが
ひとつひとつ慎重に作業を行っていきます。

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