月別アーカイブ: 2017年12月

コニカAcom-1のカメラ修理

今日は「果ての二十日」と呼ばれる忌み日だそうです。
「忌み日」とは身を慎み災いを避けるべき日ということですが
年末の忙しい時期に現代人はなかなか
そんなことは言ってられませんね。今日もがんばって働きます!(苦笑)
「果ての二十日」は地方によっては山の神に関わる忌み日とされ
山に入ることを慎む習慣も一部にあるようです。

さてさて

本日は「コニカAcom-1」のカメラ修理を行っています。
読みは「エイコムワン」です。
うっかりするとどこかの消費者金融と間違ってしまいそうです。。。
発売開始は1976年です。
比較的現代的なデザインでシャッター速度優先AEを搭載しますが
(マニュアル露出ももちろん可能です)
電子制御シャッターではなく機械式シャッターです。
針挟みこみ式のAEを搭載します。
シャッターユニットは金属羽根縦走りのコパル製ユニットです。
つまり前モデルFTAを現代風にリファインしたモデルと言っていいかもしれません。
FTAより随分と小型化されていますし
メカニズムは信頼の高い昔ながらのシステムです。
なかなかありそうで他にはないカメラだと思います。

お預かりしているAcom-1は
ご依頼者様が最近、手に入れられた個体だそうですが
外装は非常にキレイです。
このクラスのカメラは既に何人ものオーナーさんを渡り歩いて
結構、ボロボロになっているものも多いのですが
アタリもなくスレやキズもほとんどありません。
ただ張り革の縮みはこのカメラの場合、しかたないですね。
やはり少々縮んでしまっています。
シャッターは快調に動作していますが
シャッター速度優先を司る露出計の動きがかなり不安定です。
いつものようにピクツキが酷いとかではなく
本来F16を指してほしい明るさでテストすると
正しくF16を指したりF5.6あたりを指したりします。
動きそのものは安定しているのですが。。。
他、ファインダースクリーンにかなり汚れが見受けられます。
全体的な各部点検整備一式を行います。

露出計不安定の原因はどうやらハンダ付けの劣化が原因のようです。
数少ない針挟みこみ式のAE搭載の一眼レフですが
(レンズシャッター機ではポピュラーな形式)
露出計の調整は半固定抵抗で行いますが
AE調整はちょっと独特な調整方法を行います。
詳しくは割愛しますがなかなか面白い作りをしています。
写真は分解し始めの状態ですが
これから本格的に分解を行い
シャッターユニットから整備を行っていきます。

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「飛行機の日」だそうですよ。
1903年のこの日にライト兄弟が初飛行に成功した日です。
本物はともかく子供の頃は
おもちゃの飛行機飛ばすのが好きだったなぁ。。。
ゴム動力でプロペラ回して飛ばすのも好きでしたが
駄菓子屋とかで売っていた薄い発砲スチロールみたいな
材質でできた組み立て式の飛行機で
重し代わりのプロペラ付けて
飛ばすようなのがあったのです。
当時100円か150円くらいだったかな。。。
これが気持ちよく飛ぶんです。。。今もう手に入らないのかな。。。。

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
絞り優先自動露出専用機である「ME」に
マニュアルモードと1/2000を搭載し
本格的なマニュアル撮影に使えるように仕立てたカメラですね。
「ME」登場から3年後の1979年の発売開始です。
ペンタックスMシリーズといえばメカニカル機の「MX」が人気ですが
この「MEスーパー」、「MX」に負けないほどいいカメラだと思います。
ボタン式のシャッター速度設定は少々好みが分かれるところですが
軽量コンパクトで使いやすく
MEスーパーから採用になった「クリアーブライトマットスクリーン」の
おかげでファインダーも見やすくピントも非常に掴み易いです。

電子制御シャッター機ではございますが
電子基板関連のトラブルは少ないカメラだと思います。
何と言ってもME系の定番トラブルといえば
「ミラー駆動部ブッシュ溶解によるミラーアップ」ですが
今回、お預かりしたMEスーパーは
快調にシャッターは切れています。
ただし、電池室腐食のため一切電源が入りません。。。
電池室を磨いて電池室裏の端子も磨き
ハンダ、リード線を交換して何とか通電するようになりました。
すると今度はファインダー内のLEDが
関係ない部分まで点灯したりしなかったり
SW部や接点のクリーニングも必要なようです。

ミラー駆動部ももちろんチェックしていきます。
定番のミラーアップ現象こそ出ていませんでしたが
案の定、ブッシュは溶けてボロボロになっています。
もちろん取り除いて対策品に交換いたします。
電子制御が復活したときのチェックで判明しているのですが
1/2000はほとんど開いていない状態でした。
おそらく先幕の動きが悪いためと思われますが
シャッター羽根根元部分の洗浄も行います。

この時代のペンタックス機はとにかく内部モルトが多いです。
ダイキャストのいたるところにモルトが貼ってあります。
もちろんどれもこれも劣化でボロボロです。
このモルト屑がいろいろなトラブルの原因になることも多いので
全て一旦除去し貼りなおしていきます。

ちょっと手のかかるカメラではありますが
本来の姿だとMシリーズ中、トップクラスのカメラです。
しっかりメンテナンスを行って
ご依頼者様に快適に使っていただきたいと思います。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「電話創業の日」だそうですよ。
1890年(明治23年)のこの日に東京-横浜間で
日本初の電話事業がスタートしたそうです。
さすがに電話交換手のいた時代は経験していませんが
こんなに携帯電話全盛、ネット全盛の時代が来るなんて
中学生くらいの頃にはイメージできてなかったですねぇ。。。
私が生きてる間にどこまで進化するか楽しみです(笑)

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
これまた修理依頼の多いカメラですね。
F一桁機に比べるとコンパクトで持ち運びに便利で
シャッタースピード指針も装備された指針式の露出計は
FMやF3と比べても非常にわかりやすく
すごく明るいわけではないですが
ピントの山の掴み易いファインダーも秀逸です。
キャッチフレーズは「シンプル・ニコン」ですが
確かにMF機は露出とピントが合わせやすければ
それで十分なんですよね。

今回、お預かりのFEですが
まずファインダー内がモルト屑等々でゴミだらけです。
せっかくの見易いファインダーもこれでは
撮影意欲が削がれます。
露出計の値はかなり良い値が出ているのですが
セールスポイントのひとつである
「絞り優先AE」は全域で1.5段ほどアンダーになってしまっています。
シャッタースピードも全体的に速過ぎで
1/1000の場合で約1/1700
わかりやすいのは1秒のときに0.6秒で切れてしまいます。
全体的に同じように早いので調整でなんとかなりそうですね。

ニコン機は他メーカーと比べても
かなり内部モルトは少ないほうなのですが
(ちなみにやたらと内部モルトが多いのはP社かな)
接眼レンズ下の座布団モルトは交換必須です。
ここにモルトを使うのはニコマート時代から変わらない部分ですね。
もちろんFEだけでなくFMも同様です。
接眼レンズ側からシャッターユニットへ感光するのを
防ぐものだと思われますが
カバーされているとはいえ劣化したモルト屑が
シャッター羽根の隙間等に入ってしまうと
重篤なトラブルの原因にもなりかねません。

まずはシャッターユニット周り、ミラー駆動部の整備から取り掛かります。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は「観光バス記念日」だそうですよ。
観光バス。。。なかなか乗る機会ないですよねぇ。。。
中学・高校のときの修学旅行くらいしかないかも。。。
バスといえば私の生まれ故郷では
近年までボンネットバスが期間限定で
運行していたのですがもう走ってないないのかな。。。
「バス」と聞いて一番に思い出しました。
撮りに行きたいですねぇ。。。

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
孤高のハーフ判一眼レフ「ペンF」の発売開始から3年後
1966年に発売された露出計を追加装備したモデルです。
変更は露出計の搭載のみではなく
巻上は2回巻上から1回巻上に変更
セルフタイマーも装備されました。
一番の特徴の露出計は第三反射面に置かれていた
ミラーをハーフミラーとすることで
透過した半分の光をその裏に配置したCDSで受光し
露出計を駆動するものです。
シャッタースピードに露出計は連動し
ファインダー内には絞り値ではなく
TTLナンバーが指示されるようになっています。
そのためペンFT登場以降に発売された交換レンズ群には
通常のF値とTTLナンバーの表示が切り替えられるようになっています。

お預かりしたペンFTはご依頼者様から
「ファインダーが暗くて困っている」とのお話を聞いていたのですが
ハーフミラーを置く構造上、ペンFに比べるとFTのファインダーは暗いです。
ハーフミラーの劣化で尚更暗くなっているのかな。。。と思いつつ
ファインダーを覗いてみると。。。

本当に真っ暗です(汗)
一瞬、レンズキャップがついたままか
ミラーアップしてしまっているのではないかと思った程です。
でも明るいところに向けてよくよく見ると
暗闇にぼんやりファインダー像が見えてきました。
さすがにこれでは実際の撮影に使えませんね。。。

ハーフミラーは予想通りほぼ素通しのただのガラス板のような状態でした。
反射しないわけだから当然、ファインダーに光を送ることはほぼできません。

加えて露出計は2段~3段オーバーで且つ非常に不安定です。
通常以上にCDSに光は当たっているはずなのに
大きくオーバー。。。案の定、電池室からのマイナス端子は
緑青が発生しており、ピンセットで軽くつまんだだけで
リード線は外れてしまいました。
端子も磨いてリード線も交換し、半田付けも新たにやりなおし
さぁ、これで大丈夫でしょうと通電してみると
安定はしているもののえらくオーバー気味なのは変わらず。。。
おかしいな。。。と思い、露出計近辺で電圧を測ってみると
0.4Vくらいしか電圧がない。。。
端子だけではなく電池室の汚れ・サビも落とし
マイナス側の導通は問題ないはずなのに。。。
もしや。。と思い、電池室枠を留めている2本のネジを変えてみたところ
一気に1.3V(電池アダプタ使用)に跳ね上がりました。
FTは電池室の枠でプラス(アース)を取っていて
固定されているネジでボディにアースされるのですが
ネジが腐食気味で導通してなかったようです。
見た目にはそんなに悪くは見えなかったのですが。。。

ある程度、現状のトラブルの原因がわかったところで
シャッターユニット、ミラー駆動部等々の点検整備に取り掛かります。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「南極の日」だそうですよ。
1911年にノルウェーの探検家が人類初の
南極点に到達したそうです。
南極とか標高8000m越えのヒマラヤだとか
地球上にはいくつか想像を超えるような世界があると思いますが
ほんの少しでもいいから実際に見てみたいですよね。
近頃の寒さで寒がっているようじゃダメかな。。。(笑)

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
実は今月、このブログにFTbが登場するのは3回目ですね。
もともと人気が高く修理依頼も多いカメラですが
今月は特に大人気のようです。

この時代のキヤノン横走りシャッター機は
(主にキヤノンFシリーズ、EX等も含む)
シャッター幕軸が油切れになってくると
シャッターを切ったときに「ギャン」と濁った音が出るようになります。
後のAシリーズのシャッター鳴きとはまた違った音質です
(Aシリーズの場合は異音の原因はミラー駆動部)
今回、お預かりしてるFTbもその兆候が見受けられます。
測定機で測ってみると、やはりシャッター幕の動きは悪く
先幕・後幕共に巻速は遅くバランスも崩れています。
1/1000を測定すると1/400くらいしか出ていない状況です。

露出計はSW部の接触不良からか
バッテリーチェックも露出計も全く動きません。
加えてミラー位置が少しズレているようで
無限遠にファインダー上で少し届かないようです。
フィルム室側から見るとしっかり無限遠は出ているので
ミラーの角度が少し悪いことが原因と思われます。

写真は一通りの整備完了後のものです。
付属の銀枠FD50mmF1.8はカビも随分発生しましたが
清掃でかなりキレイな状態になりました。
もちろん、シャッター音もキャノンらしいシャキッとした
歯切れの良いものになりました。
もちろん精度もしっかり出ています。
ご依頼者様はこのカメラが初めてのフィルムカメラとのことなので
納品時には使い方からお話させていただく予定です。
このFTbでステキな写真をたくさん撮っていただければ嬉しいですね!

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オリンパスペンDのカメラ修理

今日は12月13日、「正月事始め」の日だそうです。
お正月を迎える準備を始める日だそうです。
この日が縁起が良いから。。。という理由からなのですが
ちょっと早いですよねぇ。。。
でも昔のお正月は今よりもずっと大イベントでしょうから
準備も今よりいろいろあったでしょうね。
私はまだまだ師走モードで仕事に追われてます(汗)

本日は「オリンパスペンD」のカメラ修理を行っています。
いわゆるペンのデラックス版ですね。
初代ペンの発売から3年後の1962年発売開始です。
3.2cmF1.9の大口径レンズを搭載し
シャッタースピードの最高速も1/500です。
さらにセレン式の露出計(非連動)を装備します。

今回、お預かりしているペンDは
まずシャッターが切れません。
チャージは完了しているような感じで
レリーズボタンもしっかり押せますが
ピクリとも動きません。
パター的にはシャッター羽根の固着といったところですが
妙にシャッターユニットがぐらついています。
で、分解する前にいろいろチェックしていると
シャッター羽根が1枚外れてしまいました。
やはりシャッターユニットのネジが緩んでいるようですね。
どちらにしてもシャッター羽根はばらして洗浄なので
特に問題はないのですが。。。
ペンDに限らずペンシリーズ全体でよく見かけますが
ネジの緩みは多いカメラだと思います。
50年近く経っているのですからしかたがない部分もありますが
EE系は特に多いような気がします。
外れたネジが磁力でメーターに付着してしまい
メーター不動なんていうパターンもよく見かけます。

写真は本格的に分解する前の写真ですが
巻上にも少々問題があり
レリーズしても巻上ロックがなかなか外れません。
ロック機構の動作不良のようです。
まずシャッターユニットをこれから分離して
シャッター羽根・絞り羽根の洗浄から行います。

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キヤノンⅡD改のカメラ修理

今日は「百円玉記念日」だそうですよ。
1957年(昭和32年)12月11日に百円硬貨が発行されたそうです。
それまでは百円札だったのですね。
現在の百円玉は1967年(昭和42年)から
発行されている白銅貨ですが
それまでに発行されていた百円玉は銀貨なのですね。
(鳳凰百円銀貨と稲百円銀貨)
現在の価値で計算すると
額面以上の銀が入っているということです。
子供の頃に家中探し回ったけど見つかりませんでした(笑)

さてさて

本日は「キヤノンⅡD改」のカメラ修理を行っています。
発売開始はまだ100円札が現役だった1955年です。
キヤノンのバルナックコピー機は毎度のことながら
モデルの判別が難しいカメラですが
今回はシャッタースピードは倍数系列
最高速は1/500、フラッシュレールが未装備、等々から
「ⅡD改」だと思われます。
このあたりのモデルは基本的構造は同じなので
キャノンお得意の変倍ファインダーはもちろん装備されています。

この時代のフォーカルプレーンシャッター機は
未整備であればかなり高い確率でシャッター幕が
劣化して使いものにならないことが多いのですが
今回もやはりシャッター幕がガチガチに硬化して
波打っている状態です。
ゴム引きも一度溶けて再び固まったような状態で
とりあえずシャッターは動作しますが
まともなシャッタースピードは出ない状態です。
ファインダーもクモリが酷く二重像はかなり見えづらく
付属のキヤノン50mmF1.8はレンズそのものはキレイなものの
ピントリングは重く
絞り羽根にはべっとり油が付着している状況です。

裏蓋のない構造のこの時代のカメラは
まずシャッタースピードを計測するだけでも大変です。
写真は作業途中のものですが
この状態にしないとシャッタースピードの計測も行えません。
手前に写っているのは60年以上がんばってきた
シャッター幕(先幕)です。シワシワのカチカチで
これまでの年月の長さを感じますね。

まずはシャッター幕の交換から行います。
何度も行っている作業ですが少々重作業です。
しなやかな新しい幕に張り替えてSSの調整、
ファインダーの清掃、付属のレンズの整備と
普通に撮影に使えるように整備していきます。

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ニコンFEのカメラ修理

1968年(昭和43年)のこの日は
いわゆる「三億円事件」のあった日ですね。
白バイ警官を装った犯人が
社員へのボーナス3億円を強奪した事件ですね。
これをきっかけに給与・賞与は口座振込への流れが
加速したとのことです。
以前、勤めていた会社では普段の給料は
もちろん振込なのですが
特別報奨金とかは現金手渡しで
金額も公開しながらくれるのですね。
私なんかはずっしりとしたものにはなりませんでしたが
現金手渡しもなかなか気持ちの良いものでした。。。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
当店の修理依頼も非常に多い人気モデルですね。
発売開始は1978年のニコンのいわゆる中級機ですが
操作も大きさもいい塩梅にちょうど良い感じで
個人的にも好きなカメラのひとつです。
2つの指針を持つ露出計も非常に感覚的に見やすいもので
F3あたりもこの露出計にしてくれればいいのに。。。と
昔からよく思っていました。
絞り優先AEを搭載しますが
先述の露出計の見易さと絞り値もファインダー内で確認できることから
マニュアルでも非常に使いやすいカメラです。

お預かりしているFEは
操作方法を間違えたか何らかのショックを与えてしまったのか
巻き戻しクランクが一部歪んでしまっているようで
裏蓋が開けにくく巻き戻しも回しにくい状態になっています。
FE/FM系はニコンらしく堅牢な造りなのですが
この巻き戻しクランク周りのトラブルは
少々多いような気もします。

今回はそのクランクの修理も含めた
各部点検整備一式でのご依頼ですが
現状チェックのため測定機にかけてみると
1/1000はかなり不安定なようで
1/2000以下で切れることが多々あるようです。
場合によっては開いていないこともありそうです。
全体的に高速シャッターは早めに切れている(スリットが狭い)ようです。
それに関連している部分もありますが
オートも随分アンダー目に切れてしまっています。
モルトは全滅でファインダー内にも
モルト屑がかなり入り込んでいます。
快適に使っていただくには
やはり全体の整備が必要な状態です。

毎回書いているような気もしますが(笑)
電子制御シャッターとはいえ
FEは電子基板関連のトラブルは少ないカメラです。
今回に限らず
きっちり整備すればまだまだ快適に使える個体は多いと思います。
比較的手に入れやすいモデルでもありますので
これからフィルムカメラを始める方にも
お勧めできるカメラだと思います。

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ミノルタSRT101のカメラ修理

ここ1週間くらいで一気に
寒くなってきたような気がしますね。
このくらいの寒さになってくると
晩ご飯のお鍋比率が高くなってきますよね。
個人的にはやはり「牡蠣の土手鍋」が大好物です!
日本酒にも文句なしに合いますし
翌日に雑炊にするとこれがまた美味しいのです!
。。。と書いていると完全に脳内がお鍋モードになってきました。
今日の帰りはスーパーで買い物して帰りましょう(笑)

さてさて

本日は「ミノルタSRT101」のカメラ修理を行っています。
ミノルタの機械制御シャッター機の中では
最もよく売れたモデルなのではないかと思われます。
ミノルタ初のTTL測光採用モデルでもあるのですが
丈夫な上に使用感に優れ、約7年間生産されました。
(発売開始は1966年です)
後継機でもある「SRTスーパー」や「SR505」等々のモデルも
基本的にはSRT101の改良型です。
この後、ミノルタは「Xシリーズ」に主力を移していき
メカニカル機としては実質的にこのSRTシリーズが
最後となってしまうわけです。
こうして考えるとミノルタの電子化への転換は
時期的にも早かったというのがよくわかりますね。

お預かりしているSRT101はロングセラー機である
本機の中でも初期のモデルです。
外観的なわかりやすい目印はSSダイヤルの外周が
黒塗装であることですね。
。。。とはいえ外観的な違いはそのぐらいで
内部の部品は実はいろいろ変更もあるのですが
そんなに際立った違いはありません。
まずは現状チェックですが
露出計、バッテリーチェック、ともに全く動きません。
シャッターは先幕の動きが悪いようで
1/1000の場合、最初の開き始めは1/1000なのですが
画面中央では1/2000、最後の1/3はほとんど開いていません。
1/1000~1/125までは画面の両端でかなり露光差がある状況です。
幕軸の汚れ・油切れだと思われます。
巻上感触、ミラー動作からも油切れの兆候が見られます。

写真は一通り整備を行った後のものです。
注油した油が馴染んで動きが落ち着くまで
少し時間をおいているところです。
こうしてみると、この時代の一眼レフらしい
端正な佇まいですね。
ブラックも良いですが、シルバーが似合っているような気もします。

この後、微調整の後、最終チェックを行って完成となります。

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ローライC35のカメラ修理

今日は12月8日、いわゆる「事納め」ですね。
日常の農事雑事はこの日で終わらせて
お正月の準備に入るということですが
現実には年末に向かってラストスパートといった感じでしょうか。。。
まだまだ「事納め」とはいきませんが
「お事汁」は食べたいですねぇ。。。(笑)

さてさて

本日は「ローライC35」のカメラ修理です。
「C35」はいわゆる「ローライ35」を
普及版として発売された「B35」から
さらに露出計を省略し非常にシンプルにしたモデルです。
この時代の露出計装備モデルは
どうしても露出計に関わるトラブルが多いせいもあり
露出計ナシのこの「C35」は今となっては
非常に人気の高いモデルです。
ローライ35シリーズの一員ですから
いわずもがな非常にコンパクトにできており
装着されるトリオター40mmF3.5の描写も魅力的ですね。

ローライ35といえば沈胴式レンズが特徴ですが
今回、お預かりした「C35」はレンズが沈胴したまま
全く出てきません。
よくよく観察してみるとわずかに斜めに沈胴しているように見えます。
こうなると中身の状況がかなり心配で
中の部品の歪みや変形等によっては
修理不可能な場合も考えられます。

結果から言う致命的な部品の変形等はなく
組みなおすことで事なきを得ました。
「B35」、「C35」は通常のローライ35に比べても
ボディも内部の部品もプラスチック製が多く
間違った操作や乱暴な操作を行うと
こういったトラブルを起こしやすいと思われます。

他、シャッター羽根に油シミが見られ粘りが若干見受けられます。
フィルムカウンターも不動です。
全体の各部点検整備一式を行います。

見ていると「シンプル・イズ・ベスト」って言葉が
自然に浮かんできますね。
通常のローライ35に比べても
圧倒的に軽く、ほんとにポケットに入れておいても
全く違和感のないサイズと重さです。
35mmフィルムのカメラの本来の姿は
やはりこれが正しいのかなぁ。。。と考えてしまいますね。

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