ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「コットンの日」なのだそうです。
コットン。。。木綿ですね。
「コッ(5)トン(10)」と読む語呂合わせと
木綿(コットン)が夏物素材として使用され
5月に店頭販売の最盛期を迎えることからだそうです。
確かにこれからの時期、コットンの肌触りは
夏を感じさせる気持ちよさですね。
コットン(木綿)って歌のタイトルにもけっこう多いですよね。
ざっと思い浮かぶだけでも
古くは(まぁ私の言うことですから全て古いのですが)
「木綿のハンカチーフ(太田裕美さん)」
「コットン気分(杏里さん)」
「Cotton Time (レベッカ・超名曲!)」
「COTTON LOVE(レベッカ)」
この4曲はメロと共にすぐに浮かびますねぇ
10代に覚えた曲はそう簡単に忘れません(笑)
ところでコットンにもいろいろ種類があって
最高峰は私の知っている限りだと「ピーマ綿」と呼ばれるものだと思うのですが
長毛で柔らかく何ともいえない気持ちよい触り心地なのだそうです。
名前を知っているだけで触れたことすらないのですよねぇ
機会があれば少しでも触り心地を堪能したいものです。
でもそれよりも暑くなってきたし
今夜の晩酌は木綿豆腐の冷ややっこがいいかなぁ…など考えています(笑

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットした「ペンタックスSP」の改良版で
世界的ユニバーサルマウントであるM42マウントでありながら
ペンタックスSMCタクマーレンズとの組み合わせで
開放測光を実現したモデルです。
もちろん従来のM42レンズであれば
絞り込み測光で露出計を使用することができます。
M42というのはレンズのマウント規格というより
ただのネジ径の規格ですものね
元々はねじ込んでピントが合えばOKという
シンプルなマウントです。
それに自動絞り連動機能までは何とか対応できたものの
絞り情報を伝えなくてはいけない開放測光対応となると
もうユニバーサルなM42マウントのままでは不可能です。
このあたりからM42マウントも各社でいろいろと
付加価値がついて純然たる互換性はどんどんなくなっていきます。
露出計周りに関してはSPとはもはや別物と言ってよい
SPFですがシャッター等の基本的な機械構造は
SPとほぼ変わりはありません。
ただ、細かい部品は相当数変更されているので
修理する立場だと全く別物のカメラだと認識して対応します。

お預かりしている「SPF」は
まずSP系定番のプリズム腐食です。
プリズムをぐるりと取り囲むように
貼られている遮光材の加水分解が原因で
蒸着を剥離させてしまう現象です。
ファインダーを覗くと中央少し下に
横方向に黒い線が出ています。
撮影の上でも非常に邪魔です。
こうなるとプリズムは交換が現実的な対処法です。
今回も腐食のない中古プリズムとの交換で対応いたします。
他はSP系…というかこの時代の横走り機なら
まず間違いなく何か問題がああると言ってよい
高速シャッターの精度不良で
今回もそれなりに大きくバランスを崩していますが
幕軸の清掃・注油、あとは若干のテンション調整で
全く問題なく安定して精度が出るようになりました。
さらに最大のセールスポイントである
開放測光可能の露出計が非常に不安定です。
分解してみると配線がどれもこれも腐食気味で
ほぼすべての配線を交換で対処いたしました。
水銀電池から出るガスが原因と思われる腐食です。
液漏れはなくても生ガスで配線は腐食するので
やはり長期間使わない場合は電池は外しておくのが鉄則です。
詳しく調べたわけではないのですが
現在の電池でも(特に酸化銀電池)はガスが出るようなので
使用しないときにはやはり電池は抜いておいたほうが良いと思います。
(MFフィルムカメラは抜いても特に問題ございませんし)

一通りの整備が終わって少し様子見をしている段階です。
装着されているSMCタクマー55mmF1.8は
当店のテスト用レンズです。
巻上のフィールもお預かり時より良くなっていますし
各部の精度は全く問題ない状態です。
これで当分は安心してお使いいただけれると思います。
黒ボディが使い込まれて地金が出ている様子は
この時代のカメラに非常に良く似合いますね。
この「SPF」もほどよく使い込まれて
なかなかよい雰囲気を醸し出しています。

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