月別アーカイブ: 2018年4月

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は4月18日
4(よ)1(い)8(は)ということで
「よい歯の日」だそうです。
歯は大事ですよね。歯が悪いと美味しく食べられないし
美味しく食べられないということは
身体全体に影響してしまいますものね。
私は比較的、虫歯になりにくい体質のようで
歯医者にはこれまでの人生で数回しか
お世話になっていないのですが
(それも親知らずの抜歯とか差し歯のメンテとか)
歯磨きだけはしっかり行うようには心がけています。
いつまでも何でも美味しくいただきたいですものね!

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
最近、OM-1の修理が多いですね。
実はこの後の修理も「OM-1」だったりします。
この時代の一眼レフは大きくて重いものばかりですが
OM-1はずば抜けて軽量コンパクトですし
今でも人気が高いのは納得できます。
80年代あたりになって電子制御シャッター全盛期になると
同じくらいコンパクトなものも増えてくるのですが
70年代のカメラで露出計もシンプルで
メンテナンスしやすい指針式ということになると
OM-1くらいしか存在しないのではないかと思います。

お預かりしているOM-1は
一通り動作しているものの
スローシャッターに粘りがありSS1秒時に
3秒くらいかかってしまいます。
その他、ファインダーにゴミ、キズ多数あり
露出計も激しく針が上下し不安定なことがあります。
その露出計ですが今回はご依頼者様と相談して
1.5Vの電圧で調整することになりました。
OM-1は本来、水銀電池使用が前提なので
1.3Vで露出計は駆動します。
現在は水銀電池はもう入手不可なので
電圧変換型の電池アダプターを使ったり
無変換のアダプターやスペーサー等で
大きさを合わせて1.5Vで使用されている方も多いと思います。
たった0.2Vの差ですが露出計はその0.2Vの差で
OM-1の場合、約1.5段の差が出ます。
ネガだとあまり問題にならない差ではありますが
やはり少々気になりますよね。

もう少し電池の話を続けますが
多くの方が使われるLR44(アルカリ電池)は
新品時には1.6V程の電圧があり
使用するうちに電圧がどんどん下がっていきます。
経験上の感覚ですが1.5Vをキープできている期間は
意外と長くなく1.2V~1.4Vの期間が長いように感じます。
これをカメラの電池に使うと最初のうちは良いのですが
露出計の値はオーバー側にどんどんズレて行くことになります。
カメラの電池はできるだけLR44ではなく
電圧の安定したSR44(酸化銀電池)を使用したほうが良いですね。

写真は一通り整備が終わり、最終チェックを残すのみの状態です。
今回は付属する50mmF1.8レンズのレンズに
かなりのカビが見受けられましたので
レンズ清掃も行いました。
余談ですが整備前に現状チェックでSR44電池を使用して
露出計をチェックしてみたところ
正しい値から2.5段アンダーを示していました。
2.5段アンダーはネガといえどもちょっとマズイですよね。

もちろん、現在は露出計は正しい値を示し
全体の動きもかなり軽やかになったと思います。
ご依頼者様に使っていただくのが楽しみな1台になりました。

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ヤシカエレクトロ35GXのカメラ修理

今日は4月16日ですね。
当店の最寄り駅は西武新宿線の「新井薬師前駅」なのですが
1927年4月16日に
旧西武鉄道・高田馬場-東村山間が開業しています。(村山線)
これが現在の西武新宿線になるわけですね!
90年以上の歴史のある路線ですが
現在、新井薬師前駅も含む中井-野方間で
地下化工事が行われています。
完成するのはまだまだ先ですが
駅前の風景は全く違ったものになりそうですね。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GX」のカメラ修理を行っています。
1966年に初代エレクトロ35が発売され
多くのモデルが発売され
進化を続けてきたエレクトロ35シリーズですが
1975年発売のこの「GX」がシリーズ最終モデルとなります。
初代に比べると随分と小型化され洗練されたイメージです。
初代から統一されている電子制御シャッターによる
絞り優先AEによる露出、
おなじみの黄色と赤の矢印による露出ガイドも
最後まで引き継がれました。
コンパクトで高級感あるボディに
40mmF1.7の大口径カラーヤシノンを搭載します。

お預かりしている「GX」は
ご依頼者様いわく明るさが変わっても
ずっと同じシャッタースピードで切れてしまうということです。
現状チェックを行ってみると
電源が全く入っていない状況のようです。
「GX」は前述したように電子制御シャッターですが
電源が入っていなくても最高速でシャッターは切れます。
しかしながら電源が入っていないと
露出制御も何も行えません。
電池室をチェックしてみるとやはりそれなりに緑青が
発生しています。一番の原因はこれだと思われます。

電池室側から緑青が確認できるということは
当然、裏側のハンダ付けは腐食で断線していました。
まずは腐食がリード線を伝ってどこまで広がっているかを確認します。
上の写真では既にレンズは取り外してありますが
分解する前に見た感じでは比較的レンズはキレイかと思っていたのですが
(バルブがないので透かしては見ていなかったため)
外してみるとかなりカビが発生していました。
シャッターユニットの整備の後、もちろんレンズも清掃します。

シャッターユニットそのものは何とか動作しているようです。
ただ今のところ動作が不安定なので
まずは接点を清掃するところから始めていきます。

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ニコマートFT2のカメラ修理

今日は「東京ディズニーランド開園記念日」だそうですよ。
1983年のことなんですね。今年で35歳になるわけです。
気がつくと私も首都圏に長らく住んでいますが
1回しか行ったことないのです(汗)
うーん、ひとりで行くようなところでもないし
これからもちょっと縁がないかもなぁ。。。(笑)

さてさて

今日は「ニコマートFT2」のカメラ修理を行っています。
ニコマートというと当店の周囲以来で多いのは
圧倒的に「FTN」なのですが
「FT2」はその改良型になります。
発売は1975年です。
基本的な構造は最初のニコマートでもある「FT」と
ほぼ同様でシャッターユニットも信頼性の高い
コパルスクエアSは同一です。
それでも「FT2」は使いやすさの部分でいろいろ改良が見られます。
「FTN」と比較すると。。。
固定型ホットシューの搭載、
使用電池は水銀電池ではなく酸化銀電池(SR44)
シンクロソケットはX接点で統一。。。等々あるのですが
個人的には電池変更の点と
フィルム感度設定ダイヤルが使いやすくなったことが
本当に便利になったと思います。
FTNまでの感度ダイヤルは回しにくい上に
個体によってはかなり重いものも多く
難儀することも多かったのですが
FT2になるとシャッタースピードダイヤルレバー先端の
ロック解除ボタンを押したまま操作すると
非常に軽く感度を変更できます。

お預かりしている「FT2」はとてもキレイな
間違いなく美品と言えるブラックボディです。
全体的に一通り動作していますが
露出計は全体的に少々アンダー気味です。
今回は各部点検整備一式に加え
少しばかりキズの目立つ
ファインダースクリーンを交換して欲しいとのご依頼です。

先にシャッターユニット、ミラー駆動部の整備を行って
組み上げる段階でスクリーンの交換に取り掛かります。
ニコマートFT系のスクリーンを取り出す際には
ファインダー内に見えるシャッタスピード指示板と
露出計の針が邪魔になりますので
それらを上手く避けて取り出しを行います。
写真では露出計は一旦外しています。
露出計を外すためには巻き戻し軸も外す必要があり
FT2の場合は巻き戻し軸部分にある基板も外す必要があります。
(FTN以前はここに基板はありません)
もちろんこの際に接眼レンズ下にある座布団モルトと
メーター周りのモルトの交換も行います。

ニコマートに限ったことではありませんが
プリズムを降ろさないとファインダースクリーン清掃が
できないモデルはこの段階での清掃に
かなり神経を使います。
組み上げた後にファインダー内にゴミが見つかると
当然、またプリズムを降ろさないといけません。
この段階ではキレイでも最後にテストでシャッターを切っていると
どこからともなくゴミがまた落ちてきてガックリすることもあるので
周辺部も含めて入念に清掃を行います。

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オリンパスペンEE-3のカメラ修理

今日は「椅子の日」ということです。
私も仕事柄、1日の大半を座って過ごすので
椅子って本当はすごく大事なものだと思うのですが。。。
今、仕事場で使っている椅子は
通販で適当に買った安物です。。。(汗)
腰にも影響あるでしょうし
思い切ってちょっと良い椅子買ったほうがいいでしょうねぇ
ちょっと調べてみることにします!

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-3」のカメラ修理を行っています。
露出はオート、ピントは固定焦点で
構えてシャッターを押すだけで良いという
非常に簡単に使えるカメラです。
ただ簡単に使えるだけでなくとても良く写ります。
出かけるときにはとりあえずカバンの中に
忍ばせておきたいカメラですね!
発売は1973年ですが後継機のペンEFよりも長く生産され
1986年まで継続生産されていました。
もちろんペンシリーズ全体でも最後まで生き残ったモデルです。
それだけよくできたカメラだったのですね。
もちろん今でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「EE-3」は
しばらく使われていなかったようですが
モルトが全滅なこと以外は
一応、一通り動作しているようです。
ただオートは随分ズレてしまっていることと
レンズにはカビがかなり発生しています。
さらにオートのテストをするために
繰り返しシャッターを切っていると
たまにシャッターが開きっぱなしになることも発覚しました。
やはり全体的に動きは良くないようです。

シンプルな構造ですが
よく考えられた造りをしています。
シャッター速度は2速ですが
露出計の針を挟み込むことでSSと絞りを決定します。
このタイプの針挟みこみ式のオートを使う
レンズシャッター機は数多くありますが
その構造と原理を知るにはこのペンEEシリーズや
トリップ35あたりはうってつけのカメラです。
私も修理を始めたばかりの頃は
これで散々勉強しました

心配されるセレンの起電力は問題なさそうなので
シャッターユニット整備、レンズ清掃
AE調整等々、各部点検整備一式を行っていきます。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「喫茶店の日」だそうですよ。
数は少なくなりましたが
昔ながらの喫茶店って良いですよねぇ。。。
コーヒーにも銀色のスプーンと
銀色の容器に入ったミルクが添えられていて
テーブルの端には砂糖入れが置いてある。。。
最近、喫茶店に立ち寄ることもめっきりなくなりましたが
こういうところで時間を潰す余裕が欲しいですねぇ
あ、「紅茶の美味しい~♪喫茶店♪」の脳内リフレインが
止まらなくなってきた(笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
軽量コンパクトな一眼レフのパイオニア的存在ですね!
今でも非常に人気が高く、修理依頼も多いカメラです。
この時代の他メーカー一眼レフに比べると
段違いに小さく軽く作られています。
開発には相当苦労があったと思われますが
この大きさを実現するために様々な工夫が行われています。
機械制御シャッターで基本的には丈夫なカメラですが
この大きさを実現するために繊細にできている部分もあり
慎重な調整と定期的な整備を必要とするカメラとも言えます。

お預かりしているOM-1は
たまにシャッターが開きっぱなしになるようです。
特に寒いときに確率が上がるということですが
幕の動きがやはり悪いようで
開きっぱなしにならなくともシャッタースピードは不安定です。
他のカメラなら幕軸の清掃・注油で対処できますが
OM-1の場合は幕軸の清掃に加えて
底部三連ギアの動きを軽くしてやることが重要です。
動きを軽くしたいからといって注油を行うのは
ここに関しては厳禁です(逆に動きが悪くなります)
ひたすら清掃を念入りに行います。

加えてOM-1定番のプリズム腐食です。
ファインダー下部にモヤモヤとした腐食が見えています。

上カバーを外してみるとシンクロ端子とプリズムの間に
巨大なモルトが貼ってあります。これが加水分解を起こして
ボロボロになりプリズムの塗装と蒸着を剥がしていってしまいます。

写真ではちょっとわかりにくいですが
プリズムの内側で白く光っている部分が腐食箇所です。
プリズムは腐食のないものと交換で対処します。

まずはこれから分解を進めてシャッター周りの整備から行います。

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キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「ガッツポーズの日」だそうですよ。
お天気は少々微妙ですが
ガッツでガッツンガッツンがんばりましょう!

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1961年からスタートした「キヤノネットシリーズ」の
最終モデルでもあります。発売は1972年です。
初代に比べると随分コンパクトになりましたが
針挟み込み式のシャッタースピード優先オート搭載で
マニュアル露出も可能なレンジファインダー機というところは
全く変わりません。
シャッターユニットはコパル製で1/500~1/4・B
レンズはモデル名通り40mmF1.7の大口径レンズです。
レンジファインダー搭載機としてはかなり小さい方で
現在でもその使い勝手の良さから人気も高いカメラです。

G-Ⅲの前のモデルである「ニューキャノネット」もそうなのですが
小さくなったタイプのキヤノネットは
レンズ前玉のコーティング劣化によるクモリの多いカメラです。
今回、お預かりしているG-Ⅲもそれほど酷くはないですが
コーティング傷みによるクモリが発生しています。
できる限りのことは行ってみますが
コーティング劣化によるクモリは清掃では基本的に改善しません。

以前にも書いていますが
QL17G-Ⅲにはランプ式のバッテリーチェッカーが付いています。
このタイプのバッテリーチェックは
電圧変換型の電池アダプターを使うとランプが点灯しなくなります。
今回はご依頼者様のご希望で1.5Vで使用できるように
露出計、オートを調整する段取りになっているのですが
電圧無変換のアダプターを使っても
バルタ電池を使ってもバッテリーチェックが点灯しません。
玉切れなのかどこか断線しているようです。

シャッターの状態も一通り確認したのですが
見た目には普通に動作しているようなのですが
羽根の動きが少々悪いようで
シャッタースピードが随分遅くなってしまっています。
やはりレンズシャッター機には
羽根洗浄が欠かせないですね。

一通り動きをチェックしながら
上カバーとレンズを全て外したところです。
まだまだこれからですが
さらに分解を進めてまずはシャッターユニットから
整備を行っていきます。
小さなボディに効率的に機械が組み込まれている印象ですが
整備性もまずまずよく、とても上手く造り込まれているカメラです。

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コニカC35のカメラ修理

今日は4月9日。。。だから
きっと「病気の日」とかありそうだなぁ。。。と思って調べたら
そんな記念日はありませんでした(苦笑)
シックではなくて「フォーク」ということで
「フォークソングの日」だそうです。
フォークソング全盛期は60年代だから
狭い意味でのフォークソングはあまり馴染みがないですね。
洋楽フォークはさておき、国内フォークソングは
どこまでがフォークでどこからがニューミュージック(死語?)なのか
当時からよくわからなかったなぁ。。。(笑)

さてさて

本日は「コニカC35」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「じゃーに~コニカ」ですね。
コンパクトで、操作が簡単で、写りが良い。と
三拍子揃ったカメラということで当時も大ヒットしました。
現在でも流通している数は多いですし
人気も非常にあるカメラです。

C35シリーズも十数年に渡って発売されたので
いろいろなモデルが存在します。
今回、お預かりしているのは「C35フラッシュマチック」で
比較的初期のモデルです。(1971年発売)
初代C35にフラッシュマチック機構が追加されたモデルです。

C35では定番のシャッター羽根の粘りが見られ
シャッターを切ってもゆっくりとしか羽根が動きません。
さらにシャッターを切ったあとも当分の間
シャッター羽根が少し開いたままになってしまいます。
これでは写真は全て真っ白になってしまいますね。
加えてこれも定番のトラブルですが
露出計が全く動作していません。
電池室裏端子の腐食だと思われますが
C35は露出計が動作していないと
オート時にF2.8・1/15で(要はシャッター全開で)切れます。
これも普通の明るさでは写真が全て真っ白になってしまいますね。

毎回、同じようなことを書きますが
C35のシャッター羽根の粘り(動作不良)は
他のレンズシャッター機によくある
羽根そのものの汚れや油シミによるものではなく
電池室裏側にあるシャッター羽根の動きを制御する
プーリー(羽根車)の動作不良が原因のことがほとんどです。
今回もその通りでした。
電池室裏端子の腐食はハンダ部分と一部リード線内部まで
拡がっていました。酷いものになるとレンズ前枠にある
CDSの端子まで緑青が拡がっている場合もあります。
今回は比較的軽症ですが電池室からのリード線は
2本とも張り替えます。
もちろん、他全体の各部点検整備一式を行います。

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ペンタックスSLのカメラ修理

昨日のブログで。。。
「今日はお釈迦様の誕生日ですね!」とか
書いてしまいましたが。。。(汗)
今日の間違いですね。。。
ブログ書いているときだけ
「今日は4月8日」と思い込んでいたみたいです。
改めて。。。
今日が「お釈迦様の誕生日」で「潅仏会」及び「花まつり」です!
甘茶でも飲んで落ち着いていきましょう
(甘茶買ってこなくては。。。(苦笑))

さてさて

本日は「ペンタックスSL」のカメラ修理を行っています。
「SL」は「SP」から露出計を省略したモデルです。
発売はSP登場の4年後の1968年です。
1960年代から露出計がカメラに搭載されるようになったのですが
「カメラに搭載されている露出計なんて信用できない」
「余計な故障の原因になる」。。。等々と考える
ハイアマチュア層もかなり多かったようで
他メーカーでもハイアマチュア向けの露出計省略機が発売されていました。
例えばニコマートFTに対するニコマートFS
キヤノンFXに対するFPとかですね。
当時の露出計の信頼性云々はともかく
露出計は経年劣化でトラブルの多い箇所でもありますから
こういう露出計レスのカメラをあえて使うのは
良いかもしれません。

お預かりしているSLは
非常にキレイな個体です。
底板部分こそ多少のスレが見受けられますが
ほかの部分にはキズはおろかスレさえもほとんどありません。
シャッター幕も非常にキレイです。
SPにしろSLにしろ、これだけキレイなものはめずらしいと思います。
おそらくあまり使われていなかった個体だと思われます。

しかしながらあまり使われてなかったこともあるとは思いますが
全体的に動きはあまりよくありません。
SP系には多い症状ですが
このSLも高速シャッターは精度が出ていません。
1/1000にいたっては開いてもいません。
1/500だと開くのですが視野両端の露出差が1段以上出てしまいます。
先幕の動きが悪く後幕に追いつかれてしまう状態です。
加えて定番のプリズム腐食です。
SP(SL)の場合は視野ほぼ中央に横線が入るパターンです。
プリズムに巻きつけてあるモルトの加水分解が原因です。
環境にもよりますがこればかりは使わずに仕舞いこんでいるほうが
高い確率で発生するトラブルですね。

写真は上カバー、前板を外したところですが
さらにこれからミラーボックスも外して分解を進めていきます。
幕軸の汚れ云々というのはここで頻繁に書く言葉ですが
幕軸に付着している古い油に汚れが混じり
油そのものの経年劣化も合わせて
粘り気が出てしまっているものがほとんどです。
今回もおそらくそうだと思いますが
溶剤を使って幕軸を清掃してやれば
それだけでシャッター速度は劇的に改善します。
そのままだと乾燥すればまた動きが悪くなってしまうので
少量の油を注油します。
その上で幕速調整を行い精度を出していきます。
もちろん幕軸のすぐ隣にあるスローガバナーにも
清掃注油を行います。ミラー駆動部も同様の作業を行います。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日はお釈迦様の誕生日ですね。
難しい言い方をすれば「潅仏会」
いわゆる「花まつり」が行われる日ですね。
しかし。。。クリスマスがあんなに盛り上がるのに
お釈迦様の誕生日は何故こんなに知名度低いのでしょう?
一般的な日本の家庭だとキリスト様よりは
お釈迦様のほうがやはり身近ですよね。。。
まぁ、基本無宗教な私にはあまり関係ないのですが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
「オリンパス35シリーズ」は歴史も長く
いろいろなモデルが存在しますが
「35DC」は1971年に発売されました。
35シリーズとしては比較的後期のモデルです。
レンズは大口径のF.ズイコー40mmF1.7を装備し
シャッターユニットはセイコー製の
機械制御プログラムシャッターです。
露出はプログラムオートとなります。
機械制御シャッターですが
露出計が動作していないとシャッターロックがかかりますので
電池が入っていないとシャッターは切れません。

お預かりしている35DCは
露出計が不安定でシャッターロックが頻繁にかかる状態です。
十分に光量がある場合は比較的安定しているのですが
中輝度くらい(LV12)あたりになると
シャッターにロックが頻繁にかかります。
露出計の動きがかなり悪いようです。

原因は電池室からの配線のハンダ付けの劣化で
電圧が不安定なことと
メーターの吸い込み(指針が一番端になったときに
ガイシに付着してしまって指針が固着してしまう)
だと思われます。

現在、一通りの各部点検整備を終えて
少し様子見をしている状況です。
コンパクトなボディに大口径レンズ
きちんと距離計も備わっています。
使い勝手の良いカメラで当時もかなり売れたようです。
現在でも人気が高いのも頷けます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は4月6日ということで
「しろの日」だそうです。
「城の日」でもあり「白の日」でもあるようですよ。
「城」のほうは広島城くらいしか行ったことがないですね。。。(汗)
「白」といえば露出オーバーして
白トビしまくった写真を
過去に量産してしまったことを思いだします(苦笑)
フィルムで撮っていると今でも微妙な露出の設定に迷うことがありますが
ポジであれば「迷ったらアンダー目」
ネガであれば「迷ったらオーバー目」を基本にしておくと
そんなんみ大失敗はしないような気がします。

さてさて

今日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートはニコンの中級機用のブランドで
機械制御シャッターのFT系
電子制御シャッターのEL系に大きく分類されます。
今回の「FTN」は前身の「FT」に
「開放F値補正機構」が組み込まれ
測光も「中央部重点測光」に変更されたモデルです。
当時のオートニッコール(非Aiレンズ)は
レンズ側から絞りリングの位置情報を
いわゆるカニ爪で伝えるのですが
ファインダー内にCDS(受光素子)があるため
開放測光時のF値を露出計に伝えないと
正確な測光はできません。
「開放F値補正機構」が組み込まれる前のモデルだと
ダイヤルで現在装着しているレンズの
開放F値を設定しなければなりませんでした。
この「開放F値補正機構」のあるモデルだと
レンズを装着した際に最小絞りから開放絞りへ
絞り環を往復させることで簡単に設定できるようになりました。
(いわゆる「ガチャガチャ」と呼ばれる動作)

ガチャガチャで設定された絞り値は
ニコマートFTNの場合、
マウント部の指標で確認することができます。
今回、お預かりしているFTNはその肝心の「ガチャガチャ」で
開放F値がうまく設定できないようです。
(赤指標が全く目盛り上に出てきません)
銘板下にある部品が固着してうまく動かないことが原因のようです。
加えて開放F値がうまく設定されても
露出計は随分オーバー目になってしまうようです。

ニコマートに搭載される縦走り金属羽根シャッターユニット
「コパルスクエアS」は作動音は少々大きいですが
非常に丈夫なシャッターです。
しかしながらお預かりしているFTNはかなり長い間
使われていなかったようで
シャッターそのものは作動し、写真は写らなくはないでしょうが
少々、前後の羽根の動きのタイミングが悪くなっています。
単純に羽根に汚れが付着しているためと思われます。
スローガバナーもかなり粘っています。

これから分解を進め、まずはシャッターユニットの整備から行います。
機械的な動作部分の整備を終えてから
露出計等の整備にも取り掛かります。

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