リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は「うるしの日」だそうですよ。
漆器も味わい深くていいものですよね
やはり食器が思い浮かびますが
漆箱とかもいいものです
いずれにしても
あの朱と黒の妖艶な組み合わせがたまりませんね
実家には昔いろいろあったような気がするのですが
気が付けば家に漆器なんて
食器に少しあるだけになってしまいました。
これも高級なものを言い始まれば
魅力的ですがキリがないし、もちろんお高いのですよねぇ…
漆器ではかぶれることはまずないとは思いますが
うちのばあさんが漆でかぶれる体質で
漆器は少し敬遠していました…
山に行くといわゆる「かぶれの木」として
ウルシやハゼの木が有名ですよね。
要は樹液でかぶれるのですが
ばあさんはウルシの木の下を通っただけでも
かぶれることがあるってよく言っていました。
私は生の樹液に触れても何ともないのですが…
でも子供の時は山でじいさんに
「かぶれの木」にはあまり触れるな…ってよく言われてました。
そういうので木の種類とかも
自然と覚えていくのですよねぇ…だいぶ忘れましたが…(苦笑)

さてさて

本日は「リコーオートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
1967年発売のカメラです。
ハーフカメラと言えば「オリンパスペンシリーズ」と
「リコーオートハーフシリーズ」がやはり双璧ですね。
「ペンシリーズ」は「EEシリーズ」で露出のオート化や
ピントの固定焦点等を行ってより簡単に使えるようになりましたが
「オートハーフシリーズ」は初代登場当時から
カメラを使ったことない方にも簡単に撮れるようにと
自動化をいろいろ取り入れたカメラです。
セレン光電池を使用した露出計を搭載、連動させ
露出は基本的に自動露出とし
ピントは2.5mに固定焦点とし被写界深度である程度カバーします。
そして何といってもオートハーフと言えば
ゼンマイを使った自動巻上ですね。
そしてこれだけの機能を搭載しながら
女性のハンドバッグ、男性の上着のポケットに入るサイズの
小型化を目指して作られたカメラです。
少々ずっしりと重さはあるものの非常にコンパクトな上に
スクエアな独特のデザインは現在でも非常に人気の高いカメラです。

今回お預かりしている「SE」は「オートハーフE」に
セルフタイマーが追加されたモデルです。
ご依頼者さまにご指摘いただいているのは
ひととおり動作はしているのだけどピントが合わないということです。
オートハーフのピントは先述したとおり2.5mでの固定焦点です。
前玉回転で調整するためレンズを外すとピント調整が必要です。
レンズ清掃された形跡があるので
以前にこの個体のレンズ清掃を行った方が残念ながら
組間違いをしているものと思われます。
分解してみると案の定でレンズが1回転分浅く入組まれている状態でした。
これではピントの合う位置は0.3mほどになり
ほとんどの場面でどこにもピントは合いません。
印をつけておいて元の位置に組もうとしたのでしょうが
1回転分間違えてしまったものかと思われます。

オートハーフと言えば心配されるのはセレン光電池の劣化ですが
今回の個体はそこに関しては全く問題がなく一安心です。
逆に少し振り過ぎの傾向があったので抵抗で
再調整を行いオートの精度を出し直しています。
そしてオート―ハーフのシャッターは
非常に小さなバネの力で駆動するため
ちょっとした汚れや油分で簡単に固着します。
シャッターユニット内に注油が必要な部分もあるのですが
もちろん量はほんのほんのわずかの最小限にとどめ
シャッター羽根、絞り羽根は入念に清掃を行います。
既に一通りの整備が完了し
少し時間をおいて様子見をしている状態です。
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。