ニコマートELのカメラ修理

今日は「愛酒の日」なのだそうです。
酒をこよなく愛した歌人・若山牧水の
誕生日にちなんだ記念日です。
一日一升程度の酒を呑んでいたといい、
死の大きな要因となったのは肝硬変だそうです。
夏の暑い盛りに死亡したのにもかかわらず
死後しばらく経っても死体から腐臭がしなかったため
「生きたままアルコール漬けになったのでは」と医師を驚嘆させた、
との逸話があるそうです。
いやいやすごすぎます。私もお酒は好きですが
こんなには飲めません。
毎日、一升なんてそりゃアルコール耐性の高い方でも
肝臓やられて当然ですよねぇ。。。
私なんてそれどころかここのところ
めっきりお酒に弱くなってしまったようで
少し飲みすぎるともう眠くって眠くって
起きていられない状態になってしまいます。
最近は「あとは寝るだけ」の状況で
1合程度(肴次第では2合)の少し上等な日本酒と
それに合う季節感のある肴があれば十分です。
まぁ、もうじじいですし身体も万全ではないですから
お酒もほどほどにしなくてはいけませんね(苦笑)

さてさて

本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
ニコマートブランドはニコンFがフラッグシップだった時代に
中級機を担う一眼レフモデルに与えられたもので
機械制御シャッター機の「ニコマートFT系」
電子制御シャッター機の「ニコマートEL系」の大きく2分されます。
これがのちの「ニコンFM/FE」系になっていくわけですね。
「FM/FE系」だと「当店の場合」は
FEが圧倒的に修理件数も多いのですが
ニコマートはEL系はかなり少ない印象です。
初期の電子制御機で電子部品もかなり古くさいものが多く
そなあたりのトラブルが起こると
修理不能になる可能性もかなり高い。。。というのが正直なところです。
分解してみるとわかりますがFE。。。いやEL2あたりと比べても
「あ、これは古いな」と一目でわかる基板が搭載されています。
それでも同時期の他メーカー電子制御機に比べると
電気的なトラブルが圧倒的に少ないのは
さすがニコン。。。といったところでしょうか。。。
「FE」の修理ブログの際に私がよく絶賛する
「視認性の非常に良い露出計」はELの時代から既に搭載されており
単純に真ん中に合わせるだけの「FT系」の露出計に比べると
数段洗練されたものです。
現在のSSを示すグリーンの指針と明るさに応じて動く黒い指針を合致させて
露出を合わせます。逆光時や特殊な状況下で
意識的にマニュアルで露出を補正するにも非常に使いやすい露出計です。
機械的な部分は「FT系」も全く共通で
この時代にはお馴染みのシャッタユニット「コパルスクエア」を搭載します。
ただELで一番困るのはこの特殊な位置にある電池室でしょうね、
これはあらかじめ知っていないとまずわからないと思います。

お預かりの「EL」は電池を入れると露出計は動作します。
値も少しズレてはいますがまずまずの値です。
ただし、シャッターが全く切れません。
シャッター羽根の位置を確認するとチャージはできているようです。
それでもレリーズボタンを押しても
「パタン」とミラーアップするだけでシャッターは全く動きません。
これがFEだとシャッタユニットに電源がきていない
あるいはマグネットの制御がおかしいのでは?という可能性もありますが
ELの場合はたとえ電池が入っていなくても
シャッターは一定速で切れるのが正解です。
つまり今回のトラブルは電気的に云々という以前の問題で
機械的にまず切れないといった状態です。
結果から言えばミラー駆動部の動作不良で
シャッタユニットへの連携が全くできず
シャッタ動作へのキックができない状態でした。
心配された電気系は大きな問題もなく
この状態であればまだまだ安心して使えそうです。

トラブルの原因は把握できたのでもう少し分解を進めたら
後はしっかり整備清掃して組み立てるという感じです。
ある程度組み立てた時点で電気的調整も行います。
余談ですがFM/FEだと意外かもしれませんが
FEのほうが個人的に分解組み立ては楽なように感じます。
でもニコマートはELのほうが圧倒的に厄介です(苦笑)
古い基板だからリード線も非常に多いですし
一度は外さなくてはいけない場所も多いのです。
もちろんハンダ付けは劣化で脆くなっている部分もあるので
分解の際にいつのまにか
外れてしまっていた。。。なんてこともあるので
やはり最新の注意が必要です。
まぁそれでもさすがニコン機で手順さえしっかり正しく行えば
しっかり整備できるように作られているのはさすがです。

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