カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「上巳・桃の節句」で「ひな祭り」ですね。
それは今日あちこちで祝われているでしょうから
まずは置いておいて
他にもいろいろな記念日が制定されています。
「ジグソーパズルの日」なんてのがありますねぇ…
数字の「3」を裏表で組み合わせると
ジグソーパズルのピースの形に見えることからだそうです。
子供の頃の一時期、ジグソーパズルにハマった時期がありました。
きっかけは500ピースの風景画だったかな…
最終的には3000ピースの大きなものにもチャレンジしましたが
時間がかかる上に組み上げている最中には
当然ながら広げたままだからめちゃくちゃ場所も取るのですよねぇ…(苦笑)
私が居間で毎日少しずつ組んでいるのが
いい加減邪魔だったのか最後には家族総出で組み上げました(笑
懐かしいですねぇ…
1000ピースくらいのものを短期で一気に組み上げるのが
図柄にも飽きることがなくていいような気がします。
組んだ後に固めて額に入れて飾るまでも
大きなものだと意外と大変だったりします…

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
当時の大ヒット作でもあり現在でも人気の高いカメラなので
修理依頼も非常に多いカメラです。
現存数も非常に多いのですが
コンディションの悪い個体もかなり多くて程度は千差万別です。
それでも余程悪い状態でない限りは
M42マウントが故に露出計も絞り込み測光で
シンプルな構造なため
しっかり整備を行うと現在でも全く問題なく撮影に使用できます。
M42マウントで交換レンズがペンタックス純正のモノ以外にも
多くの交換レンズが比較的簡単に手に入れることができるのも
大きな魅力になっていると思います。

お預かりしている「SP」はまず電池室が強烈に固着していて
電池室の蓋がまったく開けることができません。
こういう状態の「SP」もよく見かけるのですが
こうなると固着を溶かすだけでもかなりの時間と手間が必要です。
電池室裏の端子も緑青で覆われていて
まずはある程度導通するようにしないと
露出計の状態も確認できません。
それ以外のコンディションは比較的良い個体で
シャッターはさすがに幕軸が粘っていて
シャッタースピードの精度はさすがに全く出ておらず
高速では開かないことも多々あり
巻上も油切れでかなり重めですが
心配される定番のプリズム腐食はなく
プリズム周りの遮光材の劣化もあまり進んでいません。
今のうちに腐食対策しっかり行って
貴重なプリズムの保護を行っていきます。
各部の動きに問題があるのは通常の清掃整備で
しっかり精度も出せる状態に復帰可能だと思われます。

電池室は裏蓋と一体なので
こちらは潤滑剤も大量に使って別途に時間をかけて対処するとして
それ以外の本体側の整備を並行して行っていきます。
機械的駆動部はさらに分解を進めて
積年の汚れを除去してスムーズに動くように対処していきます。
電池室以外の露出計関連は幸運なことに
大きなダメージはないようです。
コンスタントに月に数台は依頼のある機種なので
見慣れた内部構造ではありますが
油断はせずに慎重に作業を行っていきます。

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リコー500GXのカメラ修理

今日は3月1日ということで
たくさんの記念日が制定されていますね。
そんな中に「豚の日」なんてのがありますね。
米国で制定された記念日だそうです。
最も利口で役に立つ家畜のひとつである豚への感謝を込め
豚の正当な地位を認めることが目的だそうです。
豚肉…美味しいですよねぇ…
シンプルに焼いて食べると豚肉独特のほのかな甘みがあって
あれが何ともいえず美味しいのですよねぇ…
そして比較的お安いですし…(笑
自炊でもかなりの頻度で使いますし
外食で食べるやわらかくて分厚いとんかつも最高ですよねぇ…
そういえば最近お店でとんかつ食べてないですね
以前のようにたっぷり食べられなくなったので
お店のボリューム満点のメニューだと
少ししんどくてちょっともったいないのですよね…
でもたまには食べたいですね…
おなか目いっぱい空かせて和幸にでも行ってみましょうかね。

さてさて

本日は「リコー500GX」のカメラ修理を行っています。
1977年発売のカメラです。
前身となる1972年発売の「500G」の発展型です。
コニカC35の登場と大ヒット以来
このタイプのコンパクトカメラが各メーカーから
いろいろとリリースされます。
リコーでは「500G」からこのタイプのカメラが始まり
1974年には高度に電子化された「エルニカF」が
発売されます。ハイマチック等でお馴染みの
セイコーESFシャッターを搭載した電子制御機です。
おおむね好評でしたが
海外では入手しづらい電池を使用していたことと
電子制御来が故にその電池がないと全く使えなかったこと
マニュアル露出に対応できないこと…等の不満点を補うということで
今回の「500GX」が発売されています。
シャッタスピード優先オートを搭載しつつも
マニュアル露出可能なのは先代の「500G」と同様です。
「GX」ならではの装備としては
バッテリーチェック、フィルムインジケーター、
シャッターロック機構等が搭載され
さらにこのタイプのカメラでは珍しい多重露光機構も備わります。
レバーが変わった場所についていますが
要はフィルム巻上を行わずにシャッターチャージのみを
レバーで行うためにこの位置なのですね。納得です。

なかなか高機能で何でもできる良いカメラですが
お預かりしている「500GX」は
電池室周りが腐食していて電源が全く入りません。
電源がなくてもマニュアル露出で使うことはできますが
露出オートもそうですがやはり露出計が使えないのは困りますね。
小型でどこにでも持っていけるカメラだけに
気軽に簡単にいろいろな機能が使えてこそだと思います。
ファインダー、レンズにもカビや汚れがそれなりにあります。
そしてこのタイプのコンパクトカメラは
コストの問題もあり裏蓋に大量のモルトを貼って
遮光を行うものが多いのですが
「500GX」もかなり広範囲にモルトを使用しています。
そして当然ながらそのモルトは劣化で全滅です。
露出計周りも含めて全体的にリフレッシュして
快適に使える状態に整備していきます。

本来、構造としては比較的シンプルなカメラなのですが
こまごまと機能委が追加されていることと
リコー独特の造りみたいな部分もあって
少々ややこしいカメラです。
細かいところは全然異なるのですが
少しオートハーフの構造にも似た部分があります。
「500G」系のカメラの分解整備はヒサビサなので
資料を確認しつつより慎重に取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35GSのカメラ修理

今日は「ビスケットの日」だそうですよ。
1855(安政2)年のこの日に
パンの製法を学ぶために長崎に留学していた
水戸藩の蘭医・柴田方庵が、同藩の萩信之助に、
オランダ人から学んだ軍用のパン・ビスケットの製法を書いた
「パン・ビスコイト製法書」の書簡を送った。
これが、ビスケットの製法を記した日本初の文書とされているそうです。
ほのかな優しい甘みが美味しいですよねぇ…ビスケット…
ガツンと強烈に甘いものもいいですが
こういう優しい甘さもなんともいいですね。
お茶でもコーヒーでも合います。
思わず「ポケットの中にはビスケットがひとつ♪」なんて
口づさんでしまいます(笑
あとでスーパーでビスケット買ってきます!

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GS」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
このモデルからレンズが新コーティングの
カラーヤシノンDXレンズに変更されています。
コーティング以外のスペック的にはこれまでと同様で
45mmF1.7の大口径レンズです。
レンズ以外も基本的な部分は1966年発売の初代と大きくは変更されていません。
1973年発売の「GSN」までは初代からの流れを汲むモデルです。
そう考えるとこの形のエレクトロは結構なロングセラーモデルです。
途中で派生モデルとしては「CC」や「MC」等が出ていますが
やはりエレクトロと言えばこの形をイメージしてしまいますね。
初代発売当初から「ろうそく1本の光でも写る」を目指して作られたカメラで
そのための大口径レンズであり
スロ-シャッターに強い電子制御シャッターを搭載します。
露出制御は絞り優先オート専用となります。
初期の電子制御カメラなので電子回路のトラブルが心配されますが
意外に丈夫で同じ時代の他電子制御機に比べても
電子回路トラブルは少ないほうだと思います。
ただ時代を反映して配線が非常に煩雑で
そのあたりの処理に少々苦労もあります。

お預かりしている「エレクトロ35GS」はお決まりの
電池室腐食によりバッテリーチェックも含め
電源が全く入りません。
電池室を見ると底部のマイナス側
蓋側のプラス両方とも緑青が確認できます。
当然ながらマイナス側裏の端子や
ハンダも腐食していて断線状態です。

まずは電源を入る状態にしないと
他に電気関連のトラブルを抱えているかどうかも
判断できません。
エレクトロ35シリーズはコンスタントに修理依頼のあるカメラで
扱うことも多いのでよくあるトラブルのパターンもわかってはいますが
レリーズ軸のブッシュ劣化によるオート不良
レリーズ下部接点不良によるオート不良
シャッター駆動部の粘り
汚れによるマグネットの吸着不良
鏡胴内摺動抵抗の接触不良
同じく鏡胴内摺動抵抗裏側のハンダ劣化による
露出制御不良あたりがよくあるトラブルです。
症状の有無に関係なくこの部分はしっかり対策を打っておきます。

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キヤノンデミのカメラ修理

今日は「月光仮面登場の日」だそうですよ。
1958(昭和33)年のこの日に
ラジオ東京(現:TBS)で国産初の連続テレビ映画
『月光仮面』のテレビ放送が始まったことに由来しています。
主題歌は子供の頃からよく耳にしたような気がしますが
さすがに私の生まれる11年前の出来事なので
実際には見たことはありません…まだモノクロですね。
日本のヒーロー番組の元祖でもあり
時代劇と探偵活劇の要素を組み合わせた作風は
その後のヒーロー番組に多大な影響を与えたそうです。
1959(昭和34)年まで、130回が放送されています。
少し気になって当時のカメラの現行機種をざっと調べてみると
1958年にはキヤノンはレンジファインダー機のVL/VL2
同年にⅥT/ⅥLが発売されています。
ペンタックスはKが発売され翌年(1959年)にはS2が発売されています。
ミノルタはミノルタ35やオートコードが現行で発売中
オリンパスは翌年の1959年にペンが発売されます。
ニコンは1959年にFが発売されます。
ちなみに1958年の出来事的には秋には東京タワーが竣工し
東海道本線で国鉄初の電車特急「こだま」が運転開始されます
日頃手に取る機会の多いカメラもその時代背景を合わせて
イメージするとまた新鮮なものがありますね。

さてさて

本日は「キヤノンデミ」のカメラ修理を行っています。
「デミ」という言葉の意味としては
フランス語で「半分」英語でも「半…」「部分的に」となります。
その名の通りキヤノンのハーフカメラです。
ハーフカメラブーム全盛の頃に発売されたカメラです。
セイコーシャ製プログラムシャッターを装備し
SSと絞りの組み合わせはシャッターユニットで決められています。
セレン光電池式の露出計を内蔵し
露出計指針に追針を手動で合致させ露出を決定します。
ピントは目測式ですがファインダーはプリズムを贅沢に使用した
実像式ファインダーを装備します。
ファインダーもハーフカメラとしてはかなり豪華ですが
巻上もダイヤルではなくレバーが装備され
その巻上感も滑らかで相当気持ち良いです。
レンズはSH28mmF2.8を搭載します。
全体的に非常に使い心地の良いカメラです。

お預かりしている「デミ」は正確に言うと
発売同年に追加された「カラーデミ」で
ボディは初期のデミと同じく真鍮製です。
デミのボディは途中からアルミ合金製に変更されています。
シャッターは若干の粘りがあるものの動作はしていますが
露出計が少々不安定なようです。
心配されるセレンは起電力はまだまだ充分で
若干の調整で精度も問題なく出せそうです。

構造としてはシンプルなカメラで
整備性も非常の良好です。
これから一通りの整備を入念に行っていきます。
余談ですがデミのカウンターは
2コマに一度、2目盛りずつカウントアップされます。
知らないとカウンターが動いたり動かなかったりしていると
勘違いしてしまうこともあるようです。

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ヤシカエレクトロ35CCのカメラ修理

今日は「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」で
「猫の日」ですが
これは皆さまよくご存じだと思うのでここでは触れず
他のモノで…
ゾロ目ということで他にも多くの記念日が制定されていますが
そんな中に「ヘッドフォンの日」なんてのがありますね。
ヘッドホンが左右2チャンネルの出力で音楽を楽しめることから
「2」が重なる日を記念日としたそうです。
最近はイヤホンが主流ですね。
私も外出の際はワイヤレスイヤホン+スマホで
音楽を聴いていることが多いですね。
周りの音が聞こえないと危険なので音量はほどほどに…
家では夜間だとヘッドフォンを使います。
やはり耳をしっかり覆う方が聴きやすいような気がします。
でも本当は空間をしっかり感じられるスピーカーで
ある程度の音量で聴くのが一番気持ち良いですよね。
ただ昨今の状況でご近所のことを考えると
なかなかスピーカーを気持ちよく鳴らすことはできませんが…(苦笑)
ヘッドフォンと言えば…昔の話ですが…
ウォークマンのようなカセットポータブルプレイヤーが
出はじめた1980年頃、私も東芝Walkyを買ってもらって
毎日のように使っていました。
当時ならではの華奢な折り畳み式ヘッドフォンだったのですが
使っていると折りたたみ部分に髪の毛が挟まって
やたらと痛い思いをしたことを思い出します(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35CC」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
エレクトロ35シリーズは多くの機種が発売されましたが
その中でもこの「CC」と超小型な「MC」は
シリーズの本流とは少し異なる異端児的カメラです。
他のエレクトロ35シリーズは45mm~40mmの
標準域より少し広めのレンズを搭載しますが
この「CC」はシリーズ中の唯一の35mm広角レンズ搭載機です。
そして大口径が売りのエレクトロですからF1.8の明るさを誇ります。
35mmF1.8という当時としては珍しい広角大口径レンズです。
もちろんエレクトロのキャッチフレーズでもある
「ろうそく1本の光でも写る」を実現するために搭載されたレンズです。
大口径レンズというと現在だとボケ味云々みたいな話になってしまいますが
この「CC」は絞り羽根が2枚でその形状が独特なため
ボケを楽しみたいのであれば開放一択となります。
もともとそういうカメラではありませんが…
絞り羽根だけではなくシャッター羽根も2枚羽根で
「CC」専用のコパルエレクシャッターとなります。
シャッターの最高速も1/250となっています。
細かいスペックを見ても「CC」のみの仕様が多いですね。
この頃のエレクトロ35の本流はまだ初代からの流れを受け継ぐ
大柄のボディだったので小型化という面でも
「CC」の独自性が際立ちます。

お預かりしている「CC」はまず電源が全く入りません。
バッテリーチェックも点灯しない状況です。
電池室をチェックしてみるとやはり腐食があり
特に電池室底部マイナス側が多くの緑青で覆われています。
これではとても導通しないのは一目瞭然です。
レンズ・ファインダーにもカビ曇りが見られ
やはり全体的に整備を行わないと撮影には使えない状況です。

画像は取り掛かり始めの段階ですが
この後、分解を進めていくと予想よりも状況が悪いことが発覚します。
電池室周りの腐食は端子裏のハンダと配線までかな…と思いきや
そんな甘い状態ではなくマイナス側から
バッテリーチェック側に出ている配線は
バッテリーチェックSW内部まで腐食が拡がり
SW部内部もボロボロでもはや使い物にならない状態でした。
そしてもう一方マイナス側からシャッターユニットへ出ている配線は
シャッターユニット内部まで腐食が拡がっています。
これはなかなか手間がかかりそうな状況です。
腐食部分を取り除いてまずは導通させないと
何とも言えませんが電子回路内に大きなトラブルがないことを祈りつつ
できる部分から修理を行っていきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「交通事故死ゼロを目指す日」だそうですよ。
1年に3回あり、2月20日と、春・秋の「全国交通安全運動」の期間中
4月10日・9月30日。
「春の全国交通安全運動」は4月6日~15日、
「秋の全国交通安全運動」は9月21日~30日となっています。
天災よりも病気よりも交通事故にあう方が可能性は高いですものね…
自分でクルマやバイクを運転しているならなおさらです。
自分で運転していなくても近所を歩いているだけで
事故にあう可能性はありますものね。
毎晩、比較的交通量の多いところをウォーキングしていますし
とりあえずボーッとして歩かないように気をつけます。

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートの修理依頼もコンスタントにありますね。
ちょくちょくこのブログにも登場するので
毎度同じようなことを書きますが
発売は1967年。それまでの「ニコマートFT」をベースに
ニコマートシリーズでは初めて開放F値補正操作を取り入れ
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
それまではASA設定ダイヤルで使用レンズの開放絞り値を
セットする必要があったのです。
ファインダー内に設定SSも表示されるようになり
露出計は中央重点測光が採用されています。
基本的な構造は変更なくシャッターは
お馴染みのコパルスクエアSで
その構造上の都合もありSS設定はマウント基部で行います。
ユニットシャッターの採用もありますが他にも
前板とミラーボックスのダイキャストを一体化するなど
コストダウンが効率よく行われており
その上で品質面でも妥協しないカメラとなっており
その堅牢性と使いやすさで大ヒットとなったカメラです。
ニコマートシリーズの中でも「FTN」は最大のヒットとなったモデルです。
現存するニコマート機でも「FTN」を見かける機会が
断然多いと思われます。

お預かりしている「ニコマートFTN」は
明らかにミラーの動きが悪い状態で
シャッターは切れなくはないのですが
ミラー動作が目に見えてゆっくりなため
レリーズしてから実際にシャッターが切れるまでに
結構なタイムラグがあり
これではシャッターチャンスを逃してしまいます。
ニコマートFT系は堅牢性と安定性で定評のある
コパルシャッターに関してはよほど羽根汚れがあるものでない限り
シャッターに大きな問題があることは少なく
巻上機構も非常に頑丈にできています。
なにかあるとすればミラーやレリーズ関連のことが多い気がします。
機械駆動部はそれ以外に大きなトラブルは起きにくいですが
露出計周りは比較的トラブルが多く
特にマイラー抵抗の劣化による露出計不安定が多い印象です。
今回は露出計周りは精度はともかくとしても
(もちろん整備時に調整します)
動きに大きな問題はなさそうです。

今回の「ニコマート」は人気のブラックです。
外装のコンディションも年式を考えると非常に良い状態です。
スクリーンにはモデル途中で追加された
スプリットイメージのA型スクリーンが入っています。
それなりの数が出回っているはずなのですが
A型スクリーン装着機は探すとなかなか見つからないのですよね。
まだ取り掛かり始めの段階ですが
これから分解を進めて全体の整備を行っていきます。

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ペンタックスKMのカメラ修理

今日は「天地の日」だそうですよ。
日付の由来はポーランドの天文学者で
「地動説」を提唱したニコラウス・コペルニクスの誕生日とのことです。
当時主流だった地球中心説(天動説)を覆す太陽中心説(地動説)は
天文学史上最も重要な発見とされています。
ただし、太陽中心説を初めて唱えたのは
ギリシャ・サモス島生まれのアリスタルコスで
紀元前3世紀のことだそうです。
今でこそ地球が太陽の周りを公転しているのは
周知の事実ですが
太陽な地球を含む太陽系も天の川銀河の中心を公転しています。
1周するのに2億年以上かかるそうです…とてつもないですねぇ
でも自分が地面の上に立っていて
太陽も星も見かけ上、天球面を動いて見えるのだから
何も知識がなければ天動説を考えてしまいますよね。
まぁ何事も自分を中心に回っているなんぞ
思わないほうがいいでしょうね(笑

さてさて

本日は「ペンタックスKM」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
ペンタックスはこの年にそれまで採用していた
M42マウントに別れを告げ
新規のバヨネットマウントである「Kマウント」に移行した
「Kシリーズ」を3機種発売します。
ロゴデザインやボディの外装デザインも一新し
これまでとは異なる全く新たなイメージで発売されたシリーズです。
「KM」はその3機種なの中でもボトムエンドを担うカメラで
普及機的な位置づけとなっています。
「Kシリーズ」の中でも機械制御シャッター機の「KX」「KM」は
新しい外装・マウントではありますが
基本的な機械的構造は従来の「SP系」を引き継いだものです。
その中でも「KM」は中身もほぼほぼ「SPF」と同一で
「SPF」のセールスポイントの一つでもあった
露出計電源オンオフ機構「フォトスイッチ」も継承されています。
長年作り続けられていて信頼と安定性の高い
「SP系」の良さをそのまま受け継いでいます。
目新しさには欠けますが従来のM42マウントペンタックスユーザーが
違和感なく移行するには最適のカメラだったかと思います。

お預かりしている「KM」はシャッターを切ると
十中八九、ミラーアップしたままになってしまいます。
その状態でほんのわずかにシャッター後幕を押してやると
ミラーがパタンと降りてきます。
ミラー駆動部に問題があるのではなく
シャッター後幕の動きがスムーズではないために
走行の最後にミラーダウンレバーをうまく蹴れないのだと思われます。
「SP系」でも頻発する症状です。
機械的機構が「SP系」であるがために
トラブルも「SP」や「SPF」でよくあるパターンのものが出てきますね。
後幕の動きが悪いということは当然ながら
シャッタスピードの精度も全く出ていない状況です。

加えてこれは「KM」だけではなく「Kシリーズ」全般同じですが
これも「SP系」と同じくプリズムの周りを囲む遮光材の
加水分解によるプリズム腐食が発生しています。
「SP」等と同じくファインダー内横方向に黒い線や帯が見えてくるパターンです。
これはもうメンテナンスしていないと必ず起きてしまう症状です。
腐食したプリズムは当店では交換するしか対処する手段がないので
腐食のないプリズムと交換で対応します。

「Kマウント」であることと
露出計基盤の形状が少々異なる以外は
やはり中身はほぼまんま「SPF」です。
修理する立場としてはとっつきやすくて助かりますし
「SPF」同様のトラブルは起こりやすいものの
それは「KX」であれど大差はありませんし
実績のある造りなので整備性は非常に良好です。
個人的には使いやすくてトラブルが起きても対処しやすく
非常に良いカメラだと思っています。
まだ取り掛かり始めの段階ですが
これから分解を進めて機械的駆動部を入念に整備していきます。
最後は微調整程度で精度は出せそうな状態です。

キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「天使の囁き」とは
マイナス20℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる
氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため非公式ではありますが
国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したことに由来しているそうです。
マイナス40℃以下なんてさすがに想像できませんね…
マイナス20℃近くであれば山で昔体験したことがあるのですが…
ダイヤモンドダストも一度は実際に見てみたいとは思いますが
ここ近年身体を冷やすことを極力避けているので
もう残念ながら見る機会はなさそうです(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
機能的にはそれまでの「AE-1」にプログラムオート露出が
追加になったカメラですが
中身…特に電子制御はAE-1のデビューから5年の間にかなり進歩して
AE-1プログラムでは数段洗練されています。
ファインダーの明るさやキレも格段に向上していて
スクリーンは下から取り外しができるようになり
清掃や交換も簡単になりました。
そしてA-1でも設置されていたコンデンサレンズも
設置されなくなりました。
ファインダー内露出計表示もLED表示となり
反応性も向上しています。
そして外観デザイン的にも明らかにスマートになりました。
その反面、機械的な部分は「Aシリーズ」は全機種
初代の「AE-1」が基本になっているのは変わりませんので
シャッターやミラー、巻上の機械的駆動部は「AE-1」のものを
引き継いでいます。
そのためやはり「Aシリーズ」定番のトラブルであるシャッター鳴きは
「AE-1プログラム」でも多発します。

お預かりしている「AE-1プログラム」はまず電池を入れても
電源が全く入りません。すべてのシャッターが電子制御な
「Aシリーズ」では当然ながら電源が入らないと
シャッターは全く切れません。
バッテリーチェックを行うと「チチッ」とわずかに反応があるのですが
通常のチェック音はやはり鳴りません。
電池室自体はキレイなので電池室周りの問題ではなく
巻上部のSWあたりに原因があるような気もしますが
もう開けてみないと何とも言えません。
ちなみに強制的にシャッターを切ってみると
結構派手な「シャッター鳴き」も確認できたので
そのあたりも含めて全体的にも整備が必要です。

AE-1にはまだ存在した糸連動等のアナログ的なリンクは
完全になくなり中身も洗練されています。
配線も随分少なくなりました。
それでもこのタイプのカメラとしては
整備性は非常に良好です。
電源の入らない原因はやはり巻上レバー下部の
SWで接触不良が起きてしまっているようです。
電子制御機では数多くの接点やSW類が設置されていますが
ここがキチンと導通していることが生命線ともなります。
そして忘れてはいけないのがシャッター制御の
マグネットの吸着部です。
ここも含めてしっかり清掃整備を行った上で
調整を行っていきます。

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コニカSⅢのカメラ修理

今日は「春一番名付けの日」だそうですよ。
そろそろ春一番お知らせが届いてもいい頃合いですが
まだまだ吹いているのは冷たい北風ですねぇ
特に日没後はかなり冷たい風が毎晩強く吹いています。
春一番と言えば暖かい南風で
なんとなく穏やかなものを想像しますが
由来はそうでもないようです。
もともと「春一番」または「春一」という言葉は
長崎の漁師の間で使用されていたものとする説があるそうです。
1859(安政6)年2月13日、長崎県壱岐郡郷ノ浦町(現:壱岐市)の
漁師が漁に出た際、強風で船が転覆し
53人の死者を出す事故があったそうです。
この事故で「春一番」という言葉は全国に広まったということです。
暖かいのは良いですが強風や暴風だと怖いですね。
何にしても早くもっと春らしい気候になってほしいものです。

さてさて

本日は「コニカSⅢ」のカメラ修理を行っています。
「コニカSシリーズ」はそれまでの
コニカⅠ・Ⅱ・Ⅲと続いたレンズシャッター機の後継となる
カメラですがそれまでのイメージを一新し
直線基調のデザインとなったシリーズです。
最初のモデルとなる「コニカS」が1959年に発売され
今回の「SⅢ」は1963年発売となります。
同年にシャッタースピード優先オートを搭載した
「コニカオートS」が発売されており
多くの部品が共通化されています。
搭載されるレンズはヘキサノン47mmF1.9です。
セレン光電池を使用する内臓露出計が装備されます。
露出計指針は上カバー上に表示されますが
SⅡ・SⅢではファインダー内にも表示されます。
Sシリーズを通して搭載されるシャッターユニットは
コパルSVEです。B・1s~1/500をカバーします。

お預かりしている「SⅢ」は非常にキレイな個体です。
レンズもなかなかクリアな状態で
保管状態が良かったことが伺えます。
心配されるセレン式露出計も
細かい精度はともかくとしても
セレン自体は元気に起電しています。
ただ、レンズシャッター機によくあるトラブルで
シャッター羽根が固着していて
シャッターが全く切れません。
巻上げてレリーズボタンを押してもうんともすんとも言いません。
ただレリーズボタンを押すと巻上ロックは正常に解除され
再び巻上は可能となります。
シャッター羽根に油滲み等があると予想されます。
絞り羽根の動きも少し重いのでこちらも粘りがあると思われます。

まだ取り掛かり始めの段階です。
これからシャッターユニットを降ろして
シャッター羽根及び絞り羽根の分解と洗浄を行っていきます。
「Sシリーズ」となって露出計が内蔵となりましたが
それでもまだボディが少々大柄で余裕もあるので
整備性は非常に良いカメラです。

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ミノルタコードのカメラ修理

今日は「煮干しの日」で「ふんどしの日」ですね…
いや、やはり「バレンタインデー」に
触れないわけにはいかないですか…(笑
この日は世界各地でカップルの愛の誓いの日とされています。
ヨーロッパやアメリカでは男性から女性に花やギフトを贈ったり
大切な友達にカードを贈ったり
夫から妻へアクセサリーを贈ったり
子供同士でキャンデーの交換をしたりすることが習慣になっています。
世界的に見ると日本とは異なり
男性から女性に贈り物をする日として広まっているようですね。
さすがに今の私には縁遠い日ですねぇ(苦笑)
関連する記念日もいろいろ制定されていて
簡単に調べても「チョコレートの日」「ネクタイの日」
「イケメンの日」「恋の神様の日」「日本酒女子会の日」
なんてものが出てきます。
バレンタイン関係なく私は甘いモノ大好きなので
いろいろ品ぞろえも良いでしょうから
あとでスーパーででもチョコレート買ってきて
おやつにしたいと思います。

さてさて

本日は「ミノルタコード」のカメラ修理を行っています。
1953年発売の二眼レフです。
ミノルタの二眼レフと言えば「オートコード」が有名ですが
その前の世代にあたるモデルです。
ミノルタの本流としては「ミノルタフレックスシリーズ」が存在し
「ミノルタコード」は当時の現行モデル
「ミノルタフレックスⅡB」の普及版として発売されました。
ただ、この「ミノルタコード」でその後のミノルタ二眼レフの
大きな特徴ともなる「ハラキリ型」の
ピントレバーが装備されピント合わせが
より迅速に行えるようになりました。
テイクレンズは3群3枚プロマーSⅢ75mmF3.5で
ビューレンズはビュープロマー75mmF3.2です。
シャッターはシチズン搭載のモデルと
セイコーシャラピッドが搭載されたものが併売されていました。
フィルム装填はスタートマーク合わせのセミオートマットです。
ただセルフコッキングは装備されておらず
シャッターチャージはフィルム巻上とは別途に
チャージレバーでチャージする必要があります。
このタイプは意図しない多重露光に注意が必要です。

お預かりしているミノルタコードは
かなり長い間使われずにしまい込まれていた個体のようです。
外装もかなりボロボロですが
問題なのは各部の動きがかなり重くなっていることです。
シャッターは何とか動作しますがやはり羽根の動きに粘りがあります。
絞り設定レバーも妙に重いので絞り羽根にも粘りがあるようです。
絞り羽根に粘りがある場合は無理に動かし続けていると
羽根を破損させる恐れもあるので早急な清掃整備が必要です。
そしてこのモデルの大きな特徴でもあるボディ下部に設置された
「ハラキリ型」のピントレバーも動きが重いです。
「オートコード」もそうですが
このピントレバーは経年劣化の影響もあって
重い状態で動かしていると比較的折れやすいモノが多いのです。
折れてしまうともはや交換部品はありません。
軽くスムーズな状態で普通に動作させる分には
全く問題ない場合が多いのでここも早急に清掃整備が必要です。
他、ファインダーはやはり汚れ等で非常に見えにくく
スクリーンの清掃はもちろんですがミラーの交換が必要です。
レンズは比較的状態が良いのですが
こちらもできる限りの清掃を行っていきます。

まだ現状の問題点を洗い出しただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。

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